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想像してほしい。Bob DylanがRolling Stonesのフロントマンを務める姿を。そうすれば、このMott The Hoopleというバンドのことが少しはわかるはずだ。このイギリス出身のバンドは、'70年代前半にAtlanticから、なかなか出来のいいアルバムを4枚リリースしていた(そのうち2枚は確実に素晴らしい作品と言える)。

しかし、商業的な面ではさっぱり成功を収められなかった。はっきりとしたジャンル分けが出来ないというのが彼らの問題の1つだった。メタルなのか?(Kinksの“You Really Got Me”をイントゥルメンタルとしてカヴァーしたナンバーの激しさを聴くと、そうとも言える)あるいはフォークなのか?ポップなのか?(“Sweet Angeline”はどちらのスタイルにも含まれるように思える)

だが、Atlantic時代最後の作品となったアルバム『Brain Capers』は、どうやらメタルよりと言えそうだ。後にBad CompanyのギタリストとなったMick Ralphsのギターが弾き出すリフが、いつにもまして激しかったのだから、当然だろう。それでも、彼らはハードな部分が足りないと思われていた。Ian Hunterの歌詞は、メタルシーンのファンを獲得するには詩的で内容にあふれすぎていたのだ。

しかし、David Bowieは、そんな彼らにスターになる資格がある、と考えていた。彼はIan Hunterのサングラスをかけたイメージに特に興味を持ったようだった。David BowieはMott The Hoopleの5枚目のアルバム『All The Young Dudes』のプロデューサーを務め、今でもロックの聖歌として愛唱されているタイトル曲“All The Young Dudes”も提供している。

実際、この曲でMott The Hoopleというバンドを記憶している人も多いかもしれない。FMラジオで曲が頻繁にオンエアされ、新しいレーベル、Columbiaの強力な宣伝もあって、彼らにとってこのアルバムは商業的な成功を収めるきっかけとなった作品だった。しかし、イメージの混乱はこの時点でもまだ続いていた。David Bowieがバンドに関わったことで、今度は“グラムロック”のイメージが持ち込まれたのである(実際、彼はバンドにLou Reedの“Sweet Jane”をカヴァーさせている)。

続く2枚のアルバム、『Mott』と『The Hoople』もまた、素晴らしい作品だった。しかし、例のイメージの問題のせいか売り上げはふるわなかった。David Bowieのように強力なプロデューサーの存在のあるなしによる影響は言うまでもなかった。Mick RalphsがBad Companyを結成するためにバンドを脱退したすぐ後、Ian HunterもMott The Hoopleを離れた。

ソロに転向した彼は、上質なロックアルバムを何枚も発表している。2人のスターを失ったバンドは、それでも同じ名前で活動を続け、アルバムも2枚発表した。しかし、これはJoe Walshが脱退した後、同じように活動を続けたJames Gangの場合と同様、やるべきことではなかったようだ。

結局、その後すぐバンドは崩壊し、Mick RalphsとIan Hunterの脱退後に出た2枚のアルバムは廃盤となっている。振り返って考えてみると、今ほどこのバンドの存在が賞賛されている時はないのではないだろうか。事実、イギリスで大ヒットとなったBlurの“This Charming Man”などは、Mott The Hoopleの強力な影響がなければ、ほとんど作ることが出来なかったであろう曲なのだから。

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