【連載】いま、聴きたい演歌・歌謡曲 vol.31(本人歌唱指導付き)一条貫太、二見颯一、平松賢人、真木ことみ、絵利菜

2026.10.09 15:00

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世代を超えて愛される「うた」がある。歌唱したい「うた」がある──。

◆本人による歌唱アドバイス 動画

演歌・歌謡曲シーンから注目の作品を毎月紹介する連載企画「いま、聴きたい演歌・歌謡曲(本人歌唱指導付き)」の第31回目。

今回は一条貫太「氷雪岬」、二見颯一「御茶ノ水ぐらふぃてぃー」、真木ことみ「悲恋傷~ひれんしょう~」、平松賢人「ピジョッソ」、絵利菜「泣きまくら」を紹介する。


(協力:日本クラウン)


■一条貫太「氷雪岬」

早くもデビュー10周年。11月20日に30歳を迎えるのを前にしての、14作目となる新曲。少年のような顔立ちはまだまだ変わらないが、少し骨っぽさも出てきたか。10年という節目は本人の気持ちにもこれまでと違った思いを抱かせるだろう。

一条といえば、革ジャンにジーンズ姿という、80年代のサブちゃんや鳥羽一郎のようなスタイルで歌う海の男の歌というイメージがあるが、新曲の「氷雪岬」は、海は海でも“愛する女の面影を訪ねて海沿いをさすらう男”の歌。今は亡き女の思い出を胸に、冬の北限を彷徨う姿が切ない。歌う一条にとっても、初めて歌うタイプの感情であり、どんな表現をするかと思ったら、「寒かろな」「哭いている」のところを悲しみよりも強さで押してくる。自分の強みをしっかりと分かっているようだ。やはり10年のキャリアは伊達じゃない。

カップリングの「昭和の流し唄」は、タイトル通り、酒場でギターで“流し”をする歌手の歌。年の瀬が舞台ということもあってか、どこか寂しい雰囲気があるが、見えてくる風景が本当に昭和なのだ。君は本当に20代なのか(笑)。

ジャケットは昨今のレコードブームを意識してか、1960年代のクラウンのシングル盤のジャケットのようなヘッダーがデザインされている(サブちゃんやチータみたいなやつ)。このあたりの雰囲気も込みで楽しめる2曲だ。



「氷雪岬」
2026年9月2日リリース
CRCN-8871 定価:¥1,700(税抜価格 ¥1,545)

1.氷雪岬
作詩:万城たかし / 作曲:宮下健治 / 編曲:伊戸のりお
2.昭和の流し唄
作詩:結木瞳 / 作曲:宮下健治 / 編曲:伊戸のりお
3.氷雪岬 [オリジナル・カラオケ]
4.昭和の流し唄 [オリジナル・カラオケ]
5.氷雪岬 [一般用カラオケ・半音下げ]
6.昭和の流し唄 [一般用カラオケ・半音下げ]


■二見颯一「御茶ノ水ぐらふぃてぃー」

民謡出身ながら、デビュー以来、その伸びやかな声でド演歌からポップス調の曲まで幅広く歌ってきた二見颯一。今年の第2弾となる新曲は、フォーク調の楽曲と、また新たな世界を見せてくれている。

「御茶ノ水ぐらふぃてぃー」は学生の街、お茶の水を舞台にしたゆったりとした楽曲。街を歩きながら、緩やかに流れる時間の中で彼女との思い出がよぎっていく、ちょっと切ない気持ちになる歌だ。お茶の水を舞台にした歌はなかなか珍しいが、ニコライ堂や神田川など、東京っぽさがありつつも、70年代っぽいロマンと風情が感じられる。

今回も前2作と同じく、カップリング曲を変えた2タイプ同時発売となる。【タイプA】のカップリングは「テルミーTOKYO」はリズミックなムード歌謡。「赤坂 銀座 六本木」なんて歌詞に出てくるように、これも70年代っぽいムードの曲だ。【タイプB】は異色のポップス。沖縄出身の新垣優と片山義美の2人からなるソングライター・チームの曲だ。今どきのJ-POPなバラードで、サビの転調などいかにもイマっぽい。演歌の歌手もこういう曲を歌うことが増えてきたなという印象だが、とてもいいことだと思う。



「御茶ノ水ぐらふぃてぃー」
2026年9月9日 発売

【タイプ A】 CRCN-8874 定価:¥1,700 (税抜価格 ¥1,545)
1.御茶ノ水ぐらふぃてぃー
作詩:紙中礼子 / 作曲:水森英夫 / 編曲:竹内弘一
2.テルミーTOKYO
作詩:岸快生 / 作曲:水森英夫 / 編曲:竹内弘一
3.御茶ノ水ぐらふぃてぃー [オリジナル・カラオケ]
4.テルミーTOKYO [オリジナル・カラオケ]
5.御茶ノ水ぐらふぃてぃー [一般用カラオケ・半音下げ]
6.テルミーTOKYO [一般用カラオケ・半音下げ]

【タイプ B】 CRCN-8875 定価:¥1,700 (税抜価格 ¥1,545)
1.御茶ノ水ぐらふぃてぃー
作詩:紙中礼子 / 作曲:水森英夫 / 編曲:竹内弘一
2.アイノイト
作詩:新垣優 / 作曲:新垣優・片山義美 / 編曲:片山義美
3.御茶ノ水ぐらふぃてぃー [オリジナル・カラオケ]
4.アイノイト [オリジナル・カラオケ]
5.御茶ノ水ぐらふぃてぃー [一般用カラオケ・半音下げ]
6.アイノイト [一般用カラオケ・半音下げ]


■平松賢人「ピジョッソ」

ボーイズグループ・BOYS AND MENからソロデビューを果たした平松賢人。田原俊彦が憧れというだけあって、トシちゃんっぽい雰囲気のダンサブルな「メラメラ」でメジャーデビューした。

1年ぶり2枚目のシングルは、なんと現代トロット。トロットは韓国歌謡曲のジャンルの1つだが、それを現代版にアップデートしたものだ。この「ピジョッソ」の曲を提供したのは韓国のYGエンターテインメントに所属していたROVINで、そこに日本語の歌詞を乗せている。ファンキーなダンスナンバーで、歌い方には時折トシちゃんっぽい節回しが見られるのは、ファンとして意識的にやっているのだろう。なお、韓国語バージョンも収録しているが、発音の日本語訛りが微笑ましい。ちなみに「ピジョッソ(삐졌어)」とは、韓国語で「拗ねている」などを意味する言葉だ。

カップリング曲を変えた2タイプ同時発売となるが、ジャケットの色に合わせて赤盤と青盤と呼んでみよう。【タイプA】(赤盤)には「傷だらけな天使」を収録。80年代終わり頃の男性アイドルのダンス・ポップを現代風にアップデートしたような曲で、中森明菜「Dear Friend」など、80年代から多くの楽曲提供をしてきた和泉一弥が作詞・作曲を担当している。これもリード曲にしてもいいほどの仕上がりだ。【タイプB】(青盤)には「愛しさが止まらない」を収録。作曲は、近年、歌謡曲界隈でメキメキと頭角を表し始めた大村友希。洗練されているのにしっかりと歌謡曲的なひっかかりを作るのがうまい作曲家だ。今回はミッドテンポのバラードで、平松の声との相性もいい。もしかしたら平松はトシちゃんっぽさを意識しない方がいい歌を歌うかもしれない。



「ピジョッソ」
2026年10月7日リリース

【タイプ A】 CRCN-8877 定価:¥1,700 (税抜価格 ¥1,545)
1.ピジョッソ(日本語 Ver.)
作詩:YUMIKO / 作曲:ROVIN / 編曲:ROVIN
2.傷だらけな天使
作詩:和泉一弥 / 作曲:和泉一弥 / 編曲:久下真音
3.ピジョッソ(韓国語 Ver.)
作詩:ROVIN/GRACE CHANG / 作曲:ROVIN / 編曲:ROVIN
4.ピジョッソ [オリジナル・カラオケ]
5.傷だらけな天使 [オリジナル・カラオケ]

【タイプ B】 CRCN-8878 定価:¥1,700 (税抜価格 ¥1,545)
1.ピジョッソ(日本語 Ver.)
作詩:YUMIKO / 作曲:ROVIN / 編曲:ROVIN
2.愛しさが止まらない
作詩:日野浦かなで / 作曲:大村友希 / 編曲:西村真吾
3.ピジョッソ(韓国語 Ver.)
作詩:ROVIN/GRACE CHANG / 作曲:ROVIN / 編曲:ROVIN
4.ピジョッソ [オリジナル・カラオケ]
5.愛しさが止まらない [オリジナル・カラオケ]


■真木ことみ「悲恋傷~ひれんしょう~」

アルトボイスの低音が魅力の真木ことみ。普段は着物のイメージが強いが、最新のヴィジュアルでは、スタイリッシュなハイファッションを見につけたものがあるなど、デビューから30年を越えて、まだまだ眠っている魅力がありそうな気がしている。

昨年の「春を信じて…」では、おかっぱ頭の巨匠・岡千秋が書いた明るいメロディーを歌ったが、1年ぶりの新曲「悲恋傷」は、2021~23年までの“糸3部作”で楽曲を提供した弦哲也(今年3月までJASRAC会長)が2作ぶりに作曲を担当。2022年の「くれないの糸」は、ファンからの人気が高い楽曲となったし、個人的にはその1つ前の「天の糸」が気に入っていた。今回はそれを越えてきた感がある。弦哲也といえば有名な「天城越え」のように、ギミックを駆使した曲を作ることがあるが、時にやりすぎてしまうことがある。今回はそれが程よいバランスで、次々に展開するメロディと、都度都度、真木の低音が見事に響くところがあって、真木の個性が見事に活きた仕上がりとなっている。これはヒットしてほしいなぁ。

カップリング曲の「北極星~ポラリス~」は「北極星」をモチーフにした曲で、ポップス調のバラード。これまた実にいい曲で、メロディが非常に美しい。サビの部分でポップス風の歌い方の中にふとコブシを入れてくるところなど、歌の面白みもある。なんでこれをカップリングにしちゃうんだろう。もったいない……と思いつつ、ちょっとマニアックな仕上がりではある。キーが低い曲なので、カラオケで歌った時、普通の音域の女性は原曲キーでは下の声がかなりチャレンジングになるだろう。



「悲恋傷~ひれんしょう~」
2026年10月7日リリース
CRCN-8876 定価:¥1,700(税抜価格 ¥1,545)

1.悲恋傷〜ひれんしょう〜
作詩:浦 千鶴子 / 作曲:弦哲也 / 編曲:矢野立美
2.北極星〜ポラリス〜
作詩:浦 千鶴子 / 作曲:弦哲也 / 編曲:矢野立美
3.悲恋傷〜ひれんしょう〜 [オリジナル・カラオケ]
4.北極星〜ポラリス〜 [オリジナル・カラオケ]


■絵利菜「泣きまくら」

身長170センチの長身。福井県を拠点に活動する歌手の、クラウンからの2枚目のシングルがリリース。2008年の「第24回日本アマチュア歌謡祭」で優勝し(なんと「アメイジング・グレイス」を歌ったという)、翌年にデビュー。2024年にクラウンに移籍してリリースした「すずめ」がカラオケファンに支持されてロングセラーになった。YouTubeのオフィシャル動画は、もう少しで100万回再生に届きそうというほどに評判になっている。

 

期待の新曲「泣きまくら」は、やはりカラオケファンに好まれそうなムード歌謡で、少しスウィングするような小粋なムードがある曲だ。絵利菜は少しハスキーな低音が魅力で、声を伸ばした中に様々な表情が見えるような、豊かな表現力を持った歌手だ。軽く歌っているように聞こえるが、本当はパワーのある歌手だと思う。

そのパワーを発揮したのがカップリングの「ENDLESS LOVE~あなたを愛した それだけ~」だ。一見、よくあるバラードに思えるが、サビのところでリズムが3連に変化するなど、トリッキーな仕掛けがある。ここでの伸びやかな歌声は実に素晴らしい。声質もいいしかなり魅力的な歌手なのだが、福井在住なのが本当に勿体無いというか、もっと多くの人に生で聴いてもらえる機会があったらいいのにと思う。



「泣きまくら」
2026年10月7日リリース
CRCN-8881 定価:¥1,700(税抜価格 ¥1,545)

1.泣きまくら
作詩:小泉宏孝 / 作曲:徳久広司 / 編曲:水谷高志
2.ENDLESS LOVE〜あなたを愛した それだけ〜
作詩:日野浦かなで / 作曲:遠山 敦 / 編曲:遠山 敦
3.泣きまくら [オリジナル・カラオケ]
4.ENDLESS LOVE〜あなたを愛した それだけ〜 [オリジナル・カラオケ]

文◎池上尚志


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