三木たかしのトリビュート・アルバム、7月25日にリリース
2009年5月、惜しまれながらもこの世を去った作曲家、三木たかしのトリビュート・アルバムが7月25日にリリースされる。
◆『もしも明日が~三木たかしトリビュート~』 拡大画像
シングル総売り上げ枚数歴代1位という前人未到の偉業を成し遂げた作詞家、故阿久悠のトリビュート盤は2008年に発売され、約3万枚のセールスを記録した。このトリビュート盤に続いて、「津軽海峡冬景色」や「時の流れに身をまかせ」などのヒット曲で知られる故三木たかし初のトリビュート盤『もしも明日が~三木たかしトリビュート~』がリリースされる。
今作は、「アンパンマンのマーチ」から演歌まで、日本の音楽シーンに多大なる影響を与えてきた三木作品の中から、未来永劫歌い継がれるであろう名曲を収録。ボーナストラックを含めた全13曲は既録音源に加え、新録音源6曲を含めた構成となっている。
例えば、1984年に発売され、オリコンシングルチャート1位を獲得したわらべの「もしも明日が…。」は、藤あや子と坂本冬美がカバーする。ステージ共演のある2人だが、デュエット曲のCD化は今回が初となる。また、「アンパンマンのマーチ」は、「三百六十五歩のマーチ」でお馴染みの水前寺清子と、『アンパンマン』を見て育ったという女性9人組アイドル、ぱすぽ☆の共演が実現。そのほか、未発表曲の「しょっぱいね」はつんく♂がボーカルを担当するなど、世代やジャンルを超えて豪華アーティストたちが多数参加した充実の内容となっている。
なお、アルバムジャケットは、『アンパンマン』の生みの親、やなせたかしが書き下ろしている。
◆ ◆ ◆
<音楽プロデューサー・川原伸司からのコメント>
作曲家・三木たかしの突然の訃報が届いてから3年が過ぎました。
この間に新しい曲が生まれ、目まぐるしくチャートも変化していきました。しかし心に残った歌はごくわずかです。今、時代から取り残された弱者の喪失感を埋める心の歌の多くに、「津軽海峡・冬景色」「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」「夜桜お七」等の三木たかし作品があると聞きます。テクニカルに作られたものではない、心から湧き上がった自然な感性の温もりがあるのです。だからこそ世代や背景を超えた人たちの心に深く残っているのでしょう。
三木たかしが紡いだメロディの音楽性には鍵がありました。歌謡史を振り返ると、常に洋楽との大きな関わりが垣間見えてきます。元々日本古来の歌謡は言葉とメロディだけで成立しており、基本的にアンサンブルとハーモニーはありませんでした。それがドラマチックで近代的なものになっていったのは、明治以降から始まる積極的な西洋音楽のアンサンブルの導入から始まっています。
代表的な例として戦前から活躍した古賀政男は、伝承されてきた日本古来ののペンタトニック(5音階、通称四七抜き音階)のメロディに、スペインのアンドレス・セゴヴィアのギター・アンサンブルを交配させ、歌謡曲の原点とも呼べる数々の名曲を世に送り出しました。
片や服部良一は、戦前のスウィング、ブギー、ビバップ等のジャズのリズム・アンサンブルを自らのメロディと融合させ、リズミカルでモダンなヒット曲を数多く送り出しています。
戦後も中村八大がジャズ、浜口庫之助はラテンを積極的に導入、時代感覚にマッチした新しい日本の歌を創出します。1960年代後半のGSブーム以降、筒美京平は歌謡曲にR&Bをベーシックにした8ビート、そして16ビートのダンス・グルーブを大胆に取り込み、都倉俊一はビートルズ以降のロックのエッセンスを更に加えていきました。
それでは昭和歌謡史を代表する作曲家のひとり、三木たかしはどうでしょう。当然先に挙げた作曲家たちと重なり合う部分もありますが、最も特徴的なのは歌謡曲にヨーロピアン・クラシカルをクロス・オーバーさせていったことにあります。代表作「つぐない」はモーツァルトの「ピアノ協奏曲20番」にインスパイアーされたのは周知の事実ですし、3/4拍子「乙女のワルツ」「めだかの兄妹」は、ウィンナ・ワルツにあるヨーロピアンな優雅さから受けた影響を感じます。もちろんヨーロッパ発のビートルズ、フレンチ・ポップス、カンツォーネ等の'60年代初期から台頭してきたアメリカ以外の国からのヒット曲の影響も感じ取れるに違いありません。
三木たかしが生んだまさに日本的と思われるメロディには、ヨーロッパ発の伝統的な美しさやエレガンスがエッセンスとして加わっていたのです。だからこそ多くの人が違和感もなく新鮮さと親しみを感じたのでしょう。やがてその共感は聴く人それぞれの人生のパックグラウンド・ミュージックとなり、心の中でパートナーになっていたのです。
ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールへの出演をきっかけにヨーロッパから世界へと注目を集めた由紀さおり&ピンク・マルティーニのアルバム『1969』の中で、三木たかしにとって初の大ヒット曲「夕月」は特に高い評価を得ました。影響を受け、作曲の原点となったヨーロッパでも受け容れられたのです。その意味でも三木たかしのメロディは今、世代や背景ばかりか国境も超え永遠の生命を得たのです。
音楽プロデューサー・川原伸司
◆ ◆ ◆
Album『もしも明日が~三木たかしトリビュート~』
2012年7月25日(水)リリース
UICZ-4267 \2,980
1.もしも明日が…。/坂本冬美&藤あや子 【オリジナル歌唱:わらべ 発売83年】
2.時の流れに身をまかせ/徳永英明 【オリジナル歌唱:テレサ・テン 発売86年】
3.思秋期/中森明菜 【オリジナル歌唱:岩崎宏美 発売77年】
4.想いで迷子/レーモンド松屋 featuring 乙三 【オリジナル歌唱:チョー・ヨンピル 発売86年】
5.つぐない/内藤やす子 【オリジナル歌唱:テレサ・テン】
6.北の螢/木村充揮&内田勘太郎 【オリジナル歌唱:森進一 発売84年】
7.心の瞳/河口恭吾 【オリジナル歌唱:坂本九 発売85年】
8.夜桜お七/吉木りさ 【オリジナル歌唱:坂本冬美 発売94年】
9.友だちはいいもんだ/クレイジーケンバンド 【オリジナル歌唱:劇団四季など 発売77年】
10.忘れないで/オルリコ 【オリジナル歌唱:競作 発売01年】
11.しょっぱいね/つんく♂ 【未発表曲】
12.アンパンマンのマーチ/水前寺清子&ぱすぽ☆ 【オリジナル歌唱:ドリーミング 発売88年】
<bonus track>
13.津軽海峡冬景色/三木たかし 【オリジナル歌唱:石川さゆり 発売77年】
◆『もしも明日が~三木たかしトリビュート~』 拡大画像
シングル総売り上げ枚数歴代1位という前人未到の偉業を成し遂げた作詞家、故阿久悠のトリビュート盤は2008年に発売され、約3万枚のセールスを記録した。このトリビュート盤に続いて、「津軽海峡冬景色」や「時の流れに身をまかせ」などのヒット曲で知られる故三木たかし初のトリビュート盤『もしも明日が~三木たかしトリビュート~』がリリースされる。
今作は、「アンパンマンのマーチ」から演歌まで、日本の音楽シーンに多大なる影響を与えてきた三木作品の中から、未来永劫歌い継がれるであろう名曲を収録。ボーナストラックを含めた全13曲は既録音源に加え、新録音源6曲を含めた構成となっている。
例えば、1984年に発売され、オリコンシングルチャート1位を獲得したわらべの「もしも明日が…。」は、藤あや子と坂本冬美がカバーする。ステージ共演のある2人だが、デュエット曲のCD化は今回が初となる。また、「アンパンマンのマーチ」は、「三百六十五歩のマーチ」でお馴染みの水前寺清子と、『アンパンマン』を見て育ったという女性9人組アイドル、ぱすぽ☆の共演が実現。そのほか、未発表曲の「しょっぱいね」はつんく♂がボーカルを担当するなど、世代やジャンルを超えて豪華アーティストたちが多数参加した充実の内容となっている。
なお、アルバムジャケットは、『アンパンマン』の生みの親、やなせたかしが書き下ろしている。
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<音楽プロデューサー・川原伸司からのコメント>
作曲家・三木たかしの突然の訃報が届いてから3年が過ぎました。
この間に新しい曲が生まれ、目まぐるしくチャートも変化していきました。しかし心に残った歌はごくわずかです。今、時代から取り残された弱者の喪失感を埋める心の歌の多くに、「津軽海峡・冬景色」「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」「夜桜お七」等の三木たかし作品があると聞きます。テクニカルに作られたものではない、心から湧き上がった自然な感性の温もりがあるのです。だからこそ世代や背景を超えた人たちの心に深く残っているのでしょう。
三木たかしが紡いだメロディの音楽性には鍵がありました。歌謡史を振り返ると、常に洋楽との大きな関わりが垣間見えてきます。元々日本古来の歌謡は言葉とメロディだけで成立しており、基本的にアンサンブルとハーモニーはありませんでした。それがドラマチックで近代的なものになっていったのは、明治以降から始まる積極的な西洋音楽のアンサンブルの導入から始まっています。
代表的な例として戦前から活躍した古賀政男は、伝承されてきた日本古来ののペンタトニック(5音階、通称四七抜き音階)のメロディに、スペインのアンドレス・セゴヴィアのギター・アンサンブルを交配させ、歌謡曲の原点とも呼べる数々の名曲を世に送り出しました。
片や服部良一は、戦前のスウィング、ブギー、ビバップ等のジャズのリズム・アンサンブルを自らのメロディと融合させ、リズミカルでモダンなヒット曲を数多く送り出しています。
戦後も中村八大がジャズ、浜口庫之助はラテンを積極的に導入、時代感覚にマッチした新しい日本の歌を創出します。1960年代後半のGSブーム以降、筒美京平は歌謡曲にR&Bをベーシックにした8ビート、そして16ビートのダンス・グルーブを大胆に取り込み、都倉俊一はビートルズ以降のロックのエッセンスを更に加えていきました。
それでは昭和歌謡史を代表する作曲家のひとり、三木たかしはどうでしょう。当然先に挙げた作曲家たちと重なり合う部分もありますが、最も特徴的なのは歌謡曲にヨーロピアン・クラシカルをクロス・オーバーさせていったことにあります。代表作「つぐない」はモーツァルトの「ピアノ協奏曲20番」にインスパイアーされたのは周知の事実ですし、3/4拍子「乙女のワルツ」「めだかの兄妹」は、ウィンナ・ワルツにあるヨーロピアンな優雅さから受けた影響を感じます。もちろんヨーロッパ発のビートルズ、フレンチ・ポップス、カンツォーネ等の'60年代初期から台頭してきたアメリカ以外の国からのヒット曲の影響も感じ取れるに違いありません。
三木たかしが生んだまさに日本的と思われるメロディには、ヨーロッパ発の伝統的な美しさやエレガンスがエッセンスとして加わっていたのです。だからこそ多くの人が違和感もなく新鮮さと親しみを感じたのでしょう。やがてその共感は聴く人それぞれの人生のパックグラウンド・ミュージックとなり、心の中でパートナーになっていたのです。
ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールへの出演をきっかけにヨーロッパから世界へと注目を集めた由紀さおり&ピンク・マルティーニのアルバム『1969』の中で、三木たかしにとって初の大ヒット曲「夕月」は特に高い評価を得ました。影響を受け、作曲の原点となったヨーロッパでも受け容れられたのです。その意味でも三木たかしのメロディは今、世代や背景ばかりか国境も超え永遠の生命を得たのです。
音楽プロデューサー・川原伸司
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Album『もしも明日が~三木たかしトリビュート~』
2012年7月25日(水)リリース
UICZ-4267 \2,980
1.もしも明日が…。/坂本冬美&藤あや子 【オリジナル歌唱:わらべ 発売83年】
2.時の流れに身をまかせ/徳永英明 【オリジナル歌唱:テレサ・テン 発売86年】
3.思秋期/中森明菜 【オリジナル歌唱:岩崎宏美 発売77年】
4.想いで迷子/レーモンド松屋 featuring 乙三 【オリジナル歌唱:チョー・ヨンピル 発売86年】
5.つぐない/内藤やす子 【オリジナル歌唱:テレサ・テン】
6.北の螢/木村充揮&内田勘太郎 【オリジナル歌唱:森進一 発売84年】
7.心の瞳/河口恭吾 【オリジナル歌唱:坂本九 発売85年】
8.夜桜お七/吉木りさ 【オリジナル歌唱:坂本冬美 発売94年】
9.友だちはいいもんだ/クレイジーケンバンド 【オリジナル歌唱:劇団四季など 発売77年】
10.忘れないで/オルリコ 【オリジナル歌唱:競作 発売01年】
11.しょっぱいね/つんく♂ 【未発表曲】
12.アンパンマンのマーチ/水前寺清子&ぱすぽ☆ 【オリジナル歌唱:ドリーミング 発売88年】
<bonus track>
13.津軽海峡冬景色/三木たかし 【オリジナル歌唱:石川さゆり 発売77年】