【イベントレポート】和嶋慎治、自伝『屈折くん』発刊記念イベントで「夢のようです」
人間椅子・和嶋慎治(Vo&G)の自伝『屈折くん』の発刊を記念したトーク&サイン会が、2月12日(日)東京堂書店にて開催された。
◆イベント画像
司会は本書の制作に協力をした志村つくね氏が担当。自伝にも書かれている、中学生当時の昼休みに放送されたという「ダンシング・オールナイト」(もんた&ブラザーズのカヴァー)が場内に約4分流れ終えた頃、和嶋が登場した。
まず和嶋は、いま流れた「ダンシング・オールナイト」は中学3年生のときに弾いたものだと明かし、楽曲が流れていた最中の場内の雰囲気について「あの頃のお昼の中継のように水を打ったような静けさ」とコメントすると爆笑が。続いて「こんなに緊張感のあるのは久々です。楽しんでいただけたでしょうか、今日は宜しくお願いいたします」と挨拶してイベントがスタートした。
ハードロックと同じように本も大好きだという和嶋は、今回、本の街・神保町の書店でイベントを開催できたことについて「夢のようです」と語り、「今までエフェクター本は出しましたけれども、文章という形で出すのは今回が初めてで、それを出版していただいて東京堂書店さんという大きな所でトークイベント&サイン会をやらせてもらって大変光栄に思っております」と喜びもひとしおの様子。
タイトルには試行錯誤したそうで、みうらじゅんから「和嶋君は今怪獣だから“怪獣の作り方”にしなよ、それが一番売れる、ハウツー本にしろ」と3時間ほど説得されたものの、なかなかピンとこなかったが、ふと、高校2年の頃のあだ名が“屈折”だったと思い出し、「その後の人生を表している言葉だし、なおかつ難しくなくてポップだから」という理由から『屈折くん』にしたと、命名についてのエピソードも披露した。また、本書の執筆にあたり「いざ書き出したら全然ペースを上げられず、でも自分の文章で書きたいので発売日を延期してもらい、ようやく全部書き上げました」と話したほか、毎晩髪の毛が抜けていくという悪夢を見ていたと明かして笑いを誘った。
最後には「普段断片的に思い出すことはあっても、こうやって自分自身の記憶を掘り起こして振り返るというのは、精神療法に近いくらいの人生の追体験」「書きながら苦しかった。自分はなんちゅうダメなヤツだって10日間くらい泣きながら書いてました。瞼が腫れるから人に顔を会わせられなくて」と制作の日々を振り返る和嶋。そして「子供の頃からちょっと変わった子でいじめっ子の標的にもされて。他人に虐げられるという状態は非常に嫌なものですが、そのことで自分としてはより個性を表したくなりました。で、自分の居場所を探すとそれは音楽でありロックだった。でも楽器を始めても仲間がいなくて、それでとなりの中学に行ったらそこに鈴木(研一)くんがいて。やっぱり人生って不思議だなって思います。」と感慨深げに語った。
なおトークショーの後にはサイン会が行なわれ、イベント参加者には特製の栞と和嶋が自腹で呉服店に作ってもらったというツアー衣装の端切れを利用したアクセサリーがお土産として配られた。
和嶋と鈴木研一(Vo&B)の初めての出会いについてのエピソードはこちら→◆【インタビュー】人間椅子一筋35年、鈴木研一の現在・過去・未来
『屈折くん』
和嶋慎治 著
四六判/240頁/本体1,500円+税/発売中
ISBN:978-4-401-64388-2
怪奇派ロックバンド、人間椅子の中心人物、和嶋慎治による初の自伝。弘前が生んだ東北のトリックスターが、奇想天外な人生を明かす。「メンヘラ」でも「こじらせ」でもない、僕を作ったのは“屈折”だった。
みうらじゅん/シソンヌじろうとの特別対談も掲載。
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