――まず、出身と生年月日を教えてください。
MONET:
出身はニュージャージーのボーテンタウンというところ。両親が離婚してからもずっとボーデンタウンにいたの。年齢は……あんまり言いたくないわねぇ。人からは、“見た目は20歳くらいだけど、話すと40歳くらいのようだ”って言われるわ(笑)。
――どんな幼少時代を過ごしていましたか?
MONET:
楽な生活ではなかったわね。裕福な家じゃなかったから、家族みんな必死に生きていた。テレビもなかったから、娯楽といえばラジオを聴くことぐらいで。私の音楽的影響は全てラジオから来ているの。マーヴィン・ゲイ、ルーサー・ヴァンドロス、アニタ・ベーカーなんかが特に好きだったわ。
――最初に歌手になりたいと思ったきっかけは?
MONET:
物心つかない頃から、私は歌手になるために生まれてきたんだという感覚があったわ。ママもパパも、よく“この子は歌手になる”って言ってたし。だから、いつも私は歌っていたの。
――教会に通って歌ったりもしていたのですか?
MONET:
いいえ、教会には行ってなかったわ。ママはそういうことに熱心じゃなかったし、パパはワルだったし。私の成長過程に教会なんて関係なかった。高校ではゴスペル・クワイアに参加したけど、それだけよ。
――高校卒業後は、ヘア・スタイリスト、レストランのシェフなど、音楽とは関係のない仕事をしてきたそうですが。
MONET:
そう。私って多芸なのよね。メイキャップ、ヘア・スタイリング、レストランでの仕事と、全部同時期にやっていたわ。いつも忙しくしていないと気が狂いそうになる性格なのよね。暇という言葉は、私の辞書にはないの。私、薬剤師の学校にも、料理の学校にも、ヘア・メイクの学校にも通ったのよ。学校に行かずに身につけたのは音楽だけね(笑)。
――で、レストランでシェフとして働いていた時にDMXをはじめとするラフ・ライダースの面々がたまたまやってきて、そこであなたはアカペラを披露し、それがきっかけでデビューすることになったわけですよね。大物ラッパーを前に、いきなり歌うなんて、すごく勇気のいることじゃないかと思うんですが。
MONET:
勇気なんて全然いらないわよ。私はよくみんなに言うの。自分が何を求めているのか、それを分かっていることが大事だって。いい? チャンスなんてそうそうしょっちゅうまわってくるものではないのよ。もしもチャンスというドアが目の前にあるならば、そのドアをすぐに開けるか、そのままにしておくかしか選択肢はないの。私はすぐにドアを開けて、その向こうに何があるのか確かめないと気がすまない性格。そうしないと後で後悔するって分かっている。だから、そのドアを開けて、歌っただけよ。
――1stアルバム『ラヴ&ウォー』の話を訊きますが、まず最初に、どのようなアルバムにしたいと考えていたのですか?
MONET:
いろんなスタイルのサウンドを取り入れて、いろんなスタイルの歌声を聴かせたかったの。聴く人が、“この曲は誰が歌っているの?”“この曲のバック・ヴォーカルは誰?”って思うくらい、いろんなスタイルの歌声が聞こえるでしょ? でも、メインもバック・ヴォーカルも、全部私が自分で歌っているのよ。そういう感覚が欲しかったわけ。
――確かに聴いていて、すごく声の表情が豊かだなと思いました。特に低い声のタフな雰囲気と、高い声の優しい雰囲気は、まるで別の人が歌っているようにも思えて。
MONET:
そういうふうに感じてもらいたかったから、様々なスタイルの声を使い分けたのよ。
――時々、ラガマフィン風の歌いまわしをするところがありますよね。レゲエも聴いたりするのですか?
MONET:
レゲエは一番聴くわね。聴いている音楽の85%がレゲエよ。
――アルバムには、DMXやジャ・ルール、イヴといったラッパーが参加していますが、一緒にレコーディングしてみて、いかがでした?
MONET:
DMXとジャ・ルールの部分は私のレコーディングの後に別録りで行なわれたもので、実際一緒にレコーディングできたのはイヴだけなんだけど、彼女は心のキレイな人だったわ。お互いにしっかりした仕事をして、リスペクトしあうことができたと思う。
――このアルバムは、聴く人にとって、どのようなものであってほしいと思いますか?
MONET:
何か知識の得られるものであってほしい。
――このアルバムの聴きどころは?
MONET:
知識が得られるところ。
――自分の最大のオリジナリティとは?
MONET:
う~ん……私はジェルジーだから他とは違う。誰々の真似をしようとは思っていない。いつも自分らしくありたい。っていうことしか言えないわ。
――将来の目標を。
MONET:
まず、私は愛されるアーティストになりたい。愛されるっていっても、“彼女って最高のシンガーよね”っていう愛され方じゃなくて、“彼女はしっかりした考え方を持ったアーティストで、彼女とだったら自分の心をシェアしてもいい”って思われるようになりたいの。そうやって、いつまでも人々の記憶に残るアーティストになれればと願っているわ。