VSTインストゥルメント（ソフトウェアシンセ）、VSTエフェクトといったプラグインを使ったサウンドメイキングもSinger Song Writerならお手のもの。豊富なプラグインが付属するほか、他社製のVSTプラグインを追加して使用することも可能だ（対応ソフトはインターネットのWebサイトを参照）。

付属ソフトウェアシンセには以下の3つを用意。オールマイティなマルチティンバー音源（16パートの同時演奏が可能）のVSCのほか、個性的なサウンドが得られる2種がバンドルされる。（付属のソフトウェアシンセはSinger Song Writer 専用版）

・Roland VSC　902音色、26ドラムセットを内蔵したマルチティンバー形式のシンセ。エディット画面はないが、手軽に豊富な音色が駆使できる。アレンジデータはこれで鳴らすのが基本。

LinPlug Organ3
ロックには欠かせないオルガンサウンドを提供するソフトウェアシンセ。フォールドバックの切り替え、トーンホイールの同期、本物そっくりのドローバーとボリュームの関係、パーカッションスイッチの動作、モーターノイズ、キークリックなど、オリジナルサウンドを得るためのあらゆるコントロールが可能。

LinPlug ALPHA3
音の太さや独特の味を持った初期のシンセサイザーサウンドが欲しいなら、アナログシンセサイザーALPHA3がオススメ。シンプルな構成なので、シンセサイザーの仕組みの勉強にももってこいだ。Professionalには、LinPlug RMV、Roland Hyper Sound Canvasも付属している。

オーディオ用のエフェクトも合計23種と多彩だ。音質補正のイコライザー、空間を演出するディレイやリバーブ、音の粒を揃えたり音圧を調整するコンプレッサー/リミッターから、汚し系のローファイサウンドの音作りを可能にするディストーションやビットクラッシャーなど豊富に揃っている。Professionalには世界中のレコーディングスタジオでも高い評価を誇るSonnox社製のEQ、Limiter、Reverbを付属している。

特性の異なる2種類のイコライザを組み合わせて使用することができる2 BAND EQUALIZER。音質（周波数成分）を変化させられる。

倍音成分や位相を補正してシャープなサウンドに仕上げるENHANCER。

低い周波数の信号をカットするHIGH-PASSフィルターと、高い周波数の信号をカットするLOW-PASSフィルターが搭載するFILTER。

ビット長やサンプリング周波数を下げてローファイ、レトロな感じを演出するBIT CRUSHER。

モノラルサウンドに擬似的にステレオ効果を加えるDIMENSION。

THRESHOLD値を下回る信号を圧縮してTHRESHOLD値を上回る信号を強調しダイナミックレンジを広げるEXPANDER & GATE。ノイズゲートとしても使用可能。

ヒップホップを中心に、オーディオ録音されたリズムを切り刻み組み替えて使うという手法が多様されているが、こうした手法もSinger Song Writerならカンタンに行える。「スライス」機能がそれを可能にするもので、オーディオデータのアタックポイントを検知して、自動的に分割（スライス）してくれる。波形のタイミングを調整したり、順番を変えたりすることで、既存データからまったく新しいサウンドが得られるのだ。また、音程を変えずに長さを調整するタイムコンプレッションを併用すれば、さらにバリエーションは広がる。

オーディオイベントにスライスを適用。音の頭でイベントが分割されるのであとは自由に組み替え可能だ。

タイムコンプレッションは50～200％の比率で長さを指定可能。付属のオーディオデータでももちろん使用可能だ。

かけ足で特徴的な機能を紹介してきたが、Singer Song Writerの機能はここでは書ききれないほど多彩かつ豊富だ。本特集を読んで気になった人は、まず体験版を使ってその便利さを実感してほしい。体験版はStandard、Professionalともに用意されているので、財布の中身と相談しつつ、じっくりと検討してほしい。