【ライブレポート】ずっと真夜中でいいのに。特別公演祭<文禍伝雷>に奈良・平城京1300年の歴史とずっと忘れることがない65,000人との新しい記憶

2026.10.20 20:30

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ずっと真夜中でいいのに。が10月10日および11日の2日間、奈良・平城宮跡歴史公園にて特別公演祭<LEGACY ZOMBIE LABO「文禍伝雷」奈良・平城京>を開催した。

会場レイアウトの調整による規模拡大を経て、2日間65,000枚のチケットが完売した同特別公演祭は、ずとまよ史上最大規模の野外単独ライブとなるものだ。雅楽を取り入れた演出とバンドパフォーマンスに加え、奈良県内の50を超える企業・店舗とのコラボレーションや、入場無料の“祭Area”展開など、音楽と土地の歴史・文化が響き合った特別な2日間。その最終日10月11日公演のレポートをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

10月10日(土)@奈良・平城宮跡歴史公園

「10月10日と11日、空けといてね」──今年の春以降、ずっと真夜中でいいのに。(以下、ずとまよ)のツアーで、ステージ上のACAねがオーディエンスに伝えてきたメッセージ。やがて、その約束の地が奈良・平城宮跡歴史公園であること、しかも、これまで誰もライブをやったことがないその地で2日にわたって数万人規模のオーディエンスが集まることが明らかになった時点で、これがただの大規模ライブではない、ずとまよにとって記念碑的なイベントになることは確信していた。

しかし、あの現実の世界から遊離した空間と時間を振り返って思うのは、“ずとまよにとって”という条件をつけなくても、あの2日間は日本の音楽シーンの歴史に刻まれるような画期的なライブであったということだ。

10月10日(土)@奈良・平城宮跡歴史公園

平城宮跡歴史公園に足を踏み入れて最初に驚かされたのは、その敷地の広大さと、その圧倒的な非日常感だった。ずとまよはこれまでのアリーナツアーでも、会場の周囲に様々な出店を出して、そこだけで販売するオリジナルのフードや飲み物まで開発して、会場の中だけでなく会場の外も含めて空間全体をプロデュースをしてきた。

ずとまよがアリーナツアーのタイトルに<LABO>という言葉を入れてきたのは、文字通りライブを実験や研究の“場所”として位置付けてきたからに他ならない。開場時間を目安に会場に向かって、開演時間を待つという通常のライブ体験ではなく、自分たちの公演をハレの場におけるハレの日の催し、つまり“祭”として定義して、そこで回遊空間と回遊時間を拡張すること。そして、その空間と時間を当日の公演のチケットを持たない人々にも解放することを一つの理想形として模索してきた。

10月10日(土)@奈良・平城宮跡歴史公園

地元の人たちも出入り自由の公園内に、両日で65,000枚のチケットが完売したライブエリアと、屋台やワークショップやサブイベントなどの祭エリアを併設した今回の特別公演祭<LEGACY ZOMBIE LABO『文禍伝雷』奈良・平城京>は、その集大成と呼べるような催しだった。

しかも──そこに到るまでの自治体や地元企業との交渉や手続きの大変さと困難さを想像するだけで途方に暮れてしまうが──ずとまよは奈良県と奈良市の後援をとりつけ、50を超える奈良県内の企業や店舗へ直接アプローチしてコラボレーションを実現させ、今回の公演を完全な自主イベントとして開催した。結果、そこには平城京跡の歴史と文化とその土地の人々の営みを背景に、ずとまよだけが作り出すことができる異世界を100%の純度で具現化していた。

10月10日(土)@奈良・平城宮跡歴史公園

ずとまよのライブ活動について特筆すべき点としてはもう一つ、<FUJI ROCK FESTIVAL>のような洋楽邦楽混合フェスを筆頭に、海外でのフェスも含め、これまでアウェイとも思えるようなスタンディング形式の大型フェスにも積極的に出演してきたことがある。それは、日本中から集まったであろう今回のオーディエンスの多様さにも繋がっているわけだが、きっとそうした経験の蓄積があったからこそ、大規模ライブの開催自体が初めてのこの地で、特に大きなトラブルもなく、ここまで完璧なライブをやり遂げることができたのだろう。

ちょうど日没に差し掛かるマジックアワーの中、奈良の大地に雅楽が鳴り響き、平城京の大極門からマスクをつけたACAねとバンドの面々が列を成してゆっくりと入場する冒頭から、ライブエリアだけでなくこの土地全体に捧げるように連続して打ち上げられた最後の花火まで、途中いくつかのサプライズ演出を挟みながら、約2時間15分にわたってステージのテンションは一瞬も緩むことがなかった。PAの配置のおかげだろう、ライブエリア後方にいても音響の(大きさではなく)クリアさがまったく失われていないことにも驚かされた。

10月11日(日)@奈良・平城宮跡歴史公園

2018年に活動をスタートして、フルアルバムとしては5つの作品をリリースしてきたずとまよだが、今年3月にリリースした最新アルバム『形藻土』は、これまでで最も大きな変化が刻まれていた作品だった。

もともとずとまよはライブはもちろんのことその音源においても、一度耳にしたら忘れられない中毒性と密度の高い旋律のポップさと、細部まで突き詰めた音色や音響のプログレッシヴさを両立してきた音楽集団だったが、『形藻土』のいくつかの曲ではその実験性が楽曲の構造そのものにまで及んでいて、ACAねという稀代のソングライターが本来抱えているその奔放さやアンバランスさをこれまで以上に曝け出すようになっていた。特に象徴的だったのは、10分以上にわたってギターのフィードバックノイズやACAねの語りも挟みながら予測不可能な展開を繰り返していくアルバム最終曲「lowmotion algae」だろう。

10月11日(日)@奈良・平城宮跡歴史公園

実は、ずとまよがライブでその「lowmotion algae」を実演するのはこの大舞台が初めて。それだけでなく、今回の<文禍伝雷>では、『形藻土』のリリースと連動して今年2月から6月まで開催された直近のツアー<ZUTOMAYO INTENSE II『坐・ZOMBIE CRAB LABO』>ではセットリストに入っていなかった『形藻土』における変化の核となっていたいくつかの収録曲が、過去のずとまよのライブの名シーンを想起させる名曲の数々(久々にやった曲も多かった)と並んで初めて演奏されていた。

その上で、ライブ全体を締めくくる最後の2曲がライブ初披露の「lowmotion algae」と公演2日前にサプライズリリースされたばかりの新曲「あかねさす頃」、潔くアンコールはなし、という極めて攻めた内容だった。

10月11日(日)@奈良・平城宮跡歴史公園

新曲「あかねさす頃」の曲名やリリックに伺える珍しくストレートな自己言及性、さらに1日目の最後のMCでの感極まったACAねの様子から、10月10日の夜には「もしかしたらずとまよ第一章の終わり?」みたいな声がソーシャルメディア上に飛び交っていた。それも踏まえてちょっとだけ緊張して臨んだ2日目、10月11日の公演、自分はただただそのあまりにも完璧な空間演出とステージ上の全メンバーの充実しきったパフォーマンスに圧倒されるばかりだった。

1300年の歴史を重ねてきた土の上で、両日合わせて65,000人にずっと忘れることがない新しい記憶を植え付けたずとまよ。ステージ上のACAねからの最後のメッセージは「私たち自身が、みんなが、雷になれるんだと思う」。そして、「ここからの記憶。これからもよろしくね」だった。

10月11日(日)@奈良・平城宮跡歴史公園

取材・文◎宇野維正
撮影◎鳥居洋介

 

◾️<LEGACY ZOMBIE LABO「文禍伝雷」奈良・平城京>
10月10日(土) 奈良・平城宮跡歴史公園 中央区朝堂院 特設野外会場
10月11日(日) 奈良・平城宮跡歴史公園 中央区朝堂院 特設野外会場
open15:30 / start17:30
〒630-8003 奈良県奈良市佐紀町528-1
主催:キョードー関⻄
企画:ずっと真夜中でいいのに。
制作:ホットスタッフ・プロモーション/H3
後援:奈良県 / 奈良市
協⼒:ユニバーサルミュージック合同会社/平城京魅⼒創造プロジェクト_市/平城京秋の散楽フェスタ実⾏委員会/⼀般社団法⼈ ⽂化芸術スポーツ振興会
公式サイト:https://zutomayo.net/bunka-denrai/

 

■デジタルシングル「あかねさす頃」
10月8日(木)21:00配信開始
配信リンク:https://lnk.to/ZTMY_ak
MV:https://youtu.be/Z_k0hvdXYjM

 

■全国ホールツアー<「アピクラ電機」LÚ.NIM.LÀL>
▼2027年
1月15日(金) 広島・広島文化学園HBGホール
1月18日(月) 千葉・市川市文化会館 大ホール
1月19日(火) 千葉・市川市文化会館 大ホール
1月21日(木) 東京・J:COMホール八王子
1月26日(火) 東京・SGCホール有明
1月27日(水) 東京・SGCホール有明
2月06日(土) 静岡・富士市文化会館ロゼシアター
2月15日(月) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール
2月16日(火) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール
2月21日(日) 大分・iichikoグランシアタ
2月23日(火) 熊本・熊本城ホール メインホール
2月27日(土) 福島・いわき芸術文化交流会館アリオス アルパイン大ホール
3月04日(木) 東京・東京ガーデンシアター
3月05日(金) 東京・東京ガーデンシアター
3月13日(土) 愛媛・松山市民会館 大ホール
3月15日(月) 福岡・福岡サンパレス
3月16日(火) 山口・KDDI維新ホール
3月24日(水) 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
3月25日(木) 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
3月30日(火) 石川・金沢歌劇座
3月31日(水) 石川・金沢歌劇座
4月08日(木) 奈良・なら100年会館(大ホール)
4月10日(土) 岡山・岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場
4月11日(日) 岡山・岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場
4月20日(火) 北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru
4月21日(水) 北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru
4月27日(火) 大阪・フェスティバルホール
4月28日(水) 大阪・フェスティバルホール
5月01日(土) 東京・立川ステージガーデン
5月02日(日) 東京・立川ステージガーデン
5月11日(火) 宮城・仙台サンプラザ
5月12日(水) 宮城・仙台サンプラザ
5月17日(月) 神奈川・カルッツかわさき ホール
5月18日(火) 神奈川・カルッツかわさき ホール
5月22日(土) 和歌山・和歌山県民文化会館
5月23日(日) 和歌山・和歌山県民文化会館
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