【ライブレポート】Chanty、ワンマンツアー開幕で「付け合せじゃなく、僕たちだけを主役に」

Chantyが5月17日（日）、＜あら雨かしら？相合傘の中へようこそワンマンツアー＞初日となる「～野中拓生誕祭～」を池袋EDGEにて開催した。

◆Chanty 画像

同ツアーは1stフルアルバム『Chantyの世界へようこそ』を引っ提げて行われるもの。バンド初の全9ヶ所11公演の全国ワンマンツアーとなる。本人たちをして“無謀”と語るワンマンツアーではあるが、池袋EDGEは超満員の大盛況となった。

会場に、いつもとは違うSEとともに、少し緊張した面持ちで登場したメンバー。ツアーのオープニングともなる第1曲目を飾ったのは「奏色」だ。同曲は現在、ライブでしか聴くことの出来ない貴重なナンバーだが、同ツアーのファイナル新宿ReNYにて入場者全員に音源が無料配布されるという嬉しいニュースが先ごろ発表されたばかりということもあり、会場の盛り上がりは一層のものとなった。「おとなりさん」「フライト」とアップテンポな2曲が続き、メンバーとフロアにエンジンがかかっていく。

この日のライブはサブタイトルにもあるように、ベーシスト野中拓の誕生日。ボーカルの芥が「誕生日の人に向かって!!」と声を上げると、会場からは野中を祝うように力強く「おい！　おい！」と声が返ってきた。

「今日はいつもよりちょっぴり長い時間お付き合いいただきますけど、こんなに集まってくれて嬉しいです」──芥

こう告げ始まったのは「とある星空の下」だ。千歳とshia.の奏でるギターが溶け合うような感覚に浸っていたところに、芥が突然「Happy Birthday 野中拓……」と歌詞を変えて歌い出した。驚いた表情の拓に会場中からは声援も笑い声も上がっていたが、そこへケーキが登場、バースデーサプライズが催された。「目立つことが苦手で祝われることに慣れてない」と語った拓だが、照れた様子でファンとメンバーに「ありがとう。EDGEでちゃんとワンマンするのが2回目、自分の生誕祭を行うのも2回目だけど、ワンマンツアーとしては1回目。だからワンマンツアーも2回目を迎えられるようにしたいです」と、メンバーへの感謝と、これからの意気込みを伝えた。そして仕切りなおして演奏された「とある星空の下」は、バラードながら力強い演奏と歌声が直接響いて心地よい。

この後も、「ダイアリー」「monorium」と繊細な楽曲を披露し、バンドコンセプトにもある“突き刺す音楽”をしっかりと見せ付けていく。かと思えば、ガラッと表情を一変させ、「にゃこは好きかー!?」と芥。「なんと、ノリで作ったこの曲がついにCDに入りました！」と、猫のポーズで左右に揺れるはお馴染み「にゃこのテーマ」だ。にゃーにゃー騒ぐと、「そのまま走っていこうぜ!!」と青空を駆け抜けるような疾走感のたまらない「C」へ。

「ワンマンツアーをやるなんていうのは、このメンバーで野中君以外は初めてですよ。バンドを結構長くやってきて、やっと叶えた夢のひとつです。無謀だとは思うんだけどさ、めっちゃくちゃ楽しみで。ツアー初日、今日この日をみんなと過ごせることが本当に嬉しいです。ありがとう。多分ここにいるみんな、他に好きなバンドもいると思うけど、このツアーを回ってるときだけでもいい、この会場にいるときだけでもいいので、僕たちだけのことを思って。付け合せじゃなく僕たちだけを“主役”にしてください」──芥

というMCから始まったのは「パセリ」。ジャズテイストのナンバーながらパセリについて歌ったこの曲は、Chantyらしい遊び心に溢れ、彼らの新しい一面の見える1曲になっている。「ひどいかお」で彼らのダークな部分が炸裂した後は、この日が初披露となった「ひどいかお 2」。ポップな楽曲にもかかわらず、芥がイントロで会場に要望したのはウォールオブデスだ。「相当なひどいかおを俺たちに見せてください！」と煽ると、初めてとは思えないほどの一体感と楽しそうなオーディエンスの表情を見ることができた。

後半戦は「真相」で客席に拳ヘドバンに折りたたみと熱狂の光景が生まれ、立て続けにアグレッシブなナンバー「衝動的少女」も披露。ドラマー成人のお祭囃子に胸が踊るのは、お祭り騒ぎの定番曲「やんなっちゃう」だ。「野中生誕祭」ということで野中がフロアに降り、巻き起こる連続のウォールオブデスでもみくちゃにされる場面も。やっとのことでステージに戻ってきた野中は、「俺じゃなかったら死んでたで……」とフロアのパワーの凄まじさを語りながらも、その表情はどこか嬉しそうだった。

そしてMCでは、2周年記念として2015年も9月16日にTSUTAYA O-WESTでワンマンライブが開催されることが発表となった。芥は「どんなにお客さんが少なくなって一人になっても、どんなに大きくなってホールクラスになっても、周年はO-WESTでやるって決めました」と、バンドにとって大きな節目となるワンマンに対する熱い思いを語った。「ありったけの気持ちを込めて歌います」と本編ラストを飾ったのは「赤い糸」。彼らのファンを想うあたたかい気持ちが、音を通じて素直に届いてきたのがとても印象的だった。

しかしこれだけでは終わらない。「まだやれる人！」と芥が叫んだかと思えば、ライブではもはやお馴染みの「アンパンマン体操」で大騒ぎ。ヘドバンに逆ダイにジャンプにモッシュにと思い残すことはないほどの熱狂っぷりを見せ、そのままインスト曲の「お粗末」へ。音とともにありったけの感情をぶちまけてメンバーはステージを後にした。公演終了のアナウンスが響いても場内にはアンコールが止まない。初のワンマンツアー初日が大盛況のうちに幕を閉じた。

＜あら雨かしら？相合傘の中へようこそワンマンツアー＞残り9箇所10公演となったが、このツアーは彼らを一回りも二回りも大きくさせることだろう。






◆Chanty オフィシャルサイト