【コラム】ストレイテナー × Kroi、Pearl Drums 80周年記念イベント初日ツーマンを100倍楽しむ方法“こんなに違うんだ!?”

世界的ドラムメーカー“パール楽器製造”が2026年に80周年を迎える。逆算すれば創業1946年。まだ世の中にロックやソウルといった言葉すらなかった時代から、と考えると大変な歴史だ。ちなみに1960年前後に巻き起こったファンキージャズ・ブーム。その中心人物のひとりだった巨匠アート・ブレイキーが1966年に発表された同社のプレジデントシリーズと出会い、のちに生涯Pearl Drumsの愛用者になった。新興ブランドにはありえないエピソードだ。
パール楽器製造が10月15日から18日の4日間にわたり、神奈川・川崎 CLUB CITTA’にて、創立80周年記念イベント<Pearl Drums 80th Anniversary Fest. at CLUB CITTA’ “Together We Shine”>を開催する。第一線級アーティストによるライブをはじめ、世界的ドラマーを迎えたスペシャルプログラム、トークセッションを含む多彩なパフォーマンスを通じて、Pearl Drumsの歴史と現在が体感可能な4DAYS。世代もシーンも越えてドラマーが集結するイベントほか、会場内では製品展示や歴史コーナー、試打スペースも用意されるなど、CLUB CITTA’全館がパールドラムスに彩られるかたちだ。
その初日が<Day1:Opening Night Special Live「ストレイテナー / Kroi」>となる。現代のライブシーンを象徴するステージを通して、Pearlサウンドと存在感を体感するオープニングナイト。タイトル通り、ストレイテナーとKroiによるガチ対バンが繰り広げられる。その見どころをご紹介したい。

◆ ◆ ◆
●ストレイテナーとKroi
●その共通要素と独自性
例えば、ストレイテナーはホリエアツシ(Vo, G, Key)とナカヤマシンペイ(Dr)が、Kroiは内田怜央(Vo, G)と長谷部悠生(G)が中学からの友人だったりする。あるいはストレイテナーのナカヤマはアートワークを担当してたり、Kroiの千葉大樹(Key)はMIXを行うこともある。これらはバンドとしての連携に関わる要素だろう。
一方でバイオグラフィーはまるで違う。1998年に始動したストレイテナーは当初、ホリエとナカヤマの二人編成だった。それが2003年に日向秀和(B)が、2008年に大山純(G)が加わった。音楽性も初期の荒々しい楽曲、その後の時に打ち込みも加えた踊れるナンバー、近年の歌で聴かせる作品、と幅を広げてきた。
ストレイテナー登場の20年後、2018年に結成されたKroiはキーボードも加えた5人編成。そのバンド名からもうかがえるように全員がブラックミュージック好きだったりする。とはいえ、こんなアプローチだってある!と言わんばかりに作品毎に変化を見せてきた。毎回別人のように全く異なる世界観のミュージックビデオなどとも連動しながら。


●ナカヤマシンペイと益田英知
●楽器あるあるを絵に描いたような二人
そして双方のドラマー。ストレイテナーのナカヤマもKroiの益田英知(Dr)も共にパールドラムスのリファレンスシリーズを使っている。けれども、同じ楽器を使っていてもこんなに違うんだ!?という“楽器あるある”を絵に描いたような二人だ。
まず動画の音を消していてもわかるのが、腕の振り。ナカヤマは頭よりスティックが上がるような大きさで叩いていることが多い。対して益田はより低い位置で、手首で細かくコントロールしながら叩いているように見える。
次に音に着目してみる。そもそも「最初に親からプレゼントされたドラムがパールだった」というナカヤマ。ストレイテナーを始めた頃は二人編成だったこともあったのだろう、とにかく力攻めだった。1ステージでパール製の最も長く太いスティックがボロボロになったと聞く。それが、ベースやギターが加わり、歌でじっくり聴かせるナンバーも多くなっていくにしたがい、スティックも短くなり、強弱の効いたプレイに変わっていった。といって、大人しくなったわけではない。それどころかドラムの音量はどんどん大きくなっていった。体を鍛え抜いていったせいで。かつてより一段も二段も抜けてくる音。力攻めから真のパワーヒッターになった感じだ。
それでも一貫しているのは、ロックな8ビートのドラマーだという点。ボーカルまで含めて歪んだ音のせめぎ合いであるストレイテナーの最新作「SUPER HERO ALL STARS」はもちろんのこと、2025年リリースの『Next Chapter EP』収録のテクニカルな曲「My Rainy Valentine」でも、打ち込みから始まる「Next Chapter」でも、常に8分のノリ。逆に8ビートというものの可能性すら感じてしまう。
一方で益田。Kroi「Kinetic」リリース時はオアシス等のUKロック→ジャミロクワイ→インコグニートといった自らのルーツも語られていたが、それは彼の中のほんの一部だろう。1970年代の白人ブルースギタリスト、ジョニー・ウィンターのことに触れた発言もみた。“自分が好む海外のドラマーたちのどこが魅力的なのか?”というそのポイントをノリの観点から的確に解説したものもあった。グルーヴというものに常に目を向けている人なのだと思う。異なる音と音の位置がそれを生むことにちゃんと気づいている、というか。そういう男が実はピアノもギターも弾ける、というのはさらに強い。ボーカルの内田もドラムを叩ける、という関係性もなおさらだ。
バンドとしてお互いの楽器のことも分かった上でのプレイ。それは曲ごとに多彩だ。Kroiの最新作「SPIN」はサンバのノリ。「AII in」はスネアの細かいニュアンスが活きた16ビート。前述の「Kinetic」は基本ディスコビートながらパートごとにハイハットのパターンがどんどん変わっていく。
◆ ◆ ◆
多くのジャンルを網羅した音楽性の中で8ビート勝負のナカヤマ。ストレイテナーよりもう少しテリトリーを明確にしつつも、その中で常に曲に変化を与えている益田。来る<Pearl Drums 80th Anniversary Fest.>でのツーマン。パールドラムスの周年イベントでもあるだけに、時にはドラマー目線で楽しんでみるのもおもしろいのではないだろうか?
取材・文◎今津甲

■<Pearl Drums 80th Anniversary Fest. at CLUB CITTA’ “Together We Shine”>
特設サイト:https://pearldrum.com/ja/80th
チケット詳細:https://www.cittaworks.com/event/pearl-drums-80th/
【Day 1】10/15(Thu)
▶Opening Night Special Live「ストレイテナー / Kroi」
※第一線で活躍するPearlアーティストによる対バンライブ。現代のライブシーンを象徴するステージを通して、Pearl Drumsサウンドと存在感を体感するオープニングナイトだ。


【Day 2】10/16(Fri)
▶Shane Gaalaas Special Live Performance
Guest:Sam Pomanti (Keyboard) / Kid’z (MY FIRST STORY)
※Shane Gaalaas自身のプロデュースによる特別なパフォーマンスナイト。マイナスワン演奏とバンドスタイルを織り交ぜ、ゲストとともにドラマーとしての表現力を多角的に描き出す。

【Day 3】10/17(Sat)
▶Pearl Global Drum Summit feat. Calvin Rodgers and Shane Gaalaas
Guest:TOSHI NAGAI, 小笠原拓海, 田浦 楽, and more…
※国内外トップクラスのPearlドラマーが一堂に介する特別プログラム。演奏やトークセッション、コラボを通してドラムの可能性と、その魅力満載のサミットが届けられる。

【Day 4】10/18(Sun)
▶Final Day Special Event feat. yukihiro (L’Arc-en-Ciel)
※長きにわたってPearl Drumsと共に歩んできたyukihiroが最終日のステージに登場。サウンドメイキングや楽器観、音楽との向き合い方に迫るファイナルに相応しい一夜。

■Pearl 80th Anniversary Official Song「Together, We Shine」
2026年5月15日(金)正午リリース
配信リンク:https://vaa.lnk.to/Mnchk
作詞:飯石真之 (パール楽器製造株式会社 代表)
作曲:Rie
▼レコーディング参加ミュージシャン ※敬称略/順不同
・Omar Hakim
・Toshi Nagai
・IKUO
・矢堀孝一
・相澤政宏
・石川直
・篠奈々子
・米良美一 ほか
「楽器をつくる、音楽を奏でる、それを聴き何かを感じる。ここに立場、時代を超えて心で共鳴する音楽の力があります。
そんな、私たちパールの想いを曲にしよう、というプロジェクトが立ち上がりました。共に輝こう!Together, We Shine. 」
──代表取締役社長:飯石真之







