【インタビュー】三月のパンタシア、ベストアルバム『多彩透明なブルーだった』リリース「この10年間が、私にとっての青春」

2025.08.21 20:00

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◼︎“物語音楽”っていうのはずっと大事にしていきたい

──『多彩透明なブルーだった』には、そんなみあさんが追い求めてきたさまざまな青春が詰まっていますね。みあさんが好きな楽曲についても伺わせてください。

みあ:このベストアルバムにはテーマがそれぞれあって、DISC1の「彩青」にはそれこそ青春の甘酸っぱさだったり、キラキラした部分を歌った楽曲が収録されていて、逆にDISC2の「憂青」には、青春におけるちょっとダークな部分、泣きたくなるような気持ちを歌った曲が収録されているんです。

──今作にはアルバム未収録のカップリング楽曲のなかからファン投票で選ばれた「花に夕景」も収録されています。

みあ:それこそ「花に夕景」もサビで《傷口をただ舐め合っていた》って歌っているんですけど、若い時って、うまく励ましたくてもうまい言葉が出てこなかったり、暗闇から連れ出してあげたいと思ってもどうしてあげたら良いかわからなかったり…。とにかく、気持ちはあってもどう言葉にしたら良いかわからない気持ちが、自分自身もそうだったんだけど、心のなかで渦巻いていて。そのグチャグチャさをロックな曲調のなかで歌い上げてるのが、この曲だと思うんです。春時代の焦燥感やわけのわからない不安な気持ちとか、どうしたらいいかわからないけど、「一つ言えるのは君のそばにいたいだけだ」っていう混沌の中にある一つのピュアな強い感情を歌い上げている曲で、私も好きな曲のひとつですね。

──凄い歌詞ですよね。大人になる過程というか、未熟さ故の感情がうまく描かれていますね。

みあ:そういう青春の混沌みたいな曲もあるし、逆に「彩青」に収録されている「ピンクレモネード」という曲は、“初恋の煌めき”っていうものを、レモネードのシュワシュワ弾けるソーダを連想しながら歌ってる曲で。この曲は、ブルーな気持ちとか憂鬱感が一切ない曲です。「初めて恋をする時ってこういう気持ちだよね」「あの頃ってなんで好きな人ができただけでこんなに楽しかったんだろう」という気持ちを追体験できるような、キラキラした曲の中でもイチ推しの可愛らしい曲ですね。

──サビは疾走感があって活動当初の三月のパンタシアらしさ全開な楽曲だなという印象がありますね。みあちゃんの青春時代はどんなふうでしたか?

みあ:青春って、大人になってからの青春もあると思うんですけど、私自身の学生時代は、まさに言いたいこともうまく言葉にできなくて、そのもどかしさで常になんか苛立ちを抱えていたりしましたね。

──ダークな部分?

みあ:将来こういうふうになりたいとか、「物語を作る何者かになりたい」という想いや夢はあるけれど、田舎の出身だったので、叶う気もしないし、誰かに話すのもその時はどこか気恥ずかしくて誰にも言えなかったんですよね。地元は好きだけど、やっぱりここから飛び出して広い世界を見たいって気持ちがあったり、「こうだけど、こう」みたいな相反する気持ちが何処かいつも喧嘩してました。学生時代の方が神経質だったかもしれない。神経質というか、感覚も過敏だった気がしますね(笑)。

──そんな感性を持ったみあさんだからこそ、歌える歌があるのかなと思います。

みあ:そうですね。自分がそういう学生時代を過ごしてきた分、三月のパンタシアの歌詞だったり小説でも、上手く言葉にできないもどかしさとか、やるせなさとか、「本当はこういう言葉が言いたいのに、口にするとなんでこういうふうに伝わっちゃうんだろう」みたいなことばっかり歌ってるかもしれない(笑)。

──けれど、アルバム『愛の不可思議』では愛をまっすぐに歌った楽曲もあり、青春期のなかで人としての成長も感じられました。青春って成長過程で避けては通れない必要なものという感覚もあるのですが、みあさんの青春ってなんでしょうか?

みあ:この10年間を振り返って、私も考えたんですよね。“青春”という言葉をこんなに使ってきたけど、自分にとっての青春ってなんなんだろうと思った時に、ここまで三月のパンタシアのみあとして生きてきたこの10年間が、私にとっての青春だったなと思います。ベストアルバムに「LuMiNA」っていう新曲を収録しているんですけど、あの曲の歌詞を書く時もこれまでとこれからの想いを描きたいと思いました。

──まさに青春のど真ん中にいますね。新曲のタイトルは、ラテン語で“光”という意味が込められているそうですが、作詞はみあさんが担当されていますね。どんな気持ちで制作されましたか?

みあ:この曲は冒頭で《この青春もいつか散ってしまうなら》って歌詞が入ってるんですけど、その“青春”というのは、三月のパンタシアのみあとして生きている時間っていう意味を込めています。私はずっとずっと、この青春が続いて欲しいけど、でも人間いつか死んでしまうものだし、必ずいつか終わりが来ると思っていて。でも、「その瞬間まで私は歌い続けるよ」ということを書きました。

──新曲のタイトルはアルファベット「u」と「i」の部分だけ小文字で表現されていて、“あなたと私”が強調されていますね。一人では絶対に書けない強さのある曲だと思いましたし、心地よい高揚感のあるビートも気持ち良かったです。

みあ:この10年間を振り返った時に感じた想いを曲にしたんですけど、「この先も物語は続いていく」「紡いでいきたい」と、私自身は強く思っているので、「この先の未来の景色を隣で見ていてほしい」「着いて来て欲しい」という気持ちを込めました。その為には、やっぱり“君”にいて欲しいという、そんな気持ちを歌いたいなと思って。そして、この気持ちを表すには、とにかく疾走感があって、光の先に走り抜けていけるような、そんな光溢れる楽曲が良いなと思い、制作してもらいました。

──作曲はボカコレ2024年のルーキー部門も受賞されている駄菓子O型さんですね。どのような経緯で依頼したんですか?

みあ:何曲かあった候補曲から、駄菓子O型さんの曲がコンセプトにもあっていて。曲を聞いて私も素敵だなと思っていたんですが、周りのスタッフさんからも「駄菓子君は凄くいいと思う」と言っていただけたことで決まりましたね。

──そうだったんですね。これまでの三月のパンタシアらしさ全開でみあさんにピッタリな楽曲だなと感じました。今後はどんな展望を?

みあ:まだまだいろんな青春を紡いでいきたいっていう気持ちだったり、 三月のパンタシアとして物語を紡いでいきたいっていう気持ちがたくさんあります。なので、この先、足を休めることなく、同じように走り続けると思うんですよね。けれど、そのなかで“物語音楽”というのはずっと大事にしていきたいし、より物語を楽しんでもらえる仕組みが確立できていったら面白そうだなと思っていますね。これからも三月のパンタシアからどんどん物語が生まれていくと思うので、是非そのひとつ一つを、音楽と合わせて自分の空想時間を楽しんでもらえたら嬉しいと思います。

取材・文◎後藤千尋
ライブ写真◎大庭元

『多彩透明なブルーだった』
2025.08.20リリース
配信:https://www.phantasia.jp/disco/buy/?VVCL-2736
CD購入:https://3pasi.lnk.to/0827_BESTAL

【完全生産限定盤】¥14,800(税込)

・CD2枚組み
・Blu-ray
三月のパンタシアLIVE 2020ブルーポップは鳴りやまない
三月のパンタシア presents 三月春のスタジオライブ祭り
三月のパンタシア5th Anniversary Live 『もう一度、物語ははじまる』
Bonus track

・特典
パンダぬいぐるみ ※10周年特別仕様
スペシャルBOX仕様

【通常盤】¥3,500(税込)

・CD2枚組み

[CD収録内容] 
ーDisc1 彩青ー
1 はじまりの速度
2 ピンクレモネード
3 パステルレイン
4 幸福なわがまま
5 群青世界
6 ゴールデンレイ
7 フェアリーテイル
8 夜光 
9 街路、ライトの灯りだけ
10 三月がずっと続けばいい 
11 醒めないで、青春
12 ランデヴー
13 愛の不可思議
14 LuMiNA(新曲)

ーDisc2 憂青ー
1 day break
2 青に水底
3 僕らの幸福論
4 恋はキライだ
5 花冷列車
6 花に夕景
7 101
8 四角運命
9 ビタースイート
10 ピアスを飲む
11 スノーノワール
12 完璧彼女
13 星の涙
14 青春なんていらないわ

[Blu-ray収録内容] ※限定盤のみ
三月のパンタシアLIVE 2020 ブルーポップは鳴りやまない
1 サマーグラビティ
2 いつか天使になって あるいは青い鳥になって アダムとイブになって ありえないなら
3 恋はキライだ
4 パステルレイン
5 ミッドナイトブルー
6 群青世界
7 逆さまのLady
8 たべてあげる
9 透明色
10 煙
11 不揃いな脈拍
12 青い雨は降りやまない
13 青春なんていらないわ
14 醒めないで、青春
15 三月がずっと続けばいい
16 ランデブー

三月のパンタシア presents 三月春のスタジオライブ祭り
1 ピンクレモネード 
2 七千三百とおもちゃのユメ
3 街路、ライトの灯りだけ
4 はじまりの速度
5 青春なんていらないわ
6 君をもっと知りたくない
7 三月がずっと続けばいい

三月のパンタシア5th Anniversary Live もう一度、物語ははじまる
1 パステルレイン
2 恋はキライだ
3 青に水底
4 day break
5 ソーダアイス
6 青春なんていらないわ
7 はじまりの速度
8 幸福なわがまま
9 三月がずっと続けばいい
10 ランデヴー

Bonus track
ヒミツ

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