【インタビュー】堂珍嘉邦、ニューアルバムは「1回自分自身に誓いをたてて次に進めたらいいなと思った。次はどうなるかわからないですけど」
■続けることが一番大事だけどそれが一番大変なことかもしれない
■続けて行ったあとに道が出来てくると思うし周りも変わって来ると思う
──「evregrey」は、とてもきれいなメロディの、柔らかなロックバラード。
堂珍:ここまでメロディが和テイストになるとは自分でも思っていなかったんだけど、自分にとっても(共作者の)Aliにとっても、二人でやることの新境地でしたね。ロックバラードを作ろうと始めたんだけど、そんなに簡単に作れるものでもなくて…。“何か物足りないね”と言ってたんですけど、転調することで次第に曲の流れが見えてきて。この曲は言葉も大事で、部屋でギターを鳴らしながら曲を作っている時に、外の雨の音がザーッと聴こえてきて、パッと見たらモノクロの世界に見えた。そういうイメージです。「evregrey」は造語です。“evergreen”という言葉がありますよね。それはキラキラしてるとか、幸せとか、良いものの象徴なので、それの逆を行ってみようかと。
──ああ。アンニュイな感じで。
堂珍:自分としては「evregrey」という言葉だけですごくロマンチックなんですよね。白でもなく黒でもなく、グレーな気持ちの自分がいて、過去を振り返った時、そのすべてを愛しているという、大人の歌ですね。優しく揉みほぐして、体の力が抜けていくような感じの曲です。
──そして5曲目の「Reflexion」。これはいいですね。堂珍バンドでおなじみの堀向彦輝さんの作曲ですけど、どことなく北欧感漂うメランコリックなサウンドが絶品です。
堂珍:堀向くんは、北欧感が超得意なんですよ。「It's a new day」の時もそうだったんですけど、彼とは北欧感でつながってるんで。
──あの曲もそうでした。
堂珍:これは自分のふるさとのイメージがパッと出て来ました。振り返った時、田舎の景色のいい場所で友達と遊んでいるところから“夢を持ってスタートしていた自分がいたよな”と。それはすごく漠然とした夢で、今思うと薄っぺらいものだったんだけど、でもピュアだったよなと思っていて。それから少し大人になって、夢を叶えながら進んできたんだけど、いろんな障害や痛みを感じることもあって。大人になるというのはそういうことだと思うんですけど、それを知った上で笑いながら前に進もう、そんな歌ですね。
──英詞で「僕は先を急ぐ/君は反対側へ行く」という意味の、最後の二行がすごくドラマチックに響きました。
堂珍:タイミングのすれ違いというドラマ感があって、“もしタイミングがよかったら一緒にいたかもしれないな”とか。そういう思いはずっと取っておきたいので。ちょっと甘くてせつなくて、でも“俺は前に行くよ”という決意もあって、「Reflexion」はそういった意味では、自分を絡めたストーリーになってると思います。
──全体をくくる『VOWS』(誓い)というタイトルはどこから?
堂珍:今回のアルバムは、『義風堂々!!』からきっかけをもらって、せっかくなので5曲入りにしようと盛り上がって出来た作品なんです。これまでは勢いで突っ走って来て、反骨心で着火してやってきたのが、今度は自分の内面の本質的なところを燃やしていきたいという気持ちになったんですよ。「Halo」「You&I」は男の友情の“誓い”。「Time to fly」の“今が飛ぶ時だ”というのは自分自身への“誓い”。「evregrey」は大切な人との“誓い”。「Reflexion」は過去の自分と未来の自分を照らし合わせた“誓い”。それぞれの曲が“誓い”をたてているので、タイトルは『VOWS』だと。
──ああ、そうか。誓いのアルバム。
堂珍:ここで1回自分自身に誓いをたてて、次に進めたらいいなと思ったんで。次はどうなるかわからないですけど。
──ある意味、堂珍さん、ターニングポイントにいるんじゃないですか。次にどこへ進むか。
堂珍:結局、続けていったら何か形になると思うんですよ。たとえば最初だけバーンとテレビに出て、いなくなる人もいれば、テレビなんかには少ししか出ていないけど、地道に活動を続けてその道の大御所になっている人とか。自分は最初はバーンと行ったかもしれないけど、まだ生き残ってるし、続けて行くことで何か形になっていく、そこが楽しみかなと思っています。最近思うのは、これからの人生のほうが長いので、続けることが一番大事だということですね。それが一番大変なことかもしれないけど、続けて行ったあとに道が出来てくると思うし、周りも変わって来ると思うので。自分の人生のピークを決めたくないんですよ。
──それ、すごくいいフレーズです。
堂珍:決めたくないし、人に決められたくもない。
──つい最近もミュージカル『RENT』に出ていて、でもミュージシャンにとって俳優業って、うっかりすると余技みたいに見られることもあるじゃないですか。良く思わない人もいるかもしれないけど、そんなの関係ないじゃんって言える強さが堂珍さんにはあると思っていて。
堂珍:関係ないじゃんって言える自分を、ちゃんと作れればいいと思うんですよ。結局誰と戦うというと、自分と戦うわけで、人生とは自問自答してるようなもんだから。ソロになった時は、歌手、ミュージシャン、バンドマン、シンガーソングライターとか、いろんな肩書きがあって、“歌手の堂珍さんですよね”とか言われると、プチッと来てたんですよ。“歌手って言うなよ”とか思って。
──それはなぜ?
堂珍:歌しか歌えないと思わないでよ、という気持ちがあったから。でも今は別に何でもいいやと思ってる。ぐちゃぐちゃにはしたくないですが、“いいな”と思うことしかやらないというか、楽しいことだけやろうという感じでやれているんで。今はすごく内容の濃い時間を過ごせてるのかなと思いますね。
取材・文●宮本英夫
ニューアルバム『VOWS』
KIZC-337~8/¥2176+税
CD
M1「Halo」
M2「You&I」
M3「Time to fly」
M4「evergrey」
M5「Reflexion」
全5曲収録
DVD
M1「Halo」Music Video
M2「Halo」Music Video(義風堂々!!ver.)
M3「You&I」Music Video
M4「You&I」Music Video(義風堂々!!ver.)
ライブ・イベント情報
日時:2015年10月21日(水)18:30~
内容:ミニライブ(観覧フリー)&ハイタッチ会
会場:ラゾーナ川崎プラザ 2Fルーファ広場 グランドステージ
日時:2015年10月24(土)14:00~
内容:直筆サイン入りイベントオリジナルポスターお渡し会
会場:SHIBUYA TSUTAYA
日時:2015年11月28日(土)15:00~
内容:ハイタッチ会
会場:HMV栄
日時:2015年11月28日(土)19:00~
内容:ハイタッチ会
会場:タワーレコード難波店5Fイベントスペース
日時:2015年11月29(日)13:00~
内容:ミニライブ&ハイタッチ会(応募抽選)
会場:TOWER RECORDS渋谷店 B1 「CUTUP STUDIO」
※参加方法等の詳細はアーティストHPに記載。
<豊洲野音CARNIVAL ~InterFM897 開局記念~>
日程:2015年10月31日(土)11月1日(日)
会場:豊洲野外音楽広場
オフィシャルウェブサイト
http://toyosuyaon.tokyo
▼出演アーティスト
10月31日:THE King ALL STARS、LOVE PSYCHEDELICO、七尾旅人、Johnsons、佐藤タイジ×堂珍嘉邦、Motorcar、GOCOO
11月1日:佐野元春 and The Hobo King Band、藤井フミヤ、Polaris、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND、bird、Dachambo
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