【2017年グラミー特集】グラミーのルールを変えさせたチャンス・ザ・ラッパー
アメリカのイリノイ州シカゴ出身のヒップホップ・アーティスト、チャンス・ザ・ラッパーは、友達とヒップホップ・デュオを始めたのが音楽家としての始まりで、カニエ・ウェストのアルバムを聴くまではソウルやジャズを好んで聴いていた。
◆チャンス・ザ・ラッパー画像
2012年、最初にリリースされたミックステープ『10 Day』は、20万回以上のダウンロードを記録した。2013年にリリースした2作目のミックステープ『Acid Rap』は、120万回以上のダウンロードをマーク、メディアに高く評価されブレイクを果たした。『Acid Rap』は、クラシック・ソウル、ゴスペル、ブルース・ロック、アシッド・ジャズ、ハウスなど、幅広い音楽を採り入れている。しかし、それは型にはまらない新しいものを目指したものではなく、すべてを包み込むようなものを目指したものだ。
2016年、3作目となるミックステープ『Coloring Book』をリリースし、2017年グラミー賞の『最優秀新人』にノミネートされた。『Coloring Book』はチャンス・ザ・ラッパーのソーシャル・エクスペリメントというグループによって制作され、カニエ・ウェストやジャスティン・ビーバーなど豪華アーティストが集結していた。一般的なダウンロード販売は行わず、アップル・ミュージックにおけるストリーミングのみという限定的なリリースとなったことも話題となった。
『Coloring Book』の中の『Smoke Break』は、誕生した赤ちゃんを家族として迎え入れた夫婦にとって、どのように人生が変わっていくかをテーマとした作品だ。チャンス・ザ・ラッパー自身に娘が誕生したことが反映されており、多くのリスナーの共感を呼ぶ大きな要因のひとつといえるだろう。
チャンス・ザ・ラッパーは、無料ダウンロードできるミックステープなどの形態でリリースを続けている。音楽業界のビジネスの在り方に不満を抱き、その反骨精神から有料販売をしようとしない。「レーベルのやり方には賛同できないんだ。今は音楽にとって分かれ目となる重大な局面だと思う。グラミー賞も新しい動きをしようとしている」とチャンス・ザ・ラッパーは述べる。
グラミー賞は、有料で売り出され購入できる作品に候補資格があると規定している。つまり、無料の作品には候補になる資格がない。しかし、『Coloring Book』がリリースされてから、署名運動がファンによってスタートし、チャンス・ザ・ラッパーも署名活動を支持した。そしてついに、『Coloring Book』はストリーミング配信のみの音楽として初めて2017年のグラミー賞にノミネートされることとなったのだ。
第59回グラミー賞 ノミネート 5部門
・最優秀新人
・最優秀ラップ・パフォーマンス
・最優秀ラップ・ソング
・最優秀ラップ・アルバム
・最優秀ラップ/サング・パフォーマンス
写真:Getty images
WOWOW番組
放送日:2月13日(月)午前9:00[WOWOWプライム]
●「生中継!第59回グラミー賞授賞式」
放送日:2017年2月13日(月)午前9:45[WOWOWプライム]※二カ国語版(同時通訳)
●「第59回グラミー賞授賞式」
放送日:2017年2月13日(月)夜10:00 [WOWOWライブ]※字幕版
◆グラミー賞授賞式特設サイト