【インタビュー】SoundWitch、理想を体現した超強力盤『Romanesque』を引っ提げて全国転戦中
ミュージシャンの間でも評価の高い、大阪を拠点に活動するSoundWitchが、去る3月に約3年半ぶりとなる3rdアルバム『Romanesque』をリリースした。大局的な音楽性はヘヴィ・ロックと言われるものだが、ゴシック、インダストリアル、エレクトロ等々、構成要素は多岐に渡る。確かなプレイアビリティはもちろんのこと、重要な個性として見逃せないのが、いずれの楽曲もキャッチーに響かせる巧みな手腕だ。説得力のあるライヴ・パフォーマンスも魅力であり、特に現在のラインナップとなってからのステージは、圧倒的な存在感がある。全国を精力的に転戦する中、メンバー全員に話を訊いた。
■メンバー・チェンジが導いた
■理想のSoundWitch像への新たなスタート
▲『Romanesque』 |
▲Twin |
▲Dragon |
▲Matsubai |
▲Maiden |
▲Shark |
Twin:まず、『GROTESCA』をリリースした後の流れとしては、それまでのように大阪、名古屋、東京と単発でライヴをやるのではなく、SoundWitchとしては初めて全国ツアーとして廻ったんですね。そんな活動を続けていくうちに、2011年3月に(長らく不在だったベーシストに)Matsubaiが加入して、<KISS ME KILL ME TOUR>では台湾やアメリカにも呼んでいただいて。その後、メンバー・チェンジをして2012年6月にMaidenが加入するんですが、私たち的には、メンバー・チェンジはあくまでもプラスの作用であるということを……自分たちは確信していたけれども、リスナーのみなさんにも納得してもらいたいと思って、それまでの二つの作品と新曲を引っ提げて、とにかくツアーを廻ったんです。Matsubaiが加入したときもそうだったんですが、うちはメンバーが加入するとすぐにツアーに廻るというクセがあるみたいですね(笑)。そういう流れなんですが、Maidenが加入してからの<GHOST OF GROTESCA SHOW>が結構な長いツアーになりまして……1年半くらいかな?
――その時期のSoundWitchと言えば、とにかく精力的にツアーをやっているなぁという印象を誰しも抱く活動でしたよね。
Twin:そうですね。そこにきて、SoundWitchがライヴ・バンドであることを自分たちで見直したかったというのもあったんです。それと同時に、今までよりも聴いてくれる人が確実に増えていたので、新たな武器を持ったSoundWitchのライヴに対しても、今までとはまた違ったフィードバックも出てくる。それを受けて、新曲を作りながらツアーをしたんですね。もちろん、そのツアー中にお披露目することもあったんですけど。そのツアーを終えた段階で、満を持して今回のアルバムのレコーディングに入り、2014年の3月に無事にリリースという形になりました。
――Matsubaiくんは加入以前、SoundWitchはどんなバンドだと思っていました?
Matsubai:新しくもありつつ、懐かしい感じの……一言でいうなら、聴きやすい。音楽的要素とかそれ以前に、ヴォーカルがヒョンと耳に入ってくる感じがすごくいいなぁと思ってたんですけど、DragonからSoundWitchに誘われたときに、『GROTESCA』も頭からしっかり聴いたんですね。すごくヴァラエティに富んでいて、いい意味で流行りにとらわれない。いいバンドだって普通に思いました。
――加入を決めた、最大のポイントは何でした?
Matsubai:初めてライヴを観たのが、HEAD PHONES PRESIDENTが大阪でワンマンをやったときなんですけど、SoundWitchがオープニング・アクトだったんですね。そのときに聞こえてきた音と目にしたステージで、もう自分がどう表現したらいいか、そういった像が全部見えたんですよ。
Twin:そうやったんか。初耳や(笑)。
――DragonくんはなぜMatsubaiくんに声をかけたんですか?
Dragon:もともとバンド友達で、実は何度か遊びバンドで一緒にステージに上がったこともあったんですよ。そのときからすごくカッコいいベーシストだなと思っていて、いつか機会あれば、一緒にやりたいという気持ちがありまして。
――“遊びバンド”というのは、何かのカヴァーを演奏したんですか?
Matsubai:いや、2~3日で作ったような曲を誰かのバースデイ・イベントでやるような(笑)。
Dragon:そういう適当なノリのバンドだったんですよ。すごいむちゃくちゃやったけどな(笑)。でも、ライヴをした映像を改めてみても、やっぱりカッコよかったんです。だから、次に新しいベーシストとやるとしたらコイツしかいないと思っていたので、もう真っ先にMatsubaiくんに声をかけました。
Matsubai:声をかけられた日は、今、レーベル・メイトの六合と、僕がその当時やってたバンドが対バンやったんですよ。Dragonがそれを観に来てて。
Maiden:ちょうどその前のバンドも活動が止まるっていうタイミングのときやねんな。
Dragon:Matsubaiと会うのは結構久しぶりだったんですけど、先に近況報告みたいなことをしてたら、「実は(バンドが解散する)」っていう話が出てきたんで、これはチャンスだと思って(笑)。
――MaidenくんとSoundWitchにはどういったつながりがあったんですか?
Maiden:もともと、Matsubaiと僕はセッション・バンドで3回ぐらい一緒にステージをやったこともあったんですよ。知り合ったときに、多分、お互い、外見でコイツは近いやろうなって感じたと思うんですけど(笑)、好きなバンドも似てたり、そんな中で、ちょっとセッションでもやるかっていう話になって……DOPEとか、SLIPKNOTとかをやったっけ? 僕はこういう感じなんで(笑)、自分がやってたバンドでは、ステージで同じぐらい目立ってくれるメンバーがいないというのが、けっこう悩みだったりしたんですね。だけど、Matsubaiと一緒にやったときに、コイツはなかなかやりよるなって。SoundWitchに関しては、Matsubaiが入るときに、彼から音源も聴かせてもらってたんです。その1年後ぐらいだよね? 僕は前のバンドでSoundWitchと京都で対バンしたんです。そこで初めてメンバーと会って……中華を食いに行って(笑)。
Twin:そうそう、すごい大きなフェスに出たんですけど、打ち上げがなくて、一緒に大阪に戻ることになったんです。そして2バンド合同で、めっちゃ安い中華でたらふく食べるという(笑)。かねてよりMatsubaiくんから、機材にすごく詳しいMaidenくんって人がいるって話は聞いてたんです。
Matsubai:サンプラー系以外にも弦楽器もできますし、彼が前にやってたバンドではヴォーカルが本職やったんですよ。レコーディング環境もすごい詳しいから、音楽人としても何でも相談できたり。それに衣装も全部自分で手作りやったりするんで、何かと助けてもらったりしてたんですよね。
Twin:機材に詳しい便利屋っていう通名を持ってるって噂を聞いていました(笑)。
Maiden:そういう経緯もあったんで、Matsubaiとは、どういう形にせよ、何かのタイミングで一緒にできたら面白いなっていうのはあったんです。
Matsubai:そこでSoundWitchからギタリストが抜けるというタイミングで、パッとひらめいて(笑)。
Twin:そうだ、Maidenくんを入れようってことになって(笑)。だから(前任者の)脱退と同時に、すぐに加入してもらって。
Matsubai:だから、Maidenが加入したときのライヴでは、(前任者を含めた)6人でステージに立ったんですよ。
――ドラマティックなライヴだったわけですね。
Twin:でも、そういったライヴにもかかわらず、MCもなく、ぶっ続けでステージをやって、「じゃあ、ツアーに行くぞ!」っていう感じやったね。
Maiden:そうやね。SoundWitchについては、僕自身、打ち込みとかも結構やってたんで、そこに耳が行くわけですよ。それ自体、すごく面白いことをしてるなぁとも思ったし、根本となるバンドとしてのサウンドもしっかりしてる。ステージの評判は聞いてたんで、これは面白いバンドなんじゃないかなって思ってたんです。アルバムも2回目、3回目と聴けば聴くほど耳に残るし、新しい発見があるんですよね。
Twin:それも初耳や(笑)。前から「何でもできる凄いヤツ」という話は聞いてましたけど、対バンしたときにすごくカッコよかったんです。インパクトもあるし、華やかやし。その打ち上げのときに話をしてみたら、すごく理論的で、音楽に対して、きっと自分たちと同じようなところを向いている人間であろうということもよくわかったんです。だから、Matsubaiが「Maidenくんを加入させたいんや」と言ったときには、満場一致で「じゃあぜひ連れてきて!」と。
――Dragonくんは同じギタリストの立場ですよね。
Dragon:そうなんですけど、僕は以前から彼の存在は知っていて、そのときのパートはベーシストだったんですよ。
Maiden:そうやったな(笑)。
Dragon:だからベーシストやと思ってたんですけど、だんだんいろんなパートが出てきて、コイツは何なんだと(笑)。いずれにしても、SoundWitchに入れば絶対に凄いことが起こるだろうと思ってましたけど、実際、すごくプラスになってると思うんですね。
――そうですね。バンドの目指すものという意味で、音源とライヴがより強固に結びついた印象が今のSoundWitchにあるんですよ。
Twin:それはすごく嬉しいですね。というのは、Maidenが加入する辺りから、私たちもそうしていきたい思いがすごく強くなっていて、以前に比べると、ステージングも1からみんなで構築することに時間を多く割くようになり始めたんです。どう表現したいのか、どう聴いてもらいたいのか、どう聴いてくれるのか、すごく熟考して。だから、毎回、違うメニューでライヴをするようになったんですよ。そういった作業も関係しているかもしれないなぁって。
Maiden:加入してからのツアーって初めてやから、SoundWitchってこういう廻り方なんやって思ってたけど、いま冷静に考えたら、あの時点からネクスト・レベルへのブラッシュ・アップ的なツアーよな?
Twin:そうやねん。その辺りからやり始めてん(笑)。Maidenが入ったこと自体、内々の精神的な面への影響もあって、それと同時にSoundWitchもそういうことに照準をすごく絞るようになったんです。
――今の話を聞いていると、Maidenくんも当初から自然にバンドに溶け込んでいたことが窺えますね。
Maiden:違和感はなさすぎたよな(笑)。
Twin:ツアーを始めて1週間後ぐらいから、一番長くおるメンバーみたいな顔になってたし、お客さんからもそんなことを言われてたな(笑)。
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