鈴木祥子、45歳の原点を自らパフォーマンス
『SYOKO SUZUKI SONGBOOK I“1989-2009”』を聴きつつ、昨日のライブを思い出しながら、レビューを書いている。2011年7月24日、南青山CAYで行われた<45歳の原点~鈴木祥子『SYOKO SUZUKI SONGBOOK vol.1』>。明確に年齢をタイトルに付けるあたり、彼女の意気込みを感じる。
18:00、オンタイムでライブが始まる。白いワンピースで現れた彼女は清楚なイメージ。ストレートに整えられた髪型もクレバーな印象だ。まもなく45歳から46歳になると自ら話しながら、ライブが始まる。2010年7月28日に発売された『SYOKO SUZUKI SONGBOOK I“1989-2009”』のレコ発ライブだ。一年遅れというのも彼女らしい。
年代を追ってということで、1曲目は1989年に渡辺満里奈に提供した「胸がいっぱい」。ティーンエイジャーの曲だからと前置きしたうえでウーリッツァーで弾き語る。「若い!」と言いながらも、歌詞の主人公、ストーリーには今も通じる普遍性があると。
2曲目は、ピアノに移動して松田聖子に提供した「We Are LOVE」をEnglish versionで。続いて3人組のアイドルQlair(クレア)が歌った「パジャマでドライブ」。この曲は、もともと鈴木祥子自身が歌う予定だったものだと。歌詞は川村真澄が手がけている。そして、そこにはアイドルには似つかわない言葉がある<お医者様 眠り薬>。ただ、可愛らしい声で歌われると、そこに深刻さはない。それ以前に、パジャマでドライブするあたり、ちょっと普通じゃない行動かもしれないですけどね。それが川村真澄が描いた鈴木祥子らしさかもしれない。
そして、「来ましたね。名曲が!」と自ら発言し「優しい雨」。累計出荷枚数はWikiによると143万枚。今でもカラオケで歌う方は多い。名曲です!
ぐっと大人になり、金子マリさんに提供した「椋鳥」。
年代を追って、歌い続ける彼女。ただ提供曲だけあって曲の表情が違う。しかし、それをすべて鈴木祥子色にして歌う姿は見事だ。オリジナルだったっけ?と思う瞬間さえも。『SYOKO SUZUKI SONGBOOK I“1989-2009”』には、オリジナルのシンガーの音源が収録されているが、それを忘れるほど。
そして、早勢美里のデビュー曲として提供した「すみれ色にひとり」。19歳の女の子のデビュー曲にしては、難しい曲だったと自ら告白。歌詞は、戸沢暢美だがAメロの<どうして 気持ちはショゲるの?>は、40代の今にも通じる言葉。ただ、19歳に歌ってもらって生きる曲だと。
ここまで来たら、ライブ全曲レビューになりそうですが、おつきあいください。7曲目は、西田ひかるに提供した「Blue」。当時、西田ひかるといえば、元気印なような女の子だっただろうが、これは敢えてそれをはずした曲。この曲は歌詞も鈴木祥子が手がけた。アレンジは加藤和彦。
続いて、PUFFY吉村由美に提供した「わたしの望み」。これは、ライブで何度か聴いているが、何度聞いても、<好きなものは自分でさがすしかない>という言葉は、心に響く。
ギターに移動して、和久井映見に提供した「だきしめてあげる。」ロックっぽくして欲しいという依頼に、アメリカンロックにならないことを意識して書いた曲とのこと。引き続き、PUFFYへ提供した「きれいな涙が足りないよ」。ここで、「何かやって欲しい曲ありますか?」と。リクエストに応えて「あの空へ帰ろう」を。
ピアノへ移動して近藤名奈の「しずかな生活」。“イタい”曲だと自ら言いながら、独りで生活している女性の闇をテーマにして書いたと。まだ「負け犬」なんて言葉のなかった頃だ。<わたしのことは放っておいてくれ>という歌詞が印象的。そういう女性ほど、本当は、このうえなく繊細だということ、今なら分かる。
アルバムには入っていないけれど、大好きな曲ということで坂本真綾の「a happy ending」。続いても、坂本真綾の「風待ちジェット~kazeyomi edition」。ピアノで始めるも、途中でウーリッツァーに移動。
ここで、とてもキュートな曲。私も個人的に大好きな石井聖子の「恋だっていいのに」。今日は、45歳の原点バージョンなので、転調なしで。
そして、本編ラストは、川村カオリに提供した「life」。彼女から届いた歌詞を一字一句変えずにメロディを付けた、と。ストレートに気持ちが伝わってきて、曲を書く過程で涙が流れたこと。彼女が逝ってしまってから、あと3日で2年、2009年7月28日。今、彼女が生きていたら、今の日本をどう見るだろう?とそんなことを考えてしまう。そして、もう彼女の声でこの曲を聴けないことをとても淋しく思う。<明日こそ きっと もっと><あたしだって きっと もっと><夢はいくつになって見てもいいよね>この言葉が胸を打つ。生きよう。生きられるだけ生きようと思う。
アンコール1。クロップドパンツに着替えて、カジュアルに登場。「3.11以降というのもいえるのかもしれないけれど、波があっていろんなことを考える。だけど、聴きにきてくれてありがとう」と。
そして、8月20日~9月4日まで北千住のシアター1010で上演される「美しの水」のテーマソングを書き下ろしたことを発表。そのシングルに、かつての曲も収められているということで、懐かしい「Sweet Sweet Baby」を。歌詞に<ビニール傘>って言葉が出てくるのを聴いたのはこれが初めてだったと思う。
そして、同じく8月20日に公開される「うさぎドロップ」。アニメは深夜に放送中。PUFFYが歌うオープニングテーマ「SWEET DROPS」を。タンバリン&アカペラでスタートし、途中ドラムに移動、最後は再びアカペラで。
アンコール2。「美しの水」のために書き下ろされ、昨日レコーディングされたばかりの「You Take Me, You Make Me」。そして、まだレコーディングさえされていない「遥かなる女の道(表記未確認)」。
最後に、彼女は自らの曲を聴くことがセラピーであり、次の場所へ向かう思いになると、語った。
『SYOKO SUZUKI SONGBOOK I“1989-2009”』
MHCL-1786~7 3,000円(税込)
disk1
1.胸がいっぱい
2.We Are Love (English Solo Version)
3.黙示録
4.パジャマでドライブ
5.優しい雨
6.椋鳥
7.すみれ色にひとり
8.Green Fingers
9.Blue
10.だきしめてあげる。
11.恋だっていいのに
12.わたしの望み
13.こんな私を笑って
14.きれいな涙が足りないよ
15.しずかな生活
16.空中庭園
17.風待ちジェット~kazeyomi edition
18.Life
disk2
1.パジャマでドライブ
2.椋鳥 (モノラル音源)
3.だきしめてあげる。 (モノラル音源)
4.恋だっていいのに (モノラル音源)
5.わたしの望み
6.きれいな涙が足りないよ
7.空中庭園
8.Life
9.10月のドライブ
『You Take Me, You Make Me』
DDCZ-1780 1,500円(税込)
2011年9月28日発売
◆鈴木祥子オフィシャルサイト
[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/
18:00、オンタイムでライブが始まる。白いワンピースで現れた彼女は清楚なイメージ。ストレートに整えられた髪型もクレバーな印象だ。まもなく45歳から46歳になると自ら話しながら、ライブが始まる。2010年7月28日に発売された『SYOKO SUZUKI SONGBOOK I“1989-2009”』のレコ発ライブだ。一年遅れというのも彼女らしい。
年代を追ってということで、1曲目は1989年に渡辺満里奈に提供した「胸がいっぱい」。ティーンエイジャーの曲だからと前置きしたうえでウーリッツァーで弾き語る。「若い!」と言いながらも、歌詞の主人公、ストーリーには今も通じる普遍性があると。
2曲目は、ピアノに移動して松田聖子に提供した「We Are LOVE」をEnglish versionで。続いて3人組のアイドルQlair(クレア)が歌った「パジャマでドライブ」。この曲は、もともと鈴木祥子自身が歌う予定だったものだと。歌詞は川村真澄が手がけている。そして、そこにはアイドルには似つかわない言葉がある<お医者様 眠り薬>。ただ、可愛らしい声で歌われると、そこに深刻さはない。それ以前に、パジャマでドライブするあたり、ちょっと普通じゃない行動かもしれないですけどね。それが川村真澄が描いた鈴木祥子らしさかもしれない。
そして、「来ましたね。名曲が!」と自ら発言し「優しい雨」。累計出荷枚数はWikiによると143万枚。今でもカラオケで歌う方は多い。名曲です!
ぐっと大人になり、金子マリさんに提供した「椋鳥」。
年代を追って、歌い続ける彼女。ただ提供曲だけあって曲の表情が違う。しかし、それをすべて鈴木祥子色にして歌う姿は見事だ。オリジナルだったっけ?と思う瞬間さえも。『SYOKO SUZUKI SONGBOOK I“1989-2009”』には、オリジナルのシンガーの音源が収録されているが、それを忘れるほど。
そして、早勢美里のデビュー曲として提供した「すみれ色にひとり」。19歳の女の子のデビュー曲にしては、難しい曲だったと自ら告白。歌詞は、戸沢暢美だがAメロの<どうして 気持ちはショゲるの?>は、40代の今にも通じる言葉。ただ、19歳に歌ってもらって生きる曲だと。
ここまで来たら、ライブ全曲レビューになりそうですが、おつきあいください。7曲目は、西田ひかるに提供した「Blue」。当時、西田ひかるといえば、元気印なような女の子だっただろうが、これは敢えてそれをはずした曲。この曲は歌詞も鈴木祥子が手がけた。アレンジは加藤和彦。
続いて、PUFFY吉村由美に提供した「わたしの望み」。これは、ライブで何度か聴いているが、何度聞いても、<好きなものは自分でさがすしかない>という言葉は、心に響く。
ギターに移動して、和久井映見に提供した「だきしめてあげる。」ロックっぽくして欲しいという依頼に、アメリカンロックにならないことを意識して書いた曲とのこと。引き続き、PUFFYへ提供した「きれいな涙が足りないよ」。ここで、「何かやって欲しい曲ありますか?」と。リクエストに応えて「あの空へ帰ろう」を。
ピアノへ移動して近藤名奈の「しずかな生活」。“イタい”曲だと自ら言いながら、独りで生活している女性の闇をテーマにして書いたと。まだ「負け犬」なんて言葉のなかった頃だ。<わたしのことは放っておいてくれ>という歌詞が印象的。そういう女性ほど、本当は、このうえなく繊細だということ、今なら分かる。
アルバムには入っていないけれど、大好きな曲ということで坂本真綾の「a happy ending」。続いても、坂本真綾の「風待ちジェット~kazeyomi edition」。ピアノで始めるも、途中でウーリッツァーに移動。
ここで、とてもキュートな曲。私も個人的に大好きな石井聖子の「恋だっていいのに」。今日は、45歳の原点バージョンなので、転調なしで。
そして、本編ラストは、川村カオリに提供した「life」。彼女から届いた歌詞を一字一句変えずにメロディを付けた、と。ストレートに気持ちが伝わってきて、曲を書く過程で涙が流れたこと。彼女が逝ってしまってから、あと3日で2年、2009年7月28日。今、彼女が生きていたら、今の日本をどう見るだろう?とそんなことを考えてしまう。そして、もう彼女の声でこの曲を聴けないことをとても淋しく思う。<明日こそ きっと もっと><あたしだって きっと もっと><夢はいくつになって見てもいいよね>この言葉が胸を打つ。生きよう。生きられるだけ生きようと思う。
アンコール1。クロップドパンツに着替えて、カジュアルに登場。「3.11以降というのもいえるのかもしれないけれど、波があっていろんなことを考える。だけど、聴きにきてくれてありがとう」と。
そして、8月20日~9月4日まで北千住のシアター1010で上演される「美しの水」のテーマソングを書き下ろしたことを発表。そのシングルに、かつての曲も収められているということで、懐かしい「Sweet Sweet Baby」を。歌詞に<ビニール傘>って言葉が出てくるのを聴いたのはこれが初めてだったと思う。
そして、同じく8月20日に公開される「うさぎドロップ」。アニメは深夜に放送中。PUFFYが歌うオープニングテーマ「SWEET DROPS」を。タンバリン&アカペラでスタートし、途中ドラムに移動、最後は再びアカペラで。
アンコール2。「美しの水」のために書き下ろされ、昨日レコーディングされたばかりの「You Take Me, You Make Me」。そして、まだレコーディングさえされていない「遥かなる女の道(表記未確認)」。
最後に、彼女は自らの曲を聴くことがセラピーであり、次の場所へ向かう思いになると、語った。
『SYOKO SUZUKI SONGBOOK I“1989-2009”』
MHCL-1786~7 3,000円(税込)
disk1
1.胸がいっぱい
2.We Are Love (English Solo Version)
3.黙示録
4.パジャマでドライブ
5.優しい雨
6.椋鳥
7.すみれ色にひとり
8.Green Fingers
9.Blue
10.だきしめてあげる。
11.恋だっていいのに
12.わたしの望み
13.こんな私を笑って
14.きれいな涙が足りないよ
15.しずかな生活
16.空中庭園
17.風待ちジェット~kazeyomi edition
18.Life
disk2
1.パジャマでドライブ
2.椋鳥 (モノラル音源)
3.だきしめてあげる。 (モノラル音源)
4.恋だっていいのに (モノラル音源)
5.わたしの望み
6.きれいな涙が足りないよ
7.空中庭園
8.Life
9.10月のドライブ
『You Take Me, You Make Me』
DDCZ-1780 1,500円(税込)
2011年9月28日発売
◆鈴木祥子オフィシャルサイト
[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/