――日常生活でも大変だったと思うけど、ナッシュビルでの一番の思い出は?
ANCHANG:金髪のおねえちゃんがいないんですよ、ナッシュビルには。夜の12時ぐらいになるとみんな帰っちゃうんですよ。だから、ナンパのしようがない。あとは釣りですね。日曜日だけが休みなんで「行かなきゃ! 魚が呼んでいる!」って。
KENJILAW:僕は一晩、バーのハシゴをしたんですが、ブライアン・セッツァー・バンドのベーシストがいた。「ウッドベースのスラットはどうやってんの?」とかいろいろ聞いたりして。そのときにゲイの人にもからまれた(笑)。
SYPAN
JOE:僕は毎日のようにセントラルパークっていうデカい公園をジョギングをしてたんですよ。そしたら、グラマーな女の人が笑いながら話かけてくるんですよ~。
PANTHER:ザック・ワイルドのライヴの前々日に僕等がライヴをやって、終わってバーでウダウダしてたんです。そこにブラック・レーベル・ソサイエティのライダースを着た5人組が来て。「僕等、日本から来たんです。どーもー」って言ったら、そこにいた全員にビールをおごってくれて。でも、ザックが金払ってなさそうなんだけどなー(笑)。
――ではアルバムについて教えて。
ANCHANG:まずは悪と戦う「サボテン兄弟」。「Samurai
No7」は『七人の侍』っていう映画のイメージで現代的に作りました。「Mama San Volley」は、マシンガンズらしい生活密着型ですね。「限りなき抵抗」は、女の人が気にする見た目とか美しさっていう部分をえぐってみました。
KENJILAW:このセリフは入り込んでみました(笑)。女性の気持ちになるのは得意なんで。生まれ変わったら女の人になりたいって思いますもん。
――「Sweet Sweet」「Reach For The Sky」は、とってもアメリカらしいし、KISSっぽくてカッコいい。こういう曲は今までマシンガンズにはあまりなかったよね。
ANCHANG:そう言ってもらえると嬉しいですね。「Reach…」に関しては、アメリカに行くんだからこういう曲は必要だろってことで作った曲なんですけど。「Sweet…」は、基本的にロックン・ロール系。やるのは簡単なんですよ。モトリークルーみたいな演奏は簡単だけど、雰囲気を出すのが難しいんですよね。
PANTHER:僕はアメリカンは大好きですね。LAメタルはヘヴィメタルの中でも一番好きなジャンルだし。でも、やるのは難しいんですよね。
――では、このアルバムの聴きどころを。
KENJILAW:アメリカに行った以上、個人的には何々っぽさって何だろうっていうところで、研究したんですけど。その微妙なニュアンスっていうのが大きなテーマだったので、そこを聴いてもらえればなと。この12曲は、LAメタルって何だろう、スラッシュ・メタルって何だろうっていうところをいろいろと考えた結果なんで、そういうところを聴いてもらえればなと。
SYPAN
JOE:グルーヴしかないですね。あれだけ何回もやって良いテイクを求めたので、それが出てると思う。そこをみんなも感じるものがあったら嬉しいなって思いますね。
PANTHER:「愛人
28」と「Hungry Eyes」っていうのは日本で録ったもので、ソロを聴いてもらえれば明らかに違うのが分かると思うんです。その2曲はとにかく細かいんですよ。それ以外の向こうで録ってきたソロは、もう覚えてないぐらいの感じなんですよ。そういう大きな空気というか、それがフレーズにできたかなと思うので。
ANCHANG:僕はやっぱりヴォーカルですかね。根が恥ずかしがりなので、実は雰囲気ものの曲って弱かったりするんですけど。今回はアメリカに行ったので、周りにいるエンジニアが全員外人ですから、“イエー”とか“ウー”なんかのフェイクがすごい入ってるんですよ。そういうニュアンス的な部分とか歌い方が変わって聞こえているといいなって思いますね。僕なりに努力してみたんで。
取材・文●森本 智