【インタビュー】ラルクのyukihiro、時雨の345、モーサムの百々からなるgeek sleep sheep、結成前夜から現在までを語るロングインタビュー「ドラムがやりたかったんですよね」

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2013年10月16日にリリースとなった「hitsuji」は、geek sleep sheepのデビューシングルだ。いわゆる新人バンドのデビューではあるが、そのメンツがL'Arc~en~Cielのyukihiro(Dr)、凛として時雨の345(B)、MO'SOME TONEBENDERのmomo(Vo&G)による3ピースともなれば、破格のオーラをまとうというもの。しかし、デビューに際して華やかな筋書きが御膳立てされているわけでもなければ、煌びやかな花道が敷かれているわけでもない。結成から現在に至るまで、着実に、確実に、そして純粋に音楽を見つめてきたところに、このバンドの真の強さがある。
BARKSは、意外とも思える3人の結成の経緯からデビューシングル完成に至る現在まで、そのひとつひとつの足跡から、彼らの音楽観を解き明かす。なお、このテキストは geek sleep sheepが初めて公式にインタビューを受けたときのものだ。3人の初々しい空気感と、貴重な言葉の数々を感じ取っていただきたい。

◆geek sleep sheep 拡大画像

■今こういう音が出せたらおもしろいんじゃないかなと
■どんどんバンドの音になっていくだろうと思ってました──yukihiro

──まずは3人の接点からお話をうかがいたいと思いますが、口火を切っていただくのはyukihiroさんということでよろしいですか?

yukihiro:はい。僕が最初に会ったのは345ちゃんですね。そのときは凛として時雨の知名度がどんどん上がっていた状況で。もちろん、それまで音とかは聴いたりしていたし、系列事務所の所属アーティストだってことも聞いたんですよ。で、ライヴを観せてもらったのがさいたまスーパーアリーナだったという感じです。

──そのステージでベーシストの345さんのカッコ良さを再認識したと?

yukihiro:そうです。ライヴを観て、345ちゃんに挨拶したんだよね?

345:はい。楽屋に来てくださったんですけど、とにかく私、緊張してたので、本当に御挨拶ぐらいしか。

──時雨のさいたまスーパーアリーナ公演が2010年4月10日のことで、その直後の4月下旬、acid androidのレコーディングにmomoさんがギタリストとして参加したそうですが、そもそもオファーしたのはどういうきっかけからですか?

yukihiro:acid androidの曲を作っているときに、シューゲイザーとかオルタナを理解しつつ、ギターを考えて弾いてもらえるギタリストがいないかなと思ったところ、スタッフから名前が挙がったのが百々くんだったんです。MO'SOME TONEBENDERは聴いたことがあったし、面白いかなと思ってお願いしました。

momo:その話、初めて聞きました(笑)。90年代の頭ぐらいから、そういったバンドはダイレクトに聴いてましたけど。でもギターで言えば、リバイバルを経てからの最近の若い子のほうが、エフェクトを駆使して、すごい音を作ってるじゃないですか。そういった日本のバンドを見て感心することのほうが多いんですよ。だから、話をもらった時は“え? 僕でいいのかな”って思いましたね(笑)。

yukihiro:最初はデータだけのやり取りで。その後、レコーディングスタジオに来てもらったんです。そのときは、ギターを抱えて、すぐブースで弾いてくれました。

momo:もう何していいかわかんなかったから、ギター弾くしかないって(笑)。ただ、せっかく呼ばれたんだから、自分らしくダーティな音で録ってやろうと。最初からテープエコーもかけて、思いついたフレーズとかもその場で弾いて。「もし良かったら使ってください」ってフレーズも全部使われていたので“おっ!”と思いましたね(笑)。

──そのときはひたすらレコーディングばかりで、音楽遍歴の話とかはしなかったんですか?

momo:いや、しましたね。僕、そればっかり覚えてるんですよ(笑)。レコーディングが終わって、スタジオのCD棚をずっと見てたら“おぉ、おぉ!”って思うものばかり。「ロックの入り口がわりとメタルだったんです」みたいな僕の話をyukihiroさんにして。そこからジャパメタ話になりまして、yukihiroさんはもう生き証人みたいな人だから、東京のライヴハウスとかでライヴをやってた頃の話を聞いたのをよく覚えてる(笑)。

──ではレコーディングやトークから、お互いの音楽的な接点がより深く見えていったという?

momo:ただ、そのときは後々バンドをやるなんて思ってもないし、ほんとに1日のうちの数時間だけだったんで。CDとか楽器を見て、なるほど趣味が合いそうだなとか思ったりね。

──それがバンド結成に至ったのは? 翌年の2011年からはL'Arc~en~Cielの<20th L'Anniversary>が本格的にスタートしますよね。

yukihiro:345ちゃんが味の素スタジアムのライヴに来てくれました。

──2011年の5月のことですね。そこで一緒にやるみたいな話は?

345:いや、全然でした(笑)。

──ところが、さらに一年後の2012年の5月。資料によると、<20th L'Anniversary WORLD TOUR 2012 THE FINAL>の日産スタジアム公演終了後の楽屋で、いきなりプロジェクト始動の話がまとまるんですけど。この前に何かしらの序章があったってことですよね?

yukihiro:まぁ、たぶんそうですね(笑)。

momo:なんかうっすら打診が、yukihiroさん側から。

345:ふふふ。そうですね。

──そのあたりの機微をyukihiroさんにうかがってもよいですか?

yukihiro:はい。スタッフに相談しながら一緒にやれる人いないかなと思って出てきたのがmomoくんと345ちゃんでした。

momo:それ、候補は何人ぐらいいたんですか(笑)?

yukihiro:いや、ほんとに第一オファーで通りました。僕の第一希望です。

──なるほど。yukihiroさんはL'Arc~en~Cielとは別に、自身のプロジェクトとしてacid androidがあるじゃないですか。acid androidとは異なることがやりたいと思ったわけですよね?

yukihiro:そうです。

──そう思ったときにあったのは音楽性だったんですか? それともバンドというカタチ?

yukihiro:音楽性は……そんなには考えてなかったですね。ただメンバーが集まれば、そこでできることがあるだろうと。でも、今こういう音が出せたらおもしろいんじゃないかなとは考えていたと思うんです。

──この3人だから見えた音があったという?

yukihiro:音を出していけばバンドの音にどんどんなっていくだろうと思ってました。

──acid androidはyukihiroさんの頭の中に描いた音の欠片を、そのまま具現化していくような作業だと思うんですけど、となるとこのバンドの発想の元はacid androidとはちょっと違いますか?

yukihiro:はい。ドラマーとして……。

──ですよね。その言葉が聞きたかった(笑)。

yukihiro:ははは。ドラムがやりたかったんですよね。

──ここまでの話を振り返ると、このバンドはyukihiroさん発信ということでいいですかね?

yukihiro:はい。momoくんと345ちゃんがよければ(笑)。

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