【インタビュー】和楽器バンド、1stシングル発売「この8人なら伝説残していけるよね」
――ミュージックビデオでも、ギターを弾く町屋さんに並んでいぶくろさんが箏を立てて弾いているのが印象的でした。
いぶくろ聖志:あれは今年の春に僕が監修という形で出させていただいた文化箏「白鷺」を使った奏法です。<和楽器バンド HALL TOUR 2017 四季ノ彩>で初めて使ってみたんですが、ああいった箏の弾き方をするのは珍しいことでしょうね。
――亜沙さんとべにさんが並んでソロを弾いている姿も素敵ですよね。
亜沙:ソロの入りの部分、なかなかいい感じのベース音が鳴ってます。僕、いつもベースの音作りにはこだわっているんですが、今回録音の仕方を変えてみて今までで一番好きな音色が出せました。まぁ、8人が混ざると全然わかんなくなっちゃうんですけどね…(苦笑)。
蜷川べに:和楽器がしっかり聞こえたりソロ回しがちゃんとあったりするのって、ゆう子さんの作る曲の特徴なんです。今回も和楽器が弾きやすいコード進行で、三味線も津軽じょんがら節なんかのフレーズをそのまま使っています。ソロだけじゃなくてイントロやサビも、思いっきり三味線そのものの音色をのびのび弾かせてもらいました。
鈴華ゆう子:津軽三味線の良さが出たよね。
蜷川べに:そうだね、それを意図して作曲してくれたんだと思うけど、三味線ならではの音色をぜひ味わっていただきたいですね。
――尺八と和太鼓の聴きどころは?
神永大輔:尺八は楽曲のイメージや世界観を彩る役割なんですが、イントロとサビの裏のフレーズを聴いてみて欲しいです。実はここ、あえて似たようなフレーズにしていて、世界観を統一させているんです。
黒流:僕もべにと一緒で、和太鼓らしい音作りができました。高い音が出る締太鼓を使ってキャッチーさを出したのがポイントで、他の楽器の邪魔をし過ぎず、かつ存在感を入れることができました。ソロの三味線の裏では和風なリズムを入れたんですが、先に録った僕の太鼓の音にべにの三味線がガッチリ合ったんで、これは三年ずっと一緒にやってきたからこそだなって感慨深かったです。
――町屋さんはギターのサウンドのみで言うと、こだわりはどこですか?
町屋:落ちサビの8小節目のキメのフレーズです。「きゅーんぱっ ばばばっ!」ってとこ。
亜沙:おぉ、意外なところ!
町屋:そう。実は「きゅーん」と「ばばばっ」は、あの譜割りで組み合わせるのが難しいんだよね。結構無理しています。
蜷川べに:きっと読者の方も聴いたら「あぁここか!」ってなるはずなので、そのまま「きゅーんぱっ ばばばっ!」って書いておいてください(笑)。
――ちなみに私、リリースのたびに和楽器バンドさんの衣装も楽しみで。
鈴華ゆう子:今回は黒基調で、割とシックに。ポイントで赤を使っている人と紫を使っている人がいて、私は赤と紫の両方を取り入れています。
黒流:2ndアルバム『八奏絵巻』収録の、「暁ノ糸」で着た衣装と「戦-ikusa-」で着た衣装を融合させたイメージです。今回のシングル自体が“初めて和楽器バンドを観てくれる人”にも届けたいというテーマを持っているので、今までの僕たちのビジュアルイメージを踏襲しつつ進化させました。“THE 和楽器バンド”というのを出せたかなと思っています。
鈴華ゆう子:私たちは全員がそれぞれの演奏スタイルと容姿を踏まえて、ひとりひとりデザイナーさんと話し合って衣装をデザインしているのでかなりこだわっていますよ。私は絵も描くので、それをもとにパターンを起こしてもらったり。
いぶくろ聖志:僕はこれまで紫の衣装が多かったから逆に赤にしてみたんです。
――黒流さんの月の形のネックレスは、カップリングの「月に叫ぶ夜」を意識して?
黒流:…ほんとだ、月だ! 今気づきました(笑)。
鈴華ゆう子:もう、意識したっていうことにしとこう(笑)!
――「月に叫ぶ夜」は黒流さんの作詞作曲ですね。
黒流:和楽器バンドの良さのひとつに、和楽器を組み込んだハードでヘヴィなサウンドというのがあって。表題曲の「雨のち感情論」が聴きやすくポップなイメージなので、カップリングではその逆のハードな面に特化した曲を作りたいなと思って作曲しました。
――確かに表題曲と対照的な仕上がりです。
黒流:和楽器の音色はきれいな音楽にすごく合いますが、激しい音楽にも合うんですよね。海外のヘヴィロックのアーティストやDJも、和楽器の音色を自分たちの音楽にとりいれていたりするんですが、固定概念にとらわれない分、自由にかっこよく和楽器の音色を使っているんです。
――歌詞にも「罪」や「罰」など重めのキーワードを使われていますね。
黒流:歌詞では落ち込んでどん底にいる中でも、違う自分が「まだ大丈夫だよ」と言っている二面性を表現しました。基本的に暗い歌詞なんですけど、その中でわずかな希望を見出している様子を描いています。聴いた人が自分自身に当てはめられるような、含みをもたせた歌詞ができたと思います。特に落ちサビのところでゆう子ちゃんとまっちー(町屋)がハモるんですが、同じメロディーで違う歌詞を歌っているんです。よく聴かないとわからないんですが、ここはこだわりです。
鈴華ゆう子:このバンドでおもしろいなと思うのは、ポップなものからダークなもの、ヘビーロックや早口言葉を取り入れた曲だったりとかジャンルにこだわらないところ。例えば私が書く歌と町屋さん、黒流さん、亜沙が書く曲って全然違うんですよね。
――いろいろなジャンルの曲があるのは、歌っていて大変じゃないですか?
鈴華ゆう子:この曲に関しても、最初に聴いたときは私がたどってこなかったジャンルなので絶対に自分では作れないなと思ったんですが、このバンドに落とし込むと全部和楽器バンドの曲になるんですよね。歌う時も大変というか、「これを私が歌ったらどんな風になるだろう」ってわくわくしちゃうんです。同じように、みんなも「自分なりに和楽器バンドにしてやろう」って思ってるんじゃないかな。
――なるほど。それが和楽器バンドの独自のスタイルに繋がっているんですね。
いぶくろ聖志:今回のシングルには、これまで自分たちが貫いてきたスタイルに基づいて「みなさんにどんな曲を届けたいのか」と考えて導き出した答えが詰まっています。他ではやれないことをやっているので、ぜひシングルも手に取って音をしっかり聴いていただけると嬉しいです。
蜷川べに:シングルで私たちの楽曲に触れてもらったら、ライブにも来てパフォーマンスも見て欲しいです。
――毎年恒例の<大新年会>も、来年は横浜アリーナで開催ですしね!
山葵:<大新年会>は新年一発目の気合を入れたライブでもあり、一年間の集大成のライブでもあります。僕らが培ってきたものを全力でここで出し切りますし、毎年新しいアイディアを入れて取り組んでいるので、このシングルで僕たちのことを知った方も絶対に楽しめると思います。
町屋:ライブの演出のSEなんかも僕が、モダンなEDMみたいなリズムと和楽器隊が実際に何かの曲で弾いてるフレーズをテンポとピッチを変えて組み合わせたりして作っていて、和洋折衷にチャレンジしています。そういう細かいところまで注目してくれると嬉しいですね。
鈴華ゆう子: 和楽器バンドのライブはショーを見るような感覚で楽しめます。お客さんも老若男女揃っているので、今はまだ私たちのことを見たことがないお客さんも気軽にライブへ足を運んでいただけたらなと思っています。
――初のシングルリリース、横浜アリーナでの<大新年会>、楽しみな予定がたくさんですね。
神永大輔:そのほかにもまだまだいろいろなことを考えています。今回こうしてインタビューしてもらうのももちろん、テレビ出演など露出も増えていくので、楽しみにしていてください。
亜沙:それはそうと、親知らずの治療はほっておくと大変なことになるのでみなさんお気をつけください…。
蜷川べに:亜沙さん絶対変なこと言うと思った!黒流さんがきちんと締めてください(笑)。
黒流:和楽器バンドは和楽器とバンドという珍しい形態で音楽をやっていて、一見ちゃらちゃらしているように見えるかもしれない。でもこの形で音楽をやることはすごく責任があることだと思っています。僕らが失敗してしまうと後の世代への道を閉ざしてしまうことになるし、僕らがいいものを作れば後の世代がよりいいものを作り出してくれる。偶然や奇跡的なことが起きてこのメンバーが集まりバンド活動をやっていますが、今は全員「いいものを作り出す」ことが使命だと思っています。そんな僕らの覚悟を、どうかみなさん応援してください。
取材・文◎服部容子(BARKS)
1st Single「雨のち感情論」
■CD+DVD(MUSIC VIDEO盤)
AVCD-83911/B 価格: 1,998円(税込)
初回特典
・スリーヴ仕様
・トレーディングカード16種類中1種類ランダム封入
・応募シリアルナンバー封入(後日詳細発表)
※初回生産限定盤が無くなり次第、通常盤に切り替わります。
[CD収録内容]
M1.雨のち感情論
M2.月に叫ぶ夜
M3.雨のち感情論(Instrumental)
M4.月に叫ぶ夜(Instrumental)
[DVD収録内容]
雨のち感情論(MUSIC VIDEO)
雨のち感情論(MAKING)
■CD+DVD(LIVE映像盤)
品番: AVCD-83912/B 価格: 1,998円(税込)
初回特典
・スリーヴ仕様
・トレーディングカード16種類中1種類ランダム封入
・応募シリアルナンバー封入(後日詳細発表)
※初回生産限定盤が無くなり次第、通常盤に切り替わります。
[CD収録内容]
M1.雨のち感情論
M2.月に叫ぶ夜
M3.雨のち感情論(Instrumental)
M4.月に叫ぶ夜(Instrumental)
[DVD収録内容]
雨のち感情論(2017/7/21東京国際フォーラム LIVE映像)
ワタシ・至上主義(2017/7/21東京国際フォーラム LIVE映像)
■CD ONLY
AVCD-83913 価格: 1,296円(税込)
初回特典
・スリーヴ仕様
・トレーディングカード16種類中1種類ランダム封入
・応募シリアルナンバー封入(後日詳細発表)
※初回生産限定盤が無くなり次第、通常盤に切り替わります。
[CD収録内容]
M1.雨のち感情論
M2.月に叫ぶ夜
M3.そこにあるかも知れない・・・
M4.雨のち感情論(Instrumental)
M5.月に叫ぶ夜(Instrumental)
M6.そこにあるかも知れない・・・(Instrumental)
■CD+VR(mu-moショップ・FC八重流専売数量限定盤)
品番: AVZ1-83914 価格: 2,700円(税込)
[CD収録内容]
M1.雨のち感情論
M2.月に叫ぶ夜
[VRコンテンツ]
空の極みへ(平安神宮単独奉納LIVE in 和楽器サミット2017)
◆和楽器バンド オフィシャルサイト
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