――世界中ラテン・ブームのようですが、その中でディータは、イギリスのロンドン・レコード傘下のFFRRから出てきましたね。
■今井: アルマンド・ヴァン・ヘルデンやザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ、ソルト・ン・ペパがいるダンス専門のレーベルですよね。かたや世界中ではラテンブームで、リッキー・マーチンやエンリケ・イグレシアスが勢いある。おいしいアーティストではあるかも。
■星野: 日本でも、彼らのカヴァーで郷ひろみ("GOLDENFINGER’99")や西城秀樹("バイラモス")がヒットしたからね。
■望木: で、野口五郎(GORO)はサンタナをカヴァーってのがゴロンボらしい(笑)。しかも、なぜかタイトルは"愛がメラメラ"。
■星野: スピッツの"涙が☆キラリ"みたい。にしても、あのタイトルの☆マークが衝撃的だったなぁ。☆ってなんなんだよぅ~って(笑)。
■今井: つのだ☆ひろ、は?
■星野: それは物心ついたころから、☆がついていたから、違和感なかった(笑)。
――そりゃよかった。で、ディータはご両親がミュージシャンで、子供の頃からサンバ、サルサ、ボサノヴァなどのラテン・ミュージックに囲まれていたようですよ。
■星野: みたいですね。でも、ディータ自身は、ラテン色より、ヒップホップ色のほうがかなり強いよね。
■望木: うん。ラテンっていうと、野外で、お日さまの下、土の上を裸足で踊る!って感じだけど、ディータのは屋内のクラブで、アスファルトのなか陶酔して……だよね。
■星野: そういう点でも、アメリカじゃなくて、イギリスから出てきたのが分かるなぁ。
■今井: でも"モア・ザン・ナッシング"のあの曲はラテンそのものだよね。この曲はいろんな人が歌ってるし、曲もよくかかってるから、誰もが知ってるはず。
■望木: 出身国の音楽が根づいてるってことは、日本人でいうなら演歌か……。
■今井: 民謡とか?
■星野: って~ことは、日本人がディータのような方法論と取ったら、演歌+ヒップホップなのか!?
――ディータはローリン・ヒルをかなりリスペクトしているようですよ。女性として「母親でありながらも、きちんと音楽業界において一人の女性としてがんばっているから素晴らしい」と。
■星野: さすがローリン・ヒル。彼女のリスペクターは多いよね。
■望木: 日本でも、宇多田ヒカルやMisiaとか。
■今井: そういうところから入るから、変に新人っぽくないよね。アルバム『エル・パライソ・リコ』では歌詞もディータ自身のことを歌った"ショーティー"や、本当の自分を忘れずに、嘘の人生を歩まないようにと歌った"リヴ・ア・ライ"みたいな内容が多い。
■星野: 大物アーティストの曲をサンプリングしたってことでフィーチャーされてるけど、それ以外でもっと注目されたいだろうなぁ。
■望木: 歌とかリズムとかね。個人的にはヒップホップ調よりも、メロディの立ったものが聴きたい~。
■星野: もっともっとラテンくさいの出して欲しいな。
■今井: ヴェルファーレのステージでも、ディータは観客を煽るわけでもなく、踊りまくるでもなく、わりと歌を淡々と自然に歌っていたしね。まだディータは23歳だから、これからどんどん彼女らしくなっていくと思うな。
■望木: 女性アーティストって、その人の生き様がそのままストレートに歌に出てくることが多いからね。ディータはまさにそういうタイプに見えるし。
■星野: ラテンのルーツはそのままで、どんどんディータって人間が凝縮、抽出されればいいよね。
■望木: ルーツにフィードバックしつつも、そのときどきのディータが出てくれば、同性として共感できる部分とか、もっと出てくるんじゃないかな。
■一同: 「そうそう!」
《セットリスト》
・エル・パライソ・リコ (マドンナの“ラ・イスラ・ボニータ”を大胆サンプリング) ・リラックス (ダイアー・ストレイツの“Why Worry”を大半サンプリング) ・モア・ザン・ナッシング (セルジオ・メンデスの“マシュ・ケ・ナダ”を大幅サンプリング)
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