かわいいだけじゃないけれども、かわいいところがセールスポイントのヴィジュアル系バンドといえば、90年代はなんといってもL’luviaがその代表格だった気がする。

ヴィジュアル系といえば“暗黒・耽美・頽廃・陰鬱・攻撃性”などが揃っていてナンボだった時代を経て、ある意味その逆張り方向のアプローチで生まれたのがソフビ（ソフトヴィジュアル系の略語）と呼ばれるカテゴリーのバンドたちだったと筆者は認識しているが、L’luviaの場合はソフビ要素にアイドル要素をプラスしてみせたところが、当時としてはかなり画期的だったのだ。

◆ライブ写真

「L’luviaです、よろしくお願いします！　まずは、この＜CROSS ROAD Fest＞に呼んでいただいた関係者のみなさん、強力なサポートメンバーのみなさん、そして何より集まってくれた“ジュビっ子”たち。どうもありがとう！」──KAORU（Vo）

ちなみに“ジュビっ子”とはL’luviaファンを指す総称となる。そして、強力なサポートメンバーとはKENJI（CLOSE / the superlative degree）、MORI（wyse）、shuji（Janne Da Arc）のこと。この3人の顔ぶれもそれこそ90年代的で、あの頃からシーンの動向を良く知っている人たちにとってはもちろんお馴染なはず。なお、shujiはwyseに引き続いての2ステージ目だ。

「実はちょっと、今日のライヴに関しては炎上する要素がひとつあるなと心配しているんですけれども。それは、このサポートメンバーたちにピンクの法被を着せてしまったことです。一応、説明をさせてもらうと『当日、ハッピを着てもらってもいいでしょうか』と了解をとりまして、色も『何色がいいですか』とお聞きしたんですが『なんでもいいよ』ということだったんですね。で、『ピンクでもよろしいでしょうか』とさらに聞いたところ、みなさん『いいですよ。どうでも』みたいな感じだったんです（笑）」──KAORU

かくいうKAORUは赤、マースケ（B）は青の法被。自然と祭り感が醸し出される中で、彼らはこのライヴで「ハッピー♡カムカム」を手始めに終始ポップで親しみやすいバンドサウンドを提示していくことになった。優しさにあふれたラブソング「SPECIAL I LOVE YOU」では、KAORUがチアリーダーよろしく黄色のポンポンを可愛く振りながら歌ってみせたほか、クマとうさぎの着ぐるみも登場して、L’luviaにしか生み出せないあたたかくほのぼのした空間が生み出されていたと言っていい。しかも、デビュー曲にしてアニメ『クレヨンしんちゃん』のED曲でもあった「スキスキ♡マイガール」でもクマとうさぎは大活躍。これだけ“ゆるかわいい”演出が似合ってしまうのは、ヴィジュアル系界隈の中でもL’luviaくらいなのでは？

「ここからは、みんなの歌声を幕張イベントホールいっぱいに響かせていきたいと思います。今日ここにいないTAKANORIとNAOの分まで声をください！」──KAORU

そんなKAORUの言葉に応えるべく、このあと「夜空に輝く星を集めて」ではジュビっ子たちがサビを大合唱することに。なおかつ、この合唱明けのタイミングではステージ上野スクリーンに“速報”としてワンマンライヴが開催されるという告知が映し出されたものだからジュビっ子たちは大喜び。当初、L’luviaはこのイベントのみの限定復活であるとインフォメーションされていただけに、その喜びはひとしおだったに違いない。

「今日こうしてジュビっ子たちと出会えたことは、僕たちにとって夢のようなことだと思ってますが。また夢の続きをみんなと見られたらいいなという願いを込めて、最後にこの曲を送ります。「So Far Away」 」──KAORU

《願いがかなうように　So Far Away》という歌詞のとおり。きっとL’luviaとジュビっ子たちの未来は、よきものになっていくことだろう。

取材・文◎杉江由紀
撮影◎今元秀明

■＜CROSS ROAD Fest＞
【DAY1】11⽉15⽇(土)　千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open12:00 / start13:00
【DAY2】11⽉16⽇(日)　千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open10:30 / start11:30
〒261-8550 千葉市美浜区中瀬2-1

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