【インタビュー】the GazettE、『TRACES VOL.2』で語り倒すメンバー5人のバラード論
今年15周年を迎えるthe GazettEが、3月8日にバラードベストアルバム『TRACES VOL.2』をリリースする。これまで誕生してきた珠玉の楽曲群の中で、敢えてのバラードオンリー、そして全曲再録という只のベスト盤では終わらせない意欲作だ。そもそもthe GazettEにとって、メンバー5人にとってバラードとは何か? 今回、十五周年記念公演を前に準備を進めている彼らを直撃した。
一人一人のバラード観だけでなく、the GazettEの5人が持つ“15年続いたバンドとは思えない初々しさ”、そしていよいよ迫ってきた3月10日の十五周年記念公演に関する気になる話など、彼らの様々な表情が盛り沢山となったインタビューをお楽しみいただきたい。
◆the GazettE~画像&映像~
■初めてワンマンライヴをやったときに、本当の意味での必要性を感じましたね。(麗)
▲『TRACES VOL.2』初回限定盤 |
麗:アーティスト側からのベストへの要求って、ぶっちゃけそんなに無い気がするんですよね。でも、ベスト盤を作るということで、今回ウチらがどうやりがいを付加したか、というところで、【バラード】と【録り直し】っていうところだったのかなって。
葵:そう。つまり、今回のベスト盤の“ベスト”は、“僕らはベストを尽くしたよ”という意味の“ベスト”なんですよ。
──なるほど! 葵さん、絶対今、“上手いこと言った、俺!”って思ったでしょ(笑)!
RUKI:たしかに。上手いこと言いたい人だからね、葵さん(笑)。
一同:(爆笑)
REITA:でも、今のは細文字だな(笑)。
RUKI:いや、掠れ文字だな(笑)。
REITA:掠れ文字だな(笑)。
葵:あははは。
──ロックバンドにとってバラードって、すごく重要な位置にあると思うけど、the GazettEにとってバラードってどんなもの?
戒:やっぱり欠かせないものですよね、激しい曲と同じくらい。流れを作る曲たちだと思うんでね。組み方によっては、1本のライヴがバラードによって左右されることもしばしばあり。その後の激しい曲へのテンションの持っていき具合だったりするんで、the GazettEにとっては、無くてはならない一面かなと。
──そう考えると、the GazettEのライヴの中でバラードって、結構大きな比重を占めてるよね。
戒:うん、数的にもね。でも、やっぱり気持ちの面での比重も高いなと。
RUKI:だな。
▲『TRACES VOL.2』通常盤 |
麗:エンジニアというか、曲を集めて、みんなでここはああしたい、あそこはこうしたいっていうのを、どこかで集約して形にする役割を誰かがやらないといけないんで、そこをやらせてもらったって感じではあったんですけどね。いままでレコーディングをやってきて思うのは、問題点だけが浮上してくるので、そこがなんでなんだろう? っていうところを、自分的に知ってみたかったという好奇心もあって。
──なるほどね。麗さんの中で、そしてthe GazettEの中でバラードはどういう位置にあるもの?
麗:昔はイベントばっかりで、バラードをやる隙間がなかったんだけど、初めてワンマンライヴをやったときに、ライヴの流れを付けるために、すごく必要だなと感じたというか。そこで初めて本当の意味での必要性を感じましたね。暴れてるだけじゃ単調になって飽きちゃうから、そんな中で本当に音楽と向き合う時間というのがバラードでもあったりすると思うので、そういうところで自分たちの力の無さとかを知ることにもなったり。勢いだけじゃいけないっていう、すごく重要な位置にあると思いますね。
葵:俺にとってバラードって、the GazettEにとってバラードって、やっぱりみんなが言うように、すごく重要な部分だと思う。
──激しい曲ももちろんだけど、バラードって音色とかもより繊細に響くこともあって、そこへのこだわりだとか自分の中でのキマリ的なものもあると思うんだけど。
葵:ありますね。先入観とかもあると思うけど、わりとある。やっぱりサウンド面かな。まず、ここからアプローチしようっていう音があるというかね。
──音選びはすごくきっかけになるの?
葵:そうですね。そこはすごく大きなきっかけ。あと、今回のベストに選曲してたかしてないかちょっと定かではないけど、作っていく上で“ロックバラードにしたい”っていう思いが強くて、そこから始まっていったバラードだったから、自分の中ではすごく斬新だった。あれ、何の曲だったっけ?
RUKI:「PLEDGE」だったかな?
REITA:いや、「LAST HEAVEN」だね。
RUKI:今回のには入ってないね(笑)。
葵:プロモーショントークになってないなぁ~(笑)。でもね、「LAST HEAVEN」は、“ロックバラード”というところで、よりエッジーなディストーションサウンドを求められたんで、自分のバラード概念を覆されたというか。すごく苦戦した覚えがありますね。
──そういう意味では、「体温」というバラード概念も難しいんじゃない?
葵:はい。「体温」は難しかった。今回録りなおしてみて改めて感じたところでもあって。どうしたらいいだろう? って思ったというか。どの曲にも言えることではあるんだけど、ウチはギターが2本いるから、左右のバランス的にどうなのか? というのも見たいし、自分たちだけで今回のレコーディングはやったから、どの段階がフィックスなのかを見極めるのも難しくて。「体温」「枯詩」あたりは、そこが特に難しかったかな。音の選び方とかね。悩みだしたらきりがないし、どれが正解とかないからね。逆に言うと「白き優鬱」とかは簡単だった。当時から音の選び方が変わってない。
──「白き優鬱」とか「絲」みたいな曲って、ストーリー性が強いというか、イメージ的に決め込みやすかったりするのかな?
葵:「絲」はラフでやったときに音を当てていて、その音があったんで、この世界観でいこう! っていうのが見えてたんで早かったんだけどね。
──やっぱり「体温」や「枯詩」で今回感じた難しさは、バラードゆえの難しさだったりもするの?
葵:そう。バラードは激しい曲よりも繊細に気をつけないと。
──そうだね。REITAくんにとってバラードとは?
REITA:the GazettEの激しさっていうのは、バラード達があるからこそ際立つと感じていて。だからこそ、the GazettEという音を表現していくには、欠かせない存在であると思いますけどね。
──ベーシストとしてのバラードとの向き合い方はどう考えている? 引き算を重要に思っているのか? それとも、敢えてメロウにフレーズを入れようと思っているのか?
REITA:自分の好みとして、昔は、動いてたかった。でも、だんだんとシンプル志向になっていったというか。自分の好みの変化を感じる部分ではあるかな。やるべきことが、だんだん変化してきた感じがあるというかね。
──ということは、今回の再録では、そんな自分の変化をより実感した感じだったんじゃない?
REITA:そう。なんでここにピッキングが入ってるんだろう? っていうのも多かったですね。「reila」もそうだし、「PLEDGE」もそうだし、結構ピッキングの数が多いんですよ。たぶん、リズムが取りやすいからなんでしょうけど。でも、やっぱりピッキングはあまり多くない方がいいと感じたというか。弾くたびに弦が一瞬止まるんで、波形でも少し縮むんですよ。
──なるほど、余韻がなくなるということね。
REITA:そう。だから、伸ばせるところは伸ばした方が安定するんで、直せるところは再録で直していった感じですね。でも、音数が少なくなるとリズムの取り方とか、ドラムと合わせるというところが難しくなるんですよね。
戒:今回、プリプロとドラム録りを一緒にやったんですけど、そのときにREITAから、余計なところを省きたいっていう話が事前にあったので、引き算の方法を一緒にいろいろと考えたんです。それは今回1曲ずつ細かく話し合いましたね。REITAと2人でだけではなく、みんなでもいろいろと話し合って。新曲に向き合うときは、各々が家に持ち帰っていろいろとアプローチ考えて煮詰めてくる感じではあるんですけど、今回は再録というのもあって、もともと在ったものをどう変化させるかとか、どう聴きやすくさせるかっていう話し合いをしながらだったし、リズムが大きく変わる部分とか、事前に話をして土台を決めておかないとということで、プリプロをしつつ録るという流れになったんで、そこは、今回ならではの向き合い方でしたね。
──なるほどね。RUKIさんにとってのバラードとは?
RUKI:時期とか曲にもよるんですよね。例えばアルバムでもシングルでも、わりと比重を置いてるというか。あんまり比べるものじゃないんだけど、根を詰めて作るのはバラードが多いなと。バラードって“すごく聴く”ものだから、何を作っても難しいんですよ。気合いがいるというか。
──向き合うのに気合いがね。
RUKI:そう。あんまりポッとは浮かんでこない。結構時間がかかるんですよね。だから思い入れも強くなるし。
──まず、RUKIさんはどういうところをきっかけとして作り始めるの?
RUKI:サビから作るときもあるし、頭から作るときもあるんですけど、そこは他の激しい曲と同じではあると思うんだけど、ん~、どうかな? バラードはサビから作ることの方が多いかな。その段階で、サビの入るノイズのイメージが既にあったりすることもあるかな。細かいアレンジに関しては各自に任せるから、そこでいろいろと広がっていくんだけど、原曲を作っている段階で既に自分の中で鳴ってるというか、なんとなく音はあったりするかな。
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