【ライヴレポート】黒夢、清春生誕祭にして2026年最後のワンマンにみた深化への新フェーズ「演れる音楽の幅を広げて」

黒夢が10月30日、東京・LINE CUBE SHIBUYAにて2026年最後のワンマンライヴを行った。先ごろ公開したオフィシャルレポートに続いて、BARKSオリジナルレポートをお届けしたい。
この日は清春(Vo)の58回目の誕生日。2026年の今、彼が人時(B)と同じステージに立ち、ファンと共に時空を共有する光景には感慨深いものがある。2025年2月の劇的な復活以降、黒夢は精力的に活動し、我々にロックの体現者としての格の違いを見せつけてきた。今年は特に『CORKSCREW 2026』『Drug TReatment 2026』という2枚のリテイクアルバムをリリースし、<THE PERFECT DAYS TO DIE>と題してTOYOTA ARENA TOKYOでの自身最大規模のアリーナ会場3日連続公演に加え、東京・GARDEN THEATER追加公演を果たすなど、印象深い出来事が続いている。
今宵のLINE CUBE SHIBUYAは当たり前のようにソールドアウト。清春のバースデーという祝宴であると同時に、2027年2月から開催の<KUROYUME 2027 ZEPP TOUR「2027」>の手がかりとなるライヴだ。それ故、開演前のファンの表情からは大きな期待がうかがえた。

定刻の午後6時半を5分ほど過ぎた頃、客電が落ち、観客の目が舞台に注がれる。まずは人時とサポート陣が各々の配置につき、さほど間を置かずに清春がステージ中央へと歩み出る。この瞬間の高揚感は何度味わっても形容しがたいものだ。
1曲目の「FAKE STAR」でいきなり場を掌握する清春と人時。この情景に興奮しているうちに次の「DRIVE」の心地よさが襲ってくる。ある意味、定番となっている冒頭の流れだが、3曲目で「BARTER」が轟いたと同時に、ここ1年の黒夢のショウ構成からの変化を感じ取った向きも多いのではないだろうか。今夜は何かが違う、と。

この日のサポートミュージシャンはSATOKO(Dr)、KOKI(G / The BONEZ)、堀崎 翔(G)という布陣。黒夢の呼吸を柔軟に察知し、洗練された技術で表現する名手たちだ。
清春は最初のMCで、デビュー年である1994年の10月30日にも黒夢が“渋谷公会堂“でライヴを行っていたことを観衆に告げる。そんな同会場での思い出に浸りつつ、この夏の<THE PERFECT DAYS TO DIE>からの時間の流れが新たな段階に入ろうとしていることを宣言。「また演れる音楽の幅を広げようと思って、ミュージシャンを増加しました」との紹介に導かれて登場したのは、近年の清春のソロワークスでもお馴染みの加藤エレナ(Pf / Key)だ。彼女を交えて約30年ぶりにライヴ披露されたのは「眠れない日に見る時計」(アルバム『feminism』収録曲 / 1995年発表)。この華やかで愛らしいアレンジは今夜のハイライトのひとつと言えるだろう。清春の歌声に人時の歌声が重ねられてゆく。この曲の作曲者である人時に対して「歌ってましたね。シンガーソングライターですね」と清春が微笑みかけていたのも良い場面だ。


さらにもうひとり、ステージに呼び込まれたのは、近年の清春の音楽の要である栗原健(Sax)だ。これまたレア曲の「gossip」(シングル「優しい悲劇」カップリング / 1995年発表)から数曲にわたって続いた狂おしい官能は、2026年型の黒夢だからこその成熟の賜物。加藤と栗原の頼もしい音が加わることにより、どの楽曲も豊かな表情を見せていた。人気曲「MARIA」にも新たなアレンジが施され、音楽を味わう楽しみというものを実感する時間帯となった。2027年の<KUROYUME 2027 ZEPP TOUR「2027」>では加藤と栗原も部分的にサポート陣に加わるのだという。常に変化を恐れない黒夢の姿勢からは学ぶべき点が多々ある。
人時の多彩なベースソロタイムによって煽りに煽られた場内は、その熱を保ったまま激烈な本編終盤へと突入。「ROCK’N ROLL」を起爆剤として本編ラストの「Sick」が着地点に至っても、当然、観客はまだ帰路につくわけにはいかない。


清春たちが再びステージに姿を現わす。栗原を中心に楽器隊が「Happy Birthday To You」を奏でると、それを合図に人時がバースデーケーキを運び入れた。ロウソクの火を消す際に、人時がにこやかに音頭を取って観客の合唱を導く光景が素晴らしい。記念撮影時に清春が人時の肩を抱き寄せる姿からも互いの敬意と愛情を感じ取った。
「これから皆さんも年齢を重ねていきますが、“清春さんと人時さんがいるから大丈夫”というお手本になれればいいと思います」と清春は観客に語りかけていた。
そんな幸せな名場面がいくつも生まれた一方で、この夜のライヴでは、清春が何度もマイクを床に叩きつけるなど、緊張が走る場面も。彼の苛立ちの原因はどうやらモニターバランス等のトラブルにあるようだったが、こうした内情をMCで打ち明け、観客と共により良い音楽を作ろうとする真摯な姿勢には胸を打たれる。祝福ムードはありつつも、プロフェッショナルとして妥協を許さない。これこそが黒夢の鍵なのだと感じ入った。

このような状況下でのアンコールで「アロン」や「至上のゆりかご」(アルバム『feminism』収録曲 / 1995年発表)が感動的な余韻をもたらしていたことも忘れがたい。ステージ上の清春と人時を一秒たりとも見逃すまいとするオーディエンスのまなざしに感銘を受けた。アンコールラストの「BEAMS」が鮮やかに空間を照らすと、午後9時10分頃には終演を告げるSE「KINGDOM」が場内に響いていた。
今回のセットリストを一言で表すならば“大胆”ということになるだろうか。この傾向がどの程度2027年のZeppツアー<KUROYUME 2027 ZEPP TOUR「2027」>に引き継がれるのかは不明だ。だが、少なくとも、今後の黒夢の在り方を考えるうえでのヒントにはなっただろう。とにかく、“その曲が今、ライヴで聴けるの!? しかも、こんな最高なアレンジで!?”といったさじ加減が絶妙だ。今後も、彼らの歴史を愛してきたファンには思いがけない贈り物が届くのかもしれない。孤高の存在、黒夢は確かに新しいフェーズへと移行しつつある。そんな楽しみを目の当たりにした貴重な一夜だった。
取材・文◎志村つくね
撮影◎森好弘/石井麻木(☆)
■黒夢 2026年ラストワンマン公演:10月30日(金)@東京・LINE CUBE SHIBUYA
01.FAKE STAR
02.DRIVE
03.BARTER
04.眠れない日に見る時計
05.gossip
06.Walkin’ on the edge
07.LET’S DANCE
08.REASON OF MYSELF
09.MARIA
-BASS SOLO-
10.ROCK’N’ ROLL
11.C.Y.HEAD
12.後遺症 -aftereffect-
13.Sick
encore
en1.Love Me Do
en2.アロン
en3.至上のゆりかご
en4.heavenly
en5.BEAMS

【黒夢 ライヴスケジュール】
▼2026年
■<MONGOL800 ga FESTIVAL What a Wonderful World!! 26>
11月8日(日) 沖縄・宜野湾マリーナ トロピカルビーチ特設会場
▼2027年
■<KUROYUME 2027 ZEPP TOUR「2027」>
2月08日(月) 神奈川・KT Zepp Yokohama
2月09日(火) 神奈川・KT Zepp Yokohama
2月12日(金) 福岡・Zepp Fukuoka
2月14日(日) 福岡・Zepp Fukuoka
2月21日(日) 北海道・Zepp Sapporo
2月23日(火/祝) 宮城・仙台PIT
2月26日(金) 大阪・Zepp Osaka Bayside
2月27日(土) 大阪・Zepp Osaka Bayside
3月05日(金) 愛知・Zepp Nagoya
3月06日(土) 愛知・Zepp Nagoya
3月11日(木) 東京・Zepp Haneda
3月12日(金) 東京・Zepp Haneda
3月13日(土) 東京・Zepp Haneda


【清春 ライヴスケジュール】
▼2026年
■<ビルボードライブ・ツアー>
11月04日(水) 大阪・ビルボードライブ大阪
■<余る程に楽園 2026-2027>
11月21日(土) 福島・郡山HIPSHOT JAPAN
11月22日(日) 山形 SESSION
■<all time songs library 1994-2026>
12月19日(土) 京都劇場
■<TOUR 天使ノ詩 2026『余る程に楽園 追加公演 Christmas Eve』>
12月24日(木) 愛知・名古屋Electric Lady Land
■<余る程に楽園 2026-2027>
12月28日(月) 茨城・水戸LIGHTHOUSE
12月29日(火) 茨城・水戸LIGHTHOUSE
12月30日(水) 茨城・水戸LIGHTHOUSE
▼2027年
■<all time songs library 1994-2026>
1月31日(日) 東京・EX THEATER ROPPONGI
■<余る程に楽園 2026-2027>
4月10日(土) 東京・恵比寿 リキッドルーム
4月17日(土) 山口・周南 ライジングホール
4月18日(日) 島根・松江 アズティックカノーバ
5月04日(火/祝) 長野 クラブジャンクボックス
5月15日(土) 埼玉・ヘブンズロック さいたま新都心
5月29日(土) 千葉・柏 パルーザ
6月19日(土) 宮崎 ラザロ
6月20日(日) 大分 ドラム Be-0
7月03日(土) 富山 ソウルパワー
7月04日(日) 福井 チョップ
7月24日(土) 京都 ミューズ
7月25日(日) 京都 ミューズ







