【ライブレポート】STARMARIE、中野サンプラザ単独公演で重なり合った“光と闇”の物語
STARMARIEが自身最大規模となる中野サンプラザでの単独ライブを12月26日に開催し、会場に集ったマリスト(STARMARIEファン)達と共にストーリーライブの集大成を繰り広げた。オフィシャルからのレポートをお届けする。
◆STARMARIE 画像
いつか日本武道館の舞台に単独公演で立つことを目標に、STARMARIEが今年より始めたストーリーライブ。2016年2月には<〜第一幕 幻木町の怪人〜@TSUTAYA O-EAST>公演を開催。4月には<〜第二幕 星祭りの夜〜@赤坂BLITZ>公演、8月は<〜第三幕 スペル・オブ・ザ・ブック〜@品川ステラボール>をそれぞれ単独公演として行ない、それぞれのステージでSTARMARIEが表現の軸にしている「ファンタジーな物語」を具現化しながら伝えてきた。
一連のシリーズを通して描いた物語の集大成も含め、STARMARIEは12月26日(月)に今年4度目となる単独ライブ<STARMARIE 2016 LIVE THE FANTASY SHOW 〜姫は乱気流☆御一行様〜>を、中野サンプラザを舞台に行なった。
STARMARIEが描くファンタジーな物語には、夢に満ちた「明るいファンタジー」と、様々な理由で人が亡くなってゆく「ダークファンタジー」という二つの世界がある。 白い衣装に身を包んだ「夢や希望を振りまくキラキラとしたアイドルとしての姿」、黒い衣装を身にまとった「闇に支配された中で夢を与えるアイドルとしての姿」。今回のステージでSTARMARIEは、「二つの姿」を異なる二つの物語へ投影する形で構成していった。
発達した科学が巻き起こしたのは、時空を歪ませ、異なる地球を二つ創りあげてしまうという悲劇だった。夢を与えるアイドルとして活動してゆくSTARMARIEの姿を、それぞれの世界へ白と黒、異なる姿として投影。やがて、時空の歪みを直すことで、「それぞれの世界にいたSTARMARIEが一つに重なり合う」までの物語を、声優・橘田いずみのナレーションを進行役へと据え、STARMARIEは描きだしていった。
序盤では白い衣装姿のもと、「プリンセスはコメディアン」や「綺麗なレオナの肖像画」など、ポップでチャーミングなアイドルらしい楽曲を歌いながら、リアルな世界に於ける正統派アイドルとしての姿を提示。さらに歪んだ時空の先に見えた一つ目の世界でも、STARMARIEは白い衣装姿のまま、輝く未来を映し出した物語を次々投影していった。ただし、序盤の姿とは多少異なり、それぞれの歌の根底にはシリアスなメッセージも記されていた。それはキラキラと輝きを放つ「余命124日のシンデレラ」が連れ出した、みずからの運命を知りながらも輝きを求めてゆく少女の心模様であり、“一番好きな君のために僕は何が出来る?!”と、大事な人の笑顔を守る大切さを伝えた「ぐらんぱぐらんぱ」に登場するおじいさんの強い意志であったりする。
前半部のSTARMARIEが連れ出したのは、愛と幸せを求めてゆく輝きに満ちた世界。「名もなき星のマイホーム」で見せた、僕たちが創るべき未来の理想郷の姿のように、STARMARIEは、さまざまな物語を通し心に光と勇気を与えてくれた。それが、アイドルとして授けられた使命だとでも言うように……。
黒い衣装に身を包んだ後半部では、STARMARIEのもう一つの魅力である「悲しいダークファンタジー」な世界観を次々と映し出していた。数多くのダンサーたちを引き連れ5人が示したのは、殺された本田教授が残した謎めいた死のメッセージ。荒ぶる演奏に乗せ「本田教授のダイイングメッセージ」を歌いながら観客たちを闇の舞踏会へ導き出せば、愛し過ぎるが故に狂気へ走る想い。それは誰しもの心の中にあると言わんばかりに、闇に隠した感情を「狂おしき月下の舞踏会」を通してSTARMARIEは曝け出していった。
それがどんな自分でもいい、ロックスターでもしがない会社員でも、今宵のように熱狂の中では誰もが平等な人間になれる。場内に沸き上がった熱へさらに熱を注ぐようにSTARMARIEは「モノマネ師ネロ」を届ければ、「サーカスを殺したのは誰だ」を通し、自分を殺したのは誰だ?!。それは自分自身の心!?と問いかけながら、心の闇へ彼女たちは光を与え続けていた。
中には高森紫乃の「8年間いろんなことがありました。もう駄目だ思ったことも何度もありました。悩んだとき、迷ったとき、自分でも知らない新しい自分に出会います。つらくて逃げ出したくなるときも本当にたくさんあったけど、全部乗り越えてここまで来ました。まるで長い旅をしているみたいです」と語った言葉に続き、互いに側へ寄り添いたいのに寄り添えない──そんな悲しい悲劇を嘆くように「賢者のローブ」を届けてゆく場面も登場。
終盤では、時空の歪みから二つに分かれた地球が、ふたたび一つに。それと同時に、それぞれの世界に居たSTARMARIEも一つになる姿を、「もう一人の自分に出会う」と表現。
本編最後には、異なる二つの世界でアイドルとして夢を与えていたSTARMARIEが一つになった世界で出会い、僕らに夢と勇気を与えてゆく一つの姿として重なりあえば、彼女たちと同じように異なる環境や感情の中で生まれ育とうが分かりあえるというメッセージを、「ステラとスバル 宇宙のラブストーリー」を通し伝えてくれた。
「時空を超えて、世界を超えて、今すぐ会いに行くから」。これまでの物語を総括するように、STARMARIEはアンコールで「タイムマシーン・ラブ」を届けてくれた。「僕と一緒に未来へおいで」。これまで描いた物語はすべて、STARMARIEが仲間たちを未来へ連れてゆくために、共に明日へ進むために用意した一篇の物語だった。どんな大作映画も適わない、創造を巡らせる素敵な物語。STARMARIEのワンマンは、毎回いろんな物語が本棚の中に並べられている。果たして次は、どんな物語を引っ張りだすのか、楽しみだ。
最後に、この日のナレーションを担当した橘田いずみを舞台へ迎え、彼女を加えた6人で、橘田いずみが声優としても出演していた『鬼斬』のテーマ曲「姫は乱気流☆御一行様」をプレゼント。会場中を巻き込んだ熱狂の宴を描き、今宵の物語の幕を閉じていった。
来年2017年のSTARMARIEは、7月4日より最新シングルを発売する。さらに、4月30日に横浜アリーナで開催になるブシロード10周年ライブへの出演が決定した。2017年の彼女たちの動きも、しっかり目を離さずにいて欲しい。
PHOTO: でこい
TEXT:長澤智典
編:BARKS編集部
セットリスト<STARMARIE 2016 LIVE THE FANTASY SHOW 〜姫は乱気流☆御一行様〜>
O.A『君のヒカリ 君のミライ』(相羽あいな)
「Narration.1」(橘田いずみ)
『姫は乱気流☆御一行様』
『プリンセスはコメディアン』
『綺麗なレオナの肖像画』
「Narration.2」(橘田いずみ)
『屋上から見える銀河 君も見た世界』
『余命124日のシンデレラ』
『恋するボーカロイド』
『ぐらんぱぐらんぱ』
『メクルメク勇気!』
『名もなき星のマイホーム』
「Narration.3」(橘田いずみ)
『本田教授のダイイングメッセージ』
『狂おしき月下の舞踏会』
『スペル・オブ・ザ・ブック』
『賢者のローブ』
『三ツ星レストラン・ポールからの招待状』
『モノマネ師ネロ』
『サーカスを殺したのは誰だ』
「Narration.4」(橘田いずみ)
『ホシノテレカ』
『ステラとスバル 宇宙のラブストーリー』
-ENCORE-
『タイムマシーン・ラブ』
『姫は乱気流☆御一行様』
ニューシングル「タイトル未定」
詳細は後日発表
<ブシロード10周年ライブin横浜アリーナ(仮)>
※開場開演時間は変更になる場合がございます。
会場:横浜アリーナ
出演者:ミルキィホームズ、Poppin’Party他
チケット:全席指定/前売10,000円(税込)
◆STARMARIEオフィシャルサイト
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