【インタビュー】deadman、25周年YEARファイナルを前に語るホール公演の意図と名古屋系「たかだか音楽だし、たかだか人生。瞬間瞬間で面白いことを」

deadmanが12月21日、東京・大手町三井ホールにて、結成25周年YEARのグランドファイナル公演<deadman 25th anniversary TOUR 2025「to be and not to be final -被覆する造形は人、腫れる風船の奇病-」>を開催する。同公演は自身初の座席有のホール公演として実施されるものであり、“存在することと存在しないこと”と直訳される一連のツアー最終日の内容に期待が高まるところだ。
また、同公演のチケットは新曲1曲収録CD付として発売されるもの。今年7月発表の25周年記念EP『鱗翅目はシアンブルー』は、aie曰く「これぞdeadmanと言える作品であり、deadmanのことを好きでいてくれた人に向けて制作した」という。そして25周年YEARのファイナルに向けてレコーディングされる新曲は、“名古屋系”をキーワードに制作がスタートしたとのことだ。果たして、そのサウンドとは? 25周年の総決算となるか?
aieの誕生日(9月26日)公演<deadman 25th anniversary TOUR 2025「to be and not to be -birth of the dead-」>の後日、25周年記念ツアーも残すところグランドファイナルのみとなったdeadmanの眞呼(Vo)とaie(G)に、大手町三井ホール公演の意図について、現在制作中だという新曲について、じっくりと訊いたロングインタビューをお届けしたい。

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■25年の集大成というよりも
■新しいことをやる可能性もある
──deadman結成25周年のツアーも残すは、12月21日の大手町三井ホールファイナル公演<deadman 25th anniversary TOUR 2025 “to be and not to be final -被覆する造形は人、腫れる風船の奇病-”>のみとなりました。ライブを中心に今年1年間、こうして走ってきての感触はどうですか。
aie:いい感じですね。昨年のツアーのときに、「来年25周年だけどどうする?」「25周年だから25本やろうか」というざっくりとした話から始まって。あとは、制作チームからプランをもらいながら、まず2月の東名阪FCツアー<Let’s Go!25!!>、そこから主要5都市10公演の<deadman TOUR 2025「to be and not to be-act 1」>、プラスアルファで夏は全国ツアー<deadman 25th Anniversary TOUR 2025「tour 2025 to be and not to be -cyan blue-」>を開催し、そのファイナルでホール公演をするという大きなものは見えてて。
──夏のツアーの開催と同時に、25th Anniversary EP『鱗翅目はシアンブルー』のリリースもありました。
aie:そうですね。で、ツアーの途中から“25”という数字はどうでもよくなって、「増える分にはいいんじゃないですか?」ってことで、「呼ばれたイベントに出よう」とか言ってたんですけど、結果呼ばれてないんですよね(笑)。
眞呼:忘れられてますよね。
aie:なんか呼ばれないんですよ、最近。
──周年イヤーですし、サポートを含めた皆さんはdeadmanだけでなく他のバンドやプロジェクトもありますから、忙しいと思われてしまっているのでは?
aie:でも誘う分にはいいじゃないですか。言ってくれればいいのにって。
眞呼:そうそう(笑)。
──ははは。では、25周年の締めくくりとしてのホール公演開催は、最初の段階で考えていたことだったんですね。
aie:25周年のファイナルで、お客さんのテンションを上げたいというか。バンドのスタンスとしては一生クアトロとか新宿ロフトとかでやっていければカッコいいかなと思っているんです。だけど、“ライブハウスだといつもと一緒じゃん”っていうのもあると思うし。節目としてのホール公演は、以前ライブに来てくれてたけど、最近は行けてないって人が、“じゃあ行ってみようかな”って足を動かすきっかけになるかなっていう。それでいいと思うんです。
──deadmanを始めた頃は、ホールでライブすることはあまり考えてなかったんですか?
aie:いや、始めた当初こそ、俺らは売れる気満々だったんですよ、「目指せGLAY」って言ってたくらいですから。その後、曲のサビを排除するようになってからは、「目指せ永久にクアトロツアー」っていう目標の変化はありましたね。
──スタイルに合わせて目標を微調整したと。
aie:あと、当時は若かったから、MUCCとかメリーとか周りの友だちのバンドと一緒にライブするときに、「みんな激しいから、今日の俺らはバラードだけにしよう」とか言って、実際にそうやってたんですよね。別にそんなことしなくてよかったのに。
眞呼:確かに。
aie:30分の持ち時間で、全曲バラードとか。
眞呼:メドレーもやったよね。それはそれで面白かったけど。

──ついひねくれた部分が出てしまうという。ホール公演ではステージも大きくなりますし、演出などの可能性も広がりそうですが、今考えていることや、こういう形で見せたいというイメージはありますか?
aie:そこは眞呼さんを中心にいろいろ考えてもらおうかなと。これから会場の下見に行くので、実際何ができるのかな?っていうところなんですけど。俺とか楽器陣は変わらないと思うけど、いつもよりも眞呼味は増す気がする。それができるだろうなというか。
眞呼:お客さんも一体となってワーっとなれるホールならではのものと、これまで同様に自分だけの世界の濃さというものが、うまく交わる感じがホールでできればいいなというのはありますね。
aie:deadmanの持ち味でもある一本の映画のようなライブは、ホールを使うことでもっと面白くできるんじゃないかなとも思うし。だから、25年の集大成というよりも、新しいことをやる可能性もあるなと思っています。気持ちの上では、25周年ツアーのファイナルというより、たまたまそういうホールで一本ライブをやるだけという感じがするんです。……絶対泣かないし。
眞呼:はははは!
aie:“走り切った。25周年ありがとう!”って泣かないですからね。

──ですよね(笑)。7月には25th anniversary EP『鱗翅目はシアンブルー』もリリースしました。deadmanというバンドの真骨頂とも言える、耽美で幻影的な世界観によるオルタナティヴな作品ですが、ツアーが一段落した今、自分たちとしては改めてどんな作品になったと思いますか?
aie:このEPは、deadmanのことを好きでいてくれた人に向けていたというか。いわゆるお茶の間には上がらないような楽曲だけど、「これがdeadmanですよね」と好きな人なら言ってくれるような曲にしたいと思っていて。そこは狙ったところでしたね。
眞呼:不思議なことに、“こういう感じの曲があったらいいな”と私が考えていた曲があって。deadmanじゃなくても別のバンドでやるのもいいかなと思っていたんですけど、それがaieさんが持ってきた曲のなかに、私が考えていたものと同じような曲があって。それが1曲目の「dollhouse」なんですけど。
aie:シンクロしましたね。
眞呼:前にもそういうシンクロはありましたよね。25年もやっているとそういう以心伝心はありますよね。
aie:「dollhouse」のインスピレーションの源は、なんかのドラマを観てたときに掛かっていたBGMだったんですけど。だから同じものを見ていた可能性もありますね。
眞呼:そうですね。
──ふたりで、その答え合わせはしていないんですか。
aie:してないですね。もう何のドラマだったかも覚えてないくらいですから。その原曲から、たとえばザ・ナックの「マイ・シャローナ」のサビっぽいリードにしようとか、ミューズっぽい要素を少し入れてとか、スタジオでどんどん形を変えていった曲でもあるので。
眞呼:以前のdeadmanと違って、メロディが変わってきた感じもありますよね。
aie:いろいろと経て、なんでしょうね。同時にkeinをやっていて、無意識にkeinとは真逆の方向で作るから、keinがポップだとしたら、よりアンダーグラウンドに行こうというのは……そうは思っていないんですけど、あるのかもしれない。







