【インタビュー】anderlust、前代未聞の領域を目指す2人のデビューシングル「帰り道」

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■それぞれの楽曲に対してベストなアプローチをしたい。(西塚)
■anderlustは、子供の成長を見ているような感覚があるんです。(越野)


――楽曲はもちろん、歌とベースも大きな聴きどころになっています。「帰り道」のカップリング曲についても話して頂けますか。

越野:「風船 ep.1」は、私が曲作りをするようになった初期の段階にできた曲で、CHARAさんの曲の歌詞を見ていたら曲が降ってきました。当時はヒドゥントラックのために書いたんですけど、今回のシングルのカップリングということになって。歌詞も何度も変わって、今の形になりました。「帰り道」の歌詞も3回変わったんですよね。

――歌詞を書き変えることに抵抗がないんですね。どれだけアレンジが変わっても良いけど、歌詞だけは……という方は意外と多いようですが。

越野:私が曲作りをする時にいつも不安な部分でもあるんですけど、完成がどこなのかが分からなくて。正直、「帰り道」もこれで完成で良いのかという気持ちもまだあるんですね。そういうところで、変えるということに抵抗はないです。

――本当に柔軟ですね。それに、今回のシングルに収録された楽曲は3曲共に光と影を同時に感じさせるもので、そういう“深み”がanderlustの個性になっています。

越野:私は、どんなものでも明るさと暗さを内包していると信じているんです。なので、ただ明るいだけとか、暗いだけという曲は作らない…というか、作れないと思います。「風船 ep.1」も失恋の歌ですけど、暗い曲ではないですね。どこにでもある、他愛のない失恋を描きたいというのがあって、こういう曲にしました。あと、この曲の歌詞にはオチがなくて。実は、この曲を“エピソード1”ということにして、シリーズ化しようかなと思っているんです。なので、この物語の続きも楽しみにしていて欲しいです。

西塚:「風船 ep.1」は、anderlustの中では王道ポップ路線という感じの曲ですね。最初に聴いた時の勝手なイメージで、すごくカラフルな印象を受けたんです。なので、そういうカラフルさを表現できると良いなと思って取り組みました。


――「帰り道」とは一味違ったポップなベースを弾かれていますし、ベースの音色も「帰り道」とは違っていますね。

西塚:「帰り道」はメインにしているFullertoneのジャズベース・タイプですけど、この曲はフェンダーの'71年のジャズベースを使っています。Fullertoneはビンテージ指向のベースだけど今風の音楽にも合うというか、パワー感があるんですね。'71年のジャズベースはパワー感はないけど、下の方をちゃんと支えている感じがあって。「風船 ep.1」は、そういう音のほうが合うなと思って使い分けました。

――「風船 ep.1」は、情景が浮かんでくるリアルな歌詞も含めて、恋した時の浮き立つような気持ちと失恋の悲しさを見事に表現しています。3曲目の「A.I.」は、翳りを帯びた世界観に少しエレクトロ・テイストを盛り込んだナンバー。

越野:これは最近書いた曲で、私のルーツになっている洋楽の影響が結構入っている気がしますね。この曲のメロディーは、多分30分もかからずにできました。デモテープを作った何曲かを提出したら、この子が一番気に入られて、ちょっとビックリしましたね。“30分でできたメロディーなのに?”みたいな(笑)。曲を作ってから小林さんと歌詞について話をしたんですけど、私はちょうどその頃に『A.I.』という映画を観たんです。“A.I.”というのは人工知能のことで、ロボットの男の子を描いた映画なんですけど、すごく良くて。その映画の影響があって人工知能の恋という歌詞になったし、それに合わせてボコーダー・ボイスやアナログシンセも入れました。

――高低差のあるメロディーも、ちょっと未来感を生んでいませんか?

越野:そうなんですよ! この曲のメロディーは、ウェイブをイメージして作ったんです。いろんな波形をグラフ化する機械があるじゃないですか。病院にある人間の心拍を波形で表すヤツとか。ああいう波形をイメージした部分があって、だから『A.I.』を観た時にリンクしたんだと思います。

――音楽は、本当に面白いですね。恋愛ベタで、A.I.なら愛せるかなという気持ちを描きつつ、でもやっぱり人間を愛したいという想いが伝わってくる歌詞も良いですね。

越野:分かってもらえましたか? 嬉しいです(笑)。“人工知能の愛でも、愛は愛なんだよ”ということがベースにありつつ、そういう想いを書きました。

西塚:僕は、この曲はシンセベースを弾きました。僕の中には、それぞれの楽曲に対してベストなアプローチをしたいという気持ちがあって。ベーシストでエレキベースがメインなので、この曲も生のベースを試したけど、一番フィットしたのがシンベだったんです。それで、潔くエレキベースはやめて、シンベを弾くことにしました。

――生ベースとシンベの両方の良さが分かることも強みといえますね。ところで、今回のシングルの3曲は、全曲小林武史さんがアレンジを手掛けたのでしょうか?

越野&西塚:そうです。


――でも、小林さんの名前からイメージする世界にはなっていませんね。

越野:アレンジして頂くにあたって、ここはこういう風にして欲しいですとか、こういう音色にして欲しいですという風に、私が結構注文させてもらったんです。真吾さんのベース・ラインも全部彼が考えましたし。小林さんは、どんな楽曲でも自分の世界に持っていってしまうような人ではなくて、私達の個性を尊重したうえで、より良い形にアレンジしてくれました。なので、今回の3曲は小林さんに大きな力添えをして頂きましたけど、私達2人のこだわりが反映されています。

――強力にプロデュースされたものではなくて、お二人の感性がしっかりと活かされているのはリスナーにとって嬉しいことです。ライブについてもお聞きしたいのですが、anderlustのライブはどういう雰囲気なのでしょう?

越野:ライブもanderlustらしさに溢れています。といっても、“anderlustらしさ”がどういうものかは、皆さん分からないでしょうけど(笑)。開放的であり、かつ自由なライブをしていて、それを今後も継続させていきたいと思っています。あと、ファッションにも、こだわっています。最近は'70sファッションが好きで、ライブの時もそういう服を着ることが多いですね。ヴィジュアル・イメージも大事にしているので、そういうところも楽しんで頂ければと思います。

西塚:僕はベーシストで、なおかつサポートをすることが多かったので、ボーカリストありきという考え方だったんですよ。でも、anderlustではメンバーなので、歌と対等の関係なんですよね。ちゃんとそういう風に見えないと説得力が生まれないので、これからそれを形にしていきたいと思っています。


――ライブも注目ですね。「帰り道」は上質な一作ですし、独自のスタンスを持ったユニットということで、今後の活動が本当に楽しみです。

西塚:がんばります。「帰り道」に関しては、第一作を納得できる形にできて良かったなというのがあって。それに、3曲それぞれ全くタイプが違うので、anderlustの幅広さの片鱗を感じてもらえると思います。でも、本当にこんなものではないというか。これからも自由なスタンスでいろいろな表現をしていくので、期待していて欲しいです。

越野:本当に、私自身anderlustが10年後にどうなっているか、想像がつかないんです。10年後も2人のままかもしれないし、極端な話10人になっているかもしれない。それくらい枠というものを作らず、本当に自由なままでいたくて。なんて言うんだろう……anderlustは、子供の成長を見ているような感覚があるんですよ。進んでいきたい明確な道があって、それに合わせていろんなことを決めているわけではないので、次は何を吸収して、どういう新しい面を出していくのかが分からない。私はそれを楽しみにしているし、皆さんもそれを楽しみながら見届けてくれると良いなと思っています。

取材・文◎村上孝之


Debut Single「帰り道」

2016年3月30日発売
映画『あやしい彼女』主題歌
Produced by小林武史
作詞・作曲:小林武史・越野アンナ

・初回生産限定盤 (SRCL-9013~9014) CD+DVD / \1,500+tax (tax in \1,620)
CD:M1. 帰り道 M2. 風船 ep.1 M3. A.I. 
DVD:「帰り道」MUSIC VIDEO + MUSIC VIDEOメイキング映像

・通常盤 (SRCL-9015)】CD Only / \1,204+tax (tax in\1,300)
CD Only:M1. 帰り道 M2. 風船 ep.1 M3. A.I. M4.帰り道 ~Instrumental~

anderlust ショートムービーコンペティション実施概要

・プロ、アマチュアはといません。
・30秒~5分程度で、後で音楽が乗ることを想定した映像を制作してください。
・優秀作品には、賞金として100万円をお支払いいたします。
 (動画作品としてほぼそのまま採用された場合)
・断片使用や改編も可能であれば、応募フォームのチェックをお願いいたします。
 その場合は使用尺等に応じて賞金が決まることをあらかじめご了承ください。
・映像作品テーマ
 基本的には自由ですが、音楽と相まって
 セツナイ気持ちやインパクトが増すようなテーマを想定してください。
 感動や驚きで人の気持ちを揺さぶり、
 みる人が実際に泣いたり笑ったりできるようなショートフィルムを強く求めています。
・応募方法
 応募フォームに必要事項をご記入の上、ご応募ください。
 応募作品に関しては、ネット上で閲覧できる形でアップロードいただき、
 そのURLをご記載いただく形になります。
・応募期間
 2016年2月24日(水)~ 2016年5月31日(火)まで

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http://www.anderlust.jp/competition/
※第3のメンバーも同時募集!

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