【インタビュー】CIGARS SODA、デビューアルバムリリース「しっかり“戸城憲夫印”がついたいいアルバムができた」

2026.02.18 19:00

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元ZIGGY、現 THE SLUT BANKS、The Dust’n’Bonez、BAD SiX BABiESで活動する戸城憲夫(B)が立ち上げた新たなロックバンド・CIGARS SODA。

メンバーにはNAO(Vo / 首振りDolls, The Dust’n’Bonez)、石井ヒトシ(G / BAD SiX BABiES)、金川卓矢(Dr/ BAD SiX BABiES)が参加。

今回、2月18日に全13曲を収録するデビューアルバムを発売。激しいロックンロールからグルーヴ感満載のヘヴィチューン、抒情的なバラード曲まで、全身全霊でCIGARS SODAが詰め込まれた作品に仕上がっている。

BARKSでは本作のリリースを機に、戸城とNAOにインタビューを実施した。

◆   ◆   ◆

──まずはCIGARS SODAを結成した経緯などを、話していただけますか。

戸城憲夫:元々は、俺はThe Dust’n’BonezとBAD SiX BABiESをやっていて、ちょうど1年くらい前にBAD SiX BABiESで『PERFECT EMOTION』(2025年2月)というアルバムを出したんだ。で、実は同じくらいのタイミングでThe Dust’n’Bonezの新しいアルバムも出そうと思っていた。“同時くらいに出すと、ちょっとよくねぇ?”みたいな感じで(笑)。それで、アルバムの曲作りをするためにThe Dust’n’Bonezでリハに入っていたんだけど、みんなのスケジュールが全然合わなくて、中々スタジオに入れなくてさ。俺はデモテープを自分で作って、これやってきて、これやってきて……と渡すんだけど、それだけじゃ嫌で、みんなで集まって曲を詰めて、デモからどんどん変わっていくのが好きなんだよね。それが中々できなくて、全然曲作りが発展しなくて、イライラしてしまって、もういいかな……みたいになった。

BAD SiX BABiESは中々いいアルバムができたけど、ボーカルの(高木)フトシがちょっと身体の調子がよくないからアルバムは作れるけど、ツアーはできないよという感じだったんだ。それをわかったうえでアルバムを作ったわけだけど、せめて楽器陣3人の演奏だけでも生で聴かせたいなと思って。それでツアーをやろうかなという気持ちになったら、ちょうどNAOがいたから「やってみる?」と声をかけたわけ。でも、やっぱりフトシの声はフトシじゃないと絶対に無理だから。それに、作りかけの曲もいっぱいあったから、だったらNAOをボーカルに据えた新しいバンドとして動いたほうがいいなと思って。それで、レーベルに「俺の契約、もう1枚分あるよね? アルバム出させてよ」って言って(笑)。そうやって、今回に至りました。
NAO:私は戸城さんがやることに誘ってもらう時は、基本的に100パーセント“イエス”なんです。でも、最初に声をかけてもらった時は「私はフトシさんの歌は歌えないですよ」といって、お断りしました。私はThe Dust’n’Bonezに加入した時も森重(樹一/ZIGGY)さんの後任で、その大変さはわかっているので。ただ、戸城さんは「ZIGGYの曲だったり、The Dust’n’Bonezの曲だったり、BAD SiX BABiESの曲だったり、もう俺のいい曲を全部やるツアーにするから、歌ってくれよ」とおっしゃっていて、「それなら、やります」と言いました。

──その感覚は、よくわかります。フトシさんの代わりではなくて、別物として見てもらえる形であればということだったんですね。先ほど少し話が出ましたが、CIGARS SODAとして活動していこうと決めた時点で、曲は結構あったのでしょうか?

戸城:あったというわけではなくて……。

NAO:原型が転がっていたという感じです。

戸城:そう。それを俺が纏めてデモテープを作って、みんなに渡して、セッションしながら詰めていく…みたいな感じだった。

──戸城さんが望む形で曲を作っていけましたね。CIGARS SODAの1stアルバム『CIGARS・SODA』は力感に溢れたロックテイストと洗練感やエモさなどを融合させていることが印象的です。

戸城:その辺は、どうだろう? 元ロック少年、ロック小僧の歳をとったおじさん、おばさんには刺さるとは思うけど(笑)。

──そういったリスナーはもちろん、若い世代にも響くロックだと思います。時代を超えるJ-ROCKの魅力を纏っていますので。

戸城:まあ一応ね、国籍、年齢は不明にすることを目指してはいて。だから、こういうアーティスト写真にしているんです(笑)。「お前は老けて見えるから、カツラ被れ!」「髭を黒くしてこい!」っていう(笑)。そういうふうに国籍も年齢も不明にしないと立ち向かっていけない時代だからね、音が若くても。

NAO:私の中では、CIGARS SODAの音楽性はすごく戸城さんらしいなという印象です。おっしゃるとおりロックだけど洗練感があって、めっちゃ転調するし、コード感を活かしているし、フックの効いた展開が入ってきたりするし……という感じなので。それに、The Dust’n’Bonezよりも、よりポップな気がしますね。

戸城:たしかに、コードの響きにこだわってメロディーを置きにいっているというのはある。ベースラインも“ここに行く?”という音が1音だけあったりするし。そういうことを結構しているんだよね。

──そういうアプローチが奏功して『CIGARS・SODA』は上質なポップネスが光る一作に仕上がっています。もうひとつ、同作は曲調の幅広さもポイントといえますが、それは意識されたのでしょうか?

戸城:いや、もう自然とそうなった。ただ、曲順は一応こだわっているんだ。5曲目までがLPレコードで言うところのA面で、B面になってからはメドレーみたいになっているじゃない? 子どもの頃にビートルズの『アビーロード』(1969年)を聴いていいなと思って、自分のアルバムでもそれをやりたくて、『CIGARS・SODA』の中盤から後半はああいう流れにしたんだ。

──ストーリー性を感じさせる流れが絶妙です。『CIGARS・SODA』は“おっ!”という曲が揃っていますが、そういう中でも特に印象の強い曲をあげるとしたら?

戸城:俺はもう「ハウリングスカイ」だね。この曲のサビは我ながらいい感じになったなと思う。サビはDにいってからB♭maj7にいく進行になっていて、ベースがmaj7の音にいっていることに気づいてほしい(笑)。あと、サビの後ろのコーラスの“フーフーフー”というラインがあるんだけど、それも気に入っている。ギターの石井(フトシ)ちゃんにも、ここは絶対にmaj7の響きを感じるようなアルペジオを弾いてくれと言ったよ。

──やりますね。「ハウリングスカイ」は、先ほど述べたロックと洗練感を融合させた好例の1つといえます。

戸城:バンドのイメージとしては、ここを狙っているんだ。ちょっと、エアロスミスな感じというか。「ハウリングスカイ」は、それを1つ形にできたかなと思う。

NAO:「ハウリングスカイ」の歌詞は“逃避型愛着”みたいなものって、あるじゃないですか。たとえば、猫みたいな人っていますよね。さっきまで普通に喋っていたのに、急に怒ってフッといなくなってしまったりとか。そういう人は、追いかけたくなるじゃないですか。『チョコレートドーナツ』という映画で、そういうシーンを見たんです。主人公のゲイの方を見て、インスピレーションが湧いてバーっと書きました。最初は全然違う歌詞を書いていて全然進まなくて、半年くらいそういう状態が続いていたんですけど、『チョコレートドーナツ』がきっかけになって一気に書けたという感じです。

──“もう、この歌詞でいいや”と妥協しなかったことが、いい結果を生みましたね。では、NAOさんの中で印象の強い曲は?

NAO:僕の中で印象が強いのは6曲目の「枯葉の音」、7曲目の「小さな恋人」、8曲目の「宙流」という流れですけど、それ以外で1曲あげるとしたら「Jackson piggy」が好きです。首振りDollsのギターが昔恋人と車に乗って山道の峠道を走っている時に、目の前にピンク色の豚が転がっていたことがあったらしくて。多分、連れていかれる豚が、車から脱走したんでしょうね。運命を悟って、逃れようとしたんでしょう。この曲の“♪ タッタ・タラ~”というキメのところの歌詞を最後が“y”の言葉にしたいなと思った時にその話を思い出して“piggy”にして、その豚に“Jackson”という名前をつけたという感じです。

──NAOさんが書かれる歌詞は説明がないためイマジネーションが膨らむものが多くて、そこが大きな魅力になっていると思うんですね。「Jackson piggy」は様々な責任や縛りなどから逃げて自由気ままに生きる人生の危うさを描いたのかなと思いました。

NAO:たしかに、逃げてばかりのヤツは結局なにも成し遂げませんよね。でも、逃避行というのは、ちょっとドラマチックではある。なので、そういうふうに解釈してもらっても、僕は全く構いません。

戸城:「Jackson piggy」の楽曲について言うと、これはもう全然普通の俗に言うロックな感じだよね。イメージとしては、石井ちゃんにストラトを使ってジミヘン(ジミ・ヘンドリックス)みたいにしてほしいと伝えたんだ。そうしたら、「俺が弾くと、リッチー(・ブラックモア)になっちゃうんだ」っていう(笑)。そんなふうに、この曲は本当に王道だよね。’70年代とかの感じを表現したかった。

──基盤はそうですが、中間にエモーショナルな展開を入れ込む辺りはセンスのよさを感じます。「ハウリングスカイ」「Jackson piggy」に限らず『CIGARS・SODA』は注目といえる曲が満載で、たとえば「欠片」も「ハウリングスカイ」同様エモさを湛えたロックチューンです。

戸城:これはね、抒情的な曲を作ろうと思って。それで、ギターのアルペジオリフを思いついたんだけど、それをちゃんと弾くとすごく難しくて。デモテープを作る時は、もう自分でパンチング(録音したい場所だけを録る作業)しまくった(笑)。すげぇ難しくて、石井ちゃんにがんばってもらいました(笑)。それに、自慢じゃないけど、この曲の凄いところはね、ずっと転調しているんだ、実は。まず、イントロからAメロで転調して、次にBメロで転調して、2コーラス目でまた転調している。要はね、半音ずつ上がっていっているんだ。で、3コーラス目でまた半音上がる。それはね、わざとじゃなくて、そうなっちゃった(笑)。昔の俺だったら転調したら戻さないといけないなと思って、最初のサビが終わった時点で最初のキーに戻していたけど、この曲は戻せないし、俺は理論がわかっている訳じゃないからわからないし、“まあ、いいか、そのままやっちゃえば”という(笑)。そのほうがロックンロールじゃないかと思ったんだ。答えなんて、ないんだから。その結果、最後は1音半から2音くらいキーが高くなっている。でもね、その結果“♪ アーアーアーアー”という声を張らせて1番聴かせたいところが1番高いキーのところになったから、まあよかったかなという(笑)。

──それだけ転調していながらトリッキーに感じさせないことも、それに対応できるNAOさんもさすがです。

NAO:歌唱的には、問題なかったです。ただ、普通に聴いていると1回目のサビよりも2回目のサビのほうがちょっと強く歌っているように感じると思いますが、それは強く歌っているんじゃなくて、転調の妙なんですよね。あとは、この曲はレコーディングの直前にAメロの歌詞がめっちゃ変わったんです。元々はもっとシンプルだったのが、戸城さんからもっと言葉を詰めてほしいというオーダーがありまして。それで、その場で書き換えて歌いました。

──NAOさんの対応力は凄いですね。そして、「欠片」の歌詞は“生きた足跡”がテーマになっています。

NAO:歌詞を見ると誰かが死んじゃったんだね……ということはわかるけど、どんな関係の人だったかとか、どんなことがあったのかといったことは一切書いていません。あらゆるタイミングでいろんな人にフィットするように、あえて限定しませんでした。

──私は誰かが亡くなったということに気づかずに、人生を歌っているのだと思いました。

NAO:基本的に、私が“星”とか言っている時は、誰かが死んでいるんです。だけど、それも説明していないから、受け取り手によって捉え方が変わってくるだろうし、私はそれでいいんです。あとは、「欠片」のサビは“壊れた”という言葉から入ることで印象が強まっているかなと思いますね。わかりやすい言葉が、うまくはまったなと思います。

戸城:「欠片」は、この間MVを撮ったんだ。いい感じに仕上がっていて、YouTubeとかで観れるから、ぜひチェックしてほしいね。

──それは、必見といえますね。続いて、5曲目の「最果ての月」は翳りを帯びた世界からプログレッシブロックに通じるスリリングな後半に移行するという大胆な構成が印象的な1曲。

戸城:この曲の後半は、みんな少年の頃に好きだったキング・クリムゾンを思い出すんだ、イエスを思い出すんだ、エマーソン・レイク・アンド・パーマーを思い出すんだ……という(笑)。

──たしかに、思い出しました(笑)。「最果ての月」は前半の世界観だけでも完結できるクオリティーでいながら全く違うところにいって、しかも戻らないということに驚きました。すごく贅沢な1曲と言えますね。

戸城:そう、戻っちゃダメなんだよ。キング・クリムゾンは戻るけど、この曲は戻ったらダサいだろうと思ったんだ。で、後半のセクションは基本的にギターのダビングはしていなくて“1対1対1”という編成になっている。それもよかったんじゃないかなと思うね。

NAO:「最果ての月」は前半と後半で、もう世界が全然違うじゃないですか。なので、歌詞をどうしようと思いました。いろいろ考えて、今にも走馬灯を見ちゃうくらいになっている登場人物を1人立たせて、砂漠にいかせてみたんです。後半のセクションは走馬灯というか、脳みその中を稲妻みたいに“ビカビカッ!”という信号が駆け回っているようなイメージです。

──砂漠、月、星といった言葉が出てくるため、私の中では夜の砂漠の美しい情景が浮かんできまして。でいながら歌詞の内容は“救いようのない絶望感”ということに、“おおっ!”と思いました。

NAO:ありがとうございます。でも、砂漠というのは余裕のない状態でいたら地獄ですからね。なんのあてもなく、身を守るものもなく放り出されて彷徨うことになったら、本当にヤバい。景色を見て、きれいだなと思うような余裕はないですよね。私の中では、そういうイメージです。私が書いた歌詞ですから自己投影していると思うんですよ、意識的ではなかったとしても。自分が“夢”という言葉を書く時は、大体自分が置かれている状態だったりするんです。だから、はたから見るときれいに見えるかもしれないし、バンドをやっていて楽しそうだねと感じるかもしれないけど、やっている側は結構大変だぜという。「最果ての月」は、そういうところが出ているような気はしますね。

──内面のツラさや苦しみなどをダイレクトに綴るのではなく、情景で感じ取らせるというのが魅力的です。では、続いて、先ほどNAOさんから話が出ました「枯葉の音」「小さな恋人」「宙流」というつながった3曲について話しましょう。

戸城:その流れは、ちょっとポップ過ぎたかなという気もするんだけど。なんか、A面は完璧だけど、B面は……という(笑)。

──ええっ! そんなことはありません。本作のハイライトの1つになっていると思います。

戸城:本当に? そう言ってもらえると安心します(笑)。1曲ずつ話をすると、「枯葉の音」はAメロを1回歌って終わりという構成になっているでしょう? 最初は続きを作ったりもしていたんだ。でも、こういう静かな曲を普通の尺で聴かされたら飽きるかなと思って。これは短くていいんじゃねと思って進めていったら、ビートルズの『アビーロード』を思い出したんだ。要は『アビーロード』というのはカケラ・カケラを集めたことで、ああいうB面になったらしいから、じゃあ俺もそうしようと思って。それで、この曲はAメロ1回歌い切りという形でいくことにした。

──カケラをつないでいく場合は1つ1つのカケラが上質でないと、ただ単に散漫なだけで終わってしまいますよね。「枯葉の音」は軽やかな哀愁が魅力的で、それを1回しか歌わないということに衝撃を受けました。

戸城:そういうものにしたかったんだ。あとは、この曲はゲイリー・ムーアばりのギターね(笑)。それも、すごくいい味を出してくれたなと思う。

NAO:「枯葉の音」と「小さな恋人」「宙流」は曲がつながっているので、歌詞もつなげました。猫のことを書いたんです。“小さな恋人”というのは猫なんですよね。私が“小さな恋人”と言う時は大体ペットのことです。

──そうなんですね。“小さな恋人”というのは、写真に写っている恋人の姿かなと思いました。

NAO:ああ、そういう解釈もいいですね。

──“風が立つ季節に/不安げに映る君はまるで小指のよう”という文節で、そう思ったんです。

NAO:“小指”という表現は、役に立たない様なんですよね。つまり、子猫。あとは、若さを表現するために“尖ったままで文字をしらない”という言葉を使ったりとか。寺山修司さんの詩をちょっと参考にしながら書きました。

──3曲とも猫のことが描かれているんですね。でも、「枯葉の音」は孤独が綴られていませんか?

NAO:この3曲は、時間軸が前後しているんです。導入の「枯葉の音」は、もう猫がいない状態なんです。猫を思い返しているのが「小さな恋人」で、想いを馳せているのが「宙流」です。「宙流」は私の中で“ファアーッ”と広がる感じがあったので、歌詞は空のほうにいきました。大体広がると、私は空にいくんですよね。で、この曲は“宙に流れる”と書いて“ちゅ〜る”と読むんです(笑)。

──おおおっ! NAOさん、やりますねえ(笑)。戸城さん、「小さな恋人」と「宙流」の楽曲についても話していただけますか。

戸城:「小さな恋人」は、俺は歪んだギターの音でメロディーがポップというのが基本的に好きなんだよね。ワイルドハーツとか、すごく好きだから。「小さな恋人」は、自分のそういう部分が色濃く出ている曲という印象かな。どうでもいい話だけど、サビの“Say hello/別れだけは”の“だけは”というところの音がね、ちょっとまたクセものなんだ(笑)。ベースがE→F#→D#という進行になっている。普通はD#にはいかないと思うけど、それがシックリきたんだよね。

──そういうアプローチは理論的にされているのでしょうか?

戸城:いや、完全に感覚。俺そういうのが結構多いんだ。適当にやっていると出てくるという。なんか違うんだよなという時もあって、そうするといろいろ探し始めて、“これこれ!”というのを見つける時もあるよ。まあ、いぜれにせよ大したことはしていないんだけど(笑)。ただ、シックリくるのがたとえば7thだったら、ギターも7thの音をちゃんと鳴らすようにしてもらう。そういうところは、こだわるね。

──コードのテンション音を大事にされていることも洗練感につながっていることは間違いないです。そして、「宙流」は、そこはかとなくグラムロックを感じます。

戸城:そう、これはまさにグラム。「これは、Tレックスだから」と言いながら作っていったんだ。’70年代のグラムロックのちょっとブギーな感じで、メロディーとかもTレックスみたいな感じのものをやりたいなと思って。

──とはいえ“まんまTレックス”ではなく、グラムが香るというところに落とし込んでいるのはさすがです。

戸城:いや、Tレックスみたいなことは、できないから(笑)。ただ、俺は’70年代のグラムとかもギリギリ現役で聴いていた世代だから。後追いとかじゃなくて、中学校くらいからロックが好きで、いろんなものをリアルタイムで通ってきているから自然と身についているものがあるんじゃないかなという気はする。やっぱりね、グラムロックがなんだかんだとうんちくを語れるのはオジサンだけだと思う。化粧して、派手な衣装を着ればグラムロックかというと、そうじゃないじゃん。あの時代特有のリズムとか、メロディーの匂いとかがあるんだよね。で、俺はあの頃のブリティッシュのB級っぽいグラムロックも大好きだから(笑)。

──あのチープな感じが、いいですよね(笑)。そして、ロカビリーに通じるテイストを活かした「“Rosie”」もアルバムのいいアクセントになっています。

戸城:これは元々はね、もっとブルージーにしようと思っていたんだ。歌詞も“boogie”というワードが入っていたから、「いや、違うよ。ブルースだよ、ブルース」と言っていたんだけど、中々うまくいかなくてさ。軽いだけの曲になっちゃったから、だったら逆にテンポを上げて、アッパーにしてやろうかなと思って、こういう形に落とし込んだ。ギターにロカビリー直系の3連フレーズを弾いてもらったりしているから、ロカビリーっぽく聴こえるよね。石井ちゃんに、ジュリー(沢田研二)の「ストリッパー」をやってくれよと言ったんだ(笑)。

NAO:「“Rosie”」の歌詞は、曲調が曲調なので日本語が合わなかったんです。なので、これは英語にしなきゃなと思って。それに、なにか女の人の名前があったほうがいいなと思って、だったら“Rosie”だなと。私は九州の人間なので、ザ・ルースターズの「ロージー」(1980年)という曲へのリスペクトです。あの曲は“何が欲しいおしえてRosie”と歌っていて、そのまま引用させていただきました。

──「“Rosie”」は今作の中で、唯一生々しい歌詞になっていることもポイントです。

NAO:そうですね。もう欲望だけですね。あとは、歌唱に関して言うと、Aメロの部分は、最初はもっと癖強く歌っていたんです。すごくガサガサの声で、ニュアンスをデフォルメした感じで歌ったら、ちょっとやり過ぎだと言われまして。ちょっと薄めて今の感じになりましたけど、やり過ぎの感じも私自身は結構好きだったんですけどね。

──ライブで、そういう歌い方をされるのは“あり”なのではと思います。さて、『CIGARS・SODA』は非常にハイクオリティーなロックアルバムに仕上がりました。本作を完成させて、どんなことを思っていますか?

戸城:“今度こそは、あたってほしい!”と思っている(笑)。俺はアルバムを作るごとに宝くじのつもりで作っているわけじゃなくて、馬券のつもりなんだ。宝くじは運だけど、馬券は自分で強いと信じた馬を買うでしょう? そういう感覚。まあ、毎回外しているけど(笑)。でも、『CIGARS・SODA』も“今回こそは”という思いのもとに作ったので、より多くの人に届くといいなと思っている。売れることが総てではないけど、そうなったほうがみんな笑顔になるからね。

NAO:今回もしっかり“戸城憲夫印”がついたいいアルバムができて、それにシンガーとして参加させてもらって、ましてやオリジナル・バンドの初期メンバーですからね。すごく嬉しいです。ここからツアーでまたどんどんよくなっていくと思うので、アルバムはもちろん、そこから先のCIGARS SODAも楽しみにしていてください。

──CIGARS SODAは、より多くのリスナーを巻き込んでいく力を持ったバンドだと思います。そして、NAOさんがおっしゃったように、3月から5月にかけて全国ツアーが予定されています。

戸城:ツアーはね、俺なんてもう年齢的に大丈夫か……みたいなところはある(笑)。3連チャンとか、あるからさ。正直キツいけど、お金も時間もないこのバンドにとって、3連チャンは普通のことだから。ただ、対バンがいないツアーだから、待ち時間が少なくていいかな…という(笑)。ライブ自体は、みんなが自由に楽しめるような空間にしたいね。今は“みんなでひとつになって楽しもうよ”みたいになっているじゃん? そうじゃなくて、1人1人が自由に楽しんでほしい。みんなで同じ動きをするのが楽しいというのもわかるけど、それに抵抗がある人もいると思うんだ。だから、そういうことではなくて、本当に昔の『ウッドストック』(1969年8月にアメリカで開催された伝説的な野外フェスティバル)みたいに、自由に楽しんでもらえるライブにしたいと思っている。『ウッドストック』は、ちょっと古過ぎるかもしれないけど(笑)。

NAO:自由に楽しんでもらいたいというのは大前提としてありますが、じっとしていられないようなライブをしたいですね。楽しんでもらえる自信はあるので、ツアーで近くにいった時はぜひ遊びにきてほしいです。

取材・文◎村上孝之

『CIGARS・SODA』
リリース日:2026年2月18日(水)

【定価】¥3,300(税抜価格 ¥3,000)
【品番】KICS-4212
CD購入:https://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICS-4212/
楽曲配信:https://king-records.lnk.to/cigars_soda_kics4212

収録楽曲
01. DANCING DOLL
02. ステディドライバー
03. ハウリングスカイ
04. 欠片
05. 最果ての月
06. 枯葉の音
07. 小さな恋人
08. 宙流
09. 白い坂道
10. ギタービークル
11. Jackson piggy
12. “Rosie”
13. re:lonely

ライブスケジュール
3/6 (金) 大阪 心斎橋 VARON
3/7 (土) 神戸PADOMA
3/8 (金) 名古屋ell.SIZE
3/14 (土) 吉祥寺GB
4/17 (金) 名古屋ell.SIZE
4/18 (土) 神戸 live music club PADOMA
4/19 (日) 広島Yise
4/21 (火) 福岡INSA
4/22 (水) 小倉FUSE
4/24 (金) 大阪 心斎橋 VARON
4/25 (土) 豊橋clubKNOT
4/26 (日) 静岡Sunash
5/8 (金) 仙台FLYING SON
5/9 (土) 福島 AREA559
5/10 (日) 千葉DOMe Kashiwa
5/17(日) 吉祥寺ROCK JOINT GB

◆CIGARS SODAオフィシャルX