【インタビュー】yutori、今鳴らすべき音への確信が宿る2つの新曲完成「私の歌を聴け、 声を聴け」

2026年は3月にリリースしたミニアルバム『心の微熱』を携えて、台湾・台北や韓国・ソウルでの初の海外公演を含むツアー<Bless you!>を繰り広げてきたyutori。6月にツアーを終え、さあ次のステップへ……というところで、早くも新曲が届いた。8月26日にリリースされ、すでにライブでも欠かせない楽曲となっている「秘密」、そしてTVアニメ『朱色の仮面』のエンディングテーマとして10月10日に配信リリースされた「声」である。
彼ら自身が改めて“yutoriらしさ”に向き合って作り上げたギターロックチューン「秘密」と、アニメに寄り添いながらもその奥にソングライターとしての内面が透けて見えるような「声」。アプローチは正反対といっていいほどに違うが、どちらにも“今鳴らすべき音、今歌うべき歌はこれだ”という確信のような揺るぎなさが宿る。
この新曲たちとともに、yutoriは今度は2マンツアー<対 vol.2>に挑む。“ライブがいい”という基準で声をかけた対バン相手とのガチンコの中でバンドにさらなる進化が起きることを期待したい。
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■自分の書いた曲が海を渡って届く
■ステージ上で泣きました。忘れられない
──楽曲の話をする前に、6月まで開催していたツアー<Bless you!>についても伺えればと思います。僕もKT Zepp Yokohamaでのファイナルを拝見したんですけど、すごくいいライブでした。皆さんにとってはどんなツアーでした?
豊田:今まででもいちばん一体感があったなと思います。
内田:うん、すごく近い距離でできた感じがありますね。ライブってこうあるべきだなって思えた。
佐藤:今後のライブの方向性がつかめたツアーだったかなと思います。今までは“これかな”みたいな感じを毎公演重ねて、試行錯誤の形でファイナルを迎えてしまうことが多かったんですけど、今回に関しては“これだ”という確信を持って挑めたので。そこは自分的にはすごく成長したツアーだったなと思います。
浦山:最初の日から出したい音と伝えたいことは決まってたよね。キャパも大きくなったし、初めて行くところも多かったけど、怖気づくこともなくできました。ちゃんとお客さんに伝わっているなっていうのを日本でも海外でも感じましたね。

──台北とソウルで海外公演もやったんですよね。それはどうでしたか?
豊田:特に台北は、勝手にめっちゃデカい声で俺らと一緒に歌ってくれて。一人ひとりが音楽を楽しむことだけを考えて楽しんでくれている感じでしたね。
内田:しかも、日本語がめちゃくちゃ通じるんだなっていう。ちゃんと煽ったときに意味をわかってすごく盛り上がってくれてるし、AメロもBメロも歌ってくれて。そこは、海外に行ったからって別に何か変わるわけじゃないんだっていうのをすごく感じました。
佐藤:このツアー、必ず最後に「僕らは孤独だ」をやってたんですけど、台北でもソウルでもお客さんが一緒に歌ってくれたんです。そこで改めて“自分の歌が、自分の書いた曲が、海を渡って届くんだ”って思って、ステージ上で泣きました。すごく嬉しかったし、本当に音楽の力って誰にも止められちゃいけないんだなってすごく思いました。忘れられないですね、あれは。
──そういう経験は、もしかしたらこれから作る曲とかライブにも反映されていくかもしれないですね。ということで、新曲も続々できていまして。まずは8月にリリースされた「秘密」。この曲は複雑な恋愛感情を歌ってるんだけど、サウンドはめちゃくちゃアッパーで疾走感があって。そのアンバランスさが魅力ですね。
佐藤:ありがとうございます。
浦山:この曲は《君には言えない秘密だって/知らなきゃ君は幸せなまんま》というフレーズだけがずっとあったんです。他の部分は新しくリアレンジして曲として作ってみようとなって書いたんですけど。どれだけ好きな人でも信用してる人でも、すべてをさらけ出さないと愛じゃないなら、そういう愛はいらないなと思っていて。誰しも秘密って抱えてるものだと思っていて、誰にも言えないこともあれば、逆にそんなに親密じゃないからこそ言えることもあると思うし、その適当な意見が返ってくる感じも、みんな抱えてるんだろうなと思って。だから、無理に「いいよ」とは言いづらいんですけど、「まあ、いいんじゃない」ぐらいのフランクさを伝えたいなと。あと、この歌詞を(佐藤)古都子が歌ったらどうなるんだろうっていうのもありました。

──元のフレーズはいつからあったんですか?
内田:たぶん2〜3年前ぐらいからあって、「いつか曲にしよう」みたいな話をしていたんです。それで今回、結構久々のリリースでどうしようかってなったときに、このタイミングでyutoriっぽい曲を出したいというので、「俺、この曲好きなんだよね」っていうのを(浦山)蓮に相談したんです。そうしたら「じゃあもう一回書いてみる」って。
──その“yutoriっぽい”っていうのは、どういう部分で感じていたんですか?
内田:やっぱり卑屈だったり、あまり表に出せない感情を歌っていると思うんです。普通にぱっと言えることじゃない部分を曲に乗せて届けるみたいな部分が、うちっぽさのひとつだなと思う。でもそれをただ重い曲にするんじゃなくて、ちゃんと疾走感を持たせるというギャップの部分が“yutoriっぽさ”かなと思っています。初期は特にそうだったと思うんですけど、そういう曲になればなっていうのがありました。
──太一さんは、この曲に対してどういう印象でしたか。
豊田:いやもう本当に、“どうやって書いたんだろう”って(笑)。もう本当に物語ですよね。小説を読んだような感じで、単純にあの人(浦山)の頭の中、どうなってんだろうっていう印象でした。最近では最高傑作じゃないかってぐらい、本当に情景が浮かんで、いち早く皆さんに届いて、共感できる人は共感してほしいし、共感できない人にはこういう考え方があるんだって思ってほしいです。本当にいろんな感情になれるいい曲だなと思ってます。

佐藤:でも自分は正直、この曲のキャラクターが思っていることがわからなかったので、すごく難しかったです。正解が見えないままボーカルレコーディングをしたんですけど、その不透明さが逆によかったようで、そのままのテイクでいこうという感じでした。
──この曲の恋愛観はよくわからない?
佐藤:本当、わからない(笑)。でも、こういう人が世の中には一定数、男女問わずいると思うので。いてもいいんじゃないかとまでは言わないですけど、経験ある人はいるんだろうなという感じです。
──アレンジ面ではどういうことを考えていましたか?
浦山:全体的にロックナンバーというか、ソリッドにはしたくて。歌詞が歌詞なんで、そっちに引っ張られすぎるとたぶんすごく重すぎる曲になって、聴いてほしい人に届かないなっていうのはデモの段階で感じてたんで、ギターをちょっと上のほうでピロピロする感じというか、そういう感じにしたいというのは伝えました。
内田:歌詞に対して、わりと反対というか、疾走感のあるプレイをしてほしいと言われましたね。
浦山:そう、いい意味でアンバランス感を作りたかったんです。

──ギターがめちゃくちゃ効いてますよね。
内田:お客さんから見たときのyutoriっぽさって、やっぱりそういう部分というか。「君と癖」や「音信不通」みたいな曲を「yutoriらしいよね」って言っていただくことが多いので、そういうことを言っているんだろうなと思って、意識して作りました。
──ベースはどうでしたか?
豊田:もうメロディもよくて、詞もよくて、リードギターもよくて。だから僕がやることとしては、ドラムとギターとメロディの隙間を埋めるベースを作るっていうか、誰もいない隙間でベースをちょっと動かして、いいアクセントを作ろうかなっていうのを意識しました。特殊なというか、ちょっと怪しい響きになる箇所ではそれは絶対拾ってあげて、楽曲全体の雰囲気をよくすることを意識しました。
内田:バランサーみたいなベースだよね。
豊田:そうだね。
──だから聴いた感じ、めちゃくちゃシンプルに聴こえるじゃないですか。でも今、太一くんが言ったように、要所要所でちょっとしたアクみたいなのがちゃんと入ってるっていう、そこがやっぱり表面上はすごいきれいなんだけど、裏側にすごくドロドロしたものがあるっていう、この曲の味にもフィットしていますよね。
豊田:弾いてるものは簡単だけど、休符で目立たせたくて、それがベースで作れたのが面白いなと思います。

──レコーディングはどうでしたか?
浦山:結構早かったというか、音作りには悩まなかったですね。どちらかというと、その後のエフェクトをどうするかっていう話が多かった。
内田:今までの経験から「こういうときはこうしたい」っていう意見が各々決まっている部分が多かったので、それをわりとすぐに引き出せるようになったっていうのが顕著に出てるのかなって思いますね。
──歌録りはどうでした?
佐藤:それも結構スムーズに終わった記憶がありますね。今までの楽曲は感情の部分がわりと統一している楽曲だから、あえて声をそんなに変えないで、変えるとしても本当ちょっとだけ、聴く人が聴けばわかる程度だったんですけど、今回の楽曲は結構感情の振れ幅があっていい楽曲だったのでスムーズに録れました。
──じゃあ結構自分を解放して歌えたっていう感じ?
佐藤:わりとそういう感じでしたね。






