【機材レポート】B’zの松本孝弘、<LIVE-GYM 2026 -FYOP+->ギターサウンドシステムの全貌

松本孝弘サウンドシステムのギター紹介に続いては、アンプ&エフェクター。アリーナツアーのステージ上にはドームツアー同様、3段積み×6セットによるアンプの壁がそびえ立っていた。アンプやエフェクター・システムは前回のシステムを引き継ぎつつ、新機種の導入や細やかな変更があった。ドームツアーからわずか数ヵ月という短いタームながら、変化がもたらされたことは常により良いサウンドを追求する松本孝弘の真摯な姿勢が伝わってくる。
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【AMPLIFIER】

ステージ上にはTwo-Rockの3段積みが6台並べられているが、アンプヘッドはすべてダミー、キャビネットも実際に鳴らしているのは中央下段の2台のみだ。そのうち、中央左のキャビネットがクリーン用、右側が歪み用で、TAKはドライ音とウェット音をステレオに振り分けることはなく、常にモノラルで鳴らしている。また、すべてのキャビネットに松本のシンボル“玲”のロゴが配されていることも見逃せない。
Two-Rockは2020年にリリースされた松本孝弘のソロアルバム『Bluesman』のレコーディング時にクリーン/クランチ・トーンで使用して以降、<B’z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS->ではクリーン用に使用した。その後、クリーン用アンプはTENを使うようになるが、キャビネットは引き続きTwo-Rockを愛用している。


アンプヘッドやエフェクター類は、ステージ上に並んだTwo-Rockアンプ/キャビネット群の裏側に配置されていた。向かって左側のラックに入っている4台のアンプヘッドがメインで、右側のラック内の3台はバックアップ用。メインアンプのラック上にはエフェクターボードやセレクター類などが置かれていて、バックアップアンプ用ラック上にはワイヤレスシステムなどが乗せられている。

歪みとクリーンで愛用するTENは、松本孝弘の好みに合わせて入念な開発が行われたオリジナルアンプだ。向かって左側の2台はクリーン用アンプで、上段はアルペジオやコードプレイ等で使用、下段はリードプレイで使用する。ドームツアー<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP->の際は上段のクリーン用アンプはより煌びやかなハイが出る仕様になっていたが、音が硬くなってしまうことを踏まえて、今回はふくよかなサウンドに路線変更してツアーに持ち込まれた。
右側の歪み用アンプは上段がバッキング用、下段がリード用。2台共にレンジの広さが光るリッチなドライヴトーンが得られることが共通していながら、それぞれ異なる回路が採用されている。同じアンプのセッティング違いではないということからも、松本の強いこだわりが感じられる。
クリーン用アンプヘッドの下部にセットされているのはRemote Volume Controller (上段2台) と、アンプセレクター。Remote Volume ControllerはTENが開発したもので、長いシールドを使ってボリュームペダルをつないだ際に生じるシグナルの劣化を防ぐことが可能。松本の足元に置かれたペダルの稼働位置をデジタルによって感知して、実際の音量変化はここで行うというシステムだ。テクニシャン曰く「これがないと、もうライブはできません(笑)」とのこと。アンプセレクターは上側がメインで、下はスペア。そして、歪み用アンプの下にはTEN製のアンプチャンネルセレクター(下側はスペア)と、その下にQSC GX3(パワーアンプ)がセットされている。

バックアップ用アンプとして歪み用のTEN Distortion2台とTEN Clean1台(下段)をスタンバイ。TENアンプは“ゲイン+マスターボリューム”仕様の2チャンネルで、EQは両チャンネル共通というスタイルが採用されている。EQがフラットに近い状態にセットされていることからは全てのレンジがバランス良く出ることがうかがえるほか、Gainをそれほど上げていないことからはアンプ単体で深い歪みが得られることがわかる。
【EFFECTOR】

マルチエフェクターやラックタイプのエフェクターは使わずに、コンパクトエフェクターを使用していることが印象的。厳選した機種をチョイスしていることはもちろん、不要なエフェクターを完全に排除していることもポイント。

エフェクターボードの左側にセットされているのは、下段左からIndigo Note CHORUS、Indigo Note BOOSTER、Indigo Note FIXED WAH (onにするとワウペダルを途中で止めたトーンが得られる)、KLON CENTAUR(オーバードライブ/ブースター)。中段左からVemuram Splitone(オーバードライブ)、maxon FL301(フランジャー)、MXR Phase90 EVH(エディ・ヴァン・ヘイレンのシグネチャー フェイザー)。その上部にはFree The Tone PT-3D(パワーサプライ)、メインのペダルボードとセンターのペダルボードのJim Dunlop TM95 TAK Cry Babyを切り替えるハンドメイドのラインセレクターをセット。
Vemuram SplitoneはCharとVEMURAMが共同開発したオーバードライブで、2025年に松本とCharが共演したことをきっかけに、Charからプレゼントされたもの。Charの妥協することのないスタンスが生んだ良質なトーンを引き出せることに加えて、ニュアンスの異なった2種類のトーンが得られることも魅力だ。

エフェクターボードの中央にセットされているのは、下段がIndigo Note COMPRESSOR、上段左からIndigo Note Over Drive(プロトタイプ)、Chicken soup OD(オーバードライブ)。
Indigo Noteは、長年に亘って松本のギターサウンドを支えてきたメンバーによって立ち上げられたギター イクイップメントブランドで、松本がプロダクト監修を務めている。ドームツアー時はプロトタイプだったIndigo Note BOOSTERとCOMPRESSORは今ツアー中に松本の認証が下り、今後製品化される予定。Indigo Noteのエフェクターはブルーの筐体とゴールドやレッド、グリーンといったカラフルなノブの取り合わせも特徴で、ノブの色は松本自身が決定しているとのことだ。

エフェクターボードの右側にセットされているのは、最上段左からFree The Tone PT-3D(パワーサプライ)、KENTON MERGE-4(MIDI マージボックス)、FREE THE TONE AS-1R(デジタルリバーブ)。中段左からTECH 21 MIDI MOUSE(MIDIフットスイッチ)、BOSS DD500(デジタルディレイ)×2台、下段左から4 in 1 out / Wireless セレクターのラインセレクターとBOSS DD500×2台という構成だ。
BOSS DD500は左側2台が歪み用で、右側2台はクリーン用。ディレイを2台ずつ用意していることについてはギターテック曰く、「松本さんは、いろいろなディレイを細かく使い分けているので、プリセット機能を使って30曲分くらい仕込んでいます。でも曲中、ギターの音が連続している状態でTempoの違ったディレイをプログラムチェンジで切り替えるとピッチがヨレて違和感が生じる。それを解消するために歪みとクリーン2台ずつディレイを使うようになりました」とのことだ。また、あらかじめ多数のプリセットを組んでいることに加えて、ライブ当日には会場の音響特性などに合わせてディレイセッティングの微調整も行っている。

メインのアンプラック最上部には前述のコンパクトエフェクター群ほか、TEN製ループセレクター2台(上がメイン、下はスペア)をセット。エフェクターボード下のラックは、向かって左側にTEN製ボリュームセレクター2台とTONE WORKS DTR-1(デジタルチューナー)2台を収納。右側にはディレイセレクター2台と、その下にSHURE UR4D+(ワイヤレスシステム)が2台セットされている。

エフェクターボード下のラック中央にはTEN SYSTEM STATION (MIDIコントローラー)をセット。本機はアンプやエフェクターを含めたサウンドシステム全体の切り替えなどを一括コントロールできるツールで、テクニシャンがリアルタイムで操作する。テクニシャンとの連携なくしてB’zのライブは成り立たないことがわかる。

ステージ上の松本の足元にセットされているるのは、左からRemote Volume Controllerの信号を変換するBOX、Jim Dunlop TM95 TAK Cry Baby(松本孝弘シグネチャーワウ)、TEN製ボリュームペダル、KORG DT-10(デジタルチューナー)。TEN製ボリュームペダルは前述したTEN Remote Volume Controllerと連動しており、ペダルの踏み込み位置を知らせる役割を担っている。
【ACCESSORIES】

B’zのライブではお馴染みの松本孝弘専用オリジナルマイクスタンド。優美な曲線が美しさと強いインパクトを発している。湾曲したマイクスタンドには市販のピックホルダーを装着できないため、両面テープを使ってセット。ピックホルダーが登場する以前の1970年代を思わせる手法が実にいい。

マイクスタンドにはシンボル“玲”ロゴ入りのドリルホルダーをセット。ドリルホルダーも特注で、5月30日に行われた横浜アリーナ公演当日に完成したとのこと。「ZERO」で活躍したドリルは、電動ドリルのモーター音をギターのピックアップで拾ってトリッキーな音を出すというもの。スタッフが操作性に優れたものを用意している。

ピックはギブソン製オリジナル。セルロイド素材で厚さ0.72mmを使用。ティアドロップのミディアムタイプで、“玲”のロゴが入れられたものと<B’z LIVE-GYM 2026 -FYOP+->と記された2種類が用意されていた。ギターテックによると、松本は長年に亘ってミディアムピックを愛用しているそうだ。

ステージ上のアンプ横にセットされたドリンクホルダーには、松本が愛飲するウイスキーブランド“あかし”の老舗メーカー“江井ヶ嶋酒造”とのコラボレーションにより生まれたオリジナルウイスキー“AION”が置かれていた。AIONは、江井ヶ嶋酒造が大切に育んでいるモルトウイスキーの樽数本を松本自身が試飲し、シェリー樽とバーボン樽を掛け合わせたテイストに仕上げられている。日本独自の色である“藍色”と“音”を組み合わせて“AION”と名づけられた。なお、“玲”は“澄んだ輝きや美しい音”を表す言葉で、松本のシンボルとも言えるものだ。

構成◎梶原靖夫 (BARKS編集長)
文◎村上孝之
機材撮影◎TOYO
写真 ©︎VERMILLION, ©︎Dynamic Planning・TOEI ANIMATION
■<B’z LIVE-GYM 2026 -FYOP+->5月30日(土)@神奈川・横浜アリーナ SETLIST/使用ギターLIST
01.FAITH?
Gibson / Custom Shop 1958 Korina Flying V Reissue VOS #841124
02.濁流BOY
Gibson / Custom Shop 1958 Korina Flying V Reissue VOS #841124
03.ZERO
Gibson / Tak Matsumoto Double Cutaway Prototype
04.おでかけしましょ
Fender / CUSTOM SHOP Stevie Ray Vaughan Sighnature Stratocaster Relic 2019 #CZ537894
05.love me, I love you
Gibson / Tak Matsumoto Double Cutaway Custom Prototype #2007-4
06.今夜月の見える丘に
Gibson / Tak Matsumoto Double Cutaway Custom Prototype #2007-4
07.ペインキラー
Gibson / Tak Matsumoto Les Paul Standard Canary Yellow Prototype 2017 #1
08.片翼の風景
Gibson / Tak Matsumoto Double Cutaway Custom Prototype #2007-4
09.鞭
Gibson / Tak Matsumoto Double Cutaway Custom Prototype #2007-4
10.今では…今なら…今も…
11.#1090 ~Million Dreams~
Gibson / Tak Matsumoto Double Cutaway Prototype
12.イルミネーション
Gibson / Tak Matsumoto Double Cutaway Prototype
13.完全無欠
Gibson / 71 Flying V Michael Shenker Black/White #MSFV07
14.FMP
Gibson / 71 Flying V Michael Shenker Black/White #MSFV07
15.有頂天
Gibson / 1983 Moderne Heritage Korina #F 073
16.Heaven Knows
Gibson / 71 Flying V Michael Shenker Black/White #MSFV07
17.Liar! Liar!
Gibson / 71 Flying V Michael Shenker Black/White #MSFV07
18.ultra soul
Gibson / Tak Matsumoto Double Cutaway Prototype
encore
19.その先へ
Gibson / 55 Les Paul Standard Nugget Gold Murphy Lab Light Aged NH #55172
20.ミエナイチカラ 〜INVISIBLE ONE〜
ERNIE BALL / MUSIC MAN EVH 1995 #85979

■アルバム『FYOP』
【FYOP+盤(2CD+アナザージャケット)】
BMCV-8081 5,000円(税込) / 4,545円(税抜)
封入特典:アナザージャケット
▼CD収録曲
●DISC1
01 FMP
(アサヒスーパードライTVCMタイアップソング)
02 恐るるなかれ灰は灰に
(TBS系 金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』主題歌)
03 濁流BOY
04 鞭
(ABEMAオリジナルドラマ『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』主題歌)
05 INTO THE BLUE
(シチズン ブランド横断コレクション『UNITE with BLUE』CMソング)
06 FAITH?
07 片翼の風景
08 イルミネーション
(NHK 連続テレビ小説『おむすび』主題歌)
09 The IIIRD Eye
(映画『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』主題歌)
10 その先へ
●DISC2 ※FYOP+盤にのみ収録
1 Heaven Knows
(読売テレビ・日本テレビ系全国ネット『名探偵コナン』オープニングテーマ)
2 FMP
(ライブ音源<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP- at Tokyo Dome>)
3 恐るるなかれ灰は灰に
(ライブ音源<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP- at Tokyo Dome>)
4 鞭
(ライブ音源<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP- at Tokyo Dome>)
5 INTO THE BLUE
(ライブ音源<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP- at Tokyo Dome>)
6 イルミネーション
(ライブ音源「B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP- at Tokyo Dome>)
7 The IIIRD Eye
(ライブ音源<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP- at Tokyo Dome>)






