【レポート】Psycho le Cému主催<姫路シラサギROCK FES 2026>、二日間延べ10組が白鷺城下で夢の競演

2026.04.23 18:00

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「桜の咲く頃に会いましょう」──2025年5月に初開催された<姫路シラサギROCK FES>で再会を約束したとおり、桜が咲き誇る3月28日および29日に、兵庫・姫路アクリエ大ホールにて<姫路シラサギROCK FES 2026>が行われた。主催者であるPsycho le Cémuをはじめ、個性豊かな充実したステージと姫路を思う気持ちにあふれた、熱く温かい二日間のオフィシャルレポートをお届けする。

Psycho le Cémuと言えば、ロックバンドの枠にとどまることなくさまざまなパフォーマンスを見せることでも知られた存在だが、そんな彼らが主催するフェスのオープニングを飾るのは、彼らのお芝居。神の国・姫路に集った神々(Psycho le Cémuメンバー)が口にするのは、白鷺城の異名を持つ世界文化遺産の姫路城について。そう、このフェスのネーミングはもちろん姫路城にちなんでいるのだ。

DAISHIの力強い開幕宣言から「夢風車」が始まると、“白鷺城下町を~”という歌詞にも、このフェスや姫路という地元への熱い思いを改めて確認する。アウトロで幕が下りてくるのに連れ、楽器陣の姿は見えなくなっていく。と、立ち位置が前過ぎたのか、DAISHIひとりがステージに取り残される結果に。会場は笑いに包まれ、のっけから笑いをとってくるとはさすがと思ったのだが、実は本当にうっかりしていたらしい(笑)。

 

【氣志團】

バイクのエンジン音から始まった氣志團の40分間のステージは、自分たちの個性をぎゅぎゅっと詰め込んだ、果汁100%ジュースのような濃くて美味しい時間だった。「汚れなきクソ野郎ども」では威勢のよい和太鼓が、そして「One Night Carnival」ではPsycho le Cémuの5人が特攻服で登場。MCでは、巨大なプラカードを掲げてチケット購入サイトのQRコードを見せると、この時間に限り撮影OKとして、デビュー25周年記念の全国ツアーを宣伝するなど、一瞬たりとも飽きさせないどころか、目も耳も大忙しにさせるワクワクの時間が続いた。

さらに、Psycho le Cémuとはデビュー前からの中で影響を受けたと語りつつ、彼らが<氣志團万博>を主催している経験から、その大変さを理解したうえで応援したいと語る綾小路翔からは、これぞ漢気とでも呼びたい生き様が伝わってくるようだった。そんな真っ直ぐな姿勢は、自分たちの表現にも体現され、隅々まで徹底されたプロフェッショナルなステージになっているのだろう。それはパフォーマンスだけでなく、音楽、ロックバンドとしての演奏においてでもだ。楽器陣のサウンドに耳を傾ければ、その研ぎ澄まされたカッコよさを堪能できるのだから。40分よりももっとずっと楽しませてもらったような、満足度の高いステージだった。

 

【キズ】

単純にふたつに分けることが許されるなら、氣志團が陽キャであるのに対し、こちらは陰キャと言ってもいいかもしれない。続くは、キズの登場。ステージに現れるメンバーを観客が拍手で迎え入れたが、張り詰めるような緊張感が会場全体を支配していく。ピアノの調べから、来夢の歌声が重なって始まった「鬼」。自在に強弱をつけた歌声は、会場を圧倒するように響き渡る。物理的にも印象的にも仄暗く、重苦しい空気が漂っていた。そんな閉塞感さえ漂っていた空間に、変化を生じさせたのは「黒い雨」。曲の展開に連れてステージに光が差すと、まるで救いがもたらされたかのように感じられた。

後半は畳みかけるように、ハードでアグレッシヴなナンバーを投下。「声を聴かせてくれ」「悔い残すなよ」と、荒々しく言葉を投げつけ、彼ららしいやり方で観客とコミュニケーションをとっていく。「R/E/D/」では、吐き捨てるような歌声とラップに続き、観客に声を求めると、声をあげるという、人間にとって原初的な行動が解放感をもたらしてくれるからか、会場全体に血が通っていったような気がした。終始、特異な存在感を放っていたが、最後にこぼれた笑顔からは、このフェスを楽しんだことがしっかりと伝わって来た。

 

【PENICILLIN】

続くPENICILLINまでの3バンドは、昨年からの連続出演組。出演を快諾してくれるバンドが多いのは、昨年が大成功だった証でもあるだろう。Psycho le Cémuの大先輩でもあるPENICILLINは、ステージに姿を現した佇まいから、演奏はもちろんMCまで、何から何まで余裕たっぷりで、その姿勢がとにかくカッコよかった。特に千聖のプレイひとつひとつや何気ない仕草には、思わず目を奪われた。そんな大人っぽい魅力とは裏腹に、HAKUEIは無邪気に共演バンドの名前をいじった天然モード全開のMCを発動。そのギャップもまた、彼らの魅力なのかも。

昨年リリースされた「阿修羅 青年期」をはじめ新旧の楽曲、さまざまな曲調を織り交ぜたセットリストには、もちろん「ロマンス」も。いわずと知れた名曲に、会場中が沸き立つ。最後「FOR BEAUTIFUL MAD HUMAN LIFE」ではseek (Psycho le Cému)も飛び出し、派手なステージングとコーラスで、PENICILLINとは異なる色を添えてみせた。きっちりと隙のない空気を保ちつつ、MCでそれを緩めるなど、ベテランらしい巧みなライヴ展開で、自然体でキャリアを見せつけた彼ら。今年、結成34周年となるが、シーンの先頭を担う存在として、これからも突き進んでいってほしい。

 

【lynch.】

<姫路シラサギROCK FES>初登場となるlynch.。緊張感をたたえた物々しいSEに対して熱い手拍子が発生、メンバーが姿を現すと熱狂的な歓声が沸き起こり、熱いライヴが始まることを予感させる。シンプルながら黒づくめの衣装を身に包んだ5人の存在感は、ただ立っているだけでさすがの迫力だ。「GALLOWS」から幕を開けると、メロディアスな歌とシャウトを巧みに織り交ぜたヴォーカリゼーションと、冷徹なまでに正確無比なプレイから繰り出されるサウンドといった、彼らならではの美しさをじっくりと味わわせてくれた。

20年ほど前からお世話になっていたという姫路に帰ってきて、大きな会場でライヴができる歓びを口にする葉月。最近の傾向として、姫路がツアーに組み込まれることは少なくなっているかもしれないが、Psycho le Cémuをはじめ個性豊かなバンドを輩出してきた姫路という土地に特別な感情を抱いているバンドマンは少なくないはずだ。そこでライヴができるという意味でも、このフェスの果たす役割は大きい。

AYA(Psycho le Cému)を加えて「MIRRORS」をプレイした後は、リリース後に初めて演奏したのが姫路だったという「ADORE」で締めくくったことからも、関係性の長いPsycho le Cémuに対する、lynch.からのリスペクトがおおいに感じられるライヴとなった。最後に満足げな笑顔を見せた葉月。久しぶりの姫路のライヴを思い切り楽しんだ様子だった。

 

【Psycho le Cému】

1日目のトリを飾るのは、もちろんPsycho le Cému。最高指揮官YURAサマがナーガ(蛇神)の毒におかされ、神々の世界が危機に瀕しているシーンのお芝居から「BLADE DANCE」でライヴがスタート。5人のダンスにDAISHIのラップと、Psycho le Cémuらしい幅の広さは、次の「シャクティシャクティアスティ」でさらに広がる。エキゾチックなサウンドですっかり異国ムードになったところで一転、「お前たちに贈ります」と、デビュー曲「愛の唄」から、彼らの魅力のひとつである歌を真っ直ぐに聴かせる曲を続けていく。なかでも「FANTASIA〜恋の幻想曲〜」は、ここ数年のライヴで耳にしたなかでもピカ一の出来栄えと言ってもいいほどで、ぐっと心を打った実感があった。

曲に浸り、歌に酔いしれた会場へ、「かかってこい!」とseekが吠えたところで後半戦。ギアを入れ直して突き進み、「ノスフェラトゥ」では葉月(lynch.)が加わる。カラフルなPsycho le Cémuのメンバーに対し、黒一点とも言いたい存在が光った。「Murderer・Death・Kill」では、seekがステージから降りると、通路を駆け回り、観客と絡み、身体全体でフェスを盛り上げ、味わい尽くしていた。殺伐とするほどの荒々しい空気を、コロナ禍を乗り越え、彼らが再び歩み始めたときに生まれた大切な楽曲「アカツキ」が包み込んでいく。

最後に届けられたのは、昨年、<姫路シラサギROCK FES>を開催するにあたり、特別な思いを込めてつくり上げられた楽曲「シラサギ」。その曲が、昨年同様、seekの母校である姫路南・海稜高等学校のコーラス部のメンバーとともに丁寧に届けられた。さらに今年は、そのステージに姫路市のイメージキャラクターである「しろまるひめ」も登場。真っ白で真ん丸の可愛いルックス(頭上には姫路城も!)と動きでしっかり存在をアピールし、さらに最後には氣志團の綾小路翔の姿も。伸びやかなメロディがさわやかなコーラスとともに会場を満たし、心温まる感動的なフィナーレで、充実した一日目を締めくくった。

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