【連載】いま、聴きたい演歌・歌謡曲 vol.30(本人歌唱指導付き)瀬川瑛子、川野夏美、津吹みゆ、原田波人、関義哉

世代を超えて愛される「うた」がある。歌唱したい「うた」がある──。
演歌・歌謡曲シーンから注目の作品を毎月紹介する連載企画「いま、聴きたい演歌・歌謡曲(本人歌唱指導付き)」の第30回目。
今回は瀬川瑛子「バラ色のタンゴ」、川野夏美「カクテル」、津吹みゆ「あふれる涙が伝うとき」、原田波人「青い鳥」、関義哉「神さま反省しています」を紹介する。
(協力:日本クラウン)
■瀬川瑛子「バラ色のタンゴ」

来年で傘寿(80歳)を迎え、歌手デビューから60年を迎える瀬川瑛子。1967年のデビューからクラウンの生え抜きとして一度も移籍することなく60年も活動してきたというのは驚異的だ。ほぼ毎年のように新曲を重ね、デュエットものなども含め、これまでにリリースしたシングルは100作品以上となる。
タイトルは「バラ色のタンゴ」。その名の通り、タンゴのリズムを取り入れた華やかで優雅な楽曲。長身で派手なビジュアルが似合う瀬川のイメージにぴったりだ。70年代のムード歌謡のようなシンプルな構成とわかりやすいメロディは、何かと凝った作りをしている最近の演歌や歌謡曲と違う力強さを持った仕上がりになっている。程よくレトロな感じがまたいい。
カップリング曲の「女の小箱」はどことなく園まりの往年の名曲「逢いたくて逢いたくて」を思わせる、ほんのりジャジーな60年代風の歌謡曲。こういう曲は今時の歌い方をしても似合わない。ほどよく奥ゆかしく、少し引いた歌い方が素晴らしい。その時代を知っているからこそできるセンスだろう。作曲を担当した叶弦大が軽い気持ちでちょっと遊んでみたという感覚で作ったのではないかという感じがするが、この力の抜けた作風がとてもいい。隠れ名曲というのはこうやって生まれるのかもしれないなぁ。
「バラ色のタンゴ」
2026年8月5日リリース
CRCN-8868 定価:¥1,550(税抜価格 ¥1,409)
1.バラ色のタンゴ
作詩:水木れいじ / 作曲:叶弦大 / 編曲:伊戸のりお
2.女の小箱
作詩:円香乃 / 作曲:叶弦大 / 編曲:伊戸のりお
3.バラ色のタンゴ [オリジナル・カラオケ]
4.女の小箱 [オリジナル・カラオケ]
■川野夏美「カクテル」

相変わらずの美貌が眩しい、川野夏美の1年ぶりの新曲。重厚な演歌よりも少し軽い歌謡曲が似合う歌手だが、タイトルが横文字の曲は意外にも初めて。タイトルに相応しく、軽やかなシンセサイザーの音に導かれる柔らかな曲。
「カクテル」といって思い出すのは、1991年に八代亜紀が歌った女性讃歌ともいえる名曲。もちろんこれはぜんぜん別の曲なのだが、「カクテル」という言葉に込められた甘くてほろ苦い記憶、少しノスタルジックに過去を振り返るような感覚はとても似ている。これは男性では歌えない、とても女性らしい気持ちがこもった歌だ。
カップリングの「春立ちぬ」は、マイナー調の柔らかな演歌っぽさ強めの歌謡曲。「春立ちぬ」とは立春ということで、今の暦では2月の初め頃に当たる。この時期にパートナーが亡くなったのだろうか。せつせつと心に秘めた思いを語る悲しい歌だ。これから独りで春を迎えるのだと切なさを増幅させるところがなんともやるせない。今回両曲の作詞を担当した高畠じゅん子(絵本作家とは別人)の言葉は、平易だがとても気持ちが伝わってきて、感情移入してしまう。
「カクテル」
2026年8月5日 発売
CRCN-8867 定価:¥1,550(税抜価格 ¥1,409)
1.カクテル
作詩:髙畠じゅん子 / 作曲:弦 哲也 / 編曲:猪股義周
2.春立ちぬ
作詩:髙畠じゅん子 / 作曲:弦 哲也 / 編曲:猪股義周
3.カクテル [オリジナル・カラオケ]
4.春立ちぬ [オリジナル・カラオケ]
■津吹みゆ「あふれる涙が伝うとき」

2デビューから12年目に入り、30歳を迎えた津吹みゆ。これまでとは違った新たなテーマにも挑戦してみようということで、ジャケットはなんと殺陣をイメージした凛々しい姿。
新たなチャレンジとなった新曲は、どこか時代劇的なムードが漂うドラマティックな楽曲。歌詞のテーマが時代劇というわけではないのだが、今時の時代劇のエンディングで流れそうな歴史の雄大なロマンを感じさせるような楽曲だ。津吹の繊細な声と言葉を紡ぐような丁寧な歌い方は、ロマンの世界への水先案内人のようだ。なお、この曲のMVで、津吹はジャケットと同じ衣装で女剣士としての訓練を受けている。もしかしたらコンサートで殺陣を披露してくれるのだろうか?(とハードルを上げてみる)。
カップリング曲の「海神の祈り」もまたドラマティックな楽曲。「海神」は“わだつみ”と読む。日本神話に登場する海の神霊のことで、漁に出る海の男を陸で待つ女の願いと祈りを歌った歌だ。サビの「海よ」のリフレインは一度聴いたら覚えてしまうほど印象的なもの。これもA面にしてもいいほどの仕上がりだ。この2曲は津吹のキャリアの中でも重要な曲になるだろう。
「あふれる涙が伝うとき」
2026年7月15日リリース
CRCN-8859 定価:¥1,550(税抜価格 ¥1,409)
1.あふれる涙が伝うとき
作詩:北爪葵 / 作曲:四方章人 / 編曲:西村真吾
2.海神の祈り
作詩:日野浦かなで / 作曲:遠山 敦 / 編曲:遠山 敦
3.あふれる涙が伝うとき [オリジナル・カラオケ]
4.海神の祈り [オリジナル・カラオケ]
5.あふれる涙が伝うとき [一般用カラオケ・半音下げ]
6.海神の祈り [一般用カラオケ・半音下げ]
■原田波人「青い鳥」


今年でデビュー5年目の23歳。ド演歌というよりは歌謡曲的な感性を持った歌手だ。少し影のある存在感が魅力だ。
7枚目となる新曲のタイトルは「青い鳥」。昨年のシングルが「火の鳥」だったので、“鳥シリーズ”みたいな感じで続くのだろうか。作曲を担当したのは大御所の浜圭介。原田はこれまで比較的若手の作曲家の曲を歌ってきており、ベテランからの楽曲提供はこれが初。浜はポップス的なメロディを演歌的な世界観とミックスしたような楽曲を書く作曲家で、いまこのバランス感覚を持った人は業界では唯一かもしれない。今回もその個性を活かした、ポップス寄りで程よく歌謡曲的な湿っぽさを持った曲。80年代初期のような雰囲気と、シンプルなのにしっかり心に残るメロディはさすがだ。作詞を担当した水木れいじも大ベテラン。少ない言葉数でしっかり世界観を作っている。そんな楽曲を歌った原田の歌は独特の切なさを湛えたもので、すでに自分の世界観を確立しているように見える。
今回も前作に引き続きカップリングを変えた2タイプを同時にリリース。タイプAは「それでいい夜」を収録。少し往年の昼ドラっぽい湿っぽさが魅力の曲で、80年代風の洗練されたアレンジが心地いい。タイプBは少しラテンのフィーリングを持ったアッパーが楽曲だ。最近の歌謡系の男性グループっぽい雰囲気もある。一瞬登場する「こっちへおいで」などのセリフのところで、女性ファンはぜひ失神してほしい(笑)。
「青い鳥」
2026年8月5日リリース
¥1,550(税抜価格 ¥1,409)
【タイプ A】 CRCN-8864 定価:¥1,550 (税抜価格 ¥1,409)
1.青い鳥
作詩:水木れいじ / 作曲:浜圭介 / 編曲:佐藤和豊
2.それでいい夜
作詩:日野浦かなで / 作曲:大村友希 / 編曲:佐藤和豊
3.青い鳥 [オリジナル・カラオケ]
4.それでいい夜 [オリジナル・カラオケ]
【タイプ B】 CRCN-8865 定価:¥1,550 (税抜価格 ¥1,409)
1.青い鳥
作詩:水木れいじ / 作曲:浜圭介 / 編曲:佐藤和豊
2.NAMITO カーニバル
作詩:日野浦かなで / 作曲:大村友希 / 編曲:佐藤和豊
3.青い鳥 [オリジナル・カラオケ]
4.NAMITO カーニバル [オリジナル・カラオケ]
■関義哉「神さま反省しています」

2009年に島田紳助がプロデュースした新選組リアンのメンバーとしてデビュー。2014年の解散後は実兄の栄理哉、弟の真哉との関三兄弟のグループ、イーワイエスでの活動や、自身で作詞・作曲をしてのソロ活動などを続けてきた。そして、今回のシングルがソロでメジャーからの再スタートとなる。
めでたいデビュー曲なのに、タイトルは「神さま反省しています」と、なぜか反省からスタートするという謎。ラテンのアッパーなリズムに四七抜きのコテコテなメロディーが乗ったダンスチューンで、夜遊び好きで浮気な男の懺悔を歌う。大阪っぽいコミカルなノリが楽しい歌だが、こんな調子で反省されてもどうにも安心はできない(笑)。
カップリングの「流れて大阪」はド直球のムード歌謡。ある意味、定型文的な歌詞は、カラオケで歌うにはもってこいの内容で、スナックのような場所で歌うのが似合いそうだ。関は今までこういうタイプの曲を歌うことが少なかったのだろう、歌い方がかなりイキんでいるのが気になるが、前川清あたりをイメージしたのかもしれない。これからどんな歌で再び花を咲かせてくれるのか楽しみだ。りがなら、言葉選びで程よく現代的な感覚に引き戻しているところが絶妙だ。
「神さま反省しています」
2026年7月15日リリース
CRCN-8859 定価:¥1,550(税抜価格 ¥1,409)
1.神さま反省しています
作詩:北爪葵 / 作曲:四方章人 / 編曲:西村真吾
2.流れて大阪
作詩:日野浦かなで / 作曲:遠山 敦 / 編曲:遠山 敦
3.神さま反省しています [オリジナル・カラオケ]
4.流れて大阪 [オリジナル・カラオケ]
文◎池上尚志
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