30年のときを隔てて青春がクロスする映画『色即ぜねれいしょん』
『アイデン&ティティ』以来、みうらじゅん&田口トモロヲの名タッグが再び実現。みうらじゅんの自伝的小説を田口トモロヲがメガホンを取り映画化した1作『色即ぜねれいしょん』が8月15日に全国ロードショー公開される。
青春の甘くも苦い、そして生臭く、同時に清々しいという二面性を赤裸々に描き、青春時代を一所懸命に生きる真面目で平凡な少年が変わっていく姿が涙を誘う、青春映画の金字塔として多くの人に見てもらいたい映画だ。
この映画の主題歌「どうしようかな」は、ロックバンド“黒猫チェルシー”のボーカル渡辺大知、共演の銀杏BOYZの峯田和伸、くるりの岸田繁という豪華トリオが集まって誕生。全国のタワーレコードで限定発売されており大ヒットを記録している。ちなみに、カップリングは劇中で、峯田和伸が弾き語る「旅に出てみよう」。どちらも青い男子のエッセンスがぎっしり詰まった青春ソングになっている。
その田口トモロヲ監督と渡辺大知に、青春の素晴らしさを伝えるこの作品のメッセージを語ってもらった。70年代と00年代の青春。そこに違いはあったのだろうか。
◆田口トモロヲ×渡辺大知コメント映像
<インタビュー>
──田口監督の中では、今作のテーマをどんなふうに描いていましたか?
田口トモロヲ(以下、田口):これはまさに、“青春映画”なんで、青春っていうものの普遍性を探していく、っていうことですね。しかも、その主人公が超文化系で……。優等生にもヤンキーにもなれない、中流家庭出身のド文化系男子が主人公なんですけど、そこにある青春の悶々とした感覚は、今も昔もわりと変わらないんじゃないかなっていう。
──舞台は1970年代ですが、そういう“青春時代”ならではの感覚はたぶん今と変わらないですよね。悶々としたものを抱えて、それを吐き出せる場所を探している人は多いでしょうし。そういう意味では、ただ明るく楽しいだけの青春映画ではないというか。
田口:そうですね。結局、純くんは最終的に何も変わってないんですよね。半年のあいだに童貞も卒業できないし(笑)。みうらさんの原作も、半年やそこらで人間そんなに変わらないよっていう……。まさに、“色即是空”ですよね。でも、そういうことと、自分が見方を変えないと世界は変わらないっていうのが、やっぱりリアルな青春だと思うんです。頭で考えずにとりあえず行動っできるっていうのは、まさに青春ですからね。
──その純くんを演じた渡辺くんは、初めての映画にどんな気持ちで臨みましたか?
渡辺:僕的には、けっこう一緒なんですよね、彼と(笑)。今の僕っていうよりは、どっちかっていったら中3のころの僕に似てるかなって思うんですけど……。僕は高校に入って、運良くバンドっていうやりたいことができて。でも、それよりもっと前は“バンドしたいけどメンバー見つからなくてできんやろな……”とか悩んでたりして。そのころの自分に似てる気がしました。
──その悶々とした日常から脱出して、夏休みに旅をして色々な人と出会って、恋をして別れも経験して純は少しだけ変われたのでは。
渡辺:そうなんですよね。監督も言われてましたけど、青春ってやっぱり、自分から動くことが大事だと思いますし。だから、この映画を見て“何かしたい”って思ってもらえたら嬉しいです。純は文化祭のステージに出て、それで何が変わったかはわからないかもしれないけど……。自分からちょっとでも動くことが大事かなって僕もすごく思うので、この映画を見た人が何か行動したいなって思える原動力みたいになったら嬉しいです。
──その文化祭で純くんが熱演するシーンもそうですが、“音楽”がこの作品では全編にフィーチャーされています。くるりの岸田さんが演じた家庭教師が言う、“音楽は武器や”っていうセリフも印象的でしたし。
田口:それは、原作をさらに押し進めたものとして脚本の向井康介くんが作ってくれたセリフなんですが、補足するなら……。“音楽は武器で、血を流さない平和な武器だ”っていう。それは、理詰めじゃなくて、感覚で人を揺さぶることができるものだっていう。そういう“音楽の力”を信じられるか信じられないか、っていうことだと思うんですけどね。
──なるほど。純くんも、自分のリアルな思いを音楽にして吐き出したからこそ、そこにある熱が伝わって喝采を浴びたわけで。
田口:そう。音楽って、自分が体験したものを作品に対象化して、色々なものに昇華する。そういうことが武器になると、僕は思うので……。純くんも感じていたコンプレックスっていうのは、逆に個性でチャンスだっていうことにもつながると思うんですよね。そういうリアルで等身大な青春を描けたっていう意味では、恥ずかしくない“青春映画”になったんじゃないかと思ってます。
取材・文●道明利友
出演:渡辺大知(黒猫チェルシー) 峯田和伸(銀杏BOYZ) 岸田繁(くるり) 堀ちえみ リリー・フランキー 他
監督:田口トモロヲ『アイデン&ティティ』
原作:みうらじゅん(光文社文庫刊)
脚本:向井康介『リンダ リンダ リンダ』
製作:スタイルジャム、バンダイビジュアル、衛星劇場、光文社、エクスプレス
配給:スタイルジャム
(C)2009「色即ぜねれいしょんズ」
8月15日、シネセゾン渋谷、新宿バルト9ほか全国ロードショー
◆『色即ぜねれいしょん』オフィシャルサイト
「どうしようかな」UKCD-1128 \1,050(tax in)
発売中(タワーレコード限定商品)
歌:渡辺大知(黒猫チェルシー)/峯田和伸(銀杏BOYZ)/岸田繁(くるり)
◆TOWER.JP
【黒猫チェルシー ライヴインフォメーション】
<クレイジーミッドナイト69~夏の終りのカミナリ族>
8月28日(金) CLUB CITTA'川崎
出演:騒音寺、片山ブレイカーズ&ザ☆ロケンローパーティ、浅草ジンタ、JAPAN-狂撃-SPECIAL、キノコホテル、DJサミー前田
[問]クラブチッタ 044-246-8888
<スゴイ・インディード@新宿LOFT>
9月10日(木) 新宿LOFT
出演:ELECTRIC EEL SHOCK、ザ50回転ズ、MO'SOME TONEBENDER、黒猫チェルシー(OA)
[問]新宿LOFT 03-5272-0382
<Beat Happening! Vol.214>
9月12日(土) 渋谷LUSH
出演:少年ナイフ / 黒猫チェルシー / SISTER JET
【問】渋谷LUSH 03-5467-3071
<2009年途中の旅路 四星球方向性会議>
9月22日(火・祝) 高知X-pt.
出演:四星球 / 黒猫チェルシー
[問]デューク高知 088-822-4488
◆黒猫チェルシー オフィシャルサイト
青春の甘くも苦い、そして生臭く、同時に清々しいという二面性を赤裸々に描き、青春時代を一所懸命に生きる真面目で平凡な少年が変わっていく姿が涙を誘う、青春映画の金字塔として多くの人に見てもらいたい映画だ。
この映画の主題歌「どうしようかな」は、ロックバンド“黒猫チェルシー”のボーカル渡辺大知、共演の銀杏BOYZの峯田和伸、くるりの岸田繁という豪華トリオが集まって誕生。全国のタワーレコードで限定発売されており大ヒットを記録している。ちなみに、カップリングは劇中で、峯田和伸が弾き語る「旅に出てみよう」。どちらも青い男子のエッセンスがぎっしり詰まった青春ソングになっている。
その田口トモロヲ監督と渡辺大知に、青春の素晴らしさを伝えるこの作品のメッセージを語ってもらった。70年代と00年代の青春。そこに違いはあったのだろうか。
◆田口トモロヲ×渡辺大知コメント映像
<インタビュー>
──田口監督の中では、今作のテーマをどんなふうに描いていましたか?
田口トモロヲ(以下、田口):これはまさに、“青春映画”なんで、青春っていうものの普遍性を探していく、っていうことですね。しかも、その主人公が超文化系で……。優等生にもヤンキーにもなれない、中流家庭出身のド文化系男子が主人公なんですけど、そこにある青春の悶々とした感覚は、今も昔もわりと変わらないんじゃないかなっていう。
──舞台は1970年代ですが、そういう“青春時代”ならではの感覚はたぶん今と変わらないですよね。悶々としたものを抱えて、それを吐き出せる場所を探している人は多いでしょうし。そういう意味では、ただ明るく楽しいだけの青春映画ではないというか。
田口:そうですね。結局、純くんは最終的に何も変わってないんですよね。半年のあいだに童貞も卒業できないし(笑)。みうらさんの原作も、半年やそこらで人間そんなに変わらないよっていう……。まさに、“色即是空”ですよね。でも、そういうことと、自分が見方を変えないと世界は変わらないっていうのが、やっぱりリアルな青春だと思うんです。頭で考えずにとりあえず行動っできるっていうのは、まさに青春ですからね。
──その純くんを演じた渡辺くんは、初めての映画にどんな気持ちで臨みましたか?
渡辺:僕的には、けっこう一緒なんですよね、彼と(笑)。今の僕っていうよりは、どっちかっていったら中3のころの僕に似てるかなって思うんですけど……。僕は高校に入って、運良くバンドっていうやりたいことができて。でも、それよりもっと前は“バンドしたいけどメンバー見つからなくてできんやろな……”とか悩んでたりして。そのころの自分に似てる気がしました。
──その悶々とした日常から脱出して、夏休みに旅をして色々な人と出会って、恋をして別れも経験して純は少しだけ変われたのでは。
渡辺:そうなんですよね。監督も言われてましたけど、青春ってやっぱり、自分から動くことが大事だと思いますし。だから、この映画を見て“何かしたい”って思ってもらえたら嬉しいです。純は文化祭のステージに出て、それで何が変わったかはわからないかもしれないけど……。自分からちょっとでも動くことが大事かなって僕もすごく思うので、この映画を見た人が何か行動したいなって思える原動力みたいになったら嬉しいです。
──その文化祭で純くんが熱演するシーンもそうですが、“音楽”がこの作品では全編にフィーチャーされています。くるりの岸田さんが演じた家庭教師が言う、“音楽は武器や”っていうセリフも印象的でしたし。
田口:それは、原作をさらに押し進めたものとして脚本の向井康介くんが作ってくれたセリフなんですが、補足するなら……。“音楽は武器で、血を流さない平和な武器だ”っていう。それは、理詰めじゃなくて、感覚で人を揺さぶることができるものだっていう。そういう“音楽の力”を信じられるか信じられないか、っていうことだと思うんですけどね。
──なるほど。純くんも、自分のリアルな思いを音楽にして吐き出したからこそ、そこにある熱が伝わって喝采を浴びたわけで。
田口:そう。音楽って、自分が体験したものを作品に対象化して、色々なものに昇華する。そういうことが武器になると、僕は思うので……。純くんも感じていたコンプレックスっていうのは、逆に個性でチャンスだっていうことにもつながると思うんですよね。そういうリアルで等身大な青春を描けたっていう意味では、恥ずかしくない“青春映画”になったんじゃないかと思ってます。
取材・文●道明利友
出演:渡辺大知(黒猫チェルシー) 峯田和伸(銀杏BOYZ) 岸田繁(くるり) 堀ちえみ リリー・フランキー 他
監督:田口トモロヲ『アイデン&ティティ』
原作:みうらじゅん(光文社文庫刊)
脚本:向井康介『リンダ リンダ リンダ』
製作:スタイルジャム、バンダイビジュアル、衛星劇場、光文社、エクスプレス
配給:スタイルジャム
(C)2009「色即ぜねれいしょんズ」
8月15日、シネセゾン渋谷、新宿バルト9ほか全国ロードショー
◆『色即ぜねれいしょん』オフィシャルサイト
「どうしようかな」UKCD-1128 \1,050(tax in)
発売中(タワーレコード限定商品)
歌:渡辺大知(黒猫チェルシー)/峯田和伸(銀杏BOYZ)/岸田繁(くるり)
◆TOWER.JP
【黒猫チェルシー ライヴインフォメーション】
<クレイジーミッドナイト69~夏の終りのカミナリ族>
8月28日(金) CLUB CITTA'川崎
出演:騒音寺、片山ブレイカーズ&ザ☆ロケンローパーティ、浅草ジンタ、JAPAN-狂撃-SPECIAL、キノコホテル、DJサミー前田
[問]クラブチッタ 044-246-8888
<スゴイ・インディード@新宿LOFT>
9月10日(木) 新宿LOFT
出演:ELECTRIC EEL SHOCK、ザ50回転ズ、MO'SOME TONEBENDER、黒猫チェルシー(OA)
[問]新宿LOFT 03-5272-0382
<Beat Happening! Vol.214>
9月12日(土) 渋谷LUSH
出演:少年ナイフ / 黒猫チェルシー / SISTER JET
【問】渋谷LUSH 03-5467-3071
<2009年途中の旅路 四星球方向性会議>
9月22日(火・祝) 高知X-pt.
出演:四星球 / 黒猫チェルシー
[問]デューク高知 088-822-4488
◆黒猫チェルシー オフィシャルサイト
この記事の関連情報
映画「色即ぜねれいしょん」
黒猫チェルシー
田口トモロヲ
みうらじゅん
銀杏BOYZ
峯田和伸
くるり
岸田繁
堀ちえみ
リリー・フランキー
騒音寺
片山ブレイカーズ&ザ★ロケンローパーティー
浅草ジンタ
JAPAN-狂撃-SPECIAL
キノコホテル
DJサミー
Electric Eel Shock
ザ50回転ズ
MO'SOME TONEBENDER
少年ナイフ
SISTERJET
四星球
邦楽
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