【速レポ】<CROSS ROAD Fest>Psycho le Cému「同じ時代に生まれたということは奇跡なんですよ」

2番手として登場したのはPsycho le Cému。1999年に結成してから四半世紀、常にコンセプチュアルなライブを展開してきた彼らは、荘厳なオープニングSEで幕開けたこの日も<CROSS ROAD Fest>でしか成立し得ない特別すぎる物語を用意してくれた。





「それでは、Psycho le Cémuの世界へいざなおう!」というアナウンスに続き、魔王を討つための勇者として5人はステージに登場。「あのSHAZNA王国を滅ぼした魔王を倒し、イザム姫を助けるときがやってきたのだ!」と賢者・YURAサマが未来の書を携えれば、「キリストの涙、La’cryma Christiを飲み干して、最強の能力者になった私に敵う者など、この世にいないのだ!」と水撃のモンスター・seekが般若の表情で客席を威圧する。また「ここから先は生死を賭けたD’ESPAIRSRAYの聖戦が始まろうとしている。我が拳が烈火のごとく魔王を貫くだろう!」とドラゴンをまとった武闘家・Lidaは胸を張り、天空の魔法使いAYAは「魔王の攻撃を受けたとしても、アタイが魔法で呼び寄せた妖精軍・FAIRY FOREで回復できるから、安心しろナリ!」とピースを決めてみせた。そして「永遠に枯れることがない大木・Plastic Treeに刺さっていた、このエクスカリバー。真の勇者しか抜くことができないこの剣を、やっと手に入れたんだ」と伝説の勇者・DAISHIは巨大なエクスカリバーを掲げる。さらにYURAサマが持つ書には「我々Psycho le Cémuと同じ志を持つ4人の勇者・Waiveが、2026年1月4日、日本武道館にて行われるLAST GIGで魔王に立ち向かう同士を集めている」との文字も浮かび、共演バンドの存在を散りばめたこの日だけの物語は幕を開けた。

「1つの想いだけではどうにもならないことも、たくさんの同じ想いをその場所に届ければ、願いは叶うかもしれない。それが本当の最後の日になるかもしれないが、我々Psycho le Cémuも、その日、その場所に向かいましょう。ここにいるみんなで、一緒に向かいましょう」とDAISHIが呼びかけて客席に拍手を巻き起こすと、エレクトロなダンスチューン「BLADE DANCE」でライブはスタート。5人は楽器を持つことなくステージに一列に並び、振り切ったダンス&伸びやかなボーカルを披露していく。seekは歪んだ掛け声でオーディエンスを煽り、高速ラップを放つLidaはDAISHIと見事なハーモニーを展開。サビでは大きく手を振る5人に、客席のライトブレスとペンライトも楽しげに揺れる。
続いて「このままどっか行こうぜ!」(DAISHI)と、2003年のヒットシングル「激愛メリーゴーランド」へ。Lidaとseekが愛器を演奏するかたわら、AYAとYURAサマはダンスに専念して、オーディエンスの動きをリードしていく。間奏ではLidaのラップにカラフルな照明も客席を舐めて場内は沸騰。ロックとダンスチューンの融合は今では珍しくないが、20年以上前にこのスタイルを確立していた彼らの“未来を読む力”に改めて感嘆させられる。
さらに「Psycho le Cémuの世界へようこそ! おまえたちに送ります」と、DAISHIはメジャーデビュー曲「愛の唄」をタイトルコール。ようやく全員が楽器を演奏するフルバンドスタイルでキャッチーなメロディが奏でられ、後方ではYURAサマがタイトなビートを放ち、ピンク色に染まったステージではLidaとseekがピョンピョンと飛び跳ねる。サビではAYAが振りをリードして、間奏ではLidaの爽快なギターソロが! まさにタイトル通りの多幸感で会場中を満たしてみせた。
曲を終えて「みんな愛してるよ!」とDAISHIは告げるが、間髪いれず「Murderer・Death・Kill」に雪崩れ込むと、一気にアグレッシブなプレイが弾け、ヘッドバンギングが吹き荒れる狂乱の暗黒世界へ。「聞かせてくれよ! てめぇらの汚い声を!」とseekが客席を煽動すれば、スパークラーの火花がステージ前面から噴出し、その勢いとLidaの疾走するギターソロがシンクロして、オーディエンスの高揚感をかき立てていく。腕を振り上げて打ちつけるDAISHIの動きに客席中がならい、LidaとAYAのツインギターはワルツのリズムを奏でて、激しくもどこかシアトリカルなのがPsycho le Cémuらしい。
「今日は、皆さんの本当に大切な1日に、ここに集まってくれて本当にありがとうございます。Psycho le Cémuはメンバー変わらず、この5人で26年間バンドやってきてます。僕たちのバンドも、ずっと上手くいっている時だけではありませんでした。僕のせいで一度このPsycho le Cémuを活動休止に追いやって、バンドを活動しない時期がありました。僕がこうやってステージに立てているのも、メンバーが僕を受け入れて、許してくれたからです。本当に、どうもありがとうございます。
インディーズの時は、どんどんお客さんが増えて、本当にあっという間にメジャーデビューして、このまま武道館まで一直線に進むんだなと、そう思って活動するなかで、僕のあの事件が起きて活動休止になりました。ただ、そこから復活して、Psycho le Cémuまだやり残した夢があります。あの場所に行くことです。そう、日本武道館です! 僕たちの中ではPsycho le Cémuが日本武道館をやることは、もう決定事項です! 今日もし僕たちを初めて見る人も、僕たちの夢を一緒に見に行きませんか? 本当にこの長い歴史の中で、同じ時代に生まれたということは奇跡なんですよ。この僕たちがいる世界は、君がいる世界です」

赤裸々すぎるほど赤裸々にDAISHIが思いを語り、「これは本当に奇跡なんですよ! 僕たちがいる世界は、君がいる世界だ! 俺たちがいる世界は、君がいる世界だ!」と叫んでドロップしたラストナンバーは、もちろん「君がいる世界」。2023年と比較的直近にリリースされたナンバーだが、弾けるような煌めきはデビューの頃と変わらず、むしろ時間を経たぶん輝きを増して、オーディエンスの腕を振り上げさせる。YURAサマは渾身の力でスティックを振り上げ、間奏ではAYAのエモーショナルなギターソロも。最後は「みんなからの声を聞かせて! もっと!」とDAISHIが号令をかけ、会場中に“WoW WoW”の大合唱を巻き起こし、感動的なシーンを作り上げた。
「僕たちがいる世界が、君がいる世界です! おまえら愛してるぞ!」とDAISHIが叫びあげ、ステージはカラフルなレインボーカラーに。エンディングSEの「あきらめないDAYS」でも全員で踊り、たっぷりと時間をかけてオーディエンスに手を振って、晴れやかなエンディングへ。最後まで残ったseekは「幕張ありがとう!」とステージに一礼し、Psycho le Cémuの愛あふれるスペシャルな物語は、未来への道を示して幕を閉じた。
取材・文◎清水素子
撮影◎堅田ひとみ
■セットリスト
1. BLADE DANCE
2. 激愛メリーゴーランド
3. 愛の唄
4. Murderer・Death・Kill
5. 君がいる世界
■<CROSS ROAD Fest>
【DAY1】11⽉15⽇(土) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open12:00 / start13:00
【DAY2】11⽉16⽇(日) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open10:30 / start11:30
〒261-8550 千葉市美浜区中瀬2-1

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