【インタビュー】BAND-MAID、アニメ『BEYBLADE X ベイキングダム編』EDテーマ「SPIN」リリース「こういう進み方がBAND-MAIDのスタイル」

BAND-MAIDのニューシングル「SPIN」は、このバンドの楽曲ならではの場面転換や情報量の豊富さが、すべてプラス方向に働いた好例というべきキラーチューンだ。しかもこの表題曲のみならず、カップリング収録されている2曲についても超重要なトピックや意味合いが伴っていたりもする。
ワールドツアーの最終局面が迫りつつある中、今現在の彼女たちは、全公演ソールドアウトの大盛況となったアメリカツアーから帰国したばかりだが、実はこのインタビューは、その渡米直前に行なわれたものである。というわけで、読者の皆さんには、頭の中で時制を夏の終わりの時期に戻した状態でお読みいただければ幸いだ。
◆ ◆ ◆
──さて、フェス三昧の夏はいかがでしたか?
SAIKI(Vo):楽しかったですね。ただ、日本国内でこんなにフェスにたくさん出たのは初めてのことだったので、自分がどこに居るのかわからなくなってました(笑)。「あれ、先週はどこに居たんだっけ?」みたいな。
小鳩ミク(G, Vo):毎週のようにフェスがあって2日間続くようなこともあったので。しかも、それぞれに違った雰囲気のフェスでしたっぽね。
──僕は<THE GREATEST ROCK FUKUOKA>にうかがいましたが、あの日はバックステージでアメリカのレジェンドというか、陽気なおじさんたちと一緒に写真に納まっていましたよね?
SAIKI:本当にすごく陽気でした、NIGHT RANGERの皆さん(笑)。めちゃくちゃテンション高くて、エネルギーをいただきました。
小鳩ミク:ケータリングルームに居た時に、あちらから「BAND-MAIDだよね? 一緒に写真撮ろうよ」と言ってくださったんですっぽ。
SAIKI:すごくアメリカンな雰囲気でした。アメリカツアーの予習になりましたね(笑)。

──その福岡では初めてドーム会場でのステージを体験することになったわけですが、各フェスの傾向を意識しながらのセットリストなども含めて、いろいろと実験できる部分があったんじゃないかと思います。
KANAMI(G):それについては、やっぱりSAIKIの作るセットリストが毎回素晴らしくて。それぞれのフェスの特色を意識しながらそれに合った選曲をしてくれるので。若いお客さん、いわゆるライブキッズが多いフェスの場合、ダイブとかサークルピットとかがつきものじゃないですか。そういうフェスでは「この曲ではクラップ(手拍子)を起こそう」とか「次の曲ではジャンプ行けるか?」みたいな感じで、ある意味キッズの反応を想像しながら試すような曲順を組んでくれていて。そこで実際に演奏しながら「ああ、SAIKIはこの曲ではこういうことがやりたかったんだ」と気付かされたことも多々ありましたし、やっぱりSAIKIはすごいな、と思わされました。
SAIKI:狙いどおりにやれて良かったです(笑)。メンバーにもそう思ってもらえて。
KANAMI:本当にSAIKIがキッズを操っていました(笑)。
──さすがの支配力です、女王様(笑)。酷暑ではありましたけど、収穫の多い夏だったといえそうですね。しかもそんな時期に、しっかりと今回のシングルが作られていた。資料も見ずにこの3曲を初めて試聴させてもらった時には「これは全曲、シングル候補として作られたものなんじゃないかな?」と感じたんですが、実際はどうだったんでしょうか?
SAIKI:残念ながらハズレです(笑)。
小鳩:まず、ベイブレードのアニメ『BEYBLADE X ベイキイングダム編』のタイアップのお話を、今年の2月の時点でいただいていたんですっぽね。表題曲についてはその時点から「こういう感じのテーマで作っていきましょう」という形で進めていったんですっぽ。
KANAMI:このシリーズは、お子様から大人の方々まで、かなり幅広く見られてるアニメなんです。そういうこともあって、小さなお子さんでも口ずさめるようなメロディのある場面、みんなで歌えるようなパートが欲しいという先方からの要望があったんです。ただ、BAND-MAIDの楽曲として全編通して歌いやすいものにするのはちょっと難しいところがあるので、そういうパートをサビに集約させる形で作っていきました。

──この曲の作詞はSAIKIさんですが、日本語と英語が半々ぐらいの割合になっていてしかも「みんなで歌えそうなパート」の歌詞が英語になっているというも面白いですね。
SAIKI:日本国内はもちろんなんですけど、海外でもとても人気のあるアニメなので、そんなに日本語にこだわらなくていい、というお話が先方からもあって。それで結果的にこんな感じのバランスになりました。
KANAMI:それに子どもたちは耳がいいから、英語でもなんとなく聴きとって歌ってくれるはずだと思えましたし。
──確かに子どもの場合「意味はわからなくても聴こえた通りに歌う」という傾向がありますよね。冒頭に出てくるSPIN、CRASHといったキーワードは、ベイブレードが好きな子たちなら当然わかるでしょうし。
SAIKI:そうですよね。だからSPINという言葉は早い段階からタイトルの第一候補に挙がっていました。ベイブレード自体もずっと回ってるものじゃないですか。私たちも当然、幼少期からベイブレードは知っていたので、その「ぐるぐる回る感じ」というのは歌詞を作っていくうえで意識しましたし、そこに、アニメのストーリー展開のめまぐるしく変わっていく感じ、時代がぐるぐると巡っていく感覚というのを重ねながらイメージしていったんです。
──それを表現しようとした結果でもあるのか、めちゃくちゃ歌詞の量が多くなっていますよね?
SAIKI:そうなんですよ! 書いても書いても曲が終わらないという感じでした。
KANAMI:そうだったんだ。今のSAIKIの言葉を聞いて、大変な曲を作ってしまったんだな、と気付きました(笑)。曲を作るにあたっては、ちゃんとベイブレードについても復習したんですけど、ぶつかり合う感じ、はじけ飛ぶ感じというのがすごくあるじゃないですか。だからまず、それを思わせるような疾走感が欲しいなと思ったんですね。
SAIKI:ベイブレードがぶつかり合って、そこで擦れるみたいな音がするじゃないですか。ガチーン、というような。まさにあの感じが欲しかったんです。
KANAMI:その音自体がいい素材になるんじゃないかと思えたので、実際、曲の冒頭部分をはじめ何箇所かに、それをサンプリングした音源が入ってるんです。
小鳩ミク:ボーカルレコーディングが終わってから、そのままスタジオで録ろうということになって、ベイブレードをスピンさせて録音して。その音を使ってるんですっぽ。
KANAMI:その音源の中からいい素材を選んで、加工して……。なんか遊び心のある感じになりましたね。曲自体について展開を多めにしたのは、やっぱりこのアニメ自体が戦いをテーマにしたものでもありますし、この曲もめまぐるしい感じにしたほうがストーリーを盛り上げられるんじゃないかな、と考えたからなんです。それで展開が豊富な感じにしてみたら……そっか、歌詞がたくさん必要になるわけですよね。大変だったよね?(笑)
SAIKI:もう、本当に(笑)。
小鳩ミク:展開があまりにも多くて、「この曲のサビはどこなの? サビがいくつもあるの?」みたいな感じでもありますっぽね。

──確かに「ここがサビ」と明確には言いにくいかもしれません。
SAIKI:そうですよね。私も最初のうちからそう言ってたんです。
KANAMI:やっぱり? そこについては「サビがめちゃくちゃ長いんだ」と思ってもらえればいいと思います。
SAIKI:圧倒的にサビのほうが長いというか、曲の大半がサビ?(笑)
小鳩:だからSAIKIとも、「これは一個のサビとして捉えるにはあまりにも長いから、分けて考えていかないとね」みたいな話をしていたんですっぽ。
──これほど曲自体がめまぐるしい展開だと、演奏面で気遣うべきところというのも多かったんじゃないですか?
AKANE(Dr):そうですね。めまぐるしいうえにサビが長いので、自分なりに頭の中でパートを分けて、Aメロにあたる部分では戦いを仕掛けていくみたいなイメージのフレーズを多めにしてみたり、逆にBメロでは“間”、つまり休符を大切にしながら「この先どうなっていくんだろう?」というドキドキ感を伝えられるようなフレーズを盛り込もうと意識しましたね。サビは確かに長いんですけど、これはもう完全にバトルの場面というか。ただ、ずっとバトルが続いていきながらもリズムが一定のところも結構あるので、めまぐるしさの中にも軸がしっかりとある感じや、バトルの中でもドラムのフレーズが見えてくる感じを意識していました。ただいろいろと詰め込むんではなく、セクションごとの表情というのがちゃんと伝わるように。
──なるほど。ベースについてはどんな点を意識しましたか?
MISA(B):さっきKANAMIも言ってましたけどいろんな層から愛されてるアニメなので、ベースラインを作っていくうえでは、子供から大人まで誰でも踊れるようなものにしたい、と考えながら取り組んでいきました。具体的には、オクターブ奏法が多かったりするんです。多分これまででいちばん多用してると思います。
──確かにめまぐるしくもありながら“踊れる曲”というか“踊らされる曲”でもありますよね。そんな中、サビの2ブロック目にあたる呪文めいたパートも印象的です。そこでは摩訶不思議な感じを醸しだしつつ、その直後にはアタックの強さを求められるパートがくる。これはボーカル面での要求がとても多い曲でもありますよね?
SAIKI:わかっていただけて嬉しいです(笑)。その呪文みたいな部分は「おまじないパート」と呼んでるんですね。それとは別に小鳩のおまじないパートもあるんですけど、私にも私なりの「おまじない」があるんです(笑)。そこのパートについてはメロの位置というか、拍子をメロが乗りやすい形に変えてもらったりしました。当初はリズム的にこういう言葉がどうしても乗せにくい感じだったので。
──この呪文っぽい歌詞については、記憶の中にあるものを引っ張り出しながら捻りだしていった感じですか?
SAIKI:まさにそんな感じです。幼少期から耳にしてきた言葉というか、記憶に刷り込まれているものを自分なりに変えてみたり、そういう言葉同士を組み合わせてみたりしながら作っていきました。

──その「おまじないパート」もあれば、小鳩さんのパートもある。そこだけ突然、別世界になっていく感じが面白いです。
KANAMI:突然の場面転換、みたいなのが私はすごく好きなんですね。今回の場合もそういうセクションを設けたくて、小鳩パートだけは可愛らしい感じにしてみました。それまではロック然としていてカッコいい感じなのに対して、そこだけは。
SAIKI:ロックな小鳩が好きなご主人様お嬢様も多いと思うんですけど、こういう萌えの要素をアピールできるのはやっぱり小鳩なので、ここでは敢えてその特性を前面に出してる感じですね。実はこの部分の歌詞が最初にできたので、他の部分がまだどうなるか確定していなかった段階で、まず小鳩に渡してあったんです。
──このパートの歌詞を作った後が大変だったわけですね、SAIKIさんは。
SAIKI:そういうことです(笑)。そういえば先ほど「日本語と英語が半々」という話がありましたけど、実は海外用に、全編英語詞のバージョンもあるんです。向こうではそっちが流れることになっていて。ただ、それも含めて今回は大変でした。実はヨーロッパツアーに行っている間に英詞を作っていたんですけど、さすがに英語で韻を踏むというのは私には難しいので、英詞を作るのが得意な方とやり取りをさせてもらいながら詰めていったんです。
小鳩:SAIKIはレコーディングもすごく頑張ってましたっぽ。
SAIKI:両方のバージョンがごっちゃになってしまって(笑)。ボーカルはヨーロッパから帰ってきて数日後に録っていたんですけど、今回は初めて1曲のために2日間もらったんです。もちろんそれは英語バージョンも含めて録るからでもあったんですけど、まず1日目にメインの部分だけを録って、2日目には他のいろいろなトラックに取り組んでいって……。ただ、その時に私、10時間ぶっ続けで歌うことになったんです。あれは初めての体験でした。「これ、いつになったら終わるの?」っていう感じでした。
小鳩ミク:お疲れさまでしたっぽ。実は先日、この曲のミュージックビデオも撮影したんですけどっぽ、なんだかみんな廃人みたいになってましたっぽ(笑)。ものすごく高カロリーな曲ですっぽね。さほど長くはないんですけど、展開も多くてギュッと詰まっているので、ひとつのパートを撮り終えて次のカットに行くまでの待ち時間のあいだも、みんな憔悴しきってる感じでしたっぽ(笑)。
KANAMI:お給仕でこの曲をやる時には、私は小鳩パートでちょっと休ませてもらうつもりです(笑)。
SAIKI:私もそうさせていただきます(笑)。
──この曲のリリースタイミングについては、当然タイアップ上の都合などもあるんでしょうが、ちょうどワールドツアーの最終章突入直前の時期でもありますし、それこそ日本武道館でこの曲がどんなふうに披露されることになるのかが楽しみになってきます。
SAIKI:そうですよね。あと、この曲を持ってアメリカツアーを廻ってくることになるので、そこでこの曲の肌感を味わいながらライブ感を培って、完璧な状態に仕上げてから日本で披露したいと思ってるんです。新しい曲をひとつツアーに持って行くというのもすごく刺激的なことで、ヨーロッパツアーの時にも「ENERGETIC」を持って行ったわけなんですけど、新しいお給仕の作り方というのを体験できた気がするんです。だからアメリカツアーでも、この「SPIN」でもう一度同じことに挑んでみようと思っていて。
──なるほど。久しぶりに行く土地でのお給仕というのは、いわゆるベスト選曲に近い形になりがちだと思うんです。ただ、そこに新曲が加わると現地の人たちにとってもプレミア的な価値を持つことになるでしょうし、その曲自体も育つことになるわけですよね。そして、このシングルに収録されている他2曲の新曲についても訊かせてください。これは「SPIN」を作る以前からあった曲たちなんでしょうか?
KANAMI:いえ、「ENTROPY」は新しいですね。ヨーロッパツアーから帰ってきてからすぐに作った曲です。
──確か以前、KANAMIさんは「ヨーロッパツアーにはパソコンを持って行かない。そこでは一切曲作りをせず、ギターの練習に徹したい」と言っていましたよね?
KANAMI:はい。あの期間はもうきっぱりと練習時間に充てられました。普段から常に制作には取り組んでいるので、曲として完成はしていなくても、アイディアとかはいつも手元にあるんですね。それで「カップリングはどうしようか?」という話になった時に、メンバーから「もっと疾走感のある曲、テンポの速い曲があってもいいんじゃないか?」という声があったんですけど、「それならちょうどいいアイディアがあったな」と思えるものがあったので、帰国してからすぐにそれに手を付けたんです。元々、ワンコーラス分しか作っていなかったアイディアではあったんですけど、それを繋ぎ合わせて、すぐにアレンジしていったんです。
SAIKI:帰ってきてから2日後とか、そんなタイミングだったと思います。
KANAMI:海外から帰ってくると、まずはみんな休息時間を確保することになるじゃないですか。そうやってみんながひと休みしている間に作っちゃおうと考えたんです。
SAIKI:だからいきなり曲が届いた時は「いつの間に?」と思いました。本当はちょっと休んでいて欲しかったんですよね。そうじゃないと私も動かないとならなくなるんで(笑)。
小鳩ミク:だけどヨーロッパツアー中のKANAMIは、見ていて面白かったですっぽ。なんだか曲を作りたくてうずうずしているのが伝わってくる感じで(笑)。
SAIKI:創作意欲が止まらないんでしょうね、きっと。
KANAMI:実際、そうなんです(笑)。

──素晴らしいことだと思います。この曲の疾走感というのは、「SPIN」のめまぐるしさとは対照的に、リフでぐいぐい引っ張っていく感じのものになっていますよね。
KANAMI:確かにリフものですね、この曲は。実際、テンポ的にも久しぶりにBPM200を超えているんですけど、「SPIN」は展開が多めだから「ENTROPY」では展開を少し抑え目にしようというのがありました。そこにちょっとカオスっぽい雰囲気を加えてみた感じですね。メインリフでは、まさにそういうカオス感を出そうとしているんです。
小鳩ミク:ヨーロッパツアー中に、そういうイメージで進めていこうという話をみんなでしていたので、歌詞を書くうえでもカオス感のようなものは意識しましたっぽね。過去の楽曲で言うと「BLACK HOLE」とか「Screaming」あたりにも通じるような、ちょっと強めの感じというか。人の気持ちや感情というよりも、ひとつの事象や物事についての矛盾とか、混沌感とか。そういった部分に焦点を当てて書きたいな、と考えながら書いていったんですっぽ。
──確かに歌詞の中にも《nothing but chaos(カオス以外の何物でもない)》、《rebel against fate(運命に対する反逆)》なんていう強めの表現が目立っていますね。
SAIKI:小鳩がいつになく救いのない歌詞を書いてくれて、嬉しかったです(笑)。
小鳩ミク:他の曲の歌詞が明るめだったこともあって、思いきりその逆に行った感じですっぽね。
──「SPIN」とのコントラストも見事だと思います。演奏面でもやはり、そのカオス的なイメージを踏まえつつ、「SPIN」とは種類の違うスピード感を意識した感じでしょうか?
MISA:こういったカオスな感じのBAND-MAIDの曲って、弾いていて楽しいんです。ベースラインについては、難しい組み立てとかは考えずに、とにかく激しさと疾走感を優先しながら作っていきましたね。
AKANE:この曲の場合は空間も適度にありますけど、そこでフレーズを詰め込み過ぎたり変え過ぎたりせずにおくことを意識しました。聴いていて疲れない感じというか、展開の多さを感じさせないものにしたかったので、敢えてフレーズを変えずに繰り返してみたり。自分としては、めちゃくちゃ得意な感じでもあったんです。だからドラム録りもこれまででいちばん早く終わってしまったくらいで。準備期間、練習期間も昔に比べると全然少なかったんですけど、すごくスムーズに録れたんです。なんだかKANAMIの曲を叩き続けてきたことで、BPM200が得意な身体になってきたのかもしれません(笑)。
KANAMI:本当? それなら私、もうBPM200の曲しか作れない。
SAIKI:それは絶対にやめて!(笑)
小鳩ミク:申し訳ないんですけど、私もそれは辛いですっぽ(笑)。
SAIKI:ただ、確かにBPM200の曲ばかりになってしまっては困るんですけど、私自身もなんだか“KANAMI慣れ”してきているせいか、この曲展開がめちゃくちゃシンプルだと思えてしまうんです(笑)。それからこの曲については、小鳩から大事なご報告があります!
小鳩ミク:そうなんですっぽ。実は、ついにこの曲で初めて、小鳩がバッキングのレコーディングに参加しましたっぽ!(全員拍手)
──おめでとうございます。ある意味、第二のデビューを果たしたわけですね!
小鳩ミク:そうなんです。このカオスな曲でデビューすることになったんですっぽ。
KANAMI:そして、この曲で決まりました。これからは小鳩がバッキングのギターを全部やることが。
小鳩ミク:「これからは小鳩に任せる。頑張って!」と言ってもらえたんですっぽ。だから、これから大変なんですっぽ!(笑)
KANAMI:これがちょうどいいタイミングなんじゃないか、と思ったんです。実際、最近の小鳩が弾くリズムは本当にいいですし。普段はまずAKANEとMISAのチームが小鳩にディレクションして、最終的に私が見て、それからまた本人にフィードバックして、というやり取りを繰り返しているんですけど、そこでのやり取りの回数もどんどん減ってきていて。
──すごい! 3人がかりのスパルタ教育なんですね。
小鳩ミク:はい。みんなに教育してもらっていますっぽ(笑)。でも、今回のことは本当に嬉しいんですっぽ。KANAMIにも前々から「いつかは小鳩もギターのレコーディングに参加できるように頑張るっぽね」と言ってはいたんですけど、現実的に考えると「まだまだだね」という状況が長く続いてきて。それがこうして、ようやくKANAMI先生にも認めていただけたので(笑)、本当に良かったなと思ってますし、これからさらに頑張っていこうという気持ちですっぽ。
──KANAMIさんとしては、小鳩さんにバッキングを委ねるべきタイミングを見きわめることも難しかったんじゃないですか?
KANAMI:そうですね。でも皆さんご存知のとおり、私たちはリハーサルに入ることがとても多いバンドなんですけど、そこでの演奏ぶりを見させてもらったり、練習音源を聴いたり、データのやり取りをしたりしてきた中で、ある時「これはレコーディング行ける!」と思えた瞬間があったんです。そういうことを日々繰り返していく中で、突然その時が来たというか。
小鳩ミク:実を言うと去年の末ぐらいから「そろそろ小鳩がギター録りに参加できるように練習を」ということで、改めてレコーディングを想定しながらの練習というのを重ねてきていたんですっぽね。「じゃあ、まずこの曲をやってみましょう」みたいな流れを作ってもらいながら。

──小鳩強化カリキュラムみたいなものが組まれていたわけですね?
小鳩ミク:まさにそんな感じでしたっぽ。本当に「いついつまでにこれを提出してね」「これは再提出してね」みたいなことを続けてきた結果、変わってきたんですっぽ。
MISA:本当に変わったなと思います。録って聴いて、という作業を繰り返してきたことで、本当にすごく上手くなってきて。
AKANE:去年も3人でのセッションを組み立てる時とかに、リハーサルでの音源を共有して、それをチェックする機会が結構あったんですけど、そこで小鳩の弾いたギターを聴いた時に「あ、リズムがすごく良くなってる」と思わされることがたびたびあったし、すごく成長を感じていたんです。
──なるほど。そうした積み重ねがこの局面で実を結んで、本当に良かったですね。そしてこのシングルにはもう1曲、「Spring ephemeral」が収録されています。タイトル自体からも、春の儚さが歌われている曲だということがわかりますが、春を儚い季節として捉えたのはどんな発想からだったんでしょうか?
小鳩ミク:まず曲を作ろうということになった段階で、「そういえばBAND-MAIDって四季折々の曲というのがあんまりないよね?」という話になったんですっぽね。
SAIKI:なぜか夏の歌しかなかったんですよ(笑)。
小鳩ミク:そうなんですっぽ。ちゃんと季節感を打ち出している曲というのが夏以外にはあまりなくて「雰囲気的に春っぽいよね」程度のものしかなかったんですっぽ。そこで、春というのは暖かい季節だけど卒業とか別れの時期でもあったりするので、そういう曲を作ってはどうか、という話になったんですっぽ。確か、会話の中でKANAMIが「そういえば卒業ソングってないよね?」と言ったことで、目指していく方向が定まった感じでしたっぽね。実際、この曲の制作も春ぐらいの時期にやっていたんですっぽ。
KANAMI:そういう経緯もあったので、卒業ソング的なせつなさもありつつ、最終的には気持が明るくなるような曲にしたいな、と思いながら作っていきました。あと、みんなで大合唱できるようなところが欲しいなというのがあったので、それをイメージしながら、ご主人様たちが歌いやすいようなキーも意識して作っているんです。
SAIKI:そう、だからこれは絶対に歌えます、男性の方々も。
小鳩ミク:歌詞もそういうところを意識しながら書いていきましたっぽ。実際、書き進めていく途中でKANAMIとSAIKIにも見てもらうんですけど、その段階で「ここはもうちょっとみんなで歌いやすい感じに」とか、そういった意見をKANAMIからもらって書き直してみたりとか。そういうやりとりを慎重に重ねていきながら最終的にこんな感じにまとまったんですっぽ。
KANAMI:まさにそんな流れでした。それからこの曲については、ちょっと新しいテイストのメロディを入れたいなと考えていたので、ボーカルの2人に、サビのメロディだけを空けた状態で原曲を渡して、それを聴いてもらって「ここにメロディを乗せてみて」というリクエストをしてみたんですね。だけど小鳩はそれに応えてくれなかったんです。
小鳩ミク:ごめんなさいっぽ(笑)。ちょうどあの時は別の歌詞を仕上げなくちゃいけなくて、書けなかったんですっぽ。それがまさに「ENERGETIC」の制作と同じ時期だったんですっぽね。「3日後までに「ENEGETIC」の歌詞を提出してください」と言われていたタイミングでのことだったので、そっちを必死で書いていたんですっぽ。だからKANAMIには「ごめんなさい。今はできないっぽ!」と言うしかなくて。

──その時の小鳩さんが置かれていた状況が何よりもカオスだったわけですね(笑)。
小鳩ミク:まさしくカオスの中にいましたっぽ(笑)。
KANAMI:でもSAIKIはちゃんと提出してくれたので(笑)。
小鳩ミク:……ズキン! ホントにゴメンっぽ。
KANAMI:だけどそのSAIKIが送ってくれたメロディがとても良かったので「これを採用させてください」ということになって、それを基にサビのメロディを構築していったというストーリーがこの曲にはあるんです。
──清涼飲料水か何かのCMに最適そうな曲になりましたよね?
SAIKI:狙いたいですね(笑)。でも実際、これはとても気持良く歌える曲なんですけど、日本語を大切にしながら歌うということについて、改めてすごく考えさせられた曲でもあるんです。一音一音を大事に歌うことを心掛けました。その言葉本来のイントネーションというのがあるじゃないですか。それを意識せずにメロディにそのまま乗せてしまうと、違う意味に聴こえてしまう危険性もあるわけなんです。だから言葉を重んじるためにも「ここのメロディはちょっと変えてみない?」みたいなことを提案したりもしました。歌詞を見ずに聴いてもスッと情景が浮かんでくるようなものにすることを目指しながら。それに曲自体はまったく難しくないので、これは本当にみんなに一緒に歌って欲しいですね。
小鳩ミク:実際、《春風ふわふわ~》という歌詞から始まる、みんなで合唱するような雰囲気のパートは、全員でコーラスをレコーディングしました。
KANAMI:「SPIN」についてもそうですね。皆さんにも歌って欲しいところは、全員で歌ってます。
MISA:あれは楽しかったですね。私としては、この曲は、聴いてくれる人たちが歌詞に描かれているような情景を自然に思い浮かべてしまうようなベースを弾きたいなと思って、暖かくて明るい感じのベースラインというのを意識しながら取り組みました。
AKANE:私は、実を言うとこの曲にちょっと苦戦しました。なにしろ早いやつが得意な私なので(笑)、こういうポップめなフレーズというか、空間の多い感じの曲での音価の伸びとか、ハイハットを閉じる瞬間の置き方みたいな部分ですごく考えさせられたんです。速い曲ならアタックで乗り切れてしまうんですけど、こういう曲ではそういう細かいところがすごく目立ってしまうので。ゆっくりめの曲だと全部の音がしっかり聴こえてしまうから、すごく慎重にならざるを得ないところがあって。そういう難しさを改めて感じさせられましたし、レコーディング自体にも、この3曲の中でいちばん時間がかかりました。

──ただ、こういう曲に鍛えられるという部分もあるはずですよね?
AKANE:ありますね、すごく。
SAIKI:この曲のレコーディングを経たことで、『SCOOOOOP』に入っていたバラードの、「SION」のドラムがすごく良くなった気がします。
AKANE:うん。実際そういう話をしていたんです。自分で言うのも変かもしれないですけど、音の説得力が増してきたというか。そういった音の大切さ、音価とかグルーヴの重要さを改めて学ばされた曲ですね、これは。

──この3曲の中でもさまざまな学びや再確認を経てきたわけですね。それにしても来年はお給仕全般がお休みになるとはいえ、今年の活動の流れにはすさまじいものがあります。当初、年間計画が発表された時点では「武道館の二夜公演をゴールに据えながら、すべてがそこをめがけて進んでいく」という感じなのだろうと思っていたんですけど、こうして制作やリリースも続いているし、物事の進み方がまったくシンプルではないというか。
SAIKI:そうなんですよね。何かあるたびに考えるべきことが出てくるんです。こんなに考えることがたくさんあるなんて、私たちとしても想定外だったというか。
小鳩ミク:うん。最初のうちは本当に、「すべては武道館に向けて」という気持ちでいましたし、いつもそういう話をしていたんですっぽ。ところが物事が進んでいくにつれて、全然それだけではなくなってきてますっぽね。
SAIKI:ただ、よくよく考えてみると、こういう進み方がBAND-MAIDのスタイルには合っていると思うんです。目の前のことを一個一個やっていって、ひとつクリアするたびにそこで得るものがある。それを繋げていくと自分たちのストーリーになっていくというところが実際あるので。そして、そうやって積み重ねてきたことをファイナルですべて発散する、というのが私たちの性分には合ってるんじゃないかな、と思うんです。だから結果的には、これだけ詰まった日程で良かったな、と思っているくらいで。少なくとも今はそう思えてます。最初のうちは、この流れを走り抜けられるかどうか、マジで不安でしたけど。
小鳩ミク:このワールドツアーが始まったばかりの頃は「本当に私たちはこの日程でやれるのか?」と思ってましたっぽね。これだけのことをやりながら制作も進めていくなんて、自分たちにできるのか?」って。

──実際、皆さんはそれを見事にやってのけているし、その過程にあるひとつひとつのことから収穫を得ているわけですよね。素晴しいことだと思います。それにきっと、すでにKANAMIさんは次なる新曲を作り始めていたりするはずですよね?
KANAMI:実はもう……作っちゃいました(笑)。
SAIKI:もう全部バレちゃってますね(笑)。この先もいろんなことがありますから、ぜひ見守り続けていてください。

取材・文◎増田勇一
写真◎尾藤能暢
■ニューシングル「SPIN」
2026年10月28日(水)リリース
予約:https://BAND-MAID.lnk.to/SPIN_CDPR
※価格、収録内容共に予告なく変更する事が御座います。
Pre-add/Pre-save:https://BAND-MAID.lnk.to/SPINPR

■初回生産限定盤
CD+Blu-ray
品番: PCCA-06563
POS:4524135336460
価格: 7,700円(税込)
仕様:デジパック仕様
■初回生産限定盤
CD+DVD
品番:PCCA-06564
POS:4524135336477
価格:6,600円(税込)
仕様:スリーブケース仕様
■通常盤
CD
品番:PCCA-06565
POS:4524135336507
価格:1,650円(税込)
仕様:通常仕様
■収録内容
[CD](全形態共通)
M-1:SPIN
M-2:ENTROPY
M-3:Spring ephemeral
[Blu-ray/DVD](初回生産限定盤のみに収録)
BAND-MAID TOUR 2025 TOYOSU PIT ( 2025.7.12 )
・Zen
・Unleash!!!!!
・DOMINATION
・Protect You
・Forbidden tale
・Toi et moi
・Play
・Medley – secret My lips / Blooming / 輪廻 / H-G-K / BLACK HOLE / Warning! / Why Why Why / influencer / glory / SHOW THEM
・Brightest star
・Get to the top
・Don’t you tell ME
・HATE?
・Shambles
・Choose me
・What is justice?
・Screaming
・NO GOD
・TAMAYA!
・Ready to Rock
■各形態初回生産分封入特典
各形態の初回生産分には、BAND-MAID ”SPIN” リリース記念 応募抽選キャンペーンチラシを封入
【A賞】
メンバー直筆サイン入り『SPIN』オリジナルアートボード・・・10名様
【B賞】
メンバー直筆サイン入り『BAND-MAID』オリジナルアートボード・・・10名様
【C賞】
SPIN TOWEL…100名様
■ショップ別オリジナル特典
BAND-MAID「SPIN」を下記対象店舗でご予約購入いただくと、先着でショップ別オリジナル特典をプレゼントいたします。
・Amazon.co.jp:オリジナル絵柄メガジャケ
・タワーレコードおよびTOWER mini全店、タワーレコードオンライン:A3クリアポスター(3形態同時購入特典)/ホログラムステッカー TOWER RECORDS ver.(単品特典)
・全国HMV/HMV&BOOKS online:ホログラムステッカー HMV ver.
・楽天ブックス:アクセサリートレイ(3形態同時購入特典)/アクリルコースター(単品特典)
・セブンネットショッピング:マルチショルダーバッグ(3形態同時購入特典)/アクリルカラビナ型(単品特典)
・Neowing / CDJAPAN:A4クリアファイル(3形態同時購入特典)/ジャケット絵柄ステッカー(単品特典)
・その他法人:A4クリアファイル
※特典の絵柄は後日公開いたします。
※特典は先着の付与となりますので、なくなり次第終了となります。 予めご了承ください。
※一部店舗に取扱いのない店舗がございますので、ご予約・ご購入時にご確認ください。
※ECサイトでご予約の場合、特典付き商品をご希望の場合は必ず特典付きカートからご注文下さい。一部ECサイトでは予約済み商品がキャンセル不可の場合がございますのでご注意ください。
■PONY CANYON × BAND-MAID “SPIN” 発売記念グローバルキャンペーン
BAND-MAID「SPIN」の発売を記念して、各地域のPONY CANYONショップにて「SPIN」をご購入の方にショップ別オリジナル特典をプレゼント!
詳細はこちら:
https://bandmaid.tokyo/contents/1104790

■<BAND-MAID WORLD TOUR 2026>
3月20日(金) Hong Kong Kitty Woo Stadium, Tung Po
3月22日(日) Kaohsiung MEGAPORT FESTIVAL 2026
4月11日(土) 神奈川 KT Zepp Yokohama ※SOLD OUT
5月2日(土) 宮城 仙台GIGS ※SOLD OUT
5月10日(日) 東京 Zepp Haneda ※SOLD OUT
6月3日(水) Berlin Columbia Theater ※SOLD OUT
6月5日(金) Frankfurt Batschkapp ※SOLD OUT
6月6日(土) Munich Technikum ※SOLD OUT
6月9日(火) Paris Bataclan ※SOLD OUT
6月11日(木) London Electric Brixton ※SOLD OUT
6月12日(金) Derby Download Festival
6月27日(土) 広島 BLUE LIVE HIROSHIMA ※SOLD OUT
6月28日(日) 兵庫 KOBE HARBOR STUDIO ※SOLD OUT
7月12日(日) 北海道 札幌ファクトリーホール ※SOLD OUT
7月17日(金) 熊本 B.9 V1 ※SOLD OUT
7月18日(土) 福岡 Zepp Fukuoka ※SOLD OUT
9月20日(日) Taipei Legacy TERA ※SOLD OUT
10月3日(土) Chicago The Vic Theatre
10月5日(月) New York The Paramount
10月7日(水) Atlanta Buckhead Theatre
10月9日(金) Dallas House of Blues
10月12日(月) Los Angeles The Wiltern
10月14日(水) Phoenix The Van Buren
10月17日(土) Mexico City Pabellón Oeste
11月1日(日) 愛知 COMTEC PORTBASE
11月3日(火・祝) 大阪 なんばHatch ※SOLD OUT
BAND-MAID WORLD TOUR 2026 FINAL
会場:東京・日本武道館
2026年11月13日(金) OPEN 16:30/START 18:00
2026年11月14日(土) OPEN 15:30/START 17:00 ※SOLD OUT
OA: NEK! (両日出演 開場時間中の出演になります。)
チケット情報
11月1日愛知公演、11月13日日本武道館公演一般発売
10月24日(土)正午〜
https://bandmaid.tokyo/contents/1041130







