シャ乱Q、20周年記念ライヴに9年ぶりの森高や12年ぶりのL⇔Rなど登場

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結成20周年を迎えたシャ乱Qが、12月6日、日本武道館にて記念イベント<感謝!ハタチのシャ乱Q みんなでお祝いだ!日本武道館フェスティバル ~長いよ~>を開催した。ライヴにはヴォーカルのつんく♂がプロデューサーを務めるハロー!プロジェクトのメンバーや、五木ひろし、堀内孝雄、KAN、黒沢健一(L⇔R)、そして森高千里など総勢25組59名が出演。約6時間にわたるライヴとなった。なお、このライヴの模様は、12月12日午後8時よりWOWOWで放送される。

◆<感謝!ハタチのシャ乱Q みんなでお祝いだ!日本武道館フェスティバル ~長いよ~>のライヴフォト

モーニング娘。やBerryz工房、℃-ute、そしてTHE ポッシボー、キャナァーリ倶楽部のオープニングパフォーマンスでステージに招き入れられたシャ乱Qのメンバー。イベントはシャ乱Qのデビュー曲「18ヵ月」からスタートした。開始早々、シークレットゲストとしてステージに現れたのは、“特命係長 只野 仁”こと高橋克典。高橋とシャ乱Qは同期で、さらに練習スタジオが一緒だったことから仲良くなったという20年来の仲だ。偶然にもイベント当日は、映画『特命係長 只野仁 最後の劇場版』の公開初日。舞台挨拶の合間を縫ってお祝いにかけつけた高橋は、メンバーに映画の割引券を配ったのち、シャ乱Qの「こんなにあなたを愛しているのに」をつんく♂とともに歌った。

その後、つんく♂プロデュースでCDをリリースしたFUJIWARAや、昔からの付き合いのGAKU-MCが次々登場してパフォーマンス。中でも、第1部で大きな注目を集めたのは、シャ乱Qと同期の黒沢健一(L⇔R)、そして事務所の先輩・KANの登場。黒沢健一は、“この歌、約12年ぶりに人前で歌う” と、L⇔Rの代表曲「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」を歌唱。また、1966年に武道館公演を行なったビートルズの格好と同じ衣装(本人曰く、“武道館での正装” )で登場したKANは、つんく♂、黒沢とともにビートルズの「NOWHERE MAN」を披露し、続けて空前の大ヒットを記録した「愛は勝つ」で会場を大いに沸かせた。


沸かせたといえば、第2部で行なわれた、ハロー!プロジェクト、NICE GIRL プロジェクト!のメンバーたちによるデビュー曲のパフォーマンス。Berryz工房や℃-ute、THEポッシボーにキャナァーリ倶楽部、さらに小川真奈、真野恵里菜がそれぞれデビュー曲を披露する中、ステージには中澤裕子と安倍なつみが登場。彼女たちといえば、モーニング娘。の第一期ということで、歌う曲はもちろん、モーニング娘。のデビュー曲「モーニングコーヒー」。歌が始まると、モーニング娘。が初めて世に出てきた頃を思い出させるようなコールが武道館のいたるところで巻き起こった。

さらに我々を驚かせたのが、藤本美貴。いまや舞台や歌謡曲の世界にシフトして活動している彼女。アイドル時代の歌はもはやライヴでは聴けないものと諦めていたファンも多いはずだ。しかし、そんな気持ちに応えるかのように、彼女がこの日歌ったのは、自身のデビュー曲「会えない長い日曜日」。これにはファンはもちろん、オーディエンス(記者を含む)に大きな驚きと喜びを与えてくれた。

まことに “シャ乱Qの20周年よりも値打ちがある” と言わしめたのが、森高千里のステージ。なんと9年ぶりにステージで歌うということで、つんく♂も “(9年ぶりの歌披露の場が)シャ乱Qのライヴでいいんですか?” と思わず言ってしまうほど。髪を上げてリーゼント、さらに “森高千里といえば” の超ミニのスカートでロックに決めた森高は、「渡良瀬橋」をキーボードで弾き語り。今も変わらない歌声で我々を魅了すると、今度は、作曲者の黒沢健一、そしてたいせいとともに、飲もう~♪でおなじみ1994年のヒット曲「気分爽快」を披露。サビでは、ステージ、オーディエンスも一体となって、当時放送されていたビールのCMのように右手を左右に突き上げた。

堀内孝雄、山川豊、そして五木ひろし。日本歌謡界・演歌界を代表する歌手もまたシャ乱Q20周年のお祝いに駆けつけた。中でも、アコースティックギターを手に登場した事務所の先輩・堀内孝雄と五木ひろしは、つんく♂と3人並び、アリスの「冬の稲妻」をセッション。前日まで「君のひとみは10000ボルト」を演るものだと思って練習していたという五木は、「冬の稲妻」を歌い終わった後に “気持ちいいね!” と言いながら、「君のひとみは10000ボルト」のコードをおもむろにかき鳴らす。すると堀内も<鳶色のひとみに>と歌い始め、今度はプログラムにはなかった「君のひとみは10000ボルト」をアドリブで披露。そんなステージ上のサプライズに、オーディエンス以上にスタッフ、関係者が驚いたことは想像に難くない。

ゲストを呼んでのライヴパートの後、最後のブロックはシャ乱Qによるライヴ。メジャーデビュー後のバンドを救った「上・京・物・語」からスタートし、「いいわけ」「My babe 君が眠るまで」と大ヒット曲が続く。キーこそ下げているものの、つんく♂の歌声は当時と変わることはない。さらに、この日のために作ったという、久しぶりの新曲「愛するということ」を挟んで、大ヒット曲「シングルベッド」「ズルい女」を含む、10曲(アンコール2曲)を歌いきった。

ある意味フェスに近かった今回のイベント。オーディエンスも、シャ乱Qファンを中心に、ハロプロファンから五木ひろしや堀内孝雄ファンまで、老若男女、幅広い層が集まった。にもかかわらず、最後のアンコールで、そのさまざまなオーディエンスが一緒になり、サイリウムや手を振ってステージ上のシャ乱Qへ声援を送っている姿には、どこか不思議な感じがした。

五木ひろしは、公演後の会見で語った。“つんく♂の作る歌は、小さい子供たちからお年を召した方まで楽しめる。日本の流行歌として、正しい形。” と。

昨今、“音楽ファン” という言葉が、“音楽を広く愛する人たち” という意味から、“(特定の)アーティストが好きな人”へと変わってきた気がする。それの良し悪しの判断は別として、“ロックが好き”“ジャズを好んで聴く” といった、ジャンルによるくくりこそあったものの、その中で分け隔てなく音楽を聴いていたファンは減り、一組、もしくは数組のある特定のアーティスト以外の音楽は聴かないという “音楽ファン” の増加によって、音楽は、よりパーソナルなものになった。一方で、この日のイベントで見られた光景、すなわち、ロック好きもアイドル好きも演歌好きもが、シャ乱Qへ声援を送るという光景は、そんなパーソナル化した今の音楽とは明らかに異なったもののように感じられた。

シャ乱Qというのは、ロックバンドでありながらも、歌謡曲的なものを含む、さまざまな要素を持ち合わせたグループなのかもしれない。それはつんく♂と、ギタリストのはたけというコンポーサーを中心にしつつも、ドラマーのまことや、キーボーディストのたいせいの音楽センスが加わることで、作り出される多様性。思えば、ジョンとポールというふたりのアーティストを中心としつつも、ジョージやリンゴもまた彼らの持つ感性で名曲を生み出した、あのビートルズの形にも近い。

“シャ乱Qは日本のビートルズだ” といってしまうのはいささか強引だが、ビートルズの曲と同じように、誰もが知っているようなキャッチーな楽曲、世代を超えて誰もに愛されるような楽曲を20年にわたって生み出してきたバンドであるということは、アンコールで記者が目にした光景からも、疑いようのない事実だ。


なお最後に、本イベントの収益の一部は、知的発達障害のある人たちに様々なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を、年間を通じ提供している国際的なスポーツ組織「認定NPO法人 スペシャルオリンピックス日本」へと寄付された。

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◆シャ乱Q オフィシャルサイト
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