【インタビュー】堂珍嘉邦、ニューアルバムは「1回自分自身に誓いをたてて次に進めたらいいなと思った。次はどうなるかわからないですけど」
堂珍嘉邦の持つロック・スピリットと、原哲夫・原作漫画『義風堂々!!』の持つ男気とががっちり手を組んだ、熱いコラボレーションが実現した。2015年『義風堂々!!』公式応援ソングと銘打った2曲「Halo」「You&I」を筆頭に、ハードなロック色の濃いナンバーから、美しすぎるメロディの耽美なロックバラードまで、魂揺さぶる全5曲。『VOWS』(誓い)というタイトルに込めた思い、そしてアーティストとしての現在位置について、堂珍嘉邦、大いに語る。
◆堂珍嘉邦~画像&映像~
■2枚目のアルバムまではとにかく突っ走ってやってきた
■でも“今までと同じ着火剤だと着火しねぇぞ”と思って
──いやー、アガりました。いろんな意味で熱い作品で。
堂珍嘉邦(以下、堂珍):ありがとうございます。
──アタマの2曲でガツン!と行って、3,4,5曲目では……。
堂珍:ちょっとほっこりして。
──そうそう。従来の耽美エントロックを極めた感じで、バラードなのにエモーショナル。5曲なのに大満足です。そもそものきっかけは、『義風堂々!!』とのコラボからですか。
堂珍:そうですね。2枚アルバムを出したあと、3枚目はどうしようかな?と思いつつ、(宮本)亜門さんのミュージカルに出たりしていて、けっこう間があいてしまって。その時に『義風堂々!!』サイドから“応援ソングを作ってほしい”というお話をいただいて。アルバムの2曲目に入ってる「You&I」がすでに用意されていて、“これに作詞して歌ってほしい”ということだったんです。
──はい。なるほど。
堂珍:“2曲やってほしい”ということだったので、じゃあもう1曲は僕サイドでやりますと。自由にやってもいいとのことだったので、いろいろ考えて、出来上がったのが1曲目の「Halo」です。思い返すと、2枚目のアルバムまでは、それまでの反動もあったし、ソロとして新しくスタートしたいという思いもあったんで、とにかく突っ走ってやってきて。そこで着火剤にしていたのが、ロック魂みたいなものだったんだけど、2枚アルバムを出して2回ツアーをやったあとに、“今までと同じ着火剤だと、着火しねぇぞ”と思ったんです。そこで自分と向き合うことが必要だと感じ、3枚目についてはけっこう悩んでいました。そんな時に『義風堂々!!』の話をいただいて、トライしてみようかなという気持ちになったんですよね。
──ハートに火をつける着火剤が、『義風堂々!!』だったという。
堂珍:うん。ソロを始めた頃は、ナニクソという反骨心があったんだけど、それだけじゃ続けられないと思うし、人としてどこを燃やすんだ?というところで、やっぱり自分と向き合わなきゃいけないなと。勢いで2枚までは出来たんだけど、ここからが勝負だぜという気持ちはありました。そこでサポートしてくれるバンドメンバーに『義風堂々!!』の話を伝えて、制作に取りかかりました。
──あはは。やったろうかと。
堂珍:それで「Halo」は全部英詞にしたんですけど、いけるとは思っていなかったんですよ。もしも“日本語にしてくれ”って、原先生(原作・原哲夫)から言われたらどうしようかなって思ったんですけど(笑)。そのまま通ってよかった。そもそも原先生だから今回の話も受けさせてもらったし、『北斗の拳』は自分が小さい頃のバイブル的な作品だったんで。大袈裟じゃなくて、原先生の作品から教わったものはすごく多いんですよ。男気、友情、愛とか。最近のアニメを見てもあまりピンとこないのは、子供の頃に見て、道徳を学べるような作品が少ないからだと思ってるんですけど、僕にとって『北斗の拳』はまさにそれだったので。主題歌(子供ばんど、TOM CAT)もすごく好きだったし、“やっぱりいい作品にはいい曲がないとな”と思って、自分がどこまで出来るかわからないけど、新しいイメージでやってみようと。
──はい。
堂珍:原先生の作品としては、『花の慶次』から『義風堂々!!』に続く流れなんですけど、『花の慶次』の主題歌は角田(信朗)さんが歌う男っぽい歌が多くて、それは僕も大好きなんだけど、今回は前田慶次じゃなくて直江兼続が主人公だから、性格が違うんですよね。同じ傾奇者でも、彼はクールなタイプだし。僕がソロで新しくやっていることが、うまくリンクできたんじゃないかと思っています。
──「You&I」は、作詞は堂珍さんが担当ですね。
堂珍:曲は僕のカラーとは違うけれど、どれだけ自分の世界に持って行けるか。レコーディングで音作りやフレーズについても一緒に取り組ませてもらいました。作曲した木村(隼人)くんや、レコーディング・メンバーともちゃんとコミュニケーションを取って。みんなが音楽への愛を持って、いいものにしようと頑張ってくれたし、とてもいいセッションでした。
──それがあるから、「Halo」では堂珍バンドの色を思い切り出せた。
堂珍:そう。「Halo」はオルタナで、疾走感があって。英詞だけど、ちゃんと義風のテーマに沿って歌詞も書きました。傾奇者である主人公が思う男気、人の道とか、最初に思ったことを貫き通す気持ちの大切さとか、人を裏切ったり、安っぽい理想を持つのはダメだとか……「Halo」は光輪という意味なんですけど、そういう気持ちを持たないと光輪を持つような英雄にはなれないぜ、と。ちょっと、裏側からえぐっている感じですね。
──ああ、「You&I」が表だとすると、「Halo」は裏。
堂珍:そうです。いい意味で皮肉ってるというか、違う角度から描いている感じです。
──順番で言うと、「You&I」があって、「Halo」があって……。
堂珍:残りの3曲を、トントントーンとやった感じですね。
──3曲ともバンドのメンバーと一緒に作った曲ですけど、まず「Time to fly」は?
堂珍:一緒にライブをやっている仲間として、足りないピースを埋めようという発想から曲作りに入りました。エレクトロの要素をちょっとだけ付けましたが、基本的にはみんなが気持ちをぶつけれるようなサウンド作りにしたいというのと、あとはイントロの世界観が自分が好きな感じなので、そこにトライしてみたかった。過去の自分の作品の中で「She knows why」という曲があるんですけど、それと同じでアコギをかき鳴らす事をイメージして作った曲ですね。歌詞は、サビのメロディを考えてる時に「Time to fly」という言葉が出てきたから、そこから広げて行きました。僕は常に、過去にとらわれず新しく進んで行きたいと考えているので、“今が飛ぶ時だ”という、わかりやすい歌詞にしたつもりです。ミドルテンポの曲だけど、ライブではもうちょっと速くして、お客さんが盛り上がる曲になればいいなと思っています。
──そんな感じですね。
堂珍:甘い言葉もあって。“信じてみて”とか、自分っぽいのかなと思ったりするし。自分らしさをちゃんと認識した世界観が出来ていると思います。
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