【速レポ】<CROSS ROAD Fest>D’ESPAIRSRAY、轟かせた闘いの歌「一緒にブチ壊そうぜ!」

2025.11.15 18:36

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昔取った杵柄そのままに。かつて海外メタルフェスやワールドツアーでもその名をこれでもかと轟かせてきたD’ESPAIRSRAYが、遂にこの<CROSS ROAD Fest>で復活を果たしてみせた。

◆ライブ写真

「今日のラインナップでは、ちょっと毛色の違うD’ESPAIRSRAYです(笑)。多分、みんないろんな想いを持って来てると思うんだけど。その想いをちゃんと声にして“ここ”まで届けてくれよ。行けるか!一緒に堕ちるところまで堕ちようか!」(HIZUMI)

1999年9月にヴォーカリスト・HIZUMI、ギタリスト・Karyu、ベーシスト・ZERO、ドラマー・TSUKASAによって始動して以降、ニューメタルやインダストリアルロックの血脈を汲みつつ、メイドinジャパンのゴシックロックを独自のスタンスで確立してきたD’ESPAIRSRAYは、いわゆるV系とされるバンドの中でも洋楽志向の強いバンドだと言えよう。また、彼らは2004年の段階から当時の国内バンドとしてはまださほど前例のなかった欧州ツアーに出たのを皮切りに、その後はアメリカも含めていちはやく海外へ向けた”Visual-Keiの輸出”に貢献した存在でもある。

しかしながら、D’ESPAIRSRAYは2011年6月に惜しくも解散することに。理由はHIZUMIが喉を故障し、その時点では回復が見込めないからというあまりに切実なものだった。その後、2014年に限定復活でイベント出演をしたことはあったが、なかなか本格的な再始動とまでは至らずにいた。

近年はHIZUMIが喉の治療と並行しながらNUL.を起ち上げていたほか、KaryuがAngelo、ZEROとTSUKASAがTHE MICRO HEAD 4N’S、KaryuとZEROとTSUKASAが3人でLuv PARADE、さらにTSUKASAは演歌歌手・最上川司としても活動の幅を拡げていた中で、待ち望まれていた“ディスパの復活”。その吉報がもたらされたのは今年5月で、今回の<CROSS ROAD Fest>に出演するという事実に対し、1999年から2011年にかけ当時“マニア”と呼ばれていたファンたちが狂喜乱舞したのは当然のことだったろう。

《I want to broke mind… I was born again.》

奇跡の復活ライヴ本番が始まる前、サウンドチェックの段階で場内にド爆音でいきなり響きわたり出したのはセトリに入っていない「BORN」。フルコーラスではなく曲の一部分のみだったとはいえ、これはマニアや観客たちに少しでも多く曲を聴かせたいとのはからいだったのかもしれない。歌詞の意味的にも、なかなか粋なことをしてくれる。

とはいえ、正式に幕開けしてからの「TRICKSTeR」はより一層の訴求力をもって我々の耳と心とカラダと脳髄を直撃していくことになった。《解き放て》の詞もやたらと感慨深く、きっと彼ら自身の内に堆積していたものも含めて、このときのライヴ空間にはそれこそさまざまなものが解き放たれていたに違いない。

TSUKASAの叩き出すドラムの音と連動するように、烈しい火花があがる中でパフォーマンスされた「REDEEMER」。Karyuがアクティヴに広いステージで所狭しと暴れ回りながらも、押さえるべき点はきっちりと押さえたプレイを展開したキラーチューン「Forbidden」。暗黒要素の強い音像にのせた全英詞を、HIZUMIがスクリーミーに歌いあげてみせた「Infection」。ZEROが頭を振り倒しつつ、ラウドな音で曲の持っている勢いをブーストしていった「Human-clad monster」。聴けた音はどれもこれもあの頃のままのようでいて、あの頃よりもさらに深みが増しているように感じたほどだ。

「今日、俺たちは過去の自分たちと闘ってるんだよ。おまえらも毎日なにかと闘ってんだろ? 今日は俺たちとそれを一緒にブチ壊そうぜ!」(HIZUMI)

この記念すべき復活祭の最後を締めくくったのは《未だ見えぬ領域を超え》という詞が印象的に響いた「MIRROR」で、このときのHIZUMIのヴォーカリゼイションはまさに強い気迫の滲んだ闘いの歌そのものとして感じられた。魂ごと燃やすように発される歌は、マニアならずともこの場に居合わせた全ての人に届いたと確信する。

「どうもありがとう。来年5月4日にワンマンあるんでよろしく! 雨が降る頃にまた会いましょう!」

いやはや、次の約束があることの嬉しさたるや。“絶望と光”という意の名を持つD’ESPAIRSRAYが次のZepp DiverCity Tokyo公演<RAPTURE>で生み出してくれるはずの歓喜の一夜にも、今からおおいに期待していたい。

取材・文◎杉江由紀
撮影◎緒車寿一

■セットリスト
1​. TRICKSTeR
2​. REDEEMER
3​. Forbidden
4​. Infection
5​. Human-clad monster
6​. MIRROR

■<CROSS ROAD Fest>
【DAY1】11⽉15⽇(土) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open12:00 / start13:00
【DAY2】11⽉16⽇(日) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open10:30 / start11:30
〒261-8550 千葉市美浜区中瀬2-1

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