【インタビュー】SHINPEI (BREAKERZ) 率いるMUSCLE ATTACK、アルバムで「本気で戦って本気で遊ぶ」

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■いちばん凄かったのは曲のカウントの時点で
■スティックが折れちゃったこと

──日本語詞の「ヘラクレスロード」は燃え盛っているアーティスト写真にピッタリの曲ですが、どんな時に生まれたんですか?

SHINPEI:確かにアームレスリングをしている写真がピッタリですね(笑)。この曲はヘラクレスという勇者のイメージや哲学を自分なりに筋トレに結びつけて書いた歌詞なんですよ。筋トレも勉強も仕事も全部、共通するものがあると思ってるんですけど、例えば楽勝でできる課題ばかりやっていてもなかなか前進できないですよね。それと同じで筋トレも毎日できるような簡単なトレーニングだとエクササイズやシェイプアップにならないんです。でも、限界を超えてキツいトレーニングをすると、休んで回復した時には、一皮剥けた強い自分になっている。その変身具合って、困難に立ち向かってそれを乗り越えた先に見える景色に似てるなと思ったんです。そういうことをうまく混ぜて表現できたらなと思って書いた歌詞ですね。

▲3rdアルバム『HERCULES ROAD』

HIDEHIRO:……俺、今、発見したことがあって『HERCULES ROAD』のアルファベットを入れ替えたらODAになる(笑)。

Shunp:ホントだ。もう“HERCULES ODA”(=ヘラクレス オダ)にしか見えなくなってきた(笑)。

SHINPEI:Rはないけどね(笑)。

──くくく(笑)。

SHINPEI:こうやって茶化してますけど、HIDEHIROはタイトルの手助けをしてくれたり、俺が歌詞に煮詰まっていたら、肉まんとプロテイン持ってお見舞いに来てくれるんです(笑)。

──気の利く漢ですね。

HIDEHIRO:歌詞を書く作業はすごく大変ですからね。2ndで1曲、作詞作曲を担当させてもらったんですけど、たった6行書くのに1週間ぐらいかかって、ノイローゼになりかけましたから(笑)。

Shunp:ははは。こうして完成してみると、曲調も含めて1stと2ndで反応が良かったものを中心に作るという方法がある中で、また新鮮なものが出来たから“こんなにもやりたいことがたくさんあるんだ”って思いましたね。ライブハウス以外の場所でも演奏したいような雰囲気の曲が集約されているっていうか。

──野外で聴いてもピッタリのスケール感がありますもんね。

HIDEHIRO:骨太でソリッドなサウンドで男くさいロックが全面に押し出されているから、こっち側はもちろん聴く側も気持ちいいアルバムになったんじゃなかろうかと。

──Shunpさん作曲の「WHO I AM」も痛快なロックだし。

Shunp:これはMUSCLE ATTACKの初期からあった曲で、ライヴを前提に書いたんですよ。実際、お客さんが跳ねてくれたり、わかりやすい仕掛けがある曲なんですけど、まさか今回のアルバムに収録されるとは思ってなかった。歌詞はSHINPEIくんに書いてもらって、彼の苦労を増やしたという(笑)。

SHINPEI:歌詞は表舞台に立つ人の心理をイメージして書いたんです。ミュージシャンに当てはめてもいいし。特別な舞台に立つ時には怖いものなしの自信たっぷりな自分になれるけど、日常に戻ると“自分は何者なんだ?”って混乱してしまうというか。僕の場合は曲作りをしている時とかに“俺、ホントに必要とされているのかな?”とか“いい作品を作れるんだろうか?”って不安になったりするんです。居場所によって気持ちが全く変わってしまうのは不思議だし、面白いなって。そんなことを自分と対話するような感じで書いてみました。Shunpもこんなふうに思う時があるのかなとか。

Shunp:うん。この歌詞の素晴らしいところはハッピーエンドじゃないところなんですよ。現在進行形で進んでいる感じが曲にピッタリやなと。

──臆病な自分もひっくるめて肯定していたりしますしね。今回のアルバムは出会いと別れを歌った曲もあるし、マッスルの内側というか、精神的な部分も伝わってきますよね。

SHINPEI:そうですね。恋愛をテーマにした曲もあるし、歌詞でも振り幅を見せられたなと思います。

──そんなアルバムのレコーディング中の忘れられないエピソードというと?

SHINPEI:(HIDEHIROに)今回、何か壊した?

HIDEHIRO:レコーディング中は壊してないな。

SHINPEI:HIDEHIROは本当にパワフルなのでリハーサル中やレコーディング中にいろいろな部品が壊れるんですよ。中でもいちばんビックリしたのは力みすぎてドラムの椅子の足が折れちゃったっていう(笑)。あと、なぜか彼の場合、ドラムスティックが縦に折れるんですよ(笑)。

HIDEHIRO:スコーンと薪割りみたいに(笑)。いちばん凄かったのは曲のカウントの時点でスティックが折れちゃったことがあって。

Jong:ははは! すごいなぁ。破壊伝説(笑)。

SHINPEI:今回はそういうエピソードはないですけれど、いろいろなカラーの曲がある中、緩急をつけて叩いてくれましたね。「BLUE SKY BLUE」のような柔らかいバラードも含めて。

HIDEHIRO:いい意味で、あらかじめドラムパターンを考えていないので、現場でどんどんクリエイトしていきましたね。

Shunp:僕もギターソロをたくさん弾かせてもらったんですけど、SHINPEIくんのデモにインスパイアされつつ、9割9分アドリブです。

SHINPEI:そうだったね。

──レコーディングでアドリブを弾くことのメリットは?

Shunp:考えて弾く場合もあるんですけど、今回のアルバムの場合、ガチガチにキメこんで弾いたらキレイになりすぎちゃうかなって。僕のギターの役割は曲の汚しなので(笑)。

SHINPEI:確かにいい意味での汚し役。バッキングにしてもそうなんですよ。今回、僕とShunpが同じフレーズを両サイドで弾いている曲が多いんですけど、僕がカッチリ弾いたものをShunpがいい感じでグルーヴさせてくれるんです。

HIDEHIRO:2人のバランスがいいよね。

SHINPEI:リズム録りはドラムとベースが一緒に“せーの”で。ギターはガイドを弾く感じなんですね。

Jong:そうですね。ベースフレーズはところどころ考えてはいたけど、やっぱり、その場でアレンジしたり。全体にベースはシンプルに弾いたんです。そういうプレイがしっくりくる曲が多かったですね。

──ちなみにアルバムの全体像が見えてから、アツすぎるジャケット写真を撮ることにしたんですか?

SHINPEI:まず、俺とHIDEHIROで腕相撲をした筋肉隆々の写真をジャケットにしようというところから始まったんです。JongとShunpの指遊びのほうはオマケというか遊びで撮っちゃおうかっていうノリだったんですけど、パッケージを裏返したらオチになってるっていうのが面白いかもしれないと思って、こっちを裏ジャケットに使いました。で、写真確認をしている時に「これ、このままアーティスト写真にしちゃってもいいんじゃない」って(笑)。本気で戦って本気で遊ぶMUSCLE ATTACKのメッセージが込められています。

──ミュージックビデオは?

SHINPEI:1曲目の「SURVIVE」を選びました。ミディアムテンポのハードロック系の曲は今まで表現していなかったところでもあったので、映像込みで見てもらえたらMUSCLE ATTACKの印象もいい意味で変わっていくかなと。脱いではいないですけど(笑)、スタジオのブースに4人集まって“せーの”でレコーディングしているリアルさを追求した映像になっています。僕が好きなアメリカのバンドのミュージックビデオはスタジオライブが配信されていたり、凝らなくてもカッコいいものはカッコいいと思えるものが多かったので、そういう部分にも触発されましたね。

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