【詳細レポ】ASH DA HERO、孤独を切り裂いた一筋の光「みんなは俺にとってのヒーローです」
「7月28日、渋谷TSUTAYA O-EASTでワンマンライブが決定しました! ASH DA HEROにとって今までにないくらい最大の試練だなと思っています」
これは5ヶ月前、2月27日に行なわれた2017年初ライブでのASHの言葉だ。発表と同時に会場からは歓声と「おめでとう」の声が飛び交ったが、ASHは「正直埋まるかどうかわかりません、今の段階では」とも言い、4桁のキャパシティの会場に挑戦することへの不安をにじませていた。
主催2マンライブ、1年ぶりのニューアルバム『A』発売、渋谷スクランブル交差点・グリコビジョンでのミュージックビデオ公開、対談企画、Instagramでのアコースティックライブ配信など、これまでとは違ったアプローチを重ねてきたASH。
あっという間に5ヶ月が過ぎた。
いよいよ迎えたライブ当日。東京は梅雨明け宣言後から雨が降ったり肌寒くなったりと天気が不安定で、“雨男”を自称するASHのライブはきっと雨だろうと思っていたけど、まさかの晴れ。空を見上げながら、雨が降らなくて助かったものの、曲中の天気としてたびたび登場する“曇り空”だったらもっとよかったのに、なんて考えながら会場へと向かう。入口にはそうそうたる顔ぶれからのスタンド花が並び、場内にはこの日発売となったTシャツやタオル、そして『A』購入特典のリストバンドを身に着けたファンが、前回から2ヶ月ぶりのASHのライブを今か今かと待ちわびていた。
開演1分前、18:59暗転。19:00ぴったりにSE「A New Journey」が流れ幕が開いていく。「ASH DA HERO」と書かれたバックドロップがゆっくりと上昇し、バンドメンバーが登場。ニューアルバム『A』と同じ流れで、1曲目「WE'RE GONNA MAKE IT」がライブの幕開けを告げた。<インスタLIVE>でお披露目したばかりの金髪のショートヘアで現れたASHは、「A」の旗をかつぎながら「やろうぜ渋谷ー!」と叫ぶ。不安げな様子はなく、いつもどおりの自信に満ちた表情だった。
「BRAND NEW WORLD」では、ミュージックビデオと同じサイケデリックな世界を照明で演出。闇を切り裂き、まるでASHの行く先を示しているかのようにレーザービームがまっすぐと伸びる。「JAPANESE ROCK STAR」には振り付けがあり、サビの歌詞、“Pretty” “Cool” “Saikoo” “More”に合わせて、ピース、メロイックサイン、サムズアップ、人差し指で頭上を指差すというジェスチャーで会場が一体に。ジェスチャーごとにくるくると変わるASHの表情も見どころだ。
男女のセクシーな吐息を合図にスタートした「Layla」はASH DA HEROを振り回す黒髪の謎の女性・レイラとの駆け引きを歌った楽曲。ミラーボールがまわり、会場はふたりが主役のダンスホールに変貌する。レイラになりきり色っぽく歌唱するASH。毎回の見せ場になっている、ドラム以外の5人が一列に並んで披露する“ランニングマン”風なダンスは今日も絶好調だった。
「改めまして、ASH DA HEROです。“ASH”って呼んでください!」いつもの挨拶のあと、MCでは『A』のリリースから、今日のワンマンライブまで2ヶ月も空くというスケジュールに自身も驚いていたと明かす。また、「3日前にガラガラのEASTの夢を見た」と、いかに集客が心配だったかを話すも、ステージに出た瞬間に大勢の観客が目に入って安心したと笑みをこぼした。
MCでクールダウン後、「Waiting For」「ラブソング」と、しっとりしたナンバーが続く。「大切な人はいますか?」と呼びかけた「ラブソング」は、別れを選択するしかなかったふたりの“ロストラブソング”。「ありがとう」がたくさん詰まった、ASHの実体験をもとに書かれたこの曲は『A』のなかでも特に人間くさくて、やるせなくなってしまう。
しんみりとした雰囲気から今度は夏モードに切り替え。「夏満喫してますか? 遊びに行ったよーっていう人は?」とASHが問うと誰からも反応がなく、あわてて「大丈夫、仲間仲間! 俺もずっと引きこもって曲作ってるから!」とフォローを入れたところで波音が爽やかなサーフレゲエナンバー「Somebody To Love」。「ハジける時間だ!」と軽快な「W.Y.W.G(Wherever You Will Go)」で盛り上げ告知タイムへ。ここで、ASHの誕生日当日である9月21日、地元名古屋を皮切りに7都市を巡る全国ツアーを開催することを発表。会場のテンションが一気に上昇したところで、「反抗声明」から後半戦へ突入した。
「みんなをブチ上げるためにこの2ヶ月かけて作った、どこにも発表してない新曲を持ってきました。すべての音楽を愛するキミたちと、ここにいるすべてのアジア人におくります」と、クラブサウンドに和風のメロディを重ねた新曲「YELLOW FEVER DANCE」をサプライズ披露。観客は音に身を任せて踊り、会場が揺れる。ASHの歌声もさらに熱を帯び、大切なワンマンライブで新曲を歌えることの悦びを全力のパフォーマンスで表現していた(フロアにはなぜかコンペイトウが投げ込まれた)。
再び訪れたMCタイム。「こういうことを言うのはあんまりヒーローっぽくないんだけど……」と珍しく弱気な口調で切り出したASHは、バンドでもグループでもなく、ソロアーティストとして活動するうえで、「常に孤独と仲良くしてるわけです」と本音を漏らす。自分自身が信じられなくなり、自分のやっていることが間違っているのではないだろうかと葛藤しているうちに、周りが見えなくなってくるとも明かし、しかし、そういったときにファンからのSNSでの反応やファンレターが心の支えになっていると言い、感謝の言葉を続けた。
「ASHの歌を聴いたら元気が出ましたよとか、こんなことがあって辞めようと思ってたけど続ける気になりましたとか、そういうのを見るとマジで勇気に変わるんですよ。あ、ヤベーなって思ったときも、キミたちの声がいつもASHを奮い立たせてくれるんです。みんなにとってASHはヒーローっていう風に映ってるかもしれないけど、みんなは俺にとってのヒーローですね。今日もヒーローでいさせてくれてありがとう。信じてついてきてね。ASHを信じててよかったって、そういう結果を獲りにいきますから」──ASH DA HERO
ヒーローは孤独だった。強くて頼もしくて負けず嫌いのASHが、そんな感情を打ち明けたことに驚いたファンも多いかもしれない。しかしこれはマイナス要素ではなく、むしろファンとの絆をより強くさせた瞬間だったはずだ。そして、「晴れちゃったね」と雨男であることに触れ、雨に愛されたヒーローからファンへおくる「Rain」でASHの優しさが溢れ出す歌詞と歌声、ピアノの旋律が会場を包み込む。雨がやみ、晴れた空に虹がさしたような「いつか世界が僕を忘れても」で前向きな気持ちを歌い、夢を掴みにいく背中を押す応援歌「Never ending dream」。「HELLO NO FUTURE」では銀テープが発射され、お決まりのタオルを投げる振り付けはそれだけでもいつも綺麗だけど、テープの輝きが加わって今日はより一層美しく見えた。
アンコールの声に呼び込まれ、1曲目に大好きなボーカリストの先輩から必ずセットリストに組み込むようにとアドバイスを受けたという「Everything」を披露し、ラストは「Prologue」。ライブ本編でASHは「俺を選んだってことは、何かを救ってほしくてここに来たんだろう?」「全部救ってやるからぶちまけてくれ」と、フリースタイルラップを通して言っていたが、「Prologue」を聴きながらこの曲にヒーロー活動のすべてが集約されていると改めて感じた。
壁を扉に変え、私たちの手を掴んで、また新たな世界=<BRAND NEW WORLD>に連れて行くよと約束したASH。彼が次にどんな世界を見せてくれるのか待ち遠しくてならない。
取材・文◎高橋ひとみ(BARKS)
撮影◎前田俊太郎(1,4枚目)進藤景太(2,3枚目)
セットリスト
2017年7月28日(金)東京・TSUTAYA O-EAST
SE. A New Journey
M1. WE'RE GONNA MAKE IT
M2. ANSWER
M3. BRAND NEW WORLD
M4. Rolling Stone
M5. JAPANESE ROCK STAR
M6. Layla
M7. Waiting For
M8. ラブソング
M9. Somebody To Love
M10. W.Y.W.G(Wherever You Will Go)
M11. 反抗声明
M12. HERO IS BACK 2
M13. WAKE UP ROCK AND ROLL BAND
M14. YELLOW FEVER DANCE ※新曲
M15. WA!!
M16. Rain
M17. いつか世界が僕を忘れても
M18. Never ending dream
M19. WANT YOU BAD
M20. HELLO NO FUTURE
EN1. Everything
EN2. Prologue
ツアー情報
2017年9月21日(木)愛知・Electric Lady Land
2017年9月29日(金)大阪・OSAKA MUSE
2017年10月8日(日)宮城・HooK SENDAI
2017年10月14日(土)北海道・cube garden
2017年11月7日(火)広島・セカンドクラッチ
2017年11月12日(日)埼玉・西川口 Hearts
2017年11月25日(土)福岡・DRUM SON
※札幌・広島・福岡公演は追加ACT予定
スタンディング ¥4,000(税込・D代別)
[オリジナルデザインチケット先着受付]
2017年7月29日(土)12:00〜8月11日(日)23:59
※お申し込みにはVAMPROSE IDの取得(無料)が必要になります。
※整理番号は抽選で決定いたします。先着ではございません。
※予定枚数に達し次第、早期に販売終了する場合もございます。
https://store.vamprose.com/product/727
[チケットぴあ独占先行先着受付]
2017年8月12日(土)12:00~8月23日(水)23:59
[一般発売日]
2017年8月27日(日)10:00
ワンマンライブ情報
2017年8月26日(土)東京・LIQUIDROOM
開場 16:30/開演 17:00
指定席 ¥4,000(SPECIAL PASS付き)
スタンディング ¥3,500
※スタンディングは後方になります
[SKIYAKI TICKET独占先行受付]
2017年7月29日(土)12:00~8月9日(水)23:59
https://ticket.skiyaki.tokyo/events/adh_aco2017
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