ドラミが行く!<グラストンベリー>-其の5-

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6/27(日・3日目)雨~曇り~小雨~雨
<会場の状態:川と沼>
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最終日は朝から動くぞと心に決めて前夜就寝したのに、起きたら大雨。しかも寒い。
終盤までのエネルギー・セーブを考えて午後からライヴ会場への出陣を決定し、午前中は風吹き荒れる中でテントを守るのに躍起になって過ごした。
レジャー・シートでテント丸ごとを覆っていると「そのアイディア、いいね!」と声をかけてくる人やじっくり観察をする人々が後を絶たず、すっかり見せ物化した我らの基地はなんとか浸水を免れることができた。

雨は弱まることもなく、意を決しPyramidのJames Morrisonへ向かった。会場に辿り着くまでの道は氾濫川になっていた。
くるぶし程度まである田園状態を10万人以上が行き交うのは異様な光景。グシャっと崩壊したテントも何体か目撃した。持ち主は一体どこで寝たのだろう?

一度だけ泥に足を取られてすっころんだ。
転んだ場合、パパラッチのように人だかりができて写真を取られまくるという二次災害があることも既に学んでいたのですぐに立ち上がった。
日本なら助けるか見なかったことにして羞恥度を減らしてあげようとするものだが、英国では更に泥をかけるか笑われるかで、いずれにせよ悲惨だ。

Pyramidに到着したときにはラストの曲で、客も疲れ顔。無理もない。
そのまま未開の地であったAvalonへ行ったが、ヒッピーは雨に弱いらしく人がほとんどいなかった。
ティピ村や各所に飾られたオブジェ、「YAKITORI」とかかれた和風レストラン(もちろん仮設)を覗きながら日本文化の間違った解釈のされ方を黙認しつつOtherへ移動。

観たかったMikaには間に合わず、同時刻開始のManic Street Preachersへの参戦も無理と判断し、これまた未開のままであったKids Landへ向かった。

Kids Landはファミリー専用キャンプ・サイトに隣接していて比較的静かなエリアに位置し、ミニ遊園地には音遊具も各所に用意されており、ガキんちょが打楽器をバンバン叩いていた。

子どもに長時間同じ場所でじっとさせるのは酷なこと。しかしながらこれほど充実した施設があれば父ちゃん母ちゃんになっても子どもをあやしながら音楽フェスを楽しめると容易に推測できた。
実際、乳母車、荷台、ソリにお子たちを乗せて泥沼の中を運搬する肝っ玉母ちゃんや父ちゃんの姿を多く見受けた。

ここの入り口付近に長蛇の列があったので覗いてみると、出口からはスッキリ顔の人が次々出てきた。ホット・シャワーポイントであった!
気が付くのも遅かったし、もはや身なりなんぞ気にしている場合ではなかったので、敢えて5日間風呂無し生活を営んだ。

その後は屋台物色を開始。
グラストの屋台メインはイギリス料理で、イモ系であるジャケット・ポテト、フィッシュ・アンド・チップス、マッシュ・ポテト&ソーセージ屋。
他はケバブ、パスタ、ピザ、タコス、たまにアジアン系の店で天麩羅や焼きそばと名が付いた見たことのない物体が売られていた。
酒は巨大なワイン樽を設置し販売していた店でのホット・ワインが繁盛しており、変わり種としては暖かいアップル・スパイシー・ジュース屋、ヨーグルト屋、ベルギー・ワッフル屋、クレープ屋が繁盛していた。ガーナのチキン・カレーは美味だった。

牧場という土地なので美味しいミルクを購入できるのかと思いきや、いつもショップで買っているメーカーの牛乳しか売られていなかった。朝霧ジャムのようなシチューを期待していたんだけどなあ。

お腹も満たし、ほろ酔い加減でKaiser Chiefsを観た。
悪天候もくそくらえと云わんばかりの盛り上がり。いいステージであった。
そしてお待ちかねのPyramidヘッド・ライナーであるThe Whoの登場。

The Whoでは「これがグラストンベリー」といった空間が広がった。
「I Can't Explain」「Who Are You」「My Generation」ヒット曲立て続けのオープニング。満杯の客は降りしきる雨も気にもせず肩を組んで大声で歌い、たまに葉っぱの薫りも漂わせながら陽気な踊りを披露するオッサンもいたりして、ラフに話しかけてくる。真顔で「Who are you?」と言われたときは吹き出してしまった。

彼等の存在、英国で生まれた今も色褪せない曲、長い歴史などがグラストンそのものとリンクし、その場にいられることの喜びと醍醐味を噛みしめ、震えるほど感動した。

ただし、気になったのはライヴの終わり方。
時間のせいなのか天候のせいだったのかわからないが「アレ? もう終わり?」というほど呆気なく、尻切れトンボのように終演したのはなんとも残念であった。周囲の客も盛り上がっていただけに「come oooooon! This is Glastonbury!」と軽めのブーイングを起こしていた。

実はOtherのトリであるChemical Brothersを少し観たいと思っていたのだがThe Whoのグラストでのヘッド・ライナーを次いつ観られるのかわからないので諦めた。彼等はどうだったのだろうか。

The who後、踊るぞ~っと張り切ってDance West & Eastへ行ったが既にステージは解体作業に入っていた。
唯一音が鳴っていたRoots横でアトムの映像に会わせたDJを暫く観ていたが、雨が更に激しさを増したのでテントに戻った。

こうしてドラ初のグラスト経験は終了した。

翌日、テントを解体し、ゴミとして処理。(持ち運びは不可能な状態であった)
今年からチャリティ活動として不要なテントはエチオピアへ運ばれることになったのは知っていたが、あれほど多くのテントを残してゆくとは思わなかった。(新聞報道によるとその数1万5千体)

その後、乗車まで2時間待って乗ったバスの行き先は間違っていて、ガコーンとショックを受け、タクシーを呼んでバース・スパ駅まで行く予定は道行く英国紳士たちのアドヴァイスによりコロコロ代わり、ロンドンへ帰宅できたのは8時間後の夜10時半。(通常所要時間は2時間)

恐るべしグラスト!!! というより、イギリスの交通網の未発達さ!!!

会場内にゴミがほとんど落ちていなかったこと、トイレット・ペーパーは無料配布、露店ではテントや椅子、寝袋、長靴、ドレスやワンピまで購入できてしまうことに驚いたことも忘れず報告したい点である。

金さえあれば何も持ってくる必要のないフェスであるときっぱり言える。
逆に、資金をセーブしたい人にはガス・コンロや食料を持参することを薦める。やっぱしフェスでの食べ物は高いからね。

最後に、来年参戦する人へ。

●雨対策は万全に!
●キャンプをしながら音楽を楽しむという感覚で挑むべし!
●会場への行き帰り経路をしっかり段取るべし!

文●早乙女doraゆうこ

▼グラストンベリー・フェスティバル 07【フォト・アルバム】
https://www.barks.jp/feature/?id=1000032549

■オフィシャル・サイト http://www.glastonburyfestivals.co.uk/
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