【インタビュー】結成当時のlynch.を再現し、超えるリテイクアルバム『GREEDY DEAD SOULS / UNDERNEATH THE SKIN』

◾️いろんな感情が渦巻くようなライブになると思う
──今回の音源を聴いて興味深かったことのひとつに、懐かしさ以上に新鮮さを感じさせられたことがあります。シンプルなアプローチでバンド力が発揮されているという意味では、例えばLUNA SEAがかつて1stアルバムの再録盤を出した時の印象にも重なるものもありました。そして、過去の楽曲ばかりでありながら今の音とギャップのないこの作品の中に、1曲だけ「GOD ONLY KNOWS」という最新曲が収められているわけですが…。
葉月:これは実は完全な新曲という訳ではなくて、元となる曲は2008年に作った曲なんです。当時のツアーで新曲としてやっていた曲で、満員の恵比寿リキッドルームでもやっているはずなんで、聴き覚えのある人も結構いると思うんです。今回はこの曲でミュージックビデオも撮りましたけど、それを見て“あっ、この曲は”と思う人もいるはずです。
──危うくお蔵入りになりかけていた曲だったわけですね。機会があれば再浮上させたいと前々から思っていたんですか?
葉月:そうですね。なんとなく10年前ぐらいに“悪くないな”と思うようになって。デモはiTunesに保存してあったので、その後もたまに聴くことがあったんですけど、今回こうしてリテイクアルバムを作るという話が出てきたので「そこに追加曲を入れるなら、この曲はどうですか?」という感じで提案させてもらって。
──歌詞も当時のままなんですか?
葉月:いや、当時は歌詞がなかったんで。ライブではデタラメに歌ってたんです(笑)。

──なるほど。その意味ではこの曲もこの機会に復活を遂げたわけですね。ただ、世の中的にはそれが最新の楽曲として受け止められることにもなる。そこに抵抗はないんでしょうか?
葉月:それは全然ないですね。実は今回のリテイクアルバムの中で一番アレンジが変わっているのがこの曲なんです。というのも、今回リテイクした初期の曲たちについては一度形になっているものだから、それに対するリスペクトというか、原形を重んじたいという気持ちがあるわけです。だけどこの曲は2008年当時デモでしかなかったし、作品にはなっていなかったので。
悠介:正直な話、“なんかこんな曲あったな”ぐらいの感覚でしたね。当時のアプローチについてもまったく憶えていなかったし。だから今回はむしろ、まっさらな気持ちで取り組もうとしましたし、懐かしい曲ではあるんだけど新曲として捉えました。
明徳:僕は当時のこの曲を知らないんで、新曲だと言われても信じてしまいますね(笑)。でも実際、2024年の『FIERCE-EP』からの自然な流れにある新曲のようにも思えるし、みんなきっと説明されなければ2008年の曲が元になっているとは気付かないだろうと思いますね。
晁直:当時のものと比べるとだいぶ変わってるし、聴いた時に“あぁ、あの曲か”とさえ思わなかったぐらい、もうまったく別モノになっているんです。残ってるバーツもあったりはするにしても曲としては完全に違うものだから、初めて聴いた人にとっては新曲以外の何物でもないですよね。
玲央:追加で曲を入れようという話が出てきた時に、「greedy dead souls」や「underneath the skin」と同じ時期に作った曲ではないにしろ、インディーズ時代ならではのああいった空気感を持っている曲の方がいいよねと葉月と話していて。その上で彼から提示された楽曲でもあるし、実際これが出てきた時には「そうそう、こういう曲!」という感じでしたね。

──僕は先ほどの発言を聞くまでこの曲を純然たる新曲だと思い込んでいましたし、それこそ「この曲を作るにあたって、こうして過去曲に向き合う機会を経てきたことでインスパイアされた部分もあったんでしょうか?」みたいな質問もするつもりでいたんです。とんだ見当違いでしたけど。
葉月:あはは! すみません。
──いえいえ。ただ、これが完全なる新曲じゃないとなると“新曲、全然作ってないの?”という疑問も出てくるわけですが。
葉月:全然作ってないです(笑)。また、それに向けてのタイミングで作ります。頭の中にはいろいろとありますよ。次に作る時期が来たらこういうことやろうかなとか、こういうチューニングで作ろうかなとか、それは今の段階でもあります。でもまだ具体的な形にはしていないし、デモとかは作ってないですね。


──そしてもうひとつ気になるのは、4月18日から始まったツアーのこと。<UNDERNEATH THE GREED>というタイトルが掲げられているだけに、今回の再録盤に沿った内容のライブになることが想像されるわけですが…。
葉月:(取材時には)まだ詳しい内容というかセットリストが決まってなくて。当然ながらこのアルバムの曲をやることにはなるんですけど、いかんせん曲数が多くて…20曲以上あるわけなので、それを全部やろうとするとここ最近の曲は1曲もできなくなってしまう(笑)。それもちょっと寂しいので、良いバランスを見つけだして構成したいなとは思ってます。ただ当時のlynch.って、今とは結構違う感じだったと思うんですね。よりストイックで硬派な感じで、僕もあんまり喋っていなかったと思うし。そういう空気感はなんとなく狙っていきたいというか、求めていきたいですね。この曲たちを当時の意図をちゃんと汲みながらやりたいという気持ちがあります。
悠介:僕自身も当時、イベントとかで3人の頃のライブを何度か観ているんですけど、そこでの空気感というのがやっぱり他のどんなバンドとも違っていて、すごくピリピリした感じ、寄せ付けない感じというのがあって。そこがすごくカッコ良かったんですよね。そういう空気感を今の自分たちとして…出せないかもしれないですけど(笑)、そういったものを多少なりともお客さんに伝えられればいいなと思ってます。遊び心というのとはまた違いますけど、ツアーを通してそういったことがやれたらいいな、と。
明徳:このツアーにはいろいろな種類のファンの人たちが集まることになると思うんです。当時のピリ付いた空気感のライブを体験してきた人たちも、今回リテイクした曲たちを聴いたことすらなかった人たちも観に来てくれるはずだし、ある意味、いろんな感情が渦巻くようなライブになると思う。そこで自分たちがどう振る舞うことになるのかということも含めてすごく楽しみですね。
晁直:既発表の楽曲ばかりとはいえ、この作品の楽曲を中心とするライブになるだろうから自分たちにとって新鮮な感じにはなるだろうし、それをみんなにも新鮮だと感じてもらえたならいいなと思いますね。そこでlynch.のこれまでとは違った面、新しい面というのも出せるように頑張ります。
玲央:ツアーの日程を見るとわかるように、結成当初に通わせていただいていたライブハウスにも今回は結構行くことになっているんですね。そうした場所で当時の楽曲をプレイするとなれば、おそらく何かしらのスイッチが入ることになると思うんですよ。しかも、すごく懐かしくもあり新鮮にも感じてもらえるでしょうし、そういったライブをしていくことで先々の展望も見えてくる気がしてるんですよね。それに、武器っていくつあってもいいものだと思うんです。今はこの武器を使うから、これは二度と使わないとかではなく、増やしていけばいいだけのことだと思うので、当時と同じように常に攻めの姿勢でツアーを廻れたらいいかなと考えています。

──このツアーの過程の中で、次に作りたいものが見えてくる部分もありそうですね。
葉月:どうなるでしょうね(笑)。ただ結構長いツアーなんですよね。ふと思い出してみると、昔はよくツアー中にライブハウスで曲を作ってたんです。それを今一度やってみたいなという気持ちもあるんです。でも、この曲たちをライブでやるとなると、結構難しそうなんですよ、歌が。だから、とにかく頑張ります(笑)。
取材・文◎増田勇一
写真◎荒熊流星
リリース情報
『GREEDY DEAD SOULS / UNDERNEATH THE SKIN【数量限定盤】』
2025年4月16日(水)リリース
KIZC-90771~90774 ¥9,900(税込)


・Disc.1:CD『GREEDY DEAD SOULS』
収録内容 ※全曲新録
➀VERNIE/➁QUARTER LIFE/➂矛盾と空/➃59./➄らせん/➅REW/➆SLEEPY FLOW/⑧UNKNOWN LOST A BEAUTY/⑨DISCORD NUMBER/➉ラティンメリア/⑪PULSE_
・Disc.2:CD『UNDERNEATH THE SKIN』
収録内容 ※全曲新録
➀THE WHIRL/➁ALIEN TUNE/➂MELT/➃LIZARD/➄ABOVE THE SKIN
・Disc.3:CD『GOD ONLY KNOWS』
収録内容 ※全曲新録
➀GOD ONLY KNOWS(新曲)/➁A GRATEFUL SHIT/➂STUCK PAIN/➃STARZ/➄無題/➅DIZZY
・Disc.4:Blu-ray
・GOD ONLY KNOWS(新曲)MUSIC VIDEO
・GOD ONLY KNOWS(新曲)MUSIC VIDEO MAKING
◆購入特典
メーカー特典:ミニ巾着(対象店舗:https://www.kingrecords.co.jp/cs/t/t16119/)
タワーレコードオリジナル特典:バックステージパス風ステッカーセット(5枚組)

◆リリースイベント
詳細:https://www.kingrecords.co.jp/cs/t/t16113/
[サイン会]
2025年4月23日(水)タワーレコード梅田NU茶屋町店
2025年5月07日(水)タワーレコード名古屋PARCO店
2025年6月21日(土)タワーレコード新宿店
[ツアーアフタートークイベント]
2025年6月21日(土)タワーレコード渋谷店
◆ミニチュアパネル展&プレゼントキャンペーン
詳細・開催期間・参加方法:https://www.kingrecords.co.jp/cs/t/t16208/
[開催店舗]
タワーレコード札幌パルコ店
タワーレコード新宿店
タワーレコード渋谷店
タワーレコード名古屋パルコ店
タワーレコード梅田NU茶屋町店
タワーレコード福岡パルコ店
商品詳細:https://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKIZC-90771/
ライブ・イベント情報
◆<BLACK BEAUTY BEASTS>
2025年
9月15日(月・祝)Zepp DiverCity(TOKYO)
9月21日(日)なんばHatch
9月27日(土)名古屋COMTEC PORTBASE
◆<LIMITED 3 DAYS>
Spotify O-WEST
10月13日(月・祝)MEN’S ONLY
10月14日(火)WOMEN’S ONLY
10月15日(水)SHADOWS ONLY
◆”lynch.×Music Bar ROCKAHOLIC-Shinjuku- Special Collaboration Week”
4月15日(火)~4月21日(月)Music Bar ROCKAHOLIC-Shinjuku-
19:00~4:00
※入場無料(1ドリンクオーダー必須)
※23:00以降の18歳未満の方のご入店、滞在不可
※未就学児のお子様のご入場不可
Music Bar ROCKAHOLIC-Shinjuku-:東京都新宿区歌舞伎町2-38-3 stella.K B1
詳細:https://bar-rockaholic.jp/shinjuku/news/2025/03/lynch-rockaholic.php
ツアー情報
lynch. 20th ANNIVERSARY PROJECT “XX act:5”
<TOUR’25「UNDERNEATH THE GREED」>
2025年
4月18日(金)神奈川・新横浜NEW SIDE BEACH!!
開場18:30 / 開演19:00
4月20日(日)埼玉・HEAVEN’S ROCK熊谷VJ-1
開場17:00 / 開演17:30
4月24日(木)大阪Yogibo META VALLEY
開場18:30 / 開演19:00
4月26日(土)和歌山SHELTER
開場17:00/開演17:30
4月29日(火・祝)岐阜club-G
開場17:00 / 開演17:30
5月15日(木)北海道・札幌Bessie Hall
開場18:30 / 開演19:00
5月16日(金)北海道・札幌Bessie Hall
開場18:30 / 開演19:00
5月18日(日)青森Quarter
開場17:00 / 開演17:30
5月20日(火)宮城・仙台darwin
開場18:30 / 開演19:00
5月30日(金)福岡DRUM Be-1
開場18:30 / 開演19:00
5月31日(土)熊本B.9 V1
開場17:00 / 開演17:30
6月5日(木)愛知・名古屋ElectricLadyLand
開場18:30 / 開演19:00
6月7日(土)高知X-pt.
開場17:00 / 開演17:30
6月8日(日)岡山IMAGE
開場17:00 / 開演17:30
6月13日(金)長野CLUB JUNK BOX
開場18:30 / 開演19:00
6月15日(日)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
開場17:00 / 開演17:30
6月20日(金)東京・Spotify O-EAST
開場18:15 / 開演19:00
◆チケット一般発売中
◆問い合わせ
新横浜・熊谷・渋谷:DISK GARAGE https://info.diskgarage.com/
大阪・和歌山:YUMEBANCHI(大阪)06-6341-3525
岐阜・名古屋:キョードー東海052-972-7466
札幌:WESS info@wess.co.jp
青森・仙台:キョードー東北 022-217-7788
福岡・熊本:BEA 092-712-4221
高知:DUKE 088-822-4488
岡山:YUMEBANCHI(岡山)086-231-3531
長野・新潟:FOB 025-229-5000
総合info:サイレンエンタープライズ03-3447-8822