[クロスビート編集部員リレー・コラム] 編集長大谷編「ザ・ダムド」
現在発売中のクロスビート2010年12月号、巻頭ではビートルズをたっぷり特集したが、アフター・ビートルズ世代からすれば、まず印象に残ったビートルズと言うとダムドの「ヘルプ」だ。UK最初のパンク・シングル「ニュー・ローズ」(現在は廃盤)のB面収録のこのカヴァーは衝撃だった。お馴染みの名曲をたった100秒に凝縮してスピードと破壊力をアップ。これ以降「パンク・ヴァージョン」と言われるものは全てこれが規範になった。
また1988年にNMEが企画したチャリティ盤『Sgt. Peppers Knew My Father』(現在は廃盤)も面白いコンセプトだった。あの『サージェント・ペパーズ…』を様々なアーティストによって丸ごと一枚カヴァーするという企画で、ソニック・ユース、ビリー・ブラッグからウェット・ウェット・ウェットまでが参加。スリー・ワイズ・メンによる「サージェント・ペハーズ…」のヒップホップ・ヴァージョンやウェディング・プレゼントが高速カッティングで刻んだ「ゲッティング・ベター」など、聴きどころも満載。インディ・ロックやヒップホップなど、1980年代半ばのUKシーンの空気が反映された一枚だ。
しかし、究極のビートルズ・トリビュートはやっぱりレッチリの『The AbbeyRoad E.P.』だろう。1988年5月のある日の早朝、あの有名な通りをチンポコ・ソックスの姿で横断したのだ。これによってしばらくの間、色物バンドのレッテルが貼られてしまったが、ビートルズをぐいっとレッチリ側に引き寄せたセンスは最高だった。
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