「哀愁のヨーロッパ」を「クェクェクェクェーエ・ビヨヨーン」と歌う謎のアルバムを発掘

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洋楽の名曲を日本語に直訳しベタベタな日本語で歌う“直訳モノ”が、王様のパフォーマンスによって一時代を築き、大きな話題になったことは記憶に新しい。

王様のレパートリーとしては主にディープ・パープルやレッド・ツェッペリンなど、往年のロックが有名だが、今回発掘されたのは、その王様の音源ではなく、なんとディスコ&ロック・クラシックのジャンルのカバーで、パフォーマンスするのは王子様、風林火山、そして俺様という、なんともトホホなメンツなのである。そのタイトルは『直訳★天国』。1996年にCDとしてリリースされていたものだが、今回はCDではなく、12月25日から配信限定でリリースされることが決まった。

王子様がパフォーマンスするのは、ビージーズの直訳バージョン。「Stayin' Alive=生きてて」「Night Fever=夜に興奮」「More Than Woman=女以上」という、これ以上ない直訳の直球勝負。ビージーズを髣髴とさせるファルセットヴォイスで、力の抜ける直訳歌詞をドストレートに投げ込んでくれる。

風林火山が何を意味するかというと、これがアース・ウィンド・アンド・ファイアなのである。これは言い得て妙。ナイス日本語訳である。もちろん彼らの代表曲の数々をユルーい日本語訳で歌いまくってくれる。「Fantasy=妄想」「September=9月」、大笑いしてしまうのが「Let's Groove=のっとけ」。意味を考えればそりゃそうなんだが、なんとも気の抜けたタイトルになるもの。

そして極め付けが、ギターソロを直訳(?)する俺様のパフォーマンスだ。ギターソロの直訳って…、つまりギターソロのメロディーを歌うことで演奏し切ってしまうのだ。ジャズではスキャット、R&Bではこぶし&フェイクと、歌詞のないヴォーカルでメロディーを作っていくものはあるが、ギターソロを口で表現するというのは前代未聞ではないだろうか。つまり、サンタナの「哀愁のヨーロッパ」の出だしは「クェクェクェクェーエ・ビヨヨーン」となるのである。どうです、アナタはこのノリについていけるだろうか。

俺様のパフォーマンスでも抜群の出来なのがギターソロメドレー。「哀愁のヨーロッパ~胸いっぱいの愛を~紫の煙~紫の炎~スピニング・トゥ・ホールド~レッド・ブーツ~愛しのレイラ~ホテル・カリフォルニア」と続くギターソロは圧巻だ。

という唯一無二なパフォーマンスの数々なのだが、忘れないでおきたいのが、これらが決して悪フザケの拙いものではなく、バックの演奏もヴォーカルも本格的な出来だからこそ、思いっきり笑えるのだということ。これが下手くそなものなのだったら、それはただのお遊び。そうではないところに、パフォーマンス者の原曲に対する愛を感じられるのだ。

まずは聴いてみなけりゃ始まらない。この中から「Stayin' Alive=生きてて」「Fantasy=妄想」「哀愁のヨーロッパ」の3曲の試聴を公開しているので、ぜひぜひ。

◆『直訳★天国』楽曲試聴

ただし、これを本心から楽しめるのは、原曲を知っている必要があるかも。この機会に、ホンモノの方も聴きなおしてみてはどうかな?

『直訳★天国』
ジェネオンエンタテインメント
2008年12月25日よりiTunesで配信開始
01.生きてて(Stayin' Alive)
02.夜に興奮(Night Fever)
03.女以上(More Than A Woman)
04.愛情深い(How Deep Is Your Love)
05.ミラーボールよ永遠に(メドレー・ショートバージョン)
06.妄想(Fantasy)
07.9月(September)
08.のっとけ(Let's Groove)
09.ブギの国(Boogie Wonderland)
10.大宇宙メドレー(メドレー・ショートバージョン)
11.哀愁のヨーロッパ(オリジナル:サンタナ)
12.スピニング・トゥ・ホールド(オリジナル:クリエイション)
13.俺様のスーパー・ギター・ソロ(メドレー:哀愁のヨーロッパ~胸いっぱいの愛を~紫の煙~紫の炎~スピニング・トゥ・ホールド~レッド・ブーツ~愛しのレイラ~ホテル・カリフォルニア)
14.生きてて(Stayin' Alive)カラオケ
15.愛情深い(How Deep Is Your Love)カラオケ
16.妄想(Fantasy)カラオケ
17.9月(September)カラオケ
18.哀愁のヨーロッパ カラオケ
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