本物のR&Bを鳴らす正真正銘のロックバンドがいた。その名は、ザ・ゴールデン・カップス。米軍のハウス地区に
指定され、アメリカ式の建築物が立ち並ぶ街、横浜・本牧で産声をあげたバンドである。

今秋、公開される『ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム』は、このバンドの壮絶なヒストリーを追うとともに、
解散から31年の時を経て実現した奇跡の再結成ライヴに密着した日本初の本格的ドキュメンタリー音楽映画である。
60年代青春を謳歌する若人たちに渦巻く野望と欲望、世間に対する憤りや葛藤、音楽へのパッション、
芸能界の縮図……など、さまざまな感情が当時を知る多くの人々の証言によって描かれている。劇中に登場するのは、
デイヴ平尾、エディ藩をはじめとするカップスのメンバーはもちろん、忌野清志郎、内田裕也、北野武、CHAR、土屋昌巳、
矢野顕子、CHIBO、横山剣(クレイジーケンバンド)、ムッシュかまやつ、萩原健一、鈴木ヒロミツといった錚々たる面々。
彼らの口から語られるカップスというバンドの伝説に耳を傾けていると、当時を知らない者でもその佇まいに自然と引き
込まれてしまうだろう。また、後半のライヴ映像も圧巻で、「日本で最初のR&Bバンド」と呼ぶに相応しい堂々とした
ステージを見せてくれる。
――ザ・ゴールデン・カップス。このバンドの輝きを知る者も、今はまだ知らない者も、真の音楽ファンなら是が非でも
観に行きたい映画である。今、新たな伝説がはじまる――。
文●水越真弓













