大橋トリオ、トクマルシューゴ、そして金子ノブアキに至るまで、ここのところ作詞／作曲はもちろん、演奏・歌、果てはミキシングまで一人でやってのけるタイプのアーティストが目立つようになってきた。マルチな才能を余すところなく発揮できる制作環境を、個人のレベルで整えられるようになったからこその素晴らしき時代性だろう。

そんな中、ここに紹介するKeita The Newest（ケイタ・ザ・ニューエスト）もそんなアーティストの1人だ。コンピュータの普及時に1人遊びのようにして音楽と戯れたことに始まり、ネット環境が整ったことが“宅録制作”に拍車をかけた。

1人でこつこつ宅録制作といっても、彼の音楽は内にこもるものではなく、海外で本格的に音楽を学んだ経験が好影響を及ぼしていると見え、メロディ、サウンド共に彼から出力される作品は非常に洋楽的だ。とはいえ、特定のアーティストを想起させるようなものではなく、その音楽的ルーツを単に特定するのは困難だ。デビューアルバムに収められた9曲はそれぞれ9個の個性に色分けできる。変幻自在に変化するヴォーカルと高いアレンジ能力に、言葉の壁を超えてしまうような説得力を感じさせてくれる。

しかもメロディやサウンド重視のアーティストが陥りがちな歌詞の凡庸さがない。ウィットに富んだ表現の詞も多いが、逆に、例えば、自分のなかに潜む二つの人格を独り言で表現する「スピーカー（give me a chance）」には、閉塞状況にある社会の中でもがき苦しみながらも希望を見出そうとする人々をうなずかせる力がある。

2009年夏に開設されたマイスペースでは、すでにデビュー前にもかかわらず、17万回もの再生が記録されている。また同時期にスタートしたライブもじわじわと評判を呼び、2010年6月6日に行なわれる初のワンマンライブは、わずか8分でソールドアウトとなってしまった。

Keita The Newestがいったい何者なのか、まずは、マイスペースで確認いただきたいところだ。

＜Keita The Newest Scene.1 ～Light up ～＞
2010年6月6日（日）
＠Sweet Emotion
東京都港区西麻布 4-2-4 The Wallビル 1F
Tel：03-5778-9640
開場 13:30
開演 14:00
料金 ￥3000（1ドリンク別 ￥500）※Sold Out
[問]info@keitathenewest.com
SHINKO MUSIC RECORDS Tel：03-3295-7817（平日・14-17時）

『Keita The Newest』
2010年5月26日発売
XQFP-1005 2000円（税込）
1.SWEET PAIN
2.SO MONKEY
3.スピーカー（give me a chance）
4.you’re the only one
5.rain-bow-rain
6.穴あきアナーキー
7.POWER
8.holy night
9.Rocka holiday

◆Keita The Newestオフィシャルサイト
◆Keita The Newestマイスペース
◆Keita The Newestオフィシャルブログ