【インタビュー】urei、IKKI NOT DEADから放つ1stミニアルバムに地元愛と幕開けの鳴動「一緒に頑張りたい。それだけなんです」

福島県いわき市を拠点に活動する3ピースロックバンドureiが10月21日、1stミニアルバム『HOME』をリリースする。同作品は2026年3月にドロップしたシングル『BLOOM』を機にIKKI NOT DEADへの所属を発表した彼らの初全国流通作品となるものだ。
2018年の結成以来、バンドが拠点にしてきた福島・club SONIC iwakiの閉店をキッカケとして、ライブハウスで積み重ねてきた8年間を振り返った果てに産み落とされた全6曲には、地元に対する愛と“ここから新しい物語を始めていくのだ”という瑞々しい意思が充満している。
シンガロングを中核に据えた作品群が目立つureiが、ファイトソングを歌う理由とは。「周囲の誰かのためにファイトソングを書いているわけじゃない」という言葉の裏には、心配性で情けない己に対するエールがあった。

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■ステージに上がれば主人公になれるけど
■降りたら、別に俺なんかとなってしまう
■でも、俺であることに変わりはない
──ureiはメロディックパンクの文脈を汲みながらも、語尾にまで気を配った丁寧な歌唱をはじめ、言葉を大切にされているバンドだと感じていて。そういった姿勢がツービートに制限されないリズムパターンや楽曲の随所に現れるシンガロングにも繋がっていると考えています。皆さんは、ureiをどのような音楽を鳴らしているバンドだと捉えていらっしゃいますか。
草野寛太(Vo,G):歌詞にしてもメロディーにしても、自分が言われて嬉しいことや頑張れる言葉、聴いた時に元気が出てくるメロディーを重視していて。きっと俺らのことを好きな人は、俺に似ている人が多いと思うんですよ。頑張ってるんだけど、どこかで複雑に絡まっちゃうみたいなヤツ。そういう人に届いてほしいと思って、バンドをやっていますね。
──草野さんに似ている人というのは、どのような性格です?
草野:勘繰りやすい人かな。自分の性格を話すのが一番分かりやすいと思うんですけど、俺はとにかく考え性で。「もう考えすぎだよ!」って言われるくらい思い悩む人間なのに、いざと言う時に頭が真っ白になってしまうんです。“本当はこうなりたいのに、何にもなれてないな”と思うことも多いし、その理想に近づくために考え込むことも多い。……基本的に上手くいかないことばっかりなんですよ。でも、俺には好きなバンドから貰った言葉やメロディー、そしてureiというバンドがあったから、頑張ろうと思えた。だから、上手くいかないことが続いてしんどい時、俺も元気になるキッカケをあげたいし、“ureiと一緒に頑張りたい”と思ってもらえるバンドになりたいなと。

──自分と近しい性格の人にファイトソングを歌いたいと思うようになったのは、草野さん自身が応援歌に励まされてきたからだったのでしょうか。
草野:いや、最初はさよならポエジーやACIDMAN、ASIAN KUNG-FU GENERATIONみたいな、生活の中の思想を独自の世界観で表現するバンドをやりたかったんですよね。内気でナード気質なヤツの味方ができるような歌詞を書きたかったけれど、彼らと同じようには書けなかった。そんな時に、My Hair is Badの「戦争を知らない大人たち」を聴いて、“こんなに殴り書きで曲を書いていいんだ”と思ったんです。そこから、BAN’S ENCOUNTERやHERO COMPLEX、39degreesのようなTHE NINTH APOLLO所属バンドにハマっていって。そこでシンガロングの魅力を知ったり、真っ直ぐな歌詞でハッキリと思いを伝える良さに気づいたりした結果、今の形に至りました。
──直球の歌詞とメロディーを綴っていく中で、さよならポエジーやACIDMANのように生活の鬱屈や哲学を記していく手法にチャレンジしたいと思うことはなかったんですか。
草野:それで言うと、『Survive』に収録されている「脈拍」という楽曲は、さよならポエジーやLOSTAGEだったり、地元の先輩がやっている抒情系ハードコアのニュアンスが入っているかもしれません。こうした哲学的な楽曲が生まれることはこの先もあると思うんですけど、きちんと明るい歌とマリアージュさせたくて。1曲1曲が極端に異なるわけではなく、統一感を持たせたい。「脈拍」が完成したことで、ようやくそのバランス感覚を掴み始めたんです。

──よく理解できました。もひおさんとひろむさんは、ureiをどのようなバンドだと感じていますか。
もひお(B, Cho):ureiは人間味に溢れたバンドだと思うんですけど、言葉のチョイスやメロディーに(草野)寛太っぽさを感じるんですよね。“上手くいかないことも多いのかもしれないけれど、なぜだか応援したくなる”、そういうバンドだったらいいなと。
ひろむ(D, Cho):確かに、僕ももひおも、寛太がどういう人間なのかを分かりきっているので、どんな楽曲を聴いても“寛太だなぁ”と思えるんですよ。その上で最近は、寛太の言いたいことを分かってくれる人が僕ら以外にも増えてきて。寛太に似た性格の人たちがureiの音楽に共感してくれていることを考えると、お互いに応援し合うというか、互いが互いにとって心強い存在でいられたらいいんじゃないかと思いますね。
──草野さんっぽいと感じるメロディーというと?
ひろむ:アニメの主題歌にできそうなメロディー、みたいな。やっぱり寛太は、ヒーローっぽい考え方を持っている人だと思うんです。だからこそ、その力強さが楽曲にも表れている気がします。
草野:ずっと厨二病なんですよ(笑)。いつまでも自分のことを主人公だと思っているし、やっぱりテンションを上げたいんで。そのためにも、懐かしさと新しさを掛け合わせて、誰が聴いても一発で覚えられる旋律にしている。その意識に俺らしさが表れているのかな。

──リリックに関して言うと、いかがでしょう。
草野:全部を断言するというより、どことなく言い切らないのが俺っぽいですね。例えば「スポットライト」だと、《暗い道なんか歩かせないからね》と書いた後、《なるべく躓かないように》という歌詞で締めくくるんです。本当だったら《躓かないように》だけで十分なのに、わざわざ《なるべく》を付け足している。“俺がいたって、君は躓くかもしれない。それでも一緒に頑張ろうね”みたいなニュアンスが俺らしいですね。
──完全に断言するわけではなく、どこか自信がなさげというか。そうした心配性な側面と“自分が主人公だ!”と思えるヒーロー的な性格は、草野さんの中で矛盾することなく共存しているんですか。
草野:そうだな……その両面を引っくるめて俺なんだと思います。ステージに上がれば主人公になれるけれど、ステージを降りたら“別に俺なんか”となってしまう。でも何であれ、俺であることに変わりはないし、ureiの音楽を聴いている人がその両方に自分自身を投影してくれたら嬉しいんです。しかも、俺の好きなヒーローは決して目立ちたがり屋じゃなくて、何かを守るために頑張っていることが多いから。その意味でも、ステージに上がった時くらいはカッコよくいたいし、頑張っている姿も見てほしいんです。
──ureiの楽曲にはポジティヴな歌詞が多いですが、それはステージに立つご自身を想像しているからなんですかね。
草野:俺の歌詞は絶対にAメロがナイーヴで、サビでグッとテンションを上げるんですよ。なので、Aメロはステージを降りた時の状態、サビはステージに上がった時のイメージなのかな。そうやって段々と前向きになっていく歌詞は、お客さんの気持ちともきっと繋がっているはずで。落ち込んでいる状態でライブハウスに来た人が、ナイーヴなAメロに共感し、バコン!と跳ねるサビを聴いて“もう大丈夫だ”と思う。そういう変化を与えられたらなって。

──内省的なAメロからポジティヴなサビに向かっていく構成が多い理由は、曲を書き進める中でネガティヴな自分を鼓舞しているため?
草野:それもありますけど、作詞は物語を書く感覚と似ているんです。ページを開いた瞬間に全ての情報が入ってくるようなコマの大きい明快な漫画を書いているイメージ。それこそ、アメコミも冒頭は敵が来たり、ピンチに陥ったりとネガティヴな状況から始まるじゃないですか。でも、最終的にはハッピーエンドで終わることが多い。俺はそうやってハッピーエンドで終わる物語が好きだし、その先のストーリーも気になるから、先々を匂わせるような歌詞を書いているのかもしれません。




