【速レポ】<CROSS ROAD Fest>SHAZNA、音楽・歌・語りで伝える“肯定力”「多幸感をぶん回しに来ました」

芸を能(あた)う人という意味で、IZAMという人はバンドマンというよりもむしろ芸能人なのであろうと昔から感じている。
「うっすら気付いてる人もいると思うけど、昨日の出演者はもともとSWEET CHILDっていう事務所に所属してた人たちがほとんどで、昔あった<SWEET TRANCE>っていうイベントみたいなメンツでやらせていただいたじゃない?で、今日に関しては深夜にやってた『Break Out』っていう音楽番組があったでしょ? それに出ていたアーティストがほとんどなんだよね。そして、四天王のうち三天王が揃っちゃってるわけ」──IZAM(Vo)
昨夜に引き続き、またもサウンドチェックの段階でいちはやくステージへとあらわれたIZAMが幕間トークとして語り出したのは、懐かしき“90年代のあの頃”のこと。四天王とは、その頃にシーンの中でそれぞれに脚光を浴びていたSHAZNA、La’cryma Christi、FANATIC◇CRISIS(現FANTASTIC◇CIRCUS)、MALICE MIZERのことだ。

「もうひと天王のMALICE MIZER、いて欲しかったねぇ。実は1回も四天王が揃って共演したことはないんですよ。でも、このあいだMALICE MIZERは現在活動休止中だけど、KöziくんとManaさんはうちの主催イベントに出てくれて。その時にも“四天王でやりたかったね”っていう話はしたんです。だから、いつかは叶えたいよね!」──IZAM
と、ひとしきり話が終わったあと。まだサウンドチェックは続いていたのだが、突如として流れ出したのは…「月下の夜想曲」(MALICE MIZER)! どうやら、先ほどのしゃべりは巧妙な前フリだったらしい(笑)。IZAMの鮮やかな話運びと、楽器メンバーによる“秀逸なカバーぶり”は昨日に勝とも劣らないクオリティで、IZAMの発声方法が限りなく本家に寄せたものとなっていたところもさすがの一言。

「それでは、SHAZNA参ります!」
場内からの拍手喝采を浴びながら、SHAZNAが本日の本番1曲目として奏で始めたのは伝家の宝刀と呼んでいい「Melty Love」。フェス出演に際してこれ以上のツカミがあるだろうか?というほどの完璧な流れが作られていたことで、LOVERS(ファンネーム)だけではなく多くの人々がすっかり心を鷲掴みされてしまったようで、瞬く間にアリーナもスタンドもあたりは手扇子だらけの光景となり、サビでは定番のシンガロングで盛り上がることになったのは言わずもがな。
それでいて、SHAZNAとしては珍しいアグレッシブチューン「das Spiel」ではA・O・I(G)がエッジーなギタープレイを展開したり、NIY(B)が攻めのピッキングで躍動していたうえ、IZAMも鋭い立ち居振る舞いでの荒ぶる歌を聴かせてくれることになったため、ここではSHAZNAのアナザーサイドを味わうことも出来た気がする。


「多幸感をぶん回しに来ました、SHAZNAです!」
上品な藤色でまとめた巫女装束風のIZAMが、ノーマルモードに戻りたおやかな風情でここから始めたのは“肯定感について”の話。人それぞれにコンプレックスはあるのがあたりまえで、IZAM自身もいろいろと考え出せばきりはないが、それでもやはり「僕、どちらかといえばカワイイ方なので♡」と思える気持ちが大事だと彼は強く語ってくれていたのだ。確かに、肯定感を大切にしながら多幸感を聴く者に与えたいというスタンスであるからこそ、SHAZNAは「恋人」のような美しい歌や、「SWEET HEART MEMORY」のように切なくも軽やかな曲を生み出すことが出来るのかもしれない。

なお、これまた昨日に続いてこのあとライヴの締めくくりとして演奏されたのは2024年発売の最新アルバム『参華三釼』に収録されている、華やかなダンスチューン「一角獣 -モノケロス-」と、キラキラな要素が目一杯に詰まった「夏彩マジック」。いわゆる往年の代表曲ではなく、新しい曲たちを敢えて最後に持ってくるところにも、今の自分たちが最も素敵であるという肯定感を強く感じられた。
音楽を通して、歌を通して、語ることを通して。芸を能(あた)う人としての本分を全うし続けるIZAMの存在感は稀有なもので、そんな彼がフロントマンをつとめるSHAZNAもまたシーンの中で稀有であることは間違いない。
取材・文◎杉江由紀
撮影◎今元秀明
■セットリスト
1. Melty Love
2. das Spiel
3. 恋人
4. SWEET HEART MEMORY
5.Dear LOVE
6.一角獣 -モノケロス-
7.夏彩マジック
■<CROSS ROAD Fest>
【DAY1】11⽉15⽇(土) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open12:00 / start13:00
【DAY2】11⽉16⽇(日) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open10:30 / start11:30
〒261-8550 千葉市美浜区中瀬2-1

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