【インタビュー】sukekiyo、1stアルバム『IMMORTALIS』を最深部まで紐解くメンバー5人の超ロングインタビュー

ポスト

■ジャンルとか時代とか関係なくとにかくいいものを作りたいというのがあって
■個々のメンバーの人間性とか作曲能力とか変態具合とかもパッケージできた(京)


――その、肝心のアルバムのことを聞かせてください。まずは個々に、現状での手応えといったものを。

未架:もし次のアルバムとかを作るのであればまた全然違うんだろうな、という感覚ですね。早くもそんな感じです。これはあくまで、この時期の自分のなかでのクリエイティヴ的な意味でのブームが入っているというか。自分のなかではそんな印象ですね。自分のなかでもっと向上を求めたくなったというか、やっていく途中でどんどん目覚めていくのが自分でわかったんですよ。ただ、聴いてみるとホントにいろんな要素が入っているんですけど、なかなかそれについて一言で言うのが難しい。セッションしているようでありながらすごく構築されているものというか。なんかそういう印象でもあるし。

――制作期間の自分の記録であり、そこでみんなと交わったときの記録。しかもそれが最終形ではないという感覚なんですね?

未架:そうですね。同時にこのアルバムは、京さんのいろんな面を知ることができるという意味でも個人的にはワクワクとした気持ちで聴くことができて。

UTA:俺も一言で言うのは難しいですね。ある意味、自分のなかでは終わっていて。もう、感覚的には次の作品に向けて調整が始まってるようなところがあるんで。もちろんこの時点での最高のものを作ったつもりだし、すごい作品だと自信を持ってるんですけど、やっぱりその時点での記録でしかないというか。

――たとえば誰かに「sukekiyoで弾いてるんだって? どういう音楽やってるの?」と尋ねられたら、どう答えます?

UTA:多分、「2~3日ぐらい連続で聴いてみないとわかんないよ」とか言うんじゃないかと思いますね。1日通して聴いてもわからないと思うんで。正直、まだ適確な言葉は自分でもわからない感じですね。苦手なんです、実は昔からそういうの。ただ、さっきも言ったように、その時点でのベストな記録は残せてるんだけど、そこにもう今の自分はいないというか……。だからある意味、次がもう怖いですね。これ以上のものを作らなきゃいけないんだなというのがあるから。

YUCHI:そうですね。僕の場合、結構ポケーッとしてるんで(笑)、なんつーか、感触的には「あ、もうできたんだ!」みたいな感覚でもあるんです。これまで自分のバンドでやってきて、ホントにアルバム1枚作るのがすごく大変なことが多くて。時間もかかりましたし、体力も精神力も費やしてきましたし……。終わりが見えないような感じがあったんですね。でもこのアルバムは人生のなかで初めてぐらい、「あ、もうできちゃったんだ?」という感触がありますね。

――もちろん労力を必要としなかったわけではないんでしょうが。

YUCHI:ええ。でも楽しみながらできたというのがすごくあって。苦しんだ記憶というのが僕にはないですね。あと、これは実際、京さんと匠さんに最初に曲を聴かせてもらったときから持ってる感覚でもあるんですけど、実際アルバムができてみて、時代感がない感じだなと思ったんです。21世紀のアルバムとか2014年の音というよりは、このアルバムでしかないという感じ。BEATLESでもPINK FLOYDでもいいんですけど、その時代にしかできなかった録音方法とか技術とか背景とか、そういうものが少なからずあるはずなのに、今でも聴けるし、古いとかそういう概念に結びつかないものってあるじゃないですか。それと同じように、時代的に特定されないものになってると思うんです。当然、時代によって流行りの音楽とかトレンドとかもあるわけで、「ああ、この曲には当時の流行が出てるよね」みたいな作品って少なくないと思うんですけど、このアルバムはそういうものじゃない感じがして。僕、結構偏ってるというか、一度何かを好きになるとずっとそれを何年も聴くようなタイプなんですけど、なんかそういうアルバムを自分で作れたなというか。そういう感覚がありますね。

匠:僕の場合、時間軸の関係もあって「おっ、ついに完成したんだ!」という気持ちは当然強いんです。できたこと自体が信じられない、みたいな。最初の構想の段階からすると、時間が長かったというのもあるんで。しかも結果、そこにやっぱり色濃く自分の血が入ってたりすることにも気付かされたり。もちろんこれがあったうえでの次の構想というのもあるんですけど、今は当然ライヴも控えてるし、これからこのアルバムをどう演奏表現していくかが重要になってくるというか。実際、まだみんなで合わせてない曲というのもあるんですよね。同時に、『IMMORTALIS』というタイトルの通り“不死”というか、永遠に残るものを作れたなと思っていて。YUCHI君も言ってましたけど、僕もトレンドとか流行りってものに関してはほぼ興味がないんですよ。自分のなかで毎日聴きたいって思えるのって、それこそバッハ、モーツァルトとか、そういうものばっかりで(笑)。200年、300年経っているのに全然色褪せないし、今でも朝起きて一番に聴きたいと思えるのってそういうものだし。この音楽はそういうものになり得るはずだと思っていますし、実際作れたはずだって信じているので。だからもう、今が2014年だからどうのというのは一切なくて。

――時代性を問わないものができたという話をするときに、300年前の話まで持ち出す人はめずらしいと思いますよ!

YUCHI:はははは!

匠:でも実際そうなんですもん(笑)。ただ、もちろんこの時代なりの技術なんかは最大限に駆使してますけどね。Pro-Toolsのセッションごとでやり取りすることとか。でも心のなかにあるのは相変わらずそういうものだったりするんですよね。

――そういう意味では自分にとってのクラシックができたということでもあるんですね?

匠:ええ。もう永遠のものですね。これはこれで、終わったとかじゃなくて、永遠に変わらないというか。いつまで経っても変わらないものだと思っているんで。

――京さん、皆さんかなりすごいこと言ってますけど。

京:ホントですね(笑)。でもなんか、自分でもジャンルとか時代とか関係なく、とにかくいいものを作りたいというのがあって、そこはもちろん達成できた気がするし。あとは個々のメンバーを探したときに決め手になった部分というか……人間性とか、作曲能力とか、変態具合とか(笑)。そういったものがうまくちゃんとパッケージできたなと思っていて。選ばれし変態たちですからね、彼らは(笑)。

――みなさん、そういう自覚はあるんですか? 

未架:個人的にはすごい賛辞だなと思ってます(笑)。

匠:でも、みんな変態同士なんで、よくわからないんですよ(笑)。

京:しかもね、これが何年もかけて作ったアルバムとかじゃなくて、さらっと「もうできたんだ?」みたい感じで完成してるというのが……。その点を客観的に見ても、やっぱり変態やなあと思うんですよ(笑)。

◆インタビュー(4)へ
◆インタビュー(1)へ戻る
◆インタビュー(2)へ戻る
◆インタビュー(3)へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報