【インタビュー】Dance Hall Crashers、<AIR JAM 2026>開催直前に語る再結成と『Purr Deluxe』のすべて「再び機会に恵まれたことを心から幸運だと思っています」

2025年1月、21年ぶりとなるDance Hall Crashersの再結成がアナウンスされたとき、ここ日本でも歓喜に沸いたファンが少なからずいたことが、日本におけるDance Hall Crashersの根強い人気を改めて物語っていた。
Dance Hall Crashersは1989年にカリフォルニア州バークレーで結成されたスカパンクバンドだ。そもそもはスカパンク/スカコアに先鞭をつけたバンド、Operation IvyのメンバーだったTim ArmstrongとMatt Freemanがサイドプロジェクトとして始めたバンドだったが、2人が新たに始めたRancidの活動に専念することになったため、Elyse RogersとKarina Denikéという2人のシンガーがフロントに立つ5人組として再出発した。そして、スカパンクをバックボーンとしながら、それだけにこだわらない多彩なソングライティングとバンドサウンドが歓迎され、’90年代のロックシーンで大きな成功を収めたことは、彼らのファンならすでにご存じだろう。
1996年にはHi-STANDARDの招聘で、<REVENGE OF PIZZAMAN TOUR 96>に出演するため来日もしているから、Hi-STANDARDとの繋がりから、Dance Hall Crashersのファンになったという人も少なからずいるかもしれない。それから、なんと30年を経て、今度はHi-STANDARDが主催する<AIR JAM 2026>に出演するため、Dance Hall Crashersが日本に戻ってくる。しかも、彼らの代表作と謳われる1999年リリースの4thアルバム『Purr』のデラックスバージョンを手土産に携えて。
その『Purr』がなぜ代表作と謳われるのか、その理由は以下のインタビューを読んでいただきたいが、10月28日にPIZZA OF DEATH RECORDSからリリースされるその『Purr Deluxe』は、オリジナルの12曲に1999年当時の日本盤ボーナストラックだった3曲と、さらに未発表の4曲を加えた全19曲を収録。未発表の4曲は『Purr』のアウトテイクと思いきや……いや、どういう曲なのかもやはりインタビューで確認していただきたい。
バンドを代表して、Karina Denikéが<AIR JAM 2026>の意気込みはもちろん、『Purr』のこと、『Purr』のプロデューサーだったFat Mikeのこと、Hi-STANDARDのことなどをたっぷりと語ってくれた。
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■大好きな国、日本に戻ることになったので
■<AIR JAM>出演に合わせて再リリースする
──Dance Hall Crashersは昨年2026年、21年ぶりに活動を再開しました。活動を再開するにあたっては、<Warped Tour>のKevin Lymanの後押しが大きかったそうですが、改めて活動を再開した理由や、きっかけを教えてください。
Karina Deniké:最初はKevinから、30周年を迎える2025年の<Warped Tour>に出演しないかと誘われたことが、純粋にすごく嬉しかったんです。実際に曲の練習を始めてみたら、まだちゃんと覚えていたし、演奏もなかなかいい感じだった。それで「よし、やってみよう!」となったんです。
──なぜ活動再開までに21年も掛かってしまったのでしょうか? この21年の間に活動再開について、メンバー同士で話し合う機会はありましたか?
Karina:少しは話したこともありました。でも、いつも誰かが何かしら忙しかったんです。仕事だったり、子育てだったり、日々の生活だったり。その全部ですね。だから、なかなか再開するタイミングがありませんでした。<Warped Tour>への出演という後押しがあったことで、みんなが時間を作って、再び集まることができたのは間違いありません。
──活動再開後、ライブのステージでどんな手応えを得ていますか?
Karina:本当に最高です! またファンのみんなに会えること、何十年も会っていなかった昔の友人たちに再会できること、そしてステージに立って、みんなからの愛情を感じられることが本当に楽しいんです。もう一度こんな機会に恵まれたことを、心から幸運だと思っています。

──今月リリースされる『Purr』のデラックスバージョン『Purr Deluxe』について教えてください。デラックスバージョンとして、『Purr』をリイシューしようと思ったのは、なぜですか?
Karina:以前からずっとやりたいと思っていたことなんです。オリジナル盤には収録されなかった曲や、『Purr』の発売後に書いてレコーディングした曲がいくつかありましたから。それに、私たちがライブをする場所として、特に大好きな国のひとつである日本に戻ることになったので、<AIR JAM 2026>出演に合わせて再リリースするのは、とても自然な流れでした。
──1999年にリリースした『Purr』はスカパンクにとどまらない多彩な曲の数々が収録されています。Dance Hall Crashersのキャリアにおいて、どんな位置づけのアルバムだと考えていますか?
Karina:バンドとして、そしてソングライターとして、私たちがどれだけ成長したかを表しているアルバムだと思います。『Purr』の曲作りには、かなりの時間をかけました。私たちに対してみんなが想像していなかったような方向にも踏み込んでいる作品ですが、だからこそ私たちはこのアルバムが大好きなんです。
──6曲目の「Remember To Breathe」ではグランジーなギターリフが鳴りますが、グランジロックからも影響を受けていますか?
Karina:『Purr』には、確かにグランジの要素が少し散りばめられています。当時は、グランジがあらゆる音楽に影響を与えていたと思います。ただ、Jason (Hammon / G)は何十年も前からパンクバンドでヘヴィなギターリフを弾いてきました。特に「Remember To Breathe」のあのリフは、アコースティックなコーラス部分との強いコントラストを生み出すという意味合いも大きかったんです。
──その一方では、アコースティックギターを使ったバラードの「Cricket」も収録されています。アコースティックギターを使うという意味で、インスピレーションを受けたものや楽曲はありましたか?
Karina:以前にも、例えば「Shelley」の別バージョンのように、アコースティックな曲をやったことはありました。「Cricket」は子守歌のような曲で、Elyse (Rogers/Vo)と私の緊密なハーモニーを際立たせるのに、とてもいい形だったんです。そもそも「Cricket」はアコースティックギターで作った曲だったので、そのままの形にしておくのが自然でした。
──「Everything To Lose」のハーモニーからはオールディーズを連想させる魅力が感じられます。もちろん、’60年代のガールグループもDance Hall Crashersのバックグラウンドのひとつですよね?
Karina:もちろんです。私たちは昔から、’50年代や’60年代のボーカルグループに影響を受けてきました。The Ronettes、The Shirelles、The Shangri-Lasなどですね。「Everything To Lose」には、私たち自身もThe Shangri-Lasの「Leader of the Pack」のような雰囲気があると感じていました。
――The Shangri-Las! New York Dollsに影響を与えたパンクのルーツのルーツと言われているグループですよね。僕も大好きです。ところで、もともと『Purr』を作るとき、どんなアルバムにしようと考えていましたか? 『Purr』制作時の、特に記憶に残っているエピソードと言えば?
Karina:ただただDance Hall Crashersらしいアルバムを作りたかったんだと思います。自分たちらしいサウンドを保ちながら、少し違ったタイプの曲にも挑戦できるような作品ですね。何かを劇的に変えようとしていた記憶はありません。単純に、自分たちが書いた曲の中から一番いいものを選んだんです。たとえそれが、これまでの私たちとはスタイル的に違う曲だったとしても。特に覚えているのは、本番のレコーディング前にたくさんのデモを制作したことです。そのおかげで、アルバム本編のレコーディング自体はかなり短期間で終わりました。
──プロデューサーのFat Mikeは、『Purr』の制作においてどんな貢献を果たしましたか?
Karina:彼は細かい部分に対して、ものすごく具体的な指示を出すことがあります。例えば、「この部分のたった1音だけ変えれば、この曲は完成だ」という具合に。それに、容赦がないくらい正直なんです。それが笑えることもあるし、同時にすごく新鮮でもありました。何曲かでは、コードを少し変更するような提案もしてくれました。でも基本的には、私たちの味方でいてくれる存在でした。私たちの制作プロセスを尊重し、自分たちのやり方で完成させられると信頼してくれていたんです。

──『Purr』はFat Wreck Chordsの傘下レーベルであるPink & Blackからのリリースでした。メジャーレーベルを離れ、新たにPink & Blackと組んだ経緯は?
Karina:自分たちがどんなバンドで、何をやりたいのかを理解してくれるレーベルと一緒にやるほうが、私たちにはずっと自然なことでした。Fat Wreck ChordsとPink & BlackのMikeやErinとは、何年も前から友人でした。だから、新しい環境に移ろうと思ったときに、彼らと組むのは申し分ない選択だったんです。
──レーベルを変わったことで、どんな変化がありましたか?
Karina:音楽的には、それほど大きな変化はありませんでした。でもレーベルとの関係では、以前よりずっとサポートされていると感じられましたし、同じような価値観を持つアーティストたちと、より良い環境で活動できるようになりました。







