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Soundgardenというバンドは、便宜上しばしば“グランジ”というカテゴリーに押し込められてきたけれども、実のところ、それは正しくはない。Nirvanaの『Nevermind』とPearl Jamの『Ten』、この2枚のアルバムがきっかけとなって'91年に爆発したグランジ旋風。しかしSoundgardenはその何年も前から存在し、しかも、同じ“グランジ”という言葉がいつのまにか音楽評論家たちによって、まあ、なんというか、不愉快な意味合いでしか使われなくなった以降も、ずっと長いことシーンを生き抜いたバンドなのだ。

バンドを結成して数年間は作品をリリースするということをしなかった彼らだが、'84年、結成当初のSoundgardenの音といえば、パンク的な野性味とパワフルなリズム、あとはメンバーの想像力をかき立てるもの一切合財を掛け合わせた、風変わりな、しかし耳を引く実験的なサウンドだった。'89年にはインディーズの世界を離れたが、それでも彼らは自らのスタイルというものから目を反らすことはなかった。

Led Zeppelinにも似た荘厳な空気。あるいはLed Zeppelinすら持ち得なかった鋭いエッジや、機知に富んだユーモアと皮肉のセンス。Soundgardenはそういった諸々を、Terry DateやMichael Beinhornといったプロデューサーの知恵を借りつつ、濃密で、しかもピリッと痛快なサウンドに乗せていった。

また、Chris Cornellのヴォーカルが目を見張る成長ぶりを示したことも忘れてはならない。A&Mからリリースされ、Soundgarden初のマルチプラチナムとなったアルバム『Superunknown』では、“Black Hole Sun”で情感たっぷりに囁きかけるCornellの歌声を聴くことができる(ちなみに“Black Hole Sun”はアルバムから生まれた5曲のヒットシングルのうちの1つ)。『Superunknown』での成功は、次の『Down On The Upside』の進むべき方向性を決めることになったが、驚くべきことにそれは、彼らのルーツであるミクスチャー的なものへの回帰だった。

『Down On The Upside』のリリースに続いて、'96年のLollapaloozaツアーにMetallicaらと共に出演。そして、その1年後だった。たとえまるっきり新機軸を打ち出して出直したとしても、Soundgardenならまだまだイケる――それほどのバンドでありながら、彼らは突然の解散を決めてしまったのだ。サイドプロジェクトなら、過去にだって何度も手がけてきたのに…。

その活動をまとめておこう。'91年にCornellは、Pearl JamのMike McCready、Stone Gossard、Jeff Amentと共にTemple Of The Dogを立ち上げている。これは、'90年にドラッグの過剰摂取で他界したMother Love Boneのヴォーカル、Andrew Wood追悼のためのプロジェクトだ。'93年には、Matt CameronとBen ShepherdがHaterとしてアルバムをレコーディング。他はJohn Waterman、Brian Wood (Andrew Woodの実兄)、それにMonster MagnetのオリジナルギタリストだったJohn McBainという顔ぶれだった。