飛んで火に入る…
Stone Temple Pilotsの悩み多きリードシンガー、Scott Weilandは、近年最も魅力あるロックスターのひとりだ。伝説を実践する彼は、ネイルケアとアイメイクを好み、常にトラブルにつきまとわれて、時には延々と姿を消し、更正施設か刑務所のどちらかに絶えず出入りしている。良い子ちゃんが揃いも揃った“ボーイバンド”全盛の昨今、これほどジャーナリスト受けする賑やかな人物は他にいるまい。 Weilandが一番最近の“お勤め”を果たしている間、バンドのメンバーは果敢にも楽観的に構え、新譜の『No.4』を発表して、シンガーが娑婆に復帰するのを待っていた。 ’99年の終わり、Weilandの釈放を待機中のRobertとDeanのDeLeo兄弟とドラマーのEric Kretzが、LAUNCHのオフィスを訪れて、Weilandのいない日々を語ってくれた。 話題は、束の間の離別(バンドは別のシンガーを迎えてTalk Showという名前でレコーディングし、一方のWeilandはソロ作を発表している)に始まり、大ヒットしたデビュー作から『No.4』で見せたエレクトリックなスタイルへとStone Temple Pilotsが遂げた進化、そして彼らが関わったオフブロードウェイのグラムロック・ミュージカル『Hedwig And The Angry Inch』にまで至った。 |
LAUNCH:レコードのリリースが決まったのにシンガーが服役中となると、バンドの機能はどうなるんですか? ROBERT: ERIC: DEAN: LAUNCH:Scottにどんな判決が出るか、前もってわかっていたんですか。こうなることを予想していた、と? ROBERT: DEAN: LAUNCH:一連の問題は、新譜の制作にどう影響しましたか。曲そのものや、制作のスピードに影響は? そういった体験が、新譜のどんなところに表れていると思いますか? ROBERT: ERIC: 色々と問題が出てきたのは、終盤に向かう頃になってからだった。だから、あいつの服役は、レコード制作には特に影響はなかったんだ。制作自体は、実のところ最初のレコード以来のスムーズさだったよ。それは単純に、『Tiny Music』からこっち、空き時間がたっぷりあって、バンドの仲間の何が特別なのか、とか、一緒に音楽を作る時のケミストリーとか、俺たちが揃うとバカバカしいほど簡単に音楽ができてしまうんだよな、とか、そんなことを改めて振り返ることができたからだろう。このレコードは、制作に時間こそかかっているけれども…そもそもは、2枚組でも別々でも、出し方はどうあれ2枚作ろうと思っていてね。この1枚目が完成した段階で、あと4~5曲残っていたから、それはScottが出てきてから、次のアルバムで聴いてもらうことになるかもしれない。 LAUNCH:Scottがソロ作をレコーディングし、あなた方はTalk ShowとしてScott抜きでレコーディングしていた、離ればなれの時期の話をしてもらえますか。何らかの影響があったに違いないとは思いますが、さらに力をつけて戻ってきたように思えます。離れて過ごしたあの体験には、セラピー効果があったんでしょうか。それぞれのプロジェクトについて、今、どう思いますか? ROBERT: ERIC: DEAN: LAUNCH:バンドの成長についてですが、新作を聴くと、これまでの3枚のアルバムが断片的に聞こえてきます。作りたい音楽に変化はありましたか? ROBERT: DEAN: 俺たちはたぶん、人間的に成長したんだよ。人間としてマシになれば、演奏だってマシになるんだと思う。この1年半ぐらいの間に、俺は自分の楽器がすごくしっくりくるようになったんだ。誰だって同じことを繰り返したくはない。『Tiny Music』と比べて、このレコードは歌詞も音楽も実によく溶け合っていると思う。Scottがシラフの状態の時に必死になって取り組んでいたのが、よくわかるだろう。『Tiny Music』の当時の俺たちは、それこそバラバラだったけど、今回はちゃんと同じ世界に生きていたしね。実際のレコーディングの過程でも、アプローチが違っていたんだ。『Tiny Music』のレコーディングは普通の家で、実にローテクだった。部屋も音響を考えた造りじゃなかったし。今回のレコードのスタンスはハイテクで、LAでも最高とされるスタジオのひとつを使ったんだ。「Pruno」と「Church On Tuesday」は、Steely DanがいつもレコーディングしているVillageで録ったんだぜ。天井を見上げながら、(Donald)Faganが「Aja」を歌ってる姿を想像してみるのも、なかなかイイもんだったよ。 LAUNCH:このアルバムで、本来の活力を取り戻せた喜びはありましたか? ERIC: 『Tiny Music』と比べると、特にね。あの時はScottが自分のことで手一杯で、いないも同然だったし、完全形のバンドが完全形のアルバムを作るっていう体制では決してなくて、けっこうメチャメチャだったんだ。そこへいくと『No.4』は、曲作りで集まった初日に「Down」と「Church On Tuesday」ができてしまった。Scottが書いていた曲に俺たちがリフをつけていって、それでもう、1曲目はほとんど完成の状態だったんだ。あいつは歌詞も適当に書きとめていたよ。それから30分後には「Church On Tuesday」ができていたというくらい、すごいスピードで息つく間もなく進んでいった。 LAUNCH:評壇での扱いについてですが、自分たちと評論家との関係は、どういう状態にあると思いますか。4枚目のアルバムを出したことで、マスコミとの関係に変化は表れていますか?
ROBERT: 最初はどうにもくだらないのばっかりだったが、あれだけ批判されると、だんだん何も感じなくなって、どうでもよくなってくるんだよ。だからガードを張って、話したい相手とだけ話すことにすると、レコード会社は喋りたくない相手の取材も受けるようにと泣きついてくる。「変なことは言わないから大丈夫だ」って。ところが、『Tiny Music』を出して、それが前2作と比べて売れなかったってことになると、突如として評論家受けするようになって、マスコミにモテモテさ。ミュージシャン仲間からも好かれるようになる。今度はどうなるか、楽しみだよ。 DEAN: LAUNCH:自分たちの受けてきた影響は、如実に表れていると思いますか? ROBERT: DEAN: 音楽的な影響の話だったら、ここで何時間でも喋ってられるよ。何でも聴いてるから。例えば、Bacharachの曲でも、Dusty Springfieldのとか、Carpentersのやったやつとか、アーティストによって解釈が違うのが面白い。俺はBacharach/Hal David作品の大ファンなんだ。Stan GetzとかOscar Peterson Trio、Barney Kesselも大好きで、Wes Montgomeryもたまらない。Edith Piafもよく聴くよ。半端じゃないだろ。俺の受けてきた影響だけで、何時間も話ができる。俺にとっては、人生の本当に大きな部分を占めているんだから。’68年当時、兄貴の部屋から鳴り響いてくるDoorsやThe BeatlesやHendrixを聴いて、少年だった俺の柔らかな脳味噌は、それをスポンジのように吸収していったんだ。 LAUNCH:『No.4』に収録の「MC5?」という曲は、あのデトロイトのバンドに呼びかける歌ですか? ROBERT: LAUNCH:『Hedwig And The Angry Inch』に関わることになったいきさつは? ROBERT: ERIC: あんなに楽しいのは久し振りだったよ。人の書いた音楽で、しかも複雑な音楽だったから、やり甲斐も手応えもあった。演出には、俺たちが馴染んできたScottをフロントに据えた形とは違う、もっと色々な要素がたくさんあるからね。そんなわけで、全てはニューヨークであの芝居を観て素晴らしいと思ったところから始まったんだ。今、彼らはLAで芝居を拡張するために、いくつかのバンドのリハーサルをしている。向こうは前夜祭に出るバンドを探していて、俺たちはシンガーを探しているバンド…というわけで、話はあっという間に決まりさ。 LAUNCH:業界やレーベルから、以前より協力を得られるようになったと感じますか。今の音楽業界について思うことは? ROBERT: DEAN: かなりえげつない業界だからな。相当えげつないし、今は特にそうだ。俺たちなんかは、最初のレコードを出した頃には業界もバンドを育てることに力を注いでいたから、まだ恵まれていたんだろう。レーベルにも、1枚のレコードからシングルを2枚、3枚と掘り下げる用意があった。でも、今ではそうはいかない。今のレーベルは、投資に対して莫大な見返りを期待して、1曲で結果を出そうとする。それでうまくいかないと壁に投げつけて、貼り付いて残らなければそれっきり。それが今の業界の現状だと思う。 LAUNCH:ステージ上での最高にクレイジーな出来事は? ROBERT: Gardenでのショウで、AerosmithのSteven TylerとJoe Perryがステージに上がって、2曲ぐらい一緒にやったことがあるんだけど、『Rocks』に入ってる「Lick And A Promise」のイントロの出だしで俺たちが入りそこねて、2節目の半ばで入って、危ないところで何とか追いついた。女装の2人と共演だぜ。なかなかの見物だったよ。 LAUNCH:あなた方の出身地についてプレスが混乱しているんですが、サンディエゴのバンドなんですか? それとも、LAのバンド? DEAN: LAUNCH:振り返って、このバンドの頂点だと思うのは? ROBERT: DEAN: LAUNCH:ロックスターでなかったら、何をしていたと思いますか? ROBERT: DEAN: by dave_dimartino |
LAUNCH:評壇での扱いについてですが、自分たちと評論家との関係は、どういう状態にあると思いますか。4枚目のアルバムを出したことで、マスコミとの関係に変化は表れていますか?







