【ライヴレポート】Petit Brabancon、1年半ぶり単独全国ツアー開幕「まだまだ行けるだろう」

2026.03.10 18:00

Share

Petit Brabanconが3月6日、東京・Zepp DiverCityにて1年半ぶり単独全国ツアー<Tour 2026「If You Just Stare Then Headbang or Die」>の初日公演を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

Petit Brabancon、1年半ぶりとなる単独全国ツアー<Tour 2026「If You Just Stare Then Headbang or Die」>初日の東京・Zepp DiverCity公演を見てきた。凄まじいの一言だった。

オープニングは、なんと新曲だった。まだタイトルもついていない、この日が初披露という曲だ。プチブラ流デスメタルとも言うべき超ヘヴィ&ラウド&ノイジーなサウンドと、京のデスヴォイス全開のヴォーカルが強力すぎる。まだ全く馴染みのない、しかもポップさのカケラもない過激な楽曲をいきなりツアー初日のオープニングナンバーに演奏する。

彼らがどんな覚悟をもってこのツアーを始めたか、オーディエンスに何を伝えどんな体験をしてほしいか、とてもよくわかる。彼らはそのロックをとことん突き詰め、エクストリームに徹しきることで、ライヴ会場を魂の解放区にしようとしている。

演奏されたのはイントロを含め全19曲。既発表曲14曲のほか、ツアー終了後に来場者特典で配布される新曲「haunted house」、この日初めて披露された2曲を含む、まだタイトルも決まっていない新曲が5曲という構成だった。

19曲も演奏されたのに、トータルの演奏時間は1時間半に満たない。1曲ずつがコンパクトで短いこともあるが、ほとんど間髪を入れることなく繰り出される性急な楽曲、全編を貫く猛烈なスピード感、一瞬も緩むことなく畳み込まれる高密度のエネルギーはあまりに強烈だった。それは過去何度もプチブラのライヴを見て、“慣れっこ”になっていたつもりの僕を激しく刺激しインスパイアするに十分だった。

そもそもじっくり聴かせるような悠長なバラードや構成に凝った長尺の曲などは一切ないが、それにしてもこの一刻の猶予もなく逼迫した緊張感の持続はただ事ではない。極限のエクストリームロックがもたらす途方もないカタルシス。短いタームで次々と放たれるハードな曲は、アーティストが全身全霊をこめ、己の腹をかっさばき、内臓のひとつひとつまで洗いざらいぶちまけるような剥き出しの衝動に溢れている。

それを全身で受け止め返してくるオーディエンスのエネルギーが衝突・爆発・炎上している。赤裸々で飾らぬ、もっともプリミティヴな生のエネルギーが渦巻いている。その光景は、結成以来彼ら、とりわけ京が望んでやまないものだった。デビュー以来、彼がインタビューの場などで、オーディエンスの反応の物足りなさを幾度となく嘆いていたのを記憶している方も多いだろう。この日も「死んでんのか?」「まだまだ行けるだろう!」「かかってこい!」と執拗なまでに観客を挑発し煽る京の姿があったが、せめてライヴの場だけは上下を脱ぎ捨て丸裸になって向かってこい、と言っているのだ。

学校でも、職場でも、路上でも、そしてもしかしたら家庭でも、人はみな仮面をかぶって生きている。本音を隠し、本当の自分を隠し、取り繕って生きている。軋轢がおこらぬよう、他人と適度な距離を置き、ほどほどのところで妥協して、我慢しながら生きている。そうしないと“まっとうな社会生活”が送れないからだ。そうしてみな“他人の期待する自分”を演じるうち日常の中に埋没していって、本当の自分を忘れてしまう。

だがライヴの場なら、いやせめてライヴの場では、そんな仮面を脱ぎ捨て自分をさらけ出してみろ、と京は言うのだ。一歩ライヴ会場の外に出ればヘンタイ扱いされ、へたすれば犯罪者になりかねない振る舞いも、ここなら心置きなくバクハツできる。プチブラのライヴは、いわば抑圧された孤独な魂の救済と解放の場なのである。主役はアーティストではなく、オーディエンスなのだ。

おそろしく濃密で熱い1時間半弱。あっという間にライヴは終わった。アンコールはもちろん一切ない。予定調和なアンコールのために余力を残すようなセコい真似はしない。それはオーディエンスも同様だ。

ライヴが終わり、電車に乗って家路について、それぞれが日常に戻っていく。明日からはまた単調な仮面の日々が始まる。だがいつか再びプチブラのライヴで、“本当の自分”と出会うことができるだろう。

取材・文◎小野島大
撮影◎青木カズロー/河本悠貴

 

■<Tour 2026「If You Just Stare Then Headbang or Die」>
3月06日(金) 東京・Zepp DiverCity
open18:00 / start19:00
3月08日(日) 宮城・仙台 RENSA
open16:00 / start17:00
3月12日(木) 京都・KYOTO MUSE
open18:30 / start19:00
3月13日(金) 京都・KYOTO MUSE
open18:30 / start19:00
3月15日(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
open16:30 / start17:00
3月21日(土) 大阪・なんばHatch
open16:00 / start17:00
3月22日(日) 愛知・名古屋 DIAMOND HALL
open16:00 / start17:00
3月28日(土) 福岡 BEAT STATION
open16:00 / start17:00
3月29日(日) 福岡 BEAT STATION
open16:00 / start17:00
チケット詳細:https://eplus.jp/pb/

 

■期間限定新曲先行試聴「haunted house」
作曲:yukihiro (Dr)
※ツアー<Tour 2026「If You Just Stare Then Headbang or Die」>来場者限定先行施策
※ライヴ会場に当日足を運んだ来場者全員に、ツアー終了後にアクセス可能となる新曲「haunted house」を期間限定で先行試聴可能な特設ページのQRコードを配布。
詳細:https://www.petitbrabancon.jp/news/260302/